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MONITOR_SERVER プロセスに関するクラスタ管理者への注意
ユーザが MONITOR CLUSTER コマンドを入力した場合, MONITOR はイメージ SYS$SYSTEM:VPM.EXE を起動します。 このイメージは,各リモートクラスタ・ノード上に MONITOR_SERVER というプロセスを作成します。ユーザがMONITOR CLUSTER コマンドまたは MONITOR クラス名 という形式のコマンドで /NODE 修飾子を指定した場合,MONITOR は指定したノード上にだけプロセスを作成します。サーバ・プロセスは,リモート・ノードからデータを収集し,ローカル・ノードに表示したり記録したりします。正確かつ迅速にデータを収集するため,サーバ・プロセスは優先順位 15 で起動されます。サーバ・プロセスが消費する資源はごくわずかであるため,システム性能にはほとんど影響がありません。
省略時の設定では,MONITOR_SERVER プロセスは,システムの DECnet アカウントで起動されます。このアカウントは,ブート時に実行されるコマンド・プロシージャ NETCONFIG.COM で作成されます。このアカウントが存在していない場合は,NETCONFIG.COM を実行してこのアカウントを作成するか,またはサーバ・プロセスを起動できる別のアカウントを指定してください。
別のアカウントでサーバ・プロセスを起動する場合,次のコマンド群を使用して DECnet データベースに既知オブジェクト 51 として VPM を定義し,このオブジェクトをアカウントに対応づけます。
$ SET PROCESS/PRIVILEGE=SYSPRV $ RUN SYS$SYSTEM:NCP NCP> DEFINE OBJECT VPM NUMBER 51 - _ FILE SYS$SYSTEM:VPM.EXE - _ PROXY NONE - _ ACCOUNT account - _ USER user-id - _ PASSWORD password NCP> SET OBJECT VPM NUMBER 51 - _ FILE SYS$SYSTEM:VPM.EXE - _ PROXY NONE - _ ACCOUNT account - _ USERNAME user-id - _ PASSWORD password NCP> EXIT $ SET PROCESS/PRIVILEGE=NOSYSPRV |
各サーバ・プロセスについて,MONITOR はローカル・ノード上にログ・ファイルを作成します。エラー・メッセージなど,サーバ接続動作に関する情報は,このログ・ファイルに書き込まれます。エラー・メッセージが書き込まれるのは,エラーが発生したときだけです。システムの運用期間全体において,1 つのバージョンのログ・ファイルが維持されます。省略時のファイルは, SYS$COMMON:[SYSMGR]VPM$ ノード名 LOG です。ノード名は,MONITOR_SERVER プロセスを起動したノードを示します。
省略時の値を変更するには,該当するノード上のシステム論理名テーブルのエグゼクティブ・モード論理名 VPM$LOG_FILE を再定義します。たとえば,サーバ・エラー・ログ・データをファイル WRKD:[MONSERVER]VPM_ERRORS.LOG に書き込むには,VPM$LOG_FILE を次のように定義します。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE VPM$LOG_FILE - _$ WRKD:[MONSERVER]VPM_ERRORS.LOG |
クラスタ上のすべての MONITOR_SERVER プロセスに関するデータを 1 つのファイルに格納するには,各メンバ・システム上の論理名に同じ値を設定します。ログ・ファイルは共用順編成ファイルとして作成されるので,複数のサーバ・プロセスがログ・ファイルに同時にアクセスできます。
クラスタを日常的に監視する場合,ブート時に MONITOR_SERVER プロセスを各メンバ・ノードに作成し,作成したプロセスをシステムの運用期間中維持すれば,サーバのスタートアップ時間を大幅に短縮できます。これを行うには,サイト別スタートアップ・コマンド・ファイルに次のコマンド行を追加します。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE VPM$SERVER_LIVE TRUE $ RUN/DETACH/PAGE_FILE=10000 SYS$SYSTEM:VPM.EXE |
上記のコマンドは,会話形式でも随時入力できます。ただし,ALTPRI,NETMBX,PSWAPM,SYSNAM,SYSPRV,TMPMBX の特権が必要です。
MONITOR> MONITOR CLUSTER/ALL
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前述の例は表形式による CLUSTER 表示です。
MONITOR> MONITOR CLUSTER/CURRENT
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前述の例は,棒グラフ形式による CLUSTER/CURRENT 表示です。
MONITOR DECNET コマンドは,DECNET クラスの監視を起動します。 DECnet for OpenVMS ネットワーク動作の情報も対象となります。
MONITOR DECNET
/修飾子[,...]
1 つ以上の修飾子。本章の「コマンド修飾子の説明」を参照してください。
/ALL
取得できる統計情報(現在値,平均値,最小値,最大値)がすべて記載されたテーブルを,画面への出力と要約の出力に含めることを指定します。要約を出力する場合には,どのクラスでもこの修飾子が省略時の設定になります。それ以外の場合には,CLUSTER,MODES,PROCESSES,STATES, SYSTEM,およびVECTORを除くすべてのクラスで,この修飾子が省略時の設定になります。/AVERAGE
画面への出力と要約の出力に,平均値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。/CURRENT
画面への出力と要約の出力に,現在値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。 /CURRENT修飾子は,CLUSTER,MODES,STATES,SYSTEM,およびVECTORの各クラスでは省略時の設定です。/MAXIMUM
画面への出力と要約の出力に,最大値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。/MINIMUM
画面への出力と要約の出力に,最小値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。
DECNET クラスのデータ項目は,次のとおりです。
データ項目 説明 Arriving Local Packet Rate ローカル・パケットが受信される速度。 Departing Local Packet Rate ローカル・パケットが送信される速度。 Arriving Transit Packet Rate トランジット・パケットが着信する速度。 Transit Congestion Loss Rate トランジット輻輳損失率。 Receiver Buffer Failure Rate レシーバ・バッファ障害率。
MONITOR> MONITOR DECNET
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制御パケットを含むネットワーク・パケットの発着量がほぼ同じであり,ネットワーク動作が監視開始以来の平均値より高いレベルにあるが,最高ではないことを示しています。
MONITOR DISKコマンドを実行すると,統計情報のDISKクラスの監視が開始されます。レコード出力のために監視できるディスクの最大数は 909 です。表示および概要出力のために監視できるディスクの最大数は 1817 です。
MONITOR DISK
/修飾子[,...]
1 つ以上の修飾子。本章の「コマンド修飾子の説明」を参照してください。
/ALL
取得できる統計情報(現在値,平均値,最小値,最大値)がすべて記載されたテーブルを,画面への出力と要約の出力に含めることを指定します。要約を出力する場合には,どのクラスでもこの修飾子が省略時の設定になります。それ以外の場合には,CLUSTER,MODES,PROCESSES,STATES, SYSTEM,およびVECTORを除くすべてのクラスで,この修飾子が省略時の設定になります。/AVERAGE
画面への出力と要約の出力に,平均値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。/CURRENT
画面への出力と要約の出力に,現在値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。 /CURRENT修飾子は,CLUSTER,MODES,STATES,SYSTEM,およびVECTORの各クラスでは省略時の設定です。/ITEM=(キーワード [,...])
表示出力と要約出力の対象とする1つ以上のデータ項目を選択します。複数のキーワードを指定する場合は,括弧で囲み,コンマで区切ってください。省略時の値は,/ITEM=OPERATION_RATEです。次の表は /ITEM 修飾子のキーワードを示しています。
キーワード 説明 ALL ディスクに対して収集したすべてのデータ項目に関する統計情報を一連の画面に表示することを指定する。 OPERATION_RATE 入出力操作の割合に関する統計情報をディスクごとに表示することを指定する。 QUEUE_LENGTH サービスを受ける入出力要求パケットの数 (現在サービスを受けているものと待機中のもの) をディスクごとに表示することを指定する。
/MAXIMUM
画面への出力と要約の出力に,最大値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。/MINIMUM
画面への出力と要約の出力に,最小値の統計情報(棒グラフで表示)を含めることを指定します。/PERCENT
/NOPERCENT (省略時の設定)
画面への出力および要約の出力時に,統計情報を百分率で表すかどうかを制御します。 /PERCENT修飾子は,DISK,MODES,SCS,およびSTATESのクラスにのみ指定できます。省略時の設定では,統計情報は百分率で表されません。
DISK クラスは,構成要素クラスです。このクラスのデータ項目は,単一ノード・システムまたはクラスタ・システムにマウントされている各ディスク・デバイスについて収集されます。DISK クラスのデータ項目は,次のとおりです。
データ項目 説明 I/O Operation Rate 各ディスクにおける入出力動作発生率。システム内のすべてのディスクの処理率を比較することにより,負荷の高いディスクと低いディスクを調べることができる。ただし,個々の処理に要した時間は出力されないので,その点を考慮する。 I/O Request Queue Length 未処理の入出力要求パケット数。現在処理中の要求と待ち状態の要求が含まれる。精度を高くするために,この項目は, /INTERVAL コマンド修飾子で指定した値にはかかわらず,必ず 1 秒間隔でサンプリングされる。 監視できるディスクの数の上限は,レコード出力については 909,表示および要約出力については 1817 である。以前のバージョンでは,両方のタイプの出力で上限は 799 だった。
次の代表的なクラスタ環境例では,各ディスクを 3 つの要素で識別しています。
- コロンで終わるディスク名
- ディスクのアクセス時に経由するクラスタ・ノードの名前
このフィールドは,複数統計表示だけに表示され,単一統計表示や複数要約には表示されません。- ボリューム・ラベル
クラスタ構成では,MSCP サーバ・ソフトウェアにより,ローカル・ノード上の HSC ディスクを他のノードが使用できるようになります。ノードが別の VAX ノードを経由してディスクにアクセスする場合 (MSCP サーバにより),リモート・アクセスを使用します。ノードがローカル・ノード上のディスクまたは HSC ディスクにアクセスする場合,直接アクセスを使用します。
デバイス名の後の "R" は,リモート・アクセスを使用してノードが要求した入出力動作を表していることを示します。
デバイス名の後に "R" がない場合,直接アクセスによってノードが実行した入出力動作を表していることを示します。リモート要求を MSCP サーバが代行して実行した入出力動作が含まれる場合もあります。
MONITOR> MONITOR DISK/ITEM=QUEUE_LENGTH
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代表的なクラスタ環境の一例です。各ディスクについて,処理待ち状態または処理中の入出力パケット数が表示されています。デバイス SAMPLE$DRA2 は,キューの長さが 0 以外である唯一のデバイスです。収集間隔設定値にかかわらず,MONITOR によってキューの長さは毎秒サンプリングされます。
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