library home hp.com home products and services support and drivers solutions
cd-rom home
End of Jump to page title
HP OpenVMS Systems
Documentation

Jump to content


HP OpenVMS

HP OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


前へ 次へ 目次 索引


9.5.1 構成要素

図 9-3 に示す,CI OpenVMS Cluster の構成要素は次のとおりです。

パート 説明
ホスト 1,ホスト 2 デュアル CI 対応の OpenVMS Alpha ホストまたは VAX ホスト。

解説: どちらかのホストに障害が発生しても,システムは処理を続行できます。正常時には,両方のホストのフル・パフォーマンスをアプリケーションに使用できます。

CI 1-1,CI 1-2,CI 2-1,CI 2-2 どちらのホストもデュアル CI アダプタ。アダプタ CI 1- n は,ホスト 1 の CI アダプタであり,CI n に接続されている。以下同様。

解説: どちらのホストの CI アダプタに障害が発生しても,残ったホストと HSJ ストレージ・コントローラまでの CI 接続をホストは維持します。ホスト上のどちらの CI アダプタも,別々のスター・カプラに接続されています。障害がなければ,両方の CI アダプタのフル・データ帯域幅と I/O 通信速度/秒のキャパシティをホストで利用できます。

スター・カプラ A (パス A ハブ), スター・カプラ B (パス B ハブ) 2 個の CI スター・カプラは,いずれも独立した 2 つのパス・ハブからなる。スター・カプラ A のパス・ハブは,両方の CI ともパス A ケーブルに接続されており,スター・カプラ B のパス・ハブは,両方の CI ともパス B ケーブルに接続されている。

解説: スター・カプラや接続ケーブルに機械的な損傷やその他のローカルな損傷が発生しても,残った CI パスに影響が出ることはまずありません。残ったパスとスター・カプラで両方の CI に対するフル接続は維持されます。パスが切断されても,障害が発生したパスに接続されているストレージ・コントローラとホスト・アダプタの帯域幅の可用性に影響があるだけです。すべてのパスを使用できれば, 両方の CI の帯域幅を組み合わせた帯域幅を利用できます

パス A CI ケーブル, パス B CI ケーブル 各パスのハブは,パス当たり 1 本の送受信ケーブル・ペアで CI ホスト・アダプタと HSJ ストレージ・コントローラに接続されている。両方の CI のパス A ケーブルは,いっしょに配線されているが,パス B ケーブルの経路とは異なる。
HSJ 1, HSJ 2 シングル StorageWorks キャビネットのデュアル HSJ ストレージ・コントローラ。

解説: どちらかのストレージ・コントローラに障害が発生しても, 2 つの HSJ 間で共用されている SCSI バスにより,障害が発生したコントローラが制御していたディスクの制御を残ったコントローラが引き受けます。両方のコントローラを使用できる場合,それぞれにディスクのサブセットのサービス担当を割り当てることができます。これにより,両方のコントローラの I/O 通信速度/秒と帯域幅とのキャパシティをクラスタで利用できます。

SCSI 1, SCSI 2 HSJ ペア間に接続されている共用 SCSI バス。

解説: どちらの HSJ ストレージ・コントローラからも共用 SCSI バス上の各ディスクにアクセスを提供します。これにより当該バス上のディスクのデュアル・ポート化を実装します。

ディスク 1, ディスク 2,... ディスク n-1, ディスク n 重要なディスクは共用 SCSI バスにより,HSJ ペア間でデュアル・ポート化されている。

解説: どちらかの HSJ に障害が発生しても,残った HSJ が障害の発生した HSJ が制御していたディスクの制御を引き受けます。

シャドウ・セット n によるシャドウ・セット 1 重要なディスクは,別の共用 SCSI に接続されているもう 1 つのディスクによりシャドウ化される。

解説: 接続先のディスクと SCSI バスのどちらか,または両方に障害が発生しても,残ったシャドウ・セット・メンバを利用できます。両方のディスクが利用できる場合,それらを組み合わせた READ I/O キャパシティと READ データ帯域幅キャパシティをクラスタで利用できます。

9.5.2 長所

構成 3 には,構成 2 の各構成要素の長所のほか,以下のような長所があります。

9.5.3 短所

構成 3 には,以下のような短所があります。

9.5.4 可用性とパフォーマンスの主な強化手法

構成 3 には,CI の物理的な分離を除き,構成 2 のすべての手法が盛り込まれています。構成 2 にない大きな長所は,パス別のスター・カプラ・キャビネットです。これにより,パス A ケーブルとパス A ハブをパス B ケーブルとパス B ハブから隔てることができます。

9.6 構成 4

CI 構成の可用性は,シャドウ・セット・メンバと,その HSJ コントローラが物理的に隔てられたことによって大幅に強化できます。その場合,シャドウ・セットのメンバを破壊してしまう機械的事故やその他のローカルな障害の発生を大幅に削減できます。この構成を 図 9-4 に示します。

図 9-4 冗長構成要素,パス分離スター・カプラ,重複 StorageWorksキャビネット (構成 4)


構成 4 は,構成 3 に似ていますが,シャドウ・セット・メンバとその HSJ コントローラが,物理的にも距離の離れた別々の StorageWorks キャビネットにマウントされている点が異なります。

StorageWorks キャビネット,パス固有のスター・カプラ・キャビネット,そして接続パス・ケーブルは,できるだけ離すようにします。たとえば, StorageWorks キャビネットとスター・カプラ・キャビネットをコンピュータ室の端と端に配置すれば,パス A ケーブルとパス B ケーブルが別々の経路をたどるように CI ケーブルを配線できます。

注意

構成 4 ( 図 9-4 ) で説明した分離 StorageWorks キャビネット手法は,構成 1 ( 図 9-1 ) と構成 2 ( 図 9-2 ) にも適用できます。

9.6.1 構成要素

図 9-4 に示す CI OpenVMS Cluster の構成要素は次のとおりです。

パート 説明
ホスト 1, ホスト 2 デュアル CI 対応の OpenVMS Alpha ホストまたは VAX ホスト。

解説: どちらのホストに障害が発生しても,システムは処理を続行できます。正常時には,両方のホストのフル・パフォーマンスをアプリケーションに使用できます。

CI 1-1, CI 1-2, CI 2-1, CI 2-2 各ホストにデュアル CI アダプタ。アダプタ CI 1- n は CI n に接続されたホスト 1 の CI アダプタ。以下同様。

解説: どちらかのホストの CI アダプタに障害が発生しても,ホストは,残ったホストや HSJ ストレージ・コントローラとの CI 接続を維持します。ホスト上の各 CI アダプタは,別々のスター・カプラに接続されます。障害がなければ,両方の CI アダプタのフル・データ帯域幅のキャパシティと I/O 速度/秒のキャパシティをホストに活かすことができます。

スター・カプラ A (パス A ハブ),スター・カプラ B (パス B ハブ) 2 つの CI スター・カプラ。それぞれ独立したハブ・セクションからなる。スター・カプラ A のパス・ハブは,両方の CI のパス A ケーブルに,スター・カプラ B のパス・ハブは,両方の CI のパス B ケーブルに接続される。

解説: スター・カプラや接続ケーブルに対する機械的な損傷やその他のローカルな損傷で,残った CI パスが影響を受けることはほとんどありません。残ったパスとスター・カプラで,両方の CI の接続が維持されます。パスが切断されると,障害が発生したパスに接続されているストレージ・コントローラとホスト・アダプタで利用できる帯域幅に影響が出ます。すべてのパスを使用できるときは,両方の CI を組み合わせた帯域幅を利用できます。

パス A CI ケーブル,パス B CI ケーブル 各パスのハブは,パス当たり 1 本の送受信ケーブル・ペアで CI ホスト・アダプタと HSJ ストレージ・コントローラに接続されている。両方の CI のパス A ケーブルは,いっしょに配線されているが,パス B ケーブルの経路とは異なる。
HSJ 1,HSJ 2 デュアル HSJ ストレージ・コントローラ。それぞれ独立した StorageWorks キャビネットに格納。Volume Shadowing for OpenVMS により, StorageWorks キャビネット間でデータのコピーを保持する。

解説: StorageWorks キャビネットが破損したり,1 つのストレージ・コントローラに障害が発生すると,残った StorageWorks キャビネットにある残ったコントローラが,すべてのディスクのシャドウ・コピーを制御します。両方のコントローラが利用できる場合は,それぞれディスクのサブセットのサービスをするように割り当てることができます。ボリューム・シャドウイングでは,HSJ 間に READ I/O を分散させることができます。こうして,両方のコントローラの I/O 速度/秒と帯域幅のキャパシティをクラスタに活かすことができます。

SCSI 1, SCSI 2 プライベート SCSI バスは,HSJ に接続されます。

解説: 各シャドウ・セット・メンバにホスト・アクセスを提供します。

シャドウ・セット 重要なディスクは,ボリューム・シャドウイングにより,HSJ ペア間でシャドウ化されます。各 HSJ と,そのディスクは,互いの StorageWorks キャビネットとは物理的に隔てられた StorageWorks キャビネットに設置されます。

解説: StorageWorks キャビネット全体,またはディスク, SCSI バス,あるいは接続先の HSJ に障害が発生しても,残ったシャドウ・セット・メンバは利用できます。両方のディスクを使用できる場合は,それらを組み合わせた READ I/O 速度/秒キャパシティと READ データ帯域幅のキャパシティをクラスタに活かすことができます。

9.6.2 長所

構成 4 には,構成 3 のほとんどの各構成要素上の長所の他,以下のような長所があります。

9.6.3 短所

構成 4 には,以下のような短所があります。

9.6.4 可用性とパフォーマンスの主な強化手法

構成 4 ( 図 9-4 ) には,構成 3 の手法がすべて盛り込まれています。物理的に隔てられた StorageWorks キャビネット間にシャドウ・セット・メンバを分散することができます。

9.7 まとめ

以上 4 つの構成では,いずれも可用性とパフォーマンスを以下の手法で実現する方法を説明してきました。

応用手法としては,CI パス A ケーブルとパス B ケーブルおよびその付属ハブを分離する方法を構成 3 と構成 4 で説明しました。この手法では,ハードウェアを追加することなく,パフォーマンスを維持しながら可用性を強化できました。構成 4 では,シャドウ・セット・メンバとその付属 HSJ コントローラを物理的に分離することで,パフォーマンスを犠牲にせずに高い可用性を実現しました。

以上の構成方法を指針として,コンピューティングのニーズに合った手法を選択し,環境の変化に応じて適用してください。以上の構成例で説明してきた手法は,CI 構成が大きくなれば,そのまま拡張できます。


第 10 章
スケーラビリティを目的とした OpenVMS Cluster の構成

この章では,さまざまな OpenVMS Cluster でスケーラビリティを最大限に活かす方法を説明します。

10.1 スケーラビリティとは?

スケーラビリティは,初期の構成機器をフルに活用しながら,任意のシステム,ストレージ,インターコネクトの各次元で, OpenVMS Cluster システムを拡張できる能力をいいます。 図 10-1 にも示すように OpenVMS Clusterシステムの拡張はさまざまな次元に見られます。また,各次元ではユーザ・アプリケーションの拡張も可能です。

図 10-1 OpenVMS Cluster 拡張次元


10.1.1 スケーラブルな次元

表 10-1 は,OpenVMS Cluster におけるシステム,ストレージ,インターコネクトの拡張次元を図示したものです。

表 10-1 OpenVMS Cluster におけるスケーラブルな次元
対象次元 拡張要因
システム
CPU システム内に SMP を実装。

クラスタにシステムを追加。

クラスタに各種プロセッサ・サイズを格納。

クラスタに大きなシステムを追加。

VAX システムから Alpha システムに移行。

メモリ システムにメモリを追加。
I/O インターコネクトとアダプタをシステムに追加。

MEMORY CHANNEL をクラスタに追加して I/O インターコネクトのロードを抑制。

OpenVMS システム・パラメータの調整。

OpenVMS Alpha の移動。

アダプタ ストレージ・アダプタをシステムに追加。

CI アダプタと DSSI アダプタをシステムに追加。

LAN アダプタをシステムに追加。

ストレージ
媒体 ディスクをクラスタに追加。

テープと CD-ROM をクラスタに追加。

ボリューム・シャドウイング ディスクのシャドウイングによる可用性の強化。

各コントローラのディスクのシャドウイング。

各システムのディスクのシャドウイング。

I/O 半導体ディスクまたは DECram ディスクをクラスタに追加。

キャッシュ付きディスクとコントローラをクラスタに追加。

RAID ディスクをクラスタに追加。

コントローラとアレイ ディスクとテープをシステムからコントローラに移動。

ディスクとテープをアレイに組み合わせ。

コントローラとアレイをクラスタに追加。

インターコネクト
LAN Ethernet セグメントと FDDI セグメントの追加。

Ethernet から FDDI へのアップグレード。

冗長セグメントの追加とセグメントのブリッジ化。

CI,DSSI,Fibre Channel,SCSI,MEMORY CHANNEL CI,DSSI,Fibre Channel,SCSI,MEMORY CHANNEL インターコネクトをクラスタに追加,または冗長インターコネクトをクラスタに追加。
I/O キャパシティを目的とした高速インターコネクトの追加。

キャパシティと可用性を目的とした冗長インターコネクトの追加。

距離 室内または建物内でクラスタを展開。

都市内または数軒のビル間でクラスタを展開。

2 個所のサイト間でクラスタを展開 (距離 40 km)。

表 10-1 に掲載した構成要素を,ユーザが選択した任意の方法で追加する機能は, OpenVMS Cluster における重要な機能に位置づけられます。この章や,製品のマニュアルの説明や指針に従って,ハードウェアとソフトウェアはさまざまな方法の組み合わせで追加することができます。特定の次元における OpenVMS Cluster の拡張をする場合は,他の次元との関係で長所や短所を検討してください。 表 10-2 は, OpenVMS Cluster のスケーラビリティを強化するための手法をまとめたものです。これらのスケーラビリティ手法を理解すれば,高いレベルのパフォーマンスと可用性を維持しながら OpenVMS Cluster の拡張に対応することができます。


前へ 次へ 目次 索引