HP OpenVMS Systems Documentation |
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この章では,OpenVMS 上での CD 媒体や DVD 媒体の作成 (マスタリング) について説明します。
CD 媒体や DVD 媒体の作成では,以下の作業を行います。
OpenVMS では,ステージング領域として論理ディスク (LD) デバイスを使用し, INITIALIZE,MOUNT,COPY,および BACKUP などの DCL コマンドを使用して,ステージング領域にディスク・ボリュームを作成してデータを格納します。次に,COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドを使用してディスク・ボリュームの内容をコピーします。
4.1 LD,CD,および DVD デバイスの概要
ここでは,OpenVMS 上での光媒体のマスタリングに関連する概念について説明します。
4.1.1 論理ディスク・デバイス
論理ディスク (LD) デバイスは,光媒体に書き込むデータのマスタ・コピーをステージングするための仕組みとして使用されます。 LD ディスク・デバイスを使用して記録操作の元データを作成した後, COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドを実行してマスタを光媒体にコピーします。
LD ディスク・デバイスを作成して管理するには, LD ユーティリティを使用します。その後,標準的な OpenVMS DCL コマンドを使用して LD ディスク・デバイスを初期化,マウント,アクセスします。
LD ディスク・デバイスについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。
4.1.2 CD デバイスと DVD デバイス
光媒体デバイスでは,さまざまな記録形式が使用できます。一般に,OpenVMS では,使用するターゲット・デバイスでサポートされている形式の媒体を読み込むことができます。
OpenVMS では,以下の 4 つの形式の媒体に対して記録できます。
| 形式 | 説明 |
|---|---|
| CD-R | Compact Disc Recordable |
| CD-RW | Compact Disc Rewritable |
| DVD+R | Digital Versatile Disc Recordable |
| DVD+RW | Digital Versatile Disc Rewritable |
ターゲットとなる CD デバイスと DVD デバイスの特性と機能は,システム,記録デバイス,記録媒体に依存します。たとえば,ローカルのハードウェア構成やソフトウェア構成によって, CD の最大許容記録速度が, CD 記録デバイスがサポートしている速度よりも遅い速度に制限されることがあります。必要な入出力帯域幅を備えていない OpenVMS システムで CD を記録しようとすると,ターゲット CD デバイスのデータ・キャッシュでアンダフローが発生することも考えられます。このような操作を行うと,記録エラーとなって失敗し,記録媒体が無駄になります。
記録デバイスはさまざまな記録形式と媒体をサポートしています。逆に,OpenVMS や特定のデバイスでサポートされていない記録形式もあります。現在サポートされているデバイス・ハードウェアとそれに関係するプラットフォーム構成については,次の Web サイトを参照してください。
http://www.hp.com/go/server/ |
使用している I64 プラットフォームまたは Alpha プラットフォームを探し,そのプラットフォームのサポート・マトリックスを探してください。
4.2 データ・ディスクのマスタリングを行うための一般的な手順
光媒体のマスタリング (記録する,または焼くと言うこともあります) を行うための手順は以下のとおりです。
$ @SYS$STARTUP:LD$STARTUP.COM |
LD$STARTUP を実行するためには,特権 TMPMBX,NETMBX,および SYSLCK が必要です。この手順の後の方で使用する COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドは,必要な特権とともにインストールされています。 |
| 媒体 | 最大ブロック数 | 容量 |
|---|---|---|
| CD-R | 1,200,000 ブロック | 600 MB |
| CD-RW | 1,400,000 ブロック | 700 MB |
| 単層 DVD+R | 9,180,416 ブロック | 4.6 GB |
| 単層 DVD+RW | 9,180,416 ブロック | 4.6 GB |
作成できる LD のサイズは,ターゲット媒体の最大サイズまでです。光媒体では,4 ブロック (2048 バイト) のセクタ・サイズを使用するため,必ず 4 ブロックの整数倍の容量を持つ LD ディスク・デバイスを作成して使用する必要があります。推奨される容量は,16 ブロックの整数倍の容量です。
$ LD CREATE /size=9180416 filespec.ISO |
この LD ストレージ・ファイルの作成は,一度だけ行います。
$ LD CONNECT filespec.ISO LDA1: |
OpenVMS システムをブートするたびに LD ディスク・デバイスに再接続する必要があります。 LD CONNECT コマンドを,サイト固有のシステム・スタートアップ・プロシージャ SYSTARTUP_VMS.COM に追加すれば,システムがブートするたびに自動的にコマンドが実行されます。
$ INITIALIZE LDA1: ボリューム・ラベル -
/SYSTEM [/ERASE] [/...] -
[/CLUSTER=n] [/STRUCTURE=n] [/...]
$ MOUNT LDA1: ボリューム・ラベル
|
$ DISMOUNT LDA1: |
$ COPY/RECORDABLE_MEDIA LDA1: DQA0: - _$ [/FORMAT][/BELL][/SPEED=speed][/VERIFY] |
このコマンドは,LDA1: マスタの内容をターゲット・デバイスにコピーします。
この例では,以下の点に注意してください。
最大速度のエンコード方法には,CD 媒体と DVD 媒体で以下の違いがあります。
媒体にかかわらず,構成内のその他の制限によって,最大記録速度が低く抑えられる場合があります。この最大速度を超えると,記録操作は失敗します。
/BELL 修飾子を指定すると,操作の完了時にベルが鳴ります。
/VERIFY 修飾子を指定すると,記録操作が完了した後で,記録された媒体の内容が読み込まれ入力データと比較されます。
$ LD DISCONNECT LDA1: $ DELETE filespec.ISO;* |
以下のコマンド・シーケンスは,LD ディスク LDA600: を使用して, CD 対応の記録デバイス上で 600 MB の CD-R 媒体を作成する方法を示しています。ストレージ・コピー・ファイルはデバイス DISK$SCRATCH: に格納されます。このシーケンスでは,空の CD-R ディスクがターゲット・ドライブ DQA0: に挿入されているものと想定しています。ディレクトリが作成され,ユーザの LOGIN.COM ファイルがそのディレクトリにコピーされます。記録が完了すると,記録済みの媒体には, [DATA] という OpenVMS ディレクトリが 1 つだけ含まれます。
$ @SYS$STARTUP:LD$STARTUP $ LD CREATE DISK$SCRATCH:[000000]CD600.ISO/SIZE=1200000 $ LD CONNECT DISK$SCRATCH:[000000]CD600.ISO LDA600: $ INITIALIZE/ERASE/SYSTEM LDA600: CDDATA $ MOUNT/SYSTEM LDA600: CDDATA $ CREATE/DIRECTORY LDA600:[DATA] $ COPY SYS$LOGIN:LOGIN.COM LDA600:[DATA] $ DISMOUNT LDA600: $ COPY/RECORDABLE_MEDIA LDA600: DQA0:/VERIFY/BELL $ LD DISCONNECT LDA600: $ DELETE DISK$SCRATCH:[000000]CD600.ISO; |
次の例は,媒体をフォーマットし,ディスク・マスタ LDA600: に格納されたデータを DVD+RW ドライブとそれに挿入された DVD+RW 媒体に記録する例を示します。この媒体はデバイス DQA0: 上にあります。
$ COPY/RECORDABLE_MEDIA LDA600: DQA0:/FORMAT HP OpenVMS CD-R/RW and DVD+R/RW Utility, V1.0-1 Copyright 1976, 2006 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Output device vendor: HL-DT-ST Output device product name: DVD+RW GCA-4040N Output device revision: 1.15 Commencing media format operation Formatting may require up to an hour Output medium format: DVD+RW Input data from: LDA600: Writing data to: DQA0: Input data size: 1200000 blocks Starting operation at: 08:48:17 16 sectors written 30000 sectors written; estimated completion in 00:07:36; at 08:56:44 37000 sectors written; estimated completion in 00:07:37; at 08:56:57 46000 sectors written; estimated completion in 00:07:15; at 08:56:50 57000 sectors written; estimated completion in 00:06:43; at 08:56:34 71000 sectors written; estimated completion in 00:06:33; at 08:56:48 88000 sectors written; estimated completion in 00:05:56; at 08:56:39 110000 sectors written; estimated completion in 00:05:23; at 08:56:42 137000 sectors written; estimated completion in 00:04:37; at 08:56:41 171000 sectors written; estimated completion in 00:03:33; at 08:56:33 213000 sectors written; estimated completion in 00:02:23; at 08:56:32 266000 sectors written; estimated completion in 00:00:59; at 08:56:36 300000 sectors written; operation completed Operation completed at: 08:56:32 Elapsed time for operation: 00:08:14 Synchronizing with output device cache Processing completed $ |
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