日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS
インストレーション/ コンフィギュレーション・ガイド


前へ 次へ 目次 索引


3.2 OpenVMS クラスタへのシステムの追加

TCP/IP Services Version 5.5 の TCPIP$CONFIG.COM コンフィギュレーション・プロシージャは,以前のバージョンより大きなシステム・パラメータ値を指定して OpenVMS アカウントを作成します。新規に作成したアカウントだけが大きな値を持ちます。これらの値は OpenVMS Alpha システムでも役に立ちますが, OpenVMS I64 システムでは必須です。

OpenVMS I64 システムを TCP/IP ホストとして OpenVMS クラスタに追加させる場合, TCP/IP Services のコンフィギュレーションを行う前にシステムをクラスタに追加することを推奨します。 第 3.2.1 項 に記したガイドラインはこの推奨に従っていることを前提にしています。

システムをクラスタに追加する前に TCP/IP Services のコンフィギュレーションを行った場合は 第 3.2.2 項 を参照してください。

3.2.1 新たにコンフィギュレーションしたシステムのクラスタ内での実行

以下の推奨は,システムを OpenVMS クラスタに追加した後に TCP/IP Services のコンフィギュレーションを実行していることを前提としています。

TCP/IP Services が以前にこのクラスタ内のあるノードにインストールされており,このシステムで TCP/IP コンポーネントを実行する際に問題が生じている場合,クラスタの SYSUAF を変更し,問題のあるコンポーネントが使用するアカウントのパラメータ値を増加させてください。最小推奨値が 表 3-2 に記載されています。

表 3-2 SYSUAF パラメータの最小値
パラメータ 最小値
ASTLM 100
BIOLM 400
BYTLM 108000
DIOLM 50
ENQLM 100
FILLM 100
PGFLQUOTA 1 50000
TQELM 50
WSEXTENT 4000
WSQUOTA 1024


1本パラメータの設定値が特に重要です。

PGFLQUOTA あるいはその他の記載されたパラメータの値が非常に小さい場合, IMAP,DHCP,および XDM コンポーネントはアカウント・パラメータの問題を引き起こすことがあります。 SYSUAF のパラメータを変更するために,OpenVMS の AUTHORIZE ユーティリティを使ってください。詳細は『 HP OpenVMS System Management Utilities Reference Manual: A-L 』を参照してください。

3.2.2 システムをクラスタに追加する前に行う TCP/IP Services のコンフィギュレーション

システムをクラスタに追加する前に TCP/IP Services のコンフィギュレーションを行った場合,システムにクラスタを追加すると各 TCP/IP サービスの SYS$LOGIN ディレクトリ (TCPIP$service-name, ただし service-name はサービスの名前) の所有者 UIC が異る場合があります。これらの UIC を修正するために OpenVMS AUTHORIZE ユーティリティを使ってください。

3.3 DHCP クライアントを使用した TCP/IP Services の自動コンフィギュレーション

TCP/IP Services V5.5 では DHCP クライアントをサポートしています。 DHCP クライアントを使用すると,DHCP サーバにより自動的にシステムのコンフィギュレーションを行うことができます。次のいずれかの方法により,これを行うことができます。

3.4 TCPIP$CONFIGの実行

TCPIP$CONFIGコンフィギュレーション・プロシージャは,次の操作を行うメニューを表示します。

最初に,次のコマンドを入力します。


$ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG 

3.4.1 既存のTCP/IP Servicesコンフィギュレーション・ファイルの変換(アップグレードの場合のみ)

システムにTCP/IP Services for OpenVMS V4.x (UCX) のコンフィギュレーションが存在し,そのシステムで V5.x の製品のコンフィギュレーションをまだ一度も行っていない場合には,プロシージャが開始されると,TCP/IP Services V4.x (UCX) のコンフィギュレーション・ファイルを変換するかどうかの問い合わせがあります。


Convert the old configuration files [Y] 

プロシージャは,プロンプトに対して NO と応答しない限り,既存のコンフィギュレーション・ファイルを新しいコンフィギュレーション・ファイルに変換します。

この製品のコンフィギュレーションをすでに行っている場合,プロシージャは新しいコンフィギュレーション・ファイルを作成しないことを示します。


Checking TCP/IP Services for OpenVMS configuration database files. 
 
No new database files were created. 

次のサンプル出力は,TCPIP$CONFIGプロシージャの先頭部分と,以前のコンフィギュレーションの変換を確認する部分を示しています。


        TCP/IP Network Configuration Procedure 
 
  This procedure helps you define the parameters required 
  to run HP TCP/IP Services for OpenVMS on this system. 
 
 
  NOTE: 
  TCP/IP has been previously configured from an earlier version 
  of this product.  You can avoid a complete reconfiguration of 
  TCP/IP by allowing this procedure to automatically convert the 
  old configuration files.  If you choose not to do this now, you 
  will not be asked again.  At the end of the conversion you will 
  be able to further modify your configuration. 
 
Convert the old configuration files [Y]: [Return]
Preparing files for conversion... 
 
    UCX$SERVICE.DAT        --> TCPIP$SERVICE.DAT 
    UCX$HOST.DAT           --> TCPIP$HOST.DAT 
    UCX$NETWORK.DAT        --> TCPIP$NETWORK.DAT 
    UCX$ROUTE.DAT          --> TCPIP$ROUTE.DAT 
    UCX$PROXY.DAT          --> TCPIP$PROXY.DAT 
    UCX$CONFIGURATION.DAT  --> TCPIP$CONFIGURATION.DAT 
    UCX$EXPORT.DAT         --> TCPIP$EXPORT.DAT 
    UCX$PRINTCAP.DAT       --> TCPIP$PRINTCAP.DAT 
 
       No new database files were created. 
 
FTP SERVER Configuration 
 
LPD SERVER Configuration 
 
Service is not defined in the SYSUAF. 
  Nonprivileged user access is not enabled. 
 
By default, HP TCP/IP Services for OpenVMS configures 
LPD such that nonprivileged users cannot modify queue entries. 
 
Creating TCPIP$AUX identifier with a value of 3655 
 
     HP TCP/IP Services for OpenVMS supports Line Printer Daemon 
     Protocol (see RFC 1179). 
 
       LPD requires the following: 
         - Name of the local queue 
         - Name of the remote queue 
         - Name of the remote host 
         - Spooling directory for the local queue 
 
       To add or delete printers in the TCPIP PRINTCAP database, use the 
       $RUN SYS$SYSTEM:TCPIP$LPRSETUP command. 
. 
. 
. 

3.4.2 新しいTCP/IP Servicesコンフィギュレーション・ファイルの作成

前のバージョンのTCP/IP Services のコンフィギュレーションが存在しない場合には,プロシージャは,次の出力例に示されているように,最初にコンフィギュレーション・データスベース・ファイルを作成します。


 TCP/IP Network Configuration Procedure 
 
 This procedure helps you define the parameters required 
 to run HP TCP/IP Services for OpenVMS on this system. 
 
 Checking TCP/IP Services for OpenVMS configuration database files. 
 
 Creating SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$SERVICE.DAT 
 Creating SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$HOST.DAT 
 Creating SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$NETWORK.DAT 
 Creating SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$ROUTE.DAT 
 Creating SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$PROXY.DAT 
 Creating SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$CONFIGURATION.DAT 
  
HP TCP/IP Services for OpenVMS requires a definition for 
at least one interface.  There are no interfaces defined 
on this system. 
 
Please select the Interface option from the Core Environment Menu. 

3.4.3 コンフィギュレーション・メニューについて

コンフィギュレーション・ファイルの変換または作成が完了すると,メインのコンフィギュレーション・メニューが表示されます。


    HP TCP/IP Services for OpenVMS Configuration Menu 
 
    Configuration options: 
 
           1  -  Core environment 
           2  -  Client components   
           3  -  Server components   
           4  -  Optional components 
 
           5  -  Shutdown HP TCP/IP Services for OpenVMS 
           6  -  Startup HP TCP/IP Services for OpenVMS 
           7  -  Run tests 
 
           A  -  Configure options 1 - 4 
          [E] -  Exit configuration procedure 
 
Enter configuration option:  
 

メニューでは次のオプションを選択できます。

オプション 説明
1 Core Environment (コア環境) TCP/IPアーキテクチャのネットワーク,インターネット,およびトランスポート層に関連付けられたソフトウェアのコンフィギュレーションを行います( 第 3.4.4 項 )。
2 Client Components (クライアント構成要素) アプリケーション・ソフトウェアおよび関連するサービスのコンフィギュレーションを行います( 第 3.4.5 項 )。
3 Server Components (サーバ構成要素) サーバ・ソフトウェアおよび関連するサービスのコンフィギュレーションを行います ( 第 3.4.6 項 )。
4 Optional Components (オプションの構成要素) Anonymous FTP アクセスを許可する場合, TELNET サーバ用にKerberos認証を有効にする場合, failSAFE IPサポートを有効にする場合,または PATHWORKS for OpenVMS (Advanced Server), Advanced Server for OpenVMS,DECnet over TCP/IP などの製品を実行したり, SRI (Stanford Research Institute) QIO アプリケーション・プログラミング・インタフェースを使用する任意のアプリケーションの使用を許可する場合に必要なソフトウェアのコンフィギュレーションを行います ( 第 3.4.7 項 )。
5 Shutdown TCP/IP Services for OpenVMS (シャットダウン) TCP/IP Services を停止します( 第 3.7 節 )。
6 Startup TCP/IP Services for OpenVMS (スタートアップ) TCP/IP Services を開始します( 第 3.8 節 )。
7 Run Tests (テストの実行) インストレーション検証プロシージャを実行します( 第 3.9 節 )。
A Configure options 1 - 4 (オプションのコンフィギュレーション) TCP/IP Servicesのすべての構成要素(コア,クライアント,サーバ,およびオプションのサービス)のコンフィギュレーションを行います。プロシージャにより,コンフィギュレーション・オプションが提供されます。
E Exit the configuration procedure (コンフィギュレーション・プロシージャの終了) システム・プロンプトに戻ります。

注意

TCP/IP Services製品を始めて使用する場合には, TCPIP$CONFIGコンフィギュレーション・プロシージャにより提供されるコンフィギュレーション・メニューを使って製品のコンフィギュレーションを行うこと(オプション1から4,あるいはオプションAを使用)お勧めします。

TCP/IP Servicesのコンフィギュレーションの経験がある場合には, TCPIP$CONFIGを実行するときに1つ以上のコマンド・パラメータを追加することで,コンフィギュレーション・メニューをスキップすることができます。コマンド・パラメータについては, 第 3.5 節 を参照してください。

3.4.4 コア環境のコンフィギュレーション

「Core Environment Configuration」メニューを表示するには,メインのコンフィギュレーション・メニューからオプション1 (Core environment)を選択します。 TCP/IP Services のすべての構成要素のコンフィギュレーションを行うために,メインのコンフィギュレーション・メニューからオプションAを選択すると,まず「Core Environment Configuration」メニューが表示されます。以降に示すサンプル出力は,オプションAを選択した場合の処理の進行を示しています。

Domain,Interfaces,および Routing サービスのコンフィギュレーションは必須です。 BIND Resolver および Time Zone はオプションです。

注意

DHCP クライアントの制御下でインタフェースを設定するには,「Interfaces」メニュー (オプション 2) を使用します。 DHCP クライアント・インタフェースをプライマリとしてマークする場合には,他のコア環境構成要素を設定する必要がないことがあります。これらの構成要素が DHCP でコンフィギュレーションされているかどうかについてネットワーク管理者に問い合わせてください。詳細については, DHCP クライアントのドキュメントを参照してください。


 
   HP TCP/IP Services for OpenVMS Core Environment Configuration 
   Menu 
 
   Configuration options: 
 
 
           1 - Domain 
           2 - Interfaces 
           3 - Routing 
           4 - BIND Resolver 
           5 - Time Zone 
                
           A  - Configure options 1 - 5 
          [E] - Exit menu 
 
Enter configuration option: A [Return]
 

注意

IPv6を有効にするためにTCPIP$IP6_SETUP.COMプロシージャを実行した後, TCPIP$CONFIG.COMコマンド・プロシージャを実行すると,TCPIP$CONFIG.COM は,コア環境コンフィギュレーション・オプションを表示する前に以下の警告メッセージを表示します。詳細は『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6 』を参照してください。


                               - WARNING - 
   This node has been configured for IPv6.  If you make any additional 
   changes to the configuration of the interfaces, you must run 
   TCPIP$IP6_SETUP again and update your host name information in 
   BIND/DNS for the changes to take effect. 

以降の各項には,コア環境構成要素のサンプル出力を示しています。サンプルは,他の TCP/IP Servicesのコンフィギュレーションが存在するシステムでの TCP/IP Services 製品のコンフィギュレーションの場合です。 TCP/IP Services を新規にインストールする場合には出力が異なります ( 付録 A を参照)。

準備したコンフィギュレーション・プラニング・ワークシート( 第 1.3 節 ) の情報を使用して,メニューの質問に対する応答を入力してください。

3.4.4.1 ドメインのコンフィギュレーション

次は,ドメインのコンフィギュレーションを行うサンプル出力です。


DOMAIN Configuration 
 
Enter Internet domain [budget.acme.com]: [Return]

3.4.4.2 インタフェースのコンフィギュレーション

次は,インターネット・インタフェースのコンフィギュレーションを行うサンプル出力です。


INTERFACE Configuration                         
 
        The Ethernet device(s) on your system are: EWA0: 
 
        Start of configuration questions for Internet interface WE0. 
        WE0 is the Ethernet device EWA0: 
 
Interface: WE0 
  IP_Addr: 10.10.1.1     NETWRK: 255.0.0.0     BRDCST: 10.10.2.255 
   C_Addr:             C_NETWRK:             C_BRDCST: 
 
   Flags: 
   Receive buffer:       0 
 
     HP TCP/IP Services for OpenVMS Interface WE0 Reconfiguration 
     Menu 
 
     Reconfiguration options: 
 
           1  -  Configure interface manually   (Current default) 
           2  -  Let DHCP configure interface 
 
          [E] -  Exit menu (Do not reconfigure interface WE0) 
 
Enter configuration option: [Return]

この例では,インタフェースに対して何の変更も行われません。 failSAFE IPフェイルオーバ・サポートのためにスタンバイ用のインターフェース IPアドレスのコンフィギュレーションを行う場合は, 第 3.4.4.3 項 を参照してください。それ以外は 第 3.4.4.4 項 へ進んでください。


前へ 次へ 目次 索引