この章では,CPU のホット・スワップやホット・アドと Galaxy の設定で使用する DCL コマンドとレキシカル関数を説明します。 また,使い方の例も示します。 詳細は,『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。 コマンドは,次のカテゴリに分類されます。
CPU 関連の DCL コマンド (表 16-1)
NUMA/RAD 関連の DCL コマンド (表 16-2)
Galaxy 関連の DCL コマンド (表 16-3)
Galaxy F$GETSYI 項目コード (表 16-4)
パーティショニング F$GETSYI 項目コード (表 16-5)
SMP F$GETSYI 項目コード (表 16-6)
RAD F$GETJPI 項目コード (表 16-7)
RAD F$GETSYI 項目コード (表 16-8)
これ以降の数ページに記載されている表では,CPU のホット・スワップやホット・アドで使われる DCL コマンドを説明しています。
表 16-1: CPU 関連の DCL コマンド
| コマンド | 説明 |
キューに割り当てられたバッチ・ジョブを実行する RAD 番号を指定する。 |
|
発行されたバッチ・ジョブを実行する RAD 番号を指定する。 |
|
プロセスのホーム RAD を変更する。 |
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キューに割り当てられたバッチ・ジョブを実行する RAD 番号を指定する。 |
|
ホーム RAD を表示する。 |
|
キューに割り当てられたバッチ・ジョブを実行する RAD 番号を指定する。 |
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発行されたバッチ・ジョブを実行する RAD 番号を指定する。 |
| コマンド | 説明 |
OpenVMS Galazy システムの監視,表示,操作を行うために, Galaxy 構成ユーティリティ (GCU) を起動する。 |
|
標準のグローバル・セクションだけでなく,Galaxywide セクションも返す。 |
|
システムのメモリ使用状況を表示する。 |
ここでは,Galaxy,パーティショニング,SMP,および RAD の設定で使われる DCL レキシカル関数 F$GETSYI および F$GETJPI の項目コードを示します。
表 16-4: Galaxy F$GETSYI 項目コード
| 項目コード | タイプ | 説明 |
GLX_MAX_MEMBERS |
整数値 |
現在の Galaxy 構成に参加できる最大インスタンス数を返す。 |
GLX_FORMATION |
文字列 |
このインスタンスが属する Galaxy 構成の作成日時を示す タイムスタンプ文字列を返す。 |
GLX_TERMINATION |
文字列 |
このインスタンスが最後に属していた Galaxy 構成の終了日時を示す タイムスタンプ文字列を返す。 |
GLX_MBR_NAME |
文字列 |
Galaxy メンバシップの既知の名前を示す文字列を返す。 |
GLX_MBR_MEMBER |
整数値 |
64 バイトの整数を返す。それぞれの 8 バイトは Galaxy メンバを表し, 7 から 0 までリストされる。インスタンスがメンバである場合は値は 1 であり, メンバでない場合は 0 である。 |
表 16-5: パーティショニング F$GETSYI 項目コード
| 項目コード | タイプ | 説明 |
HP_ACTIVE_CPU_CNT |
整数値 |
ファームウェア・コンソール・モードではないハード・パーティション内の CPU 数を返す。 OpenVMS では,これは CPU がハード・パーティション内のインスタンスの 1 つのアクティブ・セットに参加しているか参加プロセス中であることを意味する。 |
HP_ACTIVE_SP_CNT |
整数値 |
ハード・パーティション内で実行中のアクティブなオペレーティング・システム・インスタンス数を返す。 |
HP_CONFIG_SP_CNT |
整数値 |
現在のハード・パーティション内のソフト・パーティションの最大数を返す。 この数は,オペレーティング・システム・インスタンスが特定のソフト・パーティション内で実行中であることを意味しない。 |
HP_CONFIG_SBB_CNT |
整数値 |
現在のハード・パーティション内の既存のシステム・ビルディング・ブロック数を返す。 |
| 項目コード | タイプ | 説明 |
ACTIVE_CPU_MASK |
整数値 |
CPU インデックス付きのビットベクトルを表す値を返す。 特定のビット位置がセットされているとき,その CPU ID 値を持つプロセッサは, インスタンスのアクティブ・セットのメンバである。 すなわち,OpenVMS SMP スケジューリング活動に参加している。 |
AVAIL_CPU_MASK |
整数値 |
CPU インデックス付きのビットベクトルを表す値を返す。 特定のビット位置がセットされているとき,その CPU ID 値を持つプロセッサは, インスタンスの構成セットのメンバである。すなわち, パーティションによって所有され,発行元インスタンスによって制御されている。 |
POTENTIAL_CPU_MASK |
整数値 |
CPU インデックス付きのビットベクトルを表す値を返す。 特定のビット位置がセットされているとき,その CPU ID 値を持つプロセッサは, インスタンスの潜在的なセットのメンバである。潜在的なセット内の CPU は, このインスタンスによって所有された場合, このインスタンスの VMS アクティブ・セットに積極的に参加できることを意味する。 このルールに従うには,CPU の特性がそのインスタンスについて特に定義されているハードウェアおよびソフトウェア互換性ルールに一致しなければならない。 |
POWERED_CPU_MASK |
整数値 |
CPU インデックス付きのビットベクトルを表す値を返す。 特定のビット位置がセットされているとき,その CPU ID 値を持つプロセッサは, インスタンスのパワード・セットのメンバである。すなわち, ハード・パーティション内に物理的に存在し,操作のために起動された CPU である。 |
PRESENT_CPU_MASK |
整数値 |
CPU インデックス付きのビットベクトルを表す値を返す。 特定のビット位置がセットされているとき,その CPU ID 値を持つプロセッサは, インスタンスのプレゼント・セットのメンバである。 すなわち,ハード・パーティション内に物理的に存在する CPU である。 |
CPUCAP_MASK |
文字列 |
コンマで区切られ,CPU ID のインデックスが付けられた 16 進値のリストを返す。 それぞれの値は,ビットベクトルを表す。 セットされているとき,対応するユーザ機能がその CPU で使用可能である。 |
PRIMARY_CPUID |
整数値 |
この OpenVMS インスタンスのプライマリ・プロセッサの CPU ID を返す。 |
MAX_CPUS |
整数値 |
このインスタンスが認識できる最大 CPU 数を返す。 |
CPU_AUTOSTART |
整数値 |
コンマで区切られ,CPU ID のインデックスが付けられた 0 と 1 のリストを返す。 値 1 のエントリは,特定の CPU が外部から現在のインスタンスに移行した場合, またはすでに所有されているときに起動された場合, VMS アクティブ・セットに参加することを示す。 |
CPU_FAILOVER |
整数値 |
コンマで区切られ, CPU ID のインデックスが付けられたパーティション ID 番号のリストを返す。 このリストは,現在のインスタンスがクラッシュした場合のプロセッサのデスティネーションを定義している。 |
POTENTIALCPU_CNT |
整数値 |
このインスタンスの潜在的なセットのメンバであるハード・パーティション内の CPU 数。 潜在的なセット内の CPU は,このインスタンスによって所有された場合, このインスタンスの VMS アクティブ・セットに積極的に参加することを意味する。 このルールに従うには,CPU の特性がそのインスタンスについて特に定義されたハードウェアおよびソフトウェア互換性ルールに一致しなければならない。 |
PRESENTCPU_CNT |
整数値 |
ハードウェア・スロットに物理的に常駐するハード・パーティション内の CPU 数。 |
POWEREDCPU_CNT |
整数値 |
物理的に起動されているハード・パーティション内の CPU 数。 |
| 項目コード | タイプ | 説明 |
整数値 |
ホーム・リソース・アフィニティ・ドメイン (RAD)。 |
| 項目コード | タイプ | 説明 |
RAD_CPUS |
整数値 |
コンマによって区切られた RAD, CPU のペアのリストを返す。 |
RAD_MEMSIZE |
整数値 |
コンマによって区切られた RAD, PAGES のペアのリストを返す。 |
RAD_MAX_RADS |
整数値 |
このプラットフォーム上で可能な最大 RAD 数を返す。値は常に 8 である (物理的に存在するクォド・ビルディング・ブロック (QBB) 数に関係なく)。 |
RAD_SHMEMSIZE |
整数値 |
コンマで区切られた RAD, PAGES のペアのリストを返す。 |
ここで説明する DCL コマンドとレキシカル関数は,OpenVMS Galaxy を管理するのに役立ちます。 次の順序で,例を挙げて説明します。
STOP/CPU/MIGRATE (16.3.1.1 項を参照)
SHOW CPU (16.3.1.2 項を参照)
SET CPU (16.3.1.3 項を参照)
SHOW MEMORY (16.3.2 項を参照)
レキシカル関数 (16.3.3 項を参照)
INSTALL LIST (16.3.4 項を参照)
INSTALL ADD (16.3.5 項を参照)
CONFIGURE GALAXY (16.3.6 項を参照)
これらのコマンドについては,次の節で説明します。
16.3.1 CPU コマンド
CPU は OpenVMS Galaxy で割り当て可能なリソースです。
CPU を割り当てるには,
Physical Structure チャート (13.4.2 項
を参照) または STOP/CPU/MIGRATE コマンド (16.3.1.1 項
を参照) を使用します。
16.3.1.1 STOP/CPU/MIGRATE
STOP/CPU/MIGRATE コマンドは, CPU の所有権を現在のインスタンスから別のソフト・パーティションに移します。
たとえば,次のコマンドを入力します。
$ STOP/CPU/MIGRATE=GLXSYS 4
この例では,GLXSYS
はインスタンス名またはパーティション ID 値です。
ターゲット上でオペレーティング・システムが実行している必要はありません。
次のメッセージが端末に表示されます。
%SYSTEM-I-CPUSTOPPING, trying to stop CPU 4 after it reaches quiescent state
ソース・コンソールには,次のメッセージが表示されます。
%SMP-I-STOPPED, CPU #04 has been stopped.
デスティネーション・コンソールには,次のメッセージが表示されます。
%SMP-I-SECMSG, CPU #04 message: P04>>>START
%SMP-I-CPUTRN, CPU #04 has joined the active set.
SHOW CPU コマンドは,指定されたプロセッサの状態,属性, 機能に関する情報を表示します。たとえば,次のように表示されます。
$ show cpu
System: GLXSYS, Compaq AlphaServer GS320 6/731
CPU ownership sets:
Active 0-31
Configure 0-31
CPU state sets:
Potential 0-31
Autostart 0-31
Powered Down None
Failover None
$ show cpu/system
System: GLXSYS, Compaq AlphaServer GS320 6/731
SMP execlet = 2 : Enabled : Full checking.
Config tree = Version 6
Primary CPU = 0
HWRPB CPUs = 32
Page Size = 8192
Revision Code =
Serial Number = BUDATEST
Default CPU Capabilities:
System: QUORUM RUN
Default Process Capabilities:
System: QUORUM RUN
CPU ownership sets:
Active 0-31
Configure 0-31
CPU state sets:
Potential 0-31
Autostart 0-31
Powered Down None
Failover None
SET CPU コマンドは,指定された CPU に関するユーザ機能を変更します。
次のコマンドの n は,CPU 番号,コンマで区切られた CPU のリスト, または /ALL 修飾子を表します。
SET CPU n/FAILOVER=y
インスタンスのポテンシャル・セット内の各 CPU に対して, インスタンス固有のフェールオーバ環境を設定します。 インスタンスがクラッシュすると, 現在のインスタンス以外のフェールオーバ・ターゲットを持つ CPU は, そのターゲットに割り当てられるか,移行されます。
y は,インスタンスの名前, または現在のハード・パーティション内の物理パーティション ID です。
SET CPU n/NOFAILOVER
指定された CPU のインスタンス固有のフェールオーバ関係を削除します。
SET CPU n/AUTO_START
指定された CPU のインスタンス固有のオートスタート・フラグをセットまたはクリアします。
オートスタートが有効な場合,パーティションに割り当てられるか移行されたときに, その CPU は OpenVMS アクティブ・セットに参加します。 また,その CPU が発行元インスタンスによって所有されているときに起動遷移が完了した場合も自動起動します。
SET CPU n/NOAUTO_START
指定された CPU のインスタンス固有のオートスタート・フラグをクリアします。
SHOW MEMORY コマンドは,システムのメモリの使用状況を表示します。 たとえば,次のように表示されます。
$ SHOW MEMORY/PHYSICAL
System Memory Resources on 5-OCT-2001 20:50:19.03
Physical Memory Usage (pages): Total Free In Use Modified
Main Memory (2048.00Mb) 262144 228183 31494 2467
Of the physical pages in use, 11556 pages are permanently allocated to OpenVMS.
$ SHOW MEMORY/PHYSICAL
System Memory Resources on 5-OCT-2001 07:55:14.68
Physical Memory Usage (pages): Total Free In Use Modified
Private Memory (512.00Mb) 65536 56146 8875 515
Shared Memory (1024.00Mb) 131072 130344 728
Of the physical pages in use, 6421 pages are permanently allocated to OpenVMS.
$
レキシカル関数は,現在のプロセスの文字列と属性に関する情報を返す関数です。 次のコマンド・プロシージャは,F$GETSYI レキシカル関数を使用して, Galaxy システムの属性を表示するコマンド・プロシージャを作成します。
レキシカル関数のコマンド・プロシージャの例
$ create shoglx.com
$ write sys$output ""
$ write sys$output "Instance = ",f$getsyi("scsnode")
$ write sys$output "Platform = ",f$getsyi("galaxy_platform")
$ write sys$output "Sharing Member = ",f$getsyi("galaxy_member")
$ write sys$output "Galaxy ID = ",f$getsyi("galaxy_id")
$ write sys$output "Community ID = ",f$getsyi("community_id")
$ write sys$output "Partition ID = ",f$getsyi("partition_id")
$ write sys$output ""
$ exit
$ ^Z
レキシカル関数のコマンド・プロシージャの出力
$ @SHOGLX
Instance = COBRA2
Platform = 1
Sharing Member = 1
Galaxy ID = 5F5F30584C47018011D3CC8580F40383
Community ID = 0
Partition ID = 0
$
INSTALL LIST コマンドは,標準のグローバル・セクションだけでなく,
galaxywide セクションも返すようになりました。
16.3.5 INSTALL ADD/WRITABLE
INSTALL ADD/WRITABLE コマンドは,標準グローバルだけでなく,
Galaxy セクションもサポートするようになりました。
INSTALL ADD/WRITABLE=GALAXY は,
指定されたファイルを書き込み可能な既知のイメージとして Galaxy グローバル・セクションにインストールします。
16.3.6 CONFIGURE GALAXY
CONFIGURE GALAXY コマンドは, Galaxy Configuration ユーティリティ (GCU) を起動して, OpenVMS Galaxy システムを監視し,表示し,会話します。 GCU を使用するには,DECwindows Motif V1.2-4 またはそれ以上と OpenVMS Alpha V7.2 またはそれ以上が必要です。
オプションの model パラメータは, ロードおよび表示する Galaxy 構成モデルの場所と名前を指定します。 model が指定されていないときに, システムが OpenVMS Galaxy として動作している場合は, 現在のアクティブ構成が表示されます。
システムが OpenVMS Galaxy として動作していない場合は, GCU はシングル・インスタンス OpenVMS Galaxy システムを作成するユーザを支援します。
OpenVMS Galaxy 構成モデルは Galaxy Configuration ユーティリティを使用して作成されます。 詳細については,GCU のオンライン・ヘルプを参照してください。 詳細については,GCU または GCM のオンライン・ヘルプを参照してください。
形式:
CONFIGURE GALAXY [model.GCM]
パラメータ:
GALAXY [model.GCM]
ロードおよび表示する Galaxy 構成モデルの場所と名前を指定します。
model を指定しなかったときに, システムが OpenVMS Galaxy として動作している場合は, 現在のアクティブ構成が表示されます。
修飾子:
/ENGAGE
GCU は,グラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示せずに, 指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルに設定 (ロード/確認,およびアクティブ化) します。 確認の後,指定されたモデルがアクティブ・システム構成になります。 この修飾子を使用すると,システムをブートした後で, どのような動的リソースの再割り当てが実行されていたとしても, システム管理者はそれとは無関係に, OpenVMS Galaxy システムを既知の構成に復元することができます。 このコマンドを DCL コマンド・プロシージャに埋め込んでおけば, 構成操作を自動化することができます。
/VIEW
この修飾子を /ENGAGE および model パラメータと組み合わせて使用すると, GCU は指定された構成モデルをロードし,確認し,アクティブ化し,表示します。
例:
$ CONFIGURE GALAXY
GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示します。 システムが現在,OpenVMS Galaxy として構成されている場合は, アクティブ・システム構成が表示されます。
$ CONFIGURE GALAXY model.GCM
GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示します。 指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルがロードされ,表示されますが, ユーザが設定することを選択するまで,アクティブ構成にはなりません。
$ CONFIGURE GALAXY/ENGAGE model.GCM
GCU コマンド行インスタンスを起動して, GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示せずに, 指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルに設定します。
$ CONFIGURE GALAXY/ENGAGE/VIEW model.GCM
GCU コマンド行インタフェースを起動して, 指定された OpenVMS Galaxy 構成モデルに設定し, GCU のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを表示します。