本書はソフトウェアに対する新機能と変更,インストール,アップグレード,互換性情報,新規および既存のソフトウェアの問題点や制限事項,およびソフトウェアとドキュメントの修正事項について解説したものです。
改訂情報: 本書は改訂版です。
オペレーティング・システム: 日本語OpenVMS Alpha V8.2
ソフトウェア・バージョン: 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS V5.5
© 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P.
本書に記載しているすべての製品名は,それぞれの会社の商標です。
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日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS は, TCP/IPネットワーキング・プロトコル体系とインターネット・サービスを日本語OpenVMS システム用に実装した製品です。本書では,日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS バージョン 5.5 の製品について説明します。
日本語 TCP/IP Services は,異機種間ネットワーク通信およびリソース共有のための業界標準プロトコルをサポートする関数およびアプリケーションの包括的なスイートを提供します。
インストレーション手順については,『日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド』を参照してください。
リリース・ノートで提供するバージョン固有の情報は,ドキュメント・セットに記載されている情報に代わるものです。ソフトウェアの本バージョンの機能,制限事項,および訂正事項は,リリース・ノートで説明しています。ソフトウェアをインストールする前には,必ずリリース・ノートをお読みください。
本リリース・ノートは,経験のある OpenVMS および UNIX のシステム管理者を対象にしており,OpenVMS のシステム管理,TCP/IP ネットワーク,および日本語 TCP/IP Services 製品に関する知識があるものと想定しています。
表 1 に,日本語 TCP/IP Services の本バージョンで利用できるドキュメントを示します。
| マニュアル | 内容 |
|---|---|
| Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Concepts and Planning | このマニュアルでは,日本語 TCP/IP Services ソフトウェアを使用するためにシステムのコンフィギュレーションを行う前に考慮すべき一般的な設計上の問題を含め,OpenVMS システム上でのTCP/IPネットワーキングに関する概念的な情報を提供します。
また,このマニュアルでは,TCP/IP Servicesのドキュメント・セットのマニュアルについて記述し,日本語 TCP/IP Services ソフトウェア製品で使用されている用語および頭文字の用語集を提供しています。 |
| 日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS リリース・ノート | リリース・ノートでは,ドキュメント・セットの情報に置き代わるバージョン固有の情報を提供しています。ソフトウェアの本バージョンの機能,制限事項,および訂正事項については,リリース・ノートに記載されています。ソフトウェアをインストールする前には必ずリリース・ノートをお読みください。 |
| 日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド | このマニュアルは,日本語TCP/IP Services 製品のインストレーションとコンフィギュレーションの方法について説明しています。 |
| 日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS 日本語機能の手引き | このマニュアルは,日本HP TCP/IP Services for OpenVMSの日本語機能の概要と,漢字フィルタの使用方法,および漢字フィルタのプログラミングについて説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS User's Guide | このマニュアルは,リモート・ファイル操作,電子メール,TELNET,TN3270,ネットワーク印刷など,日本語 TCP/IP Servicesで利用できるアプリケーションの使用方法について説明しています。また,これらのサービスを使って,プライベート・インターネットや世界規模のインターネット上のシステムと通信を行う方法についても説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Management | このマニュアルは,日本語 TCP/IP Services 製品のコンフィギュレーションと管理の方法について説明しています。
このマニュアルは,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference 』と併用してください。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference | このマニュアルは,日本語TCP/IP Services の管理コマンドについて説明しています。
このマニュアルは『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』と併用してください。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Quick Reference Card | このリファレンス・カードでは,構成要素ごとに TCP/IP 管理コマンドをリストし,各コマンドの目的を説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS UNIX Command Equivalents Reference Card | このリファレンス・カードには,よく実行されるネットワーク管理タスクおよび対応する TCP/IP 管理と UNIX コマンド書式に関する情報が記載されています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS ONC RPC Programming | このマニュアルは,オープン・ネットワーク・コンピューティングのリモート・プロシージャ・コール(ONC RPC)を使った高水準プログラミングについて概説しています。また,RPCプログラミング・インタフェースや, RPCGENプロトコル・コンパイラを使ったアプリケーションの作成方法についても説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to SSH | このマニュアルは, OpenVMS ソフトウェア用の SSH のコンフィギュレーション,セット・アップ,使い方,および管理に津いて説明してます。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Sockets API and System Services Programming | このマニュアルは,ソケット APIとOpenVMSシステム・サービスを使って,ネットワーク・アプリケーションを開発する方法について説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference | このマニュアルは,簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP) および SNMPアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API) について説明しています。また,TCP/IP Services で提供されるサブエージェント,サブエージェントの管理のために提供されているユーティリティ,およびユーザ独自のサブエージェントの構築方法についても説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Tuning and Troubleshooting | このマニュアルでは,ネットワーク問題の原因を切り分ける方法,および最高の性能を引き出すために日本語 TCP/IP Services ソフトウェアをチューニングする方法について説明しています。 |
| HP TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6 | このマニュアルでは, IPv6環境,この環境におけるシステムの役割り,異なるIPv6アドレスのタイプと機能,および 6bone ネットワークにアクセスするために日本語 TCP/IP Services をコンフィギュレーションする方法について説明しています。 |
HP OpenVMS の製品およびサービスについての詳細は,次の HP の Web サイトにアクセスしてください。
http://www.hp.com/go/openvms |
TCP/IP プロトコル体系の包括的な概要については, Douglas Comer 著『Internetworking with TCP/IP: Principles, Protocols, and Architecture』が役に立ちます。
「TCP/IP Services」は日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS を指します。
「UNIX」はTru64 UNIX オペレーティング・システムを指します。
本書で使用している IP アドレスは架空のものです。
本書では次の表記法に従っています。
| Ctrl/ x | Ctrl/ x のような表記は, Ctrl というラベルの付いたキーを押しながら,別のキーまたはポインティング・デバイスのボタンを押すことを示します。 |
| PF1 x | PF1 x のような表記は,まず,PF1 というラベルの付いたキーを押して放し,その後,別のキーまたはポインティング・デバイスのボタンを押すことを示します。 |
| [Return] | 例中では,四角で囲まれたキー名は,ユーザがキーボードのキーを押すことを示します (本文中では,キー名は四角で囲まれません)。
本書の HTML 版では,この表記は四角ではなく,カッコになります。 |
| ... | 例中の水平方向の省略記号は,次のいずれかを示します。
|
| .
. . |
垂直方向の省略記号は,コーディング例またはコマンド形式で項目が省略されていることを示します。つまり,説明しているトピックに関して重要でない事項であるため,省略されています。 |
| ( ) | コマンド形式の説明で,カッコは,複数選択する場合には,選択したものをカッコで囲む必要があることを示します。 |
| [ ] | コマンド形式の説明で,大カッコはオプション選択を示します。ユーザは1つまたは複数の項目を選択することも,あるいは選択しないこともできます。コマンド行に大カッコを入力してはなりません。ただし,OpenVMS のディレクトリ指定,または割り当て文の部分列指定の構文では大カッコを含める必要があります。 |
| | | コマンド形式の説明では,縦線は大カッコまたは中カッコ内で選択項目を区切ります。大カッコ内では,選択はオプションですが,中カッコ内では,必ず 1つ以上を選択する必要があります。コマンド行に縦線を入力してはなりません。 |
| { } | コマンド形式の説明で,中カッコは必須の選択を示し,リストされている項目から 1 つ以上の項目を選択する必要があります。コマンド行に中カッコを入力してはなりません。 |
| bold text | この書体は,新しい用語であることを示します。また,引数の名前,属性,あるいは理由を示します。 |
| italic text | 斜体のテキストは,変数を示します。変数には,システム出力 (Internal error number),コマンド行 (/PRODUCER= name),および本文中のコマンド・パラメータ (このとき, dd はデバイス・タイプの事前に定義されたコードを表します) において異なる情報も含まれます。 |
| UPPERCASE TEXT | 大文字は,コマンド,ルーチン名,ファイル名,またはシステム特権の短縮形を示します。 |
| Monospace text | この書体は,コーディング例および対話型の画面表示を示します。
C プログラミング言語では,テキスト中のこの書体は次の項目を示します。つまり,キーワード,単独でコンパイルされた外部関数とファイル,構文のまとめ,例中の変数または識別子の参照を示します。 |
| - | コマンド形式の説明,コマンド行,コード行の終わりのハイフンは,コマンドまたは文が次の行に継続することを示します。 |
| 数 | 本文中のすべての数は,特に明記していなければ,10進数です。基数が10進法以外の場合,つまり,2進,8進,16進の場合には,明記されています。 |
この章では, TCP/IP Services Version 5.5 の新機能および拡張された動作について説明します。
日本語 TCP/IP Services バージョン 5.5 は, OpenVMS Alpha システムでのみサポートされます。 Industry Standard 64 (I64) システムでは標準版 TCP/IP Services バージョン 5.5 を使用してください。また,VAX システムでは,日本語 TCP/IP Services バージョン 5.3 を使用してください。 TCP/IP Services バージョン 5.5 を使用するには, OpenVMS バージョン 8.2 以上にアップグレードする必要があります。 |
TCP/IP Services のインストールとコンフィギュレーションについては,『日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド』を参照してください。
表 1-1 は, TCP/IP Services Version 5.5 の新機能と,各機能を説明している箇所を示しています。
| 機能 | 参照先 | 説明 |
|---|---|---|
| HP Industry Standard 64 サーバ・プラットフォームのサポート | 1.1 | TCP/IP Services は Alpha プラットフォームだけでなく, I64 プラットフォームでも動作します。 |
| failSAFE IP での IPv6 のサポート | 1.2 | failSAFE IP は IPv6 をサポートします。本バージョンの TCP/IP Services では,failSAFE IP を管理するために,新たに ifconfig コマンドが提供されるようになりました。 |
| Secure IMAP | 1.3 | Secure IMAP は SSL (Secure Sockets Layer) を使用します。 |
| IPv6 のアップデートと拡張機能 | 1.4 | 近隣探索と IPv6 API が拡張されました。 |
| libpcap API のサポート | 1.5 | 本リリースの TCP/IP Services では, libpcap アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) がサポートされるようになりました。 |
| NTP (Network Time Protocol) V4.2 のサポート | 1.6 | NTP はバージョン 4.2 にアップグレードされ, IPv6 をサポートするようになりました。 |
| SSH の新機能 | 1.7 | SSH はバージョン 3.2 にアップグレードされ,IPv6 をサポートするようになりました。 |
| TCPDUMP バージョン 3.8.3 | 1.8 | TCPDUMP はバージョン 3.8.3 にアップグレードされました。 |
| TCPIP$EXAMPLES でアップデートされたヘッダ・ファイル | 1.9 | TCPIP$EXAMPLES にあるヘッダ・ファイルがアップデートされました。 |
1.1 HP Industry Standard 64 サーバ・プラットフォームのサポート
TCP/IP Services は HP Itanium® ベース (I64) プラットフォームでも動作するようになり, Alpha プラットフォームと基本的に同じ機能を提供するようになりました。 I64 のサポートについての詳細は,次の節を参照してください。
本リリースで failSAFE IP サービスがアップグレードされ, IPv6 環境もサポートされるようになりました。
ifconfigユーティリティもアップデートされました。このユーティリティについての詳細は,次のコマンドを入力してください。
$ TCIPIP HELP IFCONFIG |
ifconfigユーティリティを使用してインタフェース・フェールオーバを監視する方法についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。
1.3 Secure IMAP
本リリースの TCP/IP Services には Secure IMAP が付属しており, SSL (Secure Sockets Layer) をサポートします。 Secure IMAP は,メッセージの安全な検索および管理機能を提供します。 Secure IMAP はポート 993 で接続を受け付け,パスワード,データ,および IMAP コマンドを暗号化します。 Outlook Express,Netscape,Mozilla など, SSL を使用するクライアントと互換性があります。この機能を使用するには,以下の HP OpenVMS Security Web サイトから OpenVMS Alpha 用の HP SSL キットをダウンロードする必要があります。
http://h71000.www7.hp.com/openvms/security.html |
HP SSL ソフトウェアがインストールされていない場合は, IMAP サーバは非 SSL モードで通信します。
SSL 論理名は SSL スタートアップ・プロシージャで定義されます。したがって,SSL 論理名を使用して証明書およびキー・ファイルを検索するように IMAP をコンフィギュレーションしている場合は, TCP/IP Services スタートアップ・プロシージャより前に, SSL スタートアップ・プロシージャが確実に実行されるようにする必要があります。
Secure IMAP コンフィギュレーションは,コンフィギュレーション・ファイル SYS$SYSDEVICE:[TCPIP$IMAP]TCPIP$IMAP.CONF によって制御されます。
Secure IMAP を管理するには,次の新しいコンフィギュレーション・オプションおよび論理名を使用します。
SSL-Server-Port:1004 |
The IMAP server serves ONLY SSL client requests. Please reconfigure your client for SSL. |
たとえば,次の設定はこのオプションを有効にします。
Disable-Clear-Text:YES |
Disable-SSL:YES |
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE TCPIP$IMAP_CERT_FILE SSL$CERTS:TCPIP$IMAP.CRT |
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE TCPIP$IMAP_KEY_FILE SSL$KEY:TCPIP$IMAP.KEY |
論理名とコンフィギュレーション・オプションが確実に有効になるようにするには,これらの設定を変更する前に, IMAP サーバを停止する必要があります。
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