印刷の流れ

ファイルを印刷するには,PRINT コマンドを使用します。ユーザが PRINT コマンドを発行すると プリント・ジョブ が作成されます。プリント・ジョブは,システムがプリント処理を行う単位です。

ユーザがジョブを依頼しても,すぐには印刷されません。日本語 OpenVMS は,ジョブを待ち行列の中に入れ,ジョブが依頼された時刻の順に 1 つずつ印刷していきます。このとき,日本語 OpenVMS は,複数のユーザのジョブを エントリという呼び名で取り扱います。エントリには,依頼された時刻の順に通番で番号が付けられます。

ユーザ,ユーザのジョブ,エントリ,プリンタの関係を図で示すと,次のようになります。

DCL コマンドでプリンタを指定する際の擬似的な名前を, プリント・キューといいます。プリント・キューは任意の名前で,システム管理者が付けます。プリント・キューはシステムが管理する出力待ち行列のことです。

プリント・ジョブは,プリント・キューに登録されプリンタへ出力されます。

印刷する -- PRINT

ファイルの内容をプリンタで印刷するには,PRINT コマンドを使用します。

PRINT コマンドの入力形式は,次のとおりです。


    $ PRINT/QUEUE=プリント・キュー 印刷するファイル[,...] 
                        (1)                  (2)

  1. プリント・キュー

    プリント・キューの名前

  2. 印刷するファイル

    印刷するファイルの名前

    複数のファイルを指定することもできます。複数のファイルを指定する場合,ファイルの名前をコンマで区切ります。

    ファイル・タイプは省略できます。省略した場合,LISを指定したものと見なされます。バージョン番号も省略でき,最新のバージョンを指定したものと見なされます。

    ファイル名,ファイル・タイプ,バージョン番号にはワイルドカード文字を指定できます。

PRINT コマンドを実行すると,次のように表示されます。


    $ PRINT/QUEUE=PRINTER1 MONTH_KEIHI.TXT
    Job MONTH_KEIHI (queue PRINTER1, entry 355) started on PRINTER1 
         (1)                 (2)           (3)                (4)

  1. ジョブの名前。( 通常,ファイル名になる。)

  2. プリント・キューの名前

  3. エントリ番号

  4. プリント・キューの名前

印刷状態の通知を指定する -- PRINT/NOTIFY

印刷状態をディスプレイに通知することを指定できます。次のように入力します。ファイルは複数指定できます。


    $ PRINT/QUEUE=プリント・キュー/NOTIFY 印刷するファイル    

次のような印刷状態が通知されます。

印刷パラメータを指定する -- PRINT/PARAMETERS

PRINT コマンドに /PARAMETERS 修飾子を使用すると,印刷のデータ・タイプや部数の指定などができます。


    $ PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAMETERS=指定パラメータ ファイル名    

PRINT コマンドのパラメータには次のようなものがあります。 (ここに記載してあるキーワードは一部のみです。)

PRINT コマンドのパラメータ一覧
印刷するデータ・タイプを指定
パラメータ DATA_TYPE
キーワード KANJI, POSTSCRIPT
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=DATA=KANJI ファイル名
1 枚の用紙片面に複数ページ分を印刷する
パラメータ NUMBER_UP
キーワード 0 - 100
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=NUMBER_UP=4 ファイル名
印刷する範囲の最初と最後のページ
パラメータ PAGE_LIMIT
キーワード 1 - 10000
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM="PAGE_LIMIT=(2,8)" ファイル名
用紙の方向の指定
パラメータ PAGE_ORIENTATION
キーワード PROTRAIT (縦), LANDSCAPE (横)
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=PAGE_ORIENT=LAND ファイル名
印刷する部数
パラメータ SHEET_COUNT
キーワード 1 - 10000
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=SHEET_COUNT=3 ファイル名
用紙サイズの指定
パラメータ SHEET_SIZE
キーワード LETTER, LEGAL, A3, A4, B5
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=SHEET_SIZE=A4 ファイル名
片面,両面印刷の指定
パラメータ SIDES
キーワード 1, 2
PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=SIDES=2 ファイル名

パラメータは次のように複数指定 (8 個まで ) することもできます。


PRINT/QUEUE=プリント・キュー/PARAM=(SIDE=2,NUMBER_UP=2,SHEET_SIZE=A) ファイル名 

印刷の状態を確認する

PRINT コマンドを実行しても,他のユーザのジョブが終了していない場合は,ジョブはプリント・キューに登録された状態で印刷の順番を待ち,すぐには印刷されません。また,なんらかの理由で障害が起こる場合もあるので,印刷の状態を確認することは大切です。

印刷には,次のような状態があります。

ユーザの登録したジョブの状態を確認する -- SHOW ENTRY

ユーザのプリント・ジョブの状態を確認するには,SHOW ENTRY コマンドを使用します。


    $ SHOW ENTRY    

SHOW ENTRY コマンドを実行すると,次のように画面に表示されます。


      Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
      -----  -------         --------     ------  ------ 
        355  MONTH_KEIHI     YAMADA            3  Pending  
        (1)      (2)           (3)            (4)   (5)
             On Terminal queue PRINTER1 

  1. エントリ番号

  2. ジョブの名前

  3. ユーザ名

  4. ファイルの大きさ。単位はブロック (1 ブロックは 512 バイト )

  5. 印刷の状態

キューの状態を確認する -- SHOW QUEUE

キューの状態やプリント・ジョブの状態を確認するには, SHOW QUEUE コマンドを使用します。


    $ SHOW QUEUE [/修飾子] [キュー名]    

印刷を中止する -- DELETE/ENTRY

印刷の障害が発生した場合や,印刷を中止したい場合には, DELETE/ENTRY コマンドを使用します。SHOW ENTRY コマンドを使用して,中止したいジョブのエントリ番号を調べておく必要があります。


    $ DELETE/ENTRY=エントリ番号   

エントリ番号は,中止したいジョブのエントリ番号です。

DELETE/ENTRY コマンドを実行して確実に印刷を中止できたことを確認するには,SHOW ENTRY コマンドを使用します。

印刷を中止する例




印刷を実行します。


    $ PRINT/QUEUE=PRINTER1 MONTH_KEIHI.TXT 
    Job MONTH_KEIHI (queue PRINTER1, entry 355) pending    
        pending status caused by queue busy 

ジョブのエントリ番号を調べます。


    $ SHOW ENTRY 
      Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
      -----  -------         --------     ------  ------ 
        355  MONTH_KEIHI     YAMADA            3  Pending    
             On Terminal queue PRINTER1 

印刷を中止します。


    $ DELETE/ENTRY=355    

印刷を中止できたことを確認します。


    $ SHOW ENTRY 
    %JBC-E-NOSUCHENT, このようなエントリは存在しません。