HP OpenVMS Systems Documentation |
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漢字ターミナルの初期設定をシステム起動時に行う場合は,
JSY$SYSTEM:KANJIUP.COM をお持ちの機器構成に合わせて変更してください。このプロシージャは,システムのブート時に
SYS$STARTUP:JSY$STARTUP.COM の中で実行されます。
2.7 その他の設定
日本語 OpenVMS をさらに使いやすくするために,以下のような設定もできます。
$ DEFINE DCL$PATH SYS$SYSTEM,JSY$SYSTEM,SYS$LOGIN,SYS$DISK:[]
|
これにより,DCL$PATH で参照されるディレクトリ・パスに存在する実行イメージやコマンド・プロシージャのファイル名のみを入力するだけで,次のように日本語 OpenVMS のユーティリティを起動できます。
$ KANJIGEN
|
$ JSY$SWITCH JAPANESE
|
DCL$PATH は日本語 OpenVMS V6.2 以上で利用できます。
この章では, OpenVMS から ESC/P プリンタに対して印刷を行うための日本語 ESCP トランスレータの概要,設定方法,および使用方法について説明します。
日本語 ESCP トランスレータは, LA88 ドット・インパクト・シリアル・プリンタの制御コードを ESC/P に変換し,制御コードとして ESC/P を実装しているプリンタ(以下 ESC/P プリンタ)に対して OpenVMS から印刷を行うためのソフトウェア (プリント・シンビオント) です。
3.1 日本語 ESCP トランスレータの概要
日本語 ESCP トランスレータは OpenVMS システムから PRINT コマンドを発行して,ESC/P プリンタで印刷を行うためのソフトウェアです。
ESC/P プリンタの制御シーケンスと OpenVMS で提供されている標準のプリント・シンビオントがサポートしているプリンタの制御シーケンスには違いがあるため, OpenVMS の標準のプリント・シンビオントを使用して ESC/P プリンタに印刷することはできません。
日本語 ESCP トランスレータは,この ESC/P プリンタに印刷できるように制御シーケンスの変換作業を行うもので,ユーザは ESC/P プリンタであることを意識せず,通常の PRINT コマンドを発行することで印刷することができます。また,PRINT コマンドと同様にヘッダ・ページ生成,ページづけ,キュー投入および複数フォーマットの処理などの標準プリント制御機能が利用できます。
日本語 ESCP トランスレータは LA88 プリンタの制御シーケンスを ESC/P プリンタの制御シーケンスに変換します。また,他の LA シリーズのプリンタの制御シーケンスも変換できます。日本語 ESCP トランスレータは ESC/P プリンタのリファレンス機として EPSON VP--1800 を採用し,開発されています。
3.1.1 ハードウェア構成
OpenVMS システムと ESC/P プリンタは一般的に次のような接続方法があります。
ESC/P プリンタやターミナル・サーバの装備しているインタフェースや,ターミナル・サーバで使用可能なプロトコルについては,それぞれの機器のマニュアル等で確認してください。 |
ESC/P プリンタをシリアル接続する場合およびシリアル・パラレル変換機のシリアル接続部に接続する場合,データ・フロー制御プロトコルは DSR/DTR を使用してください。XON/XOFF を使用すると,印字データ (バイナリ・データ) 中の XON/XOFF 相当のデータが抜けてしまい,正常な印字結果を得られません。 |
使用する ESC/P プリンタは ESC/P J84 に準拠していなければなりません。 |
日本語 ESCP トランスレータは次のモジュールから構成されています。
の3つが用意されています。
3.1.3 LA88 と日本語 ESCP トランスレータの比較
LA88 と日本語 ESCP トランスレータを比較するために,サポートしている制御文字,制御命令の違いを 第 3.6 節 に示します。なお,日本語 ESCP トランスレータでサポートされている制御文字,制御命令であっても制限のあるものがあります。制限事項については 第 3.7 節 を参照してください。
3.1.4 使用可能な文字セット
日本語 ESCP トランスレータでは下記の文字セットを使用することができます。
日本語ESCPトランスレータの初期設定値は, 表 3-1 のとおりです。
| 設定項目 | 初期設定値 | 備考 (関連制御命令など) | |
|---|---|---|---|
| 文字セット関連 | |||
| GL 集合 | G0 | LS0/LS1/LS2/LS3 | |
| GR 集合 | G3 | LS1R/LS2R/LS3R | |
| G0 集合 | JIS ローマ字 | SCS | |
| G1 集合 | DEC 特殊文字 | SCS | |
| G2 集合 | カタカナ | SCS | |
| G3 集合 | DEC 漢字 | SCS | |
| DEC 漢字 | 1983 年版 | + | |
| ユーザ選択補助文字セット | DEC 補助文字 | DECAUPSS | |
| 英数文字形 | 標準 | + | |
| ゼロ文字形 | 0 | + | |
| 文字属性 | なし | SGR | |
| 書式関連 | |||
| CRニューライン・モード | CR のみ | DECCRNLM | |
| LFニューライン・モード | LF のみ | LNM | |
| 文字ピッチ | 12.86 CPI | DECSHORP | |
| 行ピッチ | 6 LPI | DECVERP | |
| 漢字文字ピッチ | 相対 | + | |
| 右マージン処理 | オートラップ | DECAWM | |
| 左マージン | 1 桁目 | DECSLRM | |
| 右マージン | 174 桁目 | DECSLRM | |
| 上マージン | 1 行目 | DECSTBM | |
| 下マージン | 66 行目 | DECSTBM | |
| 用紙幅 | 13.6 インチ | + | |
| 用紙長 | 66 行 (11 インチ) | DECSLPP | |
日本語 ESCP トランスレータで使用される ESC/P プリンタとターミナル・サーバの操作方法,プリント・シンビオントの設定方法の詳細については以下のマニュアルを参照してください。
ここでは,日本語 ESCP トランスレータの各プリント・シンビオントを設定するための論理名について説明します。各論理名の定義は,SYSTEM アカウントなどの特権付きアカウントで行います。
3.2.1 論理名の定義
日本語 ESCP トランスレータ・プリント・シンビオントに対して,以降で説明するシステム論理名を定義することにより,標準と異なる設定に変更することができます。また,ここで設定できる機能に相当する制御文字や制御命令はありません。
$ DEFINE/SYSTEM 論理名等価名
|
各論理名はプリント・シンビオントの作成前 (INITIALIZE/QUEUE コマンドの実行前) に定義しなければなりません。 |
| 論理名 | ESCJ$ queue name_ZEROFONT | |
| 値 | NORMAL | 零の字形に '0' を指定します。(省略時設定) |
| WITHSLASH | 零の字形に 'φ' (0 にスラッシュ) を使用します。 | |
| 論理名 | ESCJ$ queue name_FONTTYPE | |
| 値 | NORMAL | OCR-B フォントを使用しません。(省略時設定) |
| OCRB | OCR-B フォントを使用します。 | |
| 論理名 | ESCJ$ queue name_DECKANJI | |
| 値 | KANJI83 | 83 年版 DEC 漢字セット。(省略時設定) |
| KANJI78 | 78 年版 DEC 漢字セット。 | |
| 論理名 | ESCJ$ queue name_KANJIPITCH | |
| 値 | RELATIVE | 漢字の文字間隔を相対にします。(省略時設定) |
| FIXED | 漢字の文字間隔を固定にします。 | |
| 論理名 | ESCJ$ queue name_PAGEWIDTH | |
| 値 | 136 | 136 桁を指定します。(省略時設定) |
| 80 | 80 桁を指定します。 | |
(この数値は英数カナ 10 CPI 時の桁数です。)
3.2.2 TELNET プリント・シンビオントのための論理名
TELNET プリント・シンビオントの管理のために以下の論理名が用意されています。
$ DEFINE /SYSTEM ESCJ$TELNETSYM_RETRY_INTERVAL "0 00:00:30"
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$ DEFINE /SYSTEM ESCJ$TELNETSYM_IDLE_TIMEOUT "0 00:00:30"
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$ DEFINE /SYSTEM ESCJ$TELNETSYM_SCRATCH SYSDISK:[ESCJSCRATCH]
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$ DEFINE /SYSTEM ESCJ$TELNETSYM_VERBOSE TRUE
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$ DEFINE /SYSTEM ESCJ$TELNETSYM_NO_OPCOM TRUE
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$ DEFINE /SYSTEM ESCJ$TELNETSYM_RAW_TCP TRUE
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TELNET のキューと raw TCP のキューは,1 つのノードに混在できません。 |
ここでは,日本語 ESCP トランスレータが提供する3つのプリント・シンビオントごとに,プリンタ・キューの設定方法について説明します。各プリンタ・キューの設定は,SYSTEM アカウントなどの特権付きアカウントで行います。
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