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HP OpenVMS Systems
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HP OpenVMS

HP OpenVMS
OpenVMS Alpha から OpenVMS I64 へのアプリケーション・ポーティング・ガイド


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3.2.1 ポーティング方法の選択

以下の各項で説明する評価プロセスを完了したら,実際にアプリケーションと開発環境のポーティングを行います。ソース・モジュールの他に,ビルド・プロシージャやテスト・ツール,場合によってはアプリケーションのデータ構造など,その他のコンポーネントについてもポーティングが必要になる場合があります。アプリケーションの各要素に最適なポーティング方法を選択する必要があります。一般に問題となるのは,アプリケーションをソースから再ビルドするのか,バイナリ・トランスレータを使用するのかという点です。この判断を下すには,アプリケーションの各要素に対して使用可能な方法と,それらに必要となる作業量を把握しておく必要があります。これらの疑問に答えるには, 図 3-1 に示す一連の質問に答え,各作業を行う必要があります。

ほとんどのアプリケーションは,再コンパイルと再リンクを実行することによりポーティングが可能です。ユーザ・モードのみで動作し,標準的な高級言語で書かれているアプリケーションは,ほとんどの場合,このカテゴリに分類されます。

図 3-1 アプリケーションのポーティング


3.2.2 ポーティングが必要なアプリケーションの洗い出し

ポーティングのためのアプリケーション評価の最初のステップでは,ポーティングが必要となる対象を正確に洗い出します。アプリケーションだけでなく,アプリケーションを正常に実行するのに必要なあらゆる要素を洗い出す必要があります。アプリケーションの評価を開始するには,まず,以下の要素の場所を確認します。

第 2 章 で説明した OpenVMS Alpha と OpenVMS I64 の相違点を考慮し,実際にポーティングを開始する前に,アプリケーション・コンポーネントに対して必要となる変更について把握します。さらに, 第 7 章 で説明する CPU の違いによる開発上の問題点も考慮してください。

これらの変更に必要な時間とコストを評価します。 OpenVMS Alpha アーキテクチャに特に依存するコードは,変更する必要があります。たとえば,アプリケーションに以下のようなコードが含まれている場合は,変更が必要です。

さらに,ソース・コードのうち OpenVMS I64 ではコンパイラが提供されない言語で書かれたものは,書き直すか,変換する必要があります (サポートされるコンパイラの一覧については, 第 6 章 を参照)。 OpenVMS Alpha の特定の言語機能は, OpenVMS I64 ではサポートされませんので注意してください。詳細については,『HP OpenVMS Version 8.2 リリース・ノート [翻訳版]』を参照してください。また,特権モードで実行されるアプリケーションも変更が必要になることがあります。

ポーティングの前にソース・モジュールで必要な変更の詳細については, 第 4 章 を参照してください。

3.2.3 依存性の評価

次のステップでは,アプリケーションが依存しているソフトウェアおよび環境について評価します。

3.2.3.1 ソフトウェアへの依存性

ソフトウェアへの依存性を考慮する場合,次のコンポーネントが関係します。

これらの要素の多くは,すでに HP OpenVMS I64 に移植されています。たとえば,次のものはすでに移植済みです。

3.2.3.2 開発環境

アプリケーションが依存している開発環境について検討します。たとえば,オペレーティング・システムの構成,ハードウェア,開発ユーティリティ,ビルド・プロシージャ (CMS: Code Management System や MMS: Module Management System などの HP 製ツールを含む) などについて検討してください。

3.2.3.3 オペレーティング環境

オペレーティング環境に関して,次の問題点を検討します。

3.2.4 運用タスク

アプリケーションのポーティングと保守に必要な運用タスクの要件と責任を評価します。たとえば,次のタスクに関する検討が必要です。

3.3 HP から提供されるポーティング・リソース

どのような組織でも,ポーティング・プロセスのあらゆる段階に習熟しているわけではありません。そのため,HP はポーティング・プロセス全体にわたってお客様を支援するためのリソースを用意しています。これらのリソースには,ポーティング・ガイドから,ポーティングの全作業に対処するためのツールを用意したスタッフ・チームに至るまで,あらゆるものを提供できます。詳細については,HP の担当者にお問い合わせいただくか,以下のアドレスの Alpha Retain Trust サービスの Web サイトをご覧ください。


http://www.hp.com/products1/evolution/alpha_retaintrust/services.html 

提供されるその他のリソースの例については,以下のサイトをご覧ください。

Itanium アーキテクチャに関する HP の戦略が引き続き展開されていく間,セールス部門およびグローバル・サービス部門は,HP のお客様および ISV 各位の長期プランに与える影響を引き続き調査していきます。各ユーザに共通する一般的な状況および個々のお客様固有の状況を解決するために,数多くの定型サービスおよびカスタマイズ・サービスが用意され,ドキュメント化される予定です。 HP は,アーキテクチャの過渡期に発生する重大な変更に対応するのに必要なツールとリソースを提供することで,お客様のニーズに最適なサービス製品を提供しています。

3.4 その他の検討事項

すべてのレイヤード・ソフトウェアおよびミドルウェア製品が,早期に OpenVMS I64 へ移植されるわけではありません。 HP はソフトウェア・ベンダを支援するために,ポーティング・プロセスに役立つ情報,ハードウェア,サポート,およびツールを提供しています。各ソフトウェア・ベンダは,ソフトウェアの開発に必要なコンポーネントが開発スケジュールに間に合うように提供されるかどうかについて,各コンポーネントを提供する企業のポーティング・プロセスの進捗状況を確認してください。

HP は現在,コード・ベース,コマンド,およびプロセスに関して,大部分の開発者が新しい OpenVMS I64 プラットフォームへのポーティングを特に意識せずに透過的に行うことができるツール群を,既存の OpenVMS Alpha プラットフォームに実装することを計画しています。このツール群は,高品質な製品のリリースに伴うテストに代わるものではなく,製品のポーティングに必要となる時間を削減することを目的にしています。


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