HP OpenVMS Systems Documentation |
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要素リストとは,コマンドや修飾子で指定する引数のリストのことです。引数すなわち要素は,コンマで区切ります。入力または出力指定子について要素リストを使用できるのは,次の場合に限定されます。
$ BACKUP _From: DUA0:[DATA]A.DAT,B.DAT,[PROGRAMS]TEST.EXE _To: MSA0:TEST.SAV/LABEL=DLY101 |
$ BACKUP _From: DUA0:[DATA]*.*,DUA0:[PROGRAMS]*.* _To: MSA0:TEST.SAV,MSA1:/LABEL=WKLY01 |
$ BACKUP/IMAGE _From: MSA0:TEST.SAV,MSA1: _To: DUA0:[DATA...],DUA1: |
BACKUP では,ディレクトリ,ファイル名,ファイル・タイプ,およびバージョン番号を示すファイル指定で,ワイルドカード文字を使用できます。ファイル名,ファイル・タイプ,バージョン番号のいずれかを省略すると,ワイルドカード文字のアスタリスク(*)が使用されます。たとえばバージョン番号を省略すると,すべてのバージョンが処理されます。ワイルドカード文字の概要については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。
有効な DCL ワイルドカード文字であれば,Files-11 媒体である入力指定子や /SELECT,/EXCLUDE の修飾子に使用できます。ただし,ファイルの最新バージョンを示す記号 (;) やファイルの相対バージョンを示す記号 (;-n) を /EXCLUDE,/SELECT 修飾子で使用した場合,これらの記号はワイルドカード文字のアスタリスク (;*) として処理されます。
セーブ・セットがテープ上の入力指定子でないかぎり,BACKUP セーブ・セット指定にワイルドカード文字を使用することはできません。
次の表は,Files-11 媒体である出力指定子に使用できるディレクトリ・ワイルドカード文字の種類です。
| ディレクトリ・ワイルドカード文字 | 結果 |
|---|---|
| 省略 | ディレクトリ名を省略した場合,ファイルは現在の省略時のディレクトリ [] に格納される。 |
| [*...] | ファイルは,セーブ元のディレクトリにリストアされる。 |
| [ディレクトリ] | ファイルは,指定ディレクトリにリストアされる。 |
| [ディレクトリ...] | 入力ファイルの指定に使用したワイルドカード文字により,ファイルのリストア先ディレクトリが決まる。 |
OpenVMS ディレクトリ木構造は, ODS-2 ファイルでは 8 レベルまでに限定されているため,ディレクトリに多数のサブディレクトリ・レベルがあるときにディレクトリ・ワイルドカード文字の使用方法を誤ると, BACKUP 処理中に下位レベルのサブディレクトリを失う恐れがあります。ただし,ODS-5 ファイルでは,この 8 レベルの制限はありません。 |
次は,入力指定子と出力指定子におけるディレクトリ・ワイルドカードの形式 [ディレクトリ...] の使用例です。
$ BACKUP [OSCAR...] [JOE.RECEIVED...] |
ディレクトリ [JOE.RECEIVED] (まだ存在しない場合) のほか,[OSCAR] のサブディレクトリに対応するサブディレクトリが作成されます。ディレクトリ [OSCAR] とそのサブディレクトリのすべてのファイルが [JOE.RECEIVED] とそのサブディレクトリにコピーされます。ただし, [OSCAR] に 8 レベルのディレクトリがあり,その中のファイルが ODS-2 である場合,第 9 レベルのサブディレクトリは,[JOE.RECEIVED] に作成されません。つまり,[OSCAR] の第 8 レベルのサブディレクトリは,コピーされません (この制限は ODS-5 ファイルには適用されません)。
コピー処理で,ワイルドカード文字のアスタリスク (*) を使用して入力指定子のサブディレクトリを表現すると,入力指定子のサブディレクトリに対応するサブディレクトリが,出力指定子に指定したディレクトリに対して作成されます。次に,入力指定子の最下位レベルのサブディレクトリのすべてのファイルが,出力指定子の最下位レベルのサブディレクトリにコピーされます。次の例では, MONDAY と TUESDAY というサブディレクトリをアスタリスクで表しています。
$ BACKUP [SAM.WORK.*.WEDNESDAY] [JAMES...] |
この例では,以下のようにして [JAMES.MONDAY.TUESDAY.WEDNESDAY] というサブディレクトリが作成されます。
リストア処理でセーブ・セット修飾子 /SELECT を使用しない場合,入力指定子として [*...] が使用されます。出力指定子に [ディレクトリ...] 形式を使用する場合は,この点に注意する必要があります。ワイルドカード文字 [*...] の機能は,第 1 レベルからのディレクトリ名全体を出力指定子の省略記号の前に置くことです。したがって,たとえば次の例のセーブ・セットに木構造 [SAVE...] があるとすると,リストアされるディレクトリ木構造は,[WORK.SAVE...] となります。
$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK [WORK...] |
出力指定子が入力指定子のディレクトリと同じ名前である場合も,次のように結果は同じです。
$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK [SAVE...] |
木構造 [SAVE...] を [SAVE.SAVE...] という木構造にリストアします。
次のコマンドは,木構造 [SAVE...] を [WORK...] という木構造にリストアします。
$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK/SELECT=[SAVE...] [WORK...] |
ファイルをリストアするときに元のディレクトリを保持するためには,出力指定子に [*...] 形式を使用するか,または入力セーブ・セット修飾子 /SELECT を指定します。次の例では,出力指定子に [*...] を使用し,セーブ・セット SAVE.BCK の木構造 [SAVE...] を木構造 [SAVE...] にリストアします。
$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK [*...] |
入力セーブ・セット修飾子 /SELECT は,ファイル指定の省略記号部分だけを,出力指定子 [ディレクトリ...] のディレクトリ木構造に転送します。次のコマンドは,[SAVE...] を [SAVE...] にリストアします。
$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK/SELECT=[SAVE...] [SAVE...] |
BACKUP の動作は,修飾子を指定することで変更することもできます。使用できる修飾子は,以下の 5 種類です。
イメージ処理では,入力指定子や出力指定子は使用できません。 |
それぞれの修飾子の違いを,十分理解するようにしてください。 BACKUP コマンド行のどこに修飾子を入力するかによって,結果が異なります。コマンド修飾子は,コマンド行のどこにでも入力できますが,入力指定子と出力指定子の修飾子は,位置によって意味が決まります。入力指定子修飾子は入力指定子の直後,出力指定子修飾子は出力指定子の直後に入力してください。
また,BACKUP の修飾子には,入力指定子修飾子としても出力指定子修飾子としても使用できる修飾子がいくつかあります。期待する結果となるように,位置によって意味が決まる修飾子は,必ず正しい位置に入力してください。たとえば /SAVE_SET 修飾子は, BACKUP セーブ処理の出力セーブ・セット修飾子としても, BACKUP リストア処理の入力セーブ・セット修飾子としても使用します。
BACKUP の修飾子の正しい組み合わせの詳細は, 付録 G を参照してください。 表 7-2 に,BACKUP の修飾子を種類ごとに示します。
| 修飾子 | 説明 |
|---|---|
| コマンド修飾子 | |
| /[NO]ALIAS | 別名ファイル・エントリと 1 次ファイル・エントリの複数回の処理に関して,前バージョンの動作を使用するかどうかを指定する。 |
| /[NO]ASSIST | BACKUP 処理時に磁気テープをマウントできなかった場合,オペレータやユーザによる操作を可能とする。 |
| /BRIEF | セーブ・セット内の各ファイルについて,ファイル指定,ブロック数によるサイズ,作成日付を /LIST 修飾子に表示させる。 |
| /COMPARE | 第 1 パラメータの内容を第 2 パラメータの内容と比較する。 |
| /DELETE | BACKUP のセーブ処理やコピー処理において,すべてのファイルの処理が正常終了した場合,選択した入力ファイルを入力ボリュームから削除することを指定する。 |
| /ENCRYPT | 暗号化されたセーブ・セットを作成およびリストアする。 |
| /FAST | 高速ファイル検索で入力指定子を処理し,処理時間を短縮する。 |
| /FULL | /LIST コマンド修飾子が出力する情報を, DCL の DIRECTORY/FULL コマンドと同じ形式で表示する。 |
| /IGNORE | BACKUP のセーブ処理やコピー処理において,ファイルに対する制約を変更すること,またはテープ・ラベル処理チェックを行わないことを指定する。 |
| /IMAGE | ボリューム全体またはボリューム・セット全体を処理する。 |
| /INCREMENTAL | 一連の追加型セーブ・セットから 1 つのディスク・ボリュームをリストアする (/NOINCREMENTAL とは無関係)。 |
| /[NO]INITIALIZE | 出力ディスク・ボリュームを初期化する。以前のすべての内容は使用不能となる。 |
| /INTERCHANGE | BACKUP セーブ・セットから,他のユーティリティやシステムが読み込めなくなるような情報を除外することにより,データ交換 (ソフトウェア配布) に適した方式でファイルを処理する。 |
| /IO_LOAD | BACKUP ユーティリティが発行する同時入出力の数を調整する。デフォルトは 8。 |
| /JOURNAL | BACKUP セーブ処理で BACKUP ジャーナル・ファイルを作成すること,または BACKUP ジャーナル・ファイルに情報を付加することを指定する。 |
| /LIMIT | リストア操作またはセーブ操作時の拡張サイズの制限を指定する。 |
| /LIST | BACKUP セーブ・セットとセーブ・セット内のファイルに関する情報をリストする。 |
| /[NO]LOG | 処理するファイルの詳細を SYS$OUTPUT に表示する。 |
| /NOINCREMENTAL | セーブ操作でセーブされるデータの量を制御する (/INCREMENTAL とは無関係)。 |
| /PHYSICAL | 入力ボリュームのファイル構造を無視し,論理ブロック単位で入力ボリュームを処理することを指定する。 |
| /PROGRESS_REPORT | バックアップ操作の進行状況を現在の出力デバイスに表示する。 |
| /RECORD | ファイルのセーブ処理やコピー処理が正常終了したとき,各ファイル・ヘッダの BACKUP 日付フィールドに現在の日時を記録する。 |
| /RELEASE_TAPE | BACKUP のセーブ操作でセーブ・セットの書き込みと確認を終えた場合や,テープの終わりに達した場合に,テープをディスマウントしてアンロードする。 |
| /SIZE | ターゲット・デバイス上の論理ボリュームサイズを保持するか,ターゲット・デバイスの論理サイズを指定する。 |
| /[NO]TRUNCATE | コピー処理やリストア処理において,順編成出力ファイル作成時に,ファイルの終端 (EOF) でファイルを切り捨てるかどうかを制御する。 |
| /VERIFY | セーブ処理,リストア処理,またはコピー処理が終了した後,出力指定子の内容を入力指定子の内容と比較することを指定する。 |
| /VOLUME | ディスク・ボリューム・セット内の特定のディスク・ボリュームを処理対象とすることを指定する。 |
| 入力ファイル選択修飾子 | |
| /BACKUP | BACKUP/RECORD コマンドでファイル・ヘッダ・レコードに書き込んだ BACKUP 日付をもとにファイルを選択する。 |
| /BEFORE | 指定した日時より前の日付のファイルを選択する。 |
| /BY_OWNER | 指定した UIC が所有するファイルを処理する。 |
| /CONFIRM | 各ファイルを処理する前に,確認プロンプトをターミナル上に表示する。 |
| /CONVERT | ODS-5 ファイル名を ODS-2 ファイル名に変換する。 |
| /CREATED | 各ファイル・ヘッダ・レコード内の作成日付フィールド値をもとにファイルを選択する。 |
| /EXCLUDE | セーブ処理やコピー処理で,選択基準を満たすファイルを処理対象から除外する。 |
| /EXPIRED | 各ファイル・ヘッダ・レコード内の満了日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。 |
| /FILES_SELECTED | セーブ・セットのリストア時に選択する予定のファイルのリストを含むファイルを指定する。 |
| /HEADER_ONLY | BACKUP が shelved ファイルおよび preshelved ファイルのファイル・ヘッダのみをセーブするかどうかを制御する。 |
| /MODIFIED | 各ファイル・ヘッダ・レコードの変更日付フィールド値 (ファイルを最後に変更した日付) をもとに,ファイルを選択する。 |
| /SINCE | 指定した日時以降の日付のファイルを選択する。 |
| 出力ファイル修飾子 | |
| /BY_OWNER | リストアするファイルの所有者 UIC (ユーザ識別コード) を再定義する。 |
| /NEW_VERSION | ファイルのリストア先やコピー先に,同じファイル指定のファイルがすでに存在している場合,新しいバージョンのファイルを作成する。 |
| /OVERLAY | リストア処理において,同名のファイルが存在する場合,既存のファイルを上書きする。 |
| /REPLACE | 出力指定子のファイルを,入力指定子と同名のファイルと置き換える。 |
| 入力セーブ・セット修飾子 | |
| /[NO]CRC | セーブ・セットのデータ・ブロックにコード化されているソフトウェア巡回冗長チェック (CRC) をチェックする。 |
| /INPUT_FILES | 入力指定子をファイル・リストのファイル名として扱うように BACKUP に指示する。このファイルは BACKUP 操作の入力ファイルを指定する。 |
| /[NO]REWIND | 入力ボリュームを読み込む前に,入力テープ・リールをテープの先頭マーカまで巻き戻す。 |
| /SAVE_SET | 入力ファイルを BACKUP セーブ・セットとして扱う。 |
| /SELECT | 指定したファイルを処理対象として選択する。 |
| 出力セーブ・セット修飾子 | |
| /BLOCK_SIZE | BACKUP セーブ・セットおよびディスク間コピーでのデータ・レコードの出力ブロック・サイズをバイト単位で指定する。 |
| /BY_OWNER | セーブ・セットの所有者 UIC (ユーザ識別コード) を指定する。 |
| /COMMENT | 出力セーブ・セットの BACKUP 要約レコードとする文字列を入力する。 |
| /[NO]CRC | CRC を計算し,出力セーブ・セットのデータ・ブロックに結果を格納することを指定する。 |
| /DENSITY | 出力磁気テープの記録密度を指定する。 |
| /EXACT_ORDER | BACKUP 操作で使用するテープ・ボリューム・ラベルの正確な順序を指定する。 |
| /GROUP_SIZE | 各冗長グループのブロック数を定義する。 |
| /LABEL | セーブ・セットの書き込み先である磁気テープまたはディスクに対し,それぞれ 6 文字または 12 文字以内のボリューム・ラベルを指定する。 |
| /MEDIA_FORMAT | データ・レコードを自動的に圧縮しブロッキングするかどうかを制御する。 |
| /PROTECTION | ディスク上にセーブ・セットを作成する場合,出力セーブ・セットに適用する保護を定義する。磁気テープ上にセーブ・セットを作成する場合,磁気テープ・ボリュームに適用する保護を定義する。 |
| /[NO]REWIND | 出力テープをテープの先頭マーカまで巻き戻し,出力テープを初期化する。 |
| /SAVE_SET | 出力ファイルを BACKUP セーブ・セットとして扱う。 |
| /TAPE_EXPIRATION | 現在の日付以外の日付を,セーブ・セットのファイル・ヘッダ・ラベルに満了日付として書き込む。 |
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