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HP OpenVMS Systems
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OpenVMS

OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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6.6.5 シャドウ・セットの上限

スタンドアロンまたは OpenVMS Cluster システムで最大 500 のシャドウ・セット (それぞれに 1,2,または 3 メンバが存在) をマウントできます。サポートされるシャドウ・セットの数は,コントローラやデバイスの種類には無関係です。シャドウ・セットはパブリック・ボリュームまたはプライベート・ボリュームとしてマウントできます。

上限を変更する場合は,『Volume Shadowing for OpenVMS Software Product Description』 (SPD 27.29.xx) を参照してください。

6.6.6 シャドウイングされたディスクの分散

シャドウイングはコントローラに依存しない設計であるため,コントローラの接続や OpenVMS Cluster システム内での位置とは無関係に,シャドウ・セットを管理することができ,データ可用性を向上し,非常に柔軟性の高い構成を提供するのに役立ちます。

クラスタ単位のシャドウイングの場合,メンバは OpenVMS Cluster システム内のどこに配置してもかまわず,CI,Ethernet, DSSI,FDDI も含めて,サポートされる OpenVMS Cluster インターコネクトを介して MSCP サーバからサービスを受けることができます。たとえば,FDDI を使用する OpenVMS Cluster システムは,最大 40 キロメートル離れた場所に設置することができ,この結果,システムの可用性とディザスタ・トレランス機能をさらに向上できます。

図 6-10 は,シャドウ・セット・メンバ・ユニットを,異なるノードにあるローカル・コントローラとオンライン接続する方法を示しています。この図で,ディスク・ボリュームは ATABOY および ATAGRL のそれぞれにローカルです。 MSCP サーバは Ethernet を介してシャドウ・セット・メンバにアクセスする機能を提供します。ディスク・ボリュームは各ノードにローカルですが,ディスクは同じシャドウ・セットのメンバです。あるノードにローカルなメンバ・ユニットは,MSCP サーバを介してリモート・ノードからアクセスできます。

図 6-10 MSCP サーバを経由してアクセスされるシャドウ・セット


OpenVMS Cluster システムでマウントされるシャドウ・セットの場合,クラスタ内のあるノードでシャドウ・セットをマウントまたはディスマウントしても,システムの他のノードで実行されているアプリケーションやユーザ機能には影響ありません。たとえば,OpenVMS Cluster システムのあるノードから仮想ユニットをディスマウントしても,マウントされている他のノードでは,シャドウ・セットは動作を続行します。

シャドウ・セットに関するその他の注意事項:


第 7 章
クラスタ・キューの設定と管理

この章では,OpenVMS Cluster システム固有のキューイングについて説明します。 OpenVMS Cluster システムでは,スタンドアロン・コンピュータでキューを管理するために使用されるコマンドと同じコマンドを使用して,キューが設定および制御されるため,この章の説明では,『OpenVMS システム管理者マニュアル』で説明しているスタンドアロン・システムでのキュー管理について,ある程度の知識があるものと仮定しています。

注意: キューイングの互換性については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

7.1 はじめに

ユーザは,ジョブが実際に実行されているプロセッサとは無関係に, OpenVMS Cluster システム内のどのキューにもジョブを登録できます。汎用キューは使用可能なプロセッサ間で作業負荷のバランスをとることができます。

システム管理者は,1 つまたは複数のキュー・マネージャを使用して, OpenVMS Cluster システム全体のバッチ・キューとプリント・キューを管理することができます。ほとんどのシステムでは,1 つのキュー・マネージャだけで十分ですが,クラスタ内のノード間でバッチ作業とプリント作業の負荷を分散する場合は,複数のキュー・マネージャを使用すると便利です。

注意: VAX コンピュータと Alpha コンピュータの両方が含まれる OpenVMS Cluster システムでは,この章で説明するキュー・マネージャを使用しなければなりません。

7.2 キューの可用性の制御

バッチ・キューとプリント・キューの属性を設定した後,システム管理者がクラスタ全体でキューを使用可能にするために特別な処理をする必要はありません。この処理は分散キュー・マネージャが行います。

分散キュー・マネージャは,クラスタの状態遷移中にノードがクラスタに追加されたり,クラスタから削除されるときに,キューイング・システムがその影響を受けないようにします。以下の表は,分散キュー・マネージャがどのように動作するかを示しています。

場合 動作 説明
キュー・マネージャが実行されているノードが OpenVMS Cluster システムから削除された キュー・マネージャは自動的に別のノードにフェールオーバされる。 このフェールオーバは透過的に行われるため,ユーザが意識する必要はない。
ノードがクラスタに追加された キュー・マネージャは自動的に新しいノードをサービスする。 システム管理者が新しいノードでキューイングを開始するためにコマンドを入力する必要はない。
OpenVMS Cluster システムがリブートされた デフォルト設定により,キューイング・システムは自動的に再起動される。 したがって,スタートアップ・コマンド・プロシージャにキューイングのためのコマンドを指定する必要はない。
  オペレーティング・システムは,キューイング・データベースに定義されているパラメータを使用して,自動的にキューイング・システムを復元する。 これは,キューイング・システムを起動するときに,定義した属性がキューイング・データベースに保存されるからである。

キューを制御するために,キュー・マネージャはキューとジョブに関する情報を格納したクラスタ単位のキュー・データベースを管理します。キュー・マネージャを 1 つだけ使用する場合も,複数使用する場合も,1 つのキュー・データベースだけがクラスタで共用されます。すべてのプロセスの情報を 1つのデータベースに保存しておくと,どのコンピュータから要求されたジョブも任意のキューで実行できます (必要なマス・ストレージ・デバイスが使用可能な場合)。

7.3 キュー・マネージャの起動とキュー・データベースの作成

スタンドアロン・コンピュータの場合と同様に,キュー・マネージャは START/QUEUE/MANAGER コマンドを使用して起動します。しかし,OpenVMS Cluster システムでは,フェールオーバ・リストと,キュー・マネージャの固有の名前も指定できます。 /NEW_VERSION 修飾子を指定すると,新しいキュー・データベースが作成されます。

以下のコマンドの例では,キュー・マネージャの起動方法を示しています。


$ START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION/ON=(GEM,STONE,*)

以下の表では,このサンプル・コマンドの各コンポーネントについて説明しています。

コマンド 機能
START/QUEUE/MANAGER SYS$QUEUE_MANAGER という 1 つのクラスタ単位のキュー・マネージャを作成する。
/NEW_VERSION SYS$COMMON:[SYSEXE] に新しいキュー・データベースを作成する。このデータベースには以下の 3 つのファイルが格納される。

  • QMAN$MASTER.DAT (マスタ・ファイル)

  • SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES (キュー・ファイル)

  • SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$JOURNAL (ジャーナル・ファイル)

規則: /NEW_VERSION 修飾子は,キュー・マネージャを最初に起動する場合,または新しいキュー・データベースを作成する場合にだけ指定する。

/ON= (node-list)
[optional]
キュー・マネージャを実行しているノードがクラスタから削除されるときに,キュー・マネージャになることができるノードの一覧を指定する。以下の例を参照。

  • キュー・マネージャ・プロセスが GEM ノードで開始される。

  • キュー・マネージャが GEM ノードで実行されているときに, GEM がクラスタから削除されると,キュー・マネージャは STONE ノードにフェールオーバされる。

  • ノード・リストの最後のノードには,アスタリスク・ワイルドカード (*) を指定する。これにより,リストに指定されていない他のノードは任意の順序でキュー・マネージャを起動できることが示される。

    規則: 完全なノード名を指定しなければならない。ノード名の一部としてアスタリスク・ワイルドカード文字を指定することはできない。

    特定のノードがキュー・マネージャとして実行されないように削除する場合は,ノード・リストにアスタリスク・ワイルドカード文字を指定しない。

/NAME_OF_MANAGER
[optional]
固有の名前をキュー・マネージャに割り当てることができる。複数のキュー・マネージャを実行する場合は,固有のキュー・マネージャ名が必要である。たとえば, /NAME_OF_MANAGER 修飾子を使用すると,デフォルト名の SYS$QUEUE_MANAGER ではなく,キュー・マネージャの名前を使用してキュー・ファイルとジャーナル・ファイルが作成される。たとえば, /NAME_OF_MANAGER=PRINT_MANAGER 修飾子をコマンドに追加すると,以下のファイルが作成される。
QMAN$MASTER.DAT
PRINT_MANAGER.QMAN$QUEUES
PRINT_MANAGER.QMAN$JOURNAL
複数のシステム・ディスクを使用する OpenVMS Cluster システムの場合の規則:

  • ファイルが格納されているシステム・ディスクからブートされないシステムの場合,マスタ・ファイルおよびキュー・ファイルとジャーナル・ファイルの両方の場所を指定する。

    関連項目: キュー・データベース・ファイルを他のデバイスまたはディレクトリに保存する場合は,その方法について『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照する。

  • OpenVMS Cluster 全体でアクセス可能なデバイスとディレクトリを指定する。

  • 各ノードの SYS$COMMON:SYLOGICALS.COM スタートアップ・コマンド・プロシージャに,同じようにデバイスとディレクトリを定義する。

7.4 追加キュー・マネージャの起動

複数のキュー・マネージャを実行すると,クラスタ全体でバッチ・ジョブとプリント・ジョブが分散され,作業負荷のバランスをとることができます。たとえば,CPU またはメモリが不足しているクラスタでは,バッチ・キューとプリント・キューに対して個別にキュー・マネージャを作成できます。このようにすると,バッチ・キュー・マネージャをあるノードで実行し,プリント・キュー・マネージャを別のノードで実行できます。

7.4.1 コマンドの形式

追加キュー・マネージャを起動するには, START/QUEUE/MANAGER コマンドに /ADD 修飾子と /NAME_OF_MANAGER 修飾子を指定します。 /NEW_VERSION 修飾子は指定しません。以下の例を参照してください。


$ START/QUEUE/MANAGER/ADD/NAME_OF_MANAGER=BATCH_MANAGER

7.4.2 データベース・ファイル

複数のキュー・マネージャが 1 つの QMAN$MASTER.DAT マスタ・ファイルを共用しますが,各キュー・マネージャに対してキュー・ファイルとジャーナル・ファイルは追加作成されます。追加ファイルにはそれぞれ,以下の形式で名前が付けられます。

デフォルト設定では,キュー・データベースとそのファイルは SYS$COMMON:[SYSEXE] に保存されます。キュー・データベース・ファイルを他の場所に格納する場合は, 第 7.6 節 の指示に従ってください。

7.5 キューイング・システムの停止

STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER コマンドを入力すると,キュー・マネージャは停止され, START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力するまで (/NEW_VERSION 修飾子を指定せずに),キューイング要求は拒否されます。

以下のコマンドは,PRINT_MANAGER というキュー・マネージャを停止する方法を示しています。


$ STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER/NAME_OF_MANAGER=PRINT_MANAGER

規則: キュー・マネージャが OpenVMS Cluster システムで実行されているかどうかとは無関係に,コマンド・ラインに /CLUSTER 修飾子を指定する必要があります。 /CLUSTER 修飾子を指定しないと,コマンドはキュー・マネージャを停止せずに,デフォルト・ノードのすべてのキューを停止します (これは,STOP/QUEUE/ON_NODE コマンドを入力するのと同じです)。

7.6 キュー・データベース・ファイルの移動

キュー・データベースのファイルは,デフォルトの SYS$COMMON:[SYSEXE] から,クラスタ単位でマウントされているディスク,またはクラスタ単位のキュー・スキームに参加しているコンピュータからアクセスできるディスクに移動できます。たとえば,実行される処理が少ない共用ディスクにデータベースを格納しておけば,システムのパフォーマンスを向上できます。

7.6.1 格納場所に関するガイドライン

マスタ・ファイル QMAN$MASTER は,キュー・ファイルおよびジャーナル・ファイルとは別の場所に格納できますが,キュー・ファイルとジャーナル・ファイルは同じディレクトリに格納しなければなりません。あるキュー・マネージャのキュー・ファイルとジャーナル・ファイルは,他のキュー・マネージャのキュー・ファイルおよびジャーナル・ファイルと別の場所に格納できます。

指定するディレクトリは,クラスタ内のすべてのノードからアクセスできなければなりません。ディレクトリ指定が隠し論理名の場合は,クラスタ内の各ノードの SYS$COMMON:SYLOGICALS.COM スタートアップ・コマンド・プロシージャに同じように定義しなければなりません。

関連項目: キュー・データベース・ファイルの作成または移動の詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。 OpenVMS Cluster のバッチ/プリント・システムを設定する共通のプロシージャの例については, 第 7.12 節 も参照してください。

7.7 プリント・キューの設定

プリント・キューを設定するには, OpenVMS Cluster システムに最適なキュー構成の種類を判断しなければなりません。各コンピュータに接続されているプリント・デバイスの台数と種類,およびプリント・ジョブを処理する方法に応じて,複数の選択肢があります。たとえば,以下のことを決定する必要があります。

クラスタにとって適切な方式を判断した後,キューを作成することができます。 図 7-1 は,アクティブ・コンピュータ JUPITR,SATURN,URANUS で構成されるクラスタのプリンタ構成を示しています。

図 7-1 プリンタ構成の例


7.7.1 キューの作成

OpenVMS Cluster のプリント・キューは,スタンドアロン・コンピュータの場合と同じ方法で設定します。しかし,OpenVMS Cluster システムでは,作成する各キューに対して固有の名前を指定しなければなりません。


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