この章では,AlphaServer 8200 で OpenVMS Galaxy コンピューティング環境を構築するプロセスについて説明します。
第 5 章で説明している AlphaServer 8400 の手順と異なる手順を中心に説明しています。
6.1 ステップ 1: 構成の選択とハードウェア要件の判断
AlphaServer 8200 Galaxy 構成の概要
2 つのインスタンスのみ
次の目的で使用される 5 つのスロット:
2 つのプロセッサ・モジュール (それぞれ 2 つの CPU)
2 つの I/O モジュール
1 つのメモリ・モジュール
構成に必要なハードウェアを入手した後,第 5 章の
5.2.1 項から
5.2.4 項までの手順に従い,その後,この節の手順に従ってハードウェアを組み立てます。
6.2.1 EISA 装置の取り付け
プラグイン EISA 装置はパーティション 0 でのみ構成できます。 EISA 装置を取り付けた後,EISA Configuration Utility (ECU) を実行するように要求するメッセージがコンソールから出力されます。
次の説明に従って ECU を実行します。
すべての OpenVMS Galaxy インスタンスをシャットダウンします。
フロッピィ・ディスク・ドライブがプライマリ・パーティション・ハードウェアに正しく接続されているかどうか確認します。 通常,ドライブは PCI スロット 2 のコネクタ・モジュール (Beeper の部品番号は 54-25133-01) にケーブル接続することができます。
ECU イメージを格納したフロッピィを挿入します。
プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力します。
P08>>> SET ARC_ENABLE ON
P08>>> INITIALIZE
P08>>> RUNECU
ECU から要求される手順を実行します。
プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力します。
P08>>> boot
$ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN
P08>>> SET ARC_ENABLE OFF
P08>>> INITIALIZE
P08>>> LPINIT
OpenVMS Galaxy をリブートします。
ECU には 2 つのバージョンがあり,1 つはグラフィックス端末で実行され, もう 1 つはキャラクタ・セル端末で実行されます。 どちらのバージョンもフロッピィに格納されており, コンソールはどちらのバージョンを実行するかを判断します。 OpenVMS Galaxy システムの場合, プライマリ・コンソールは常にキャラクタ・セル端末を装備したシリアル装置です。
ECU を実行しないと,OpenVMS は次のメッセージを表示します。
%SYSTEM-I-NOCONFIGDATA, IRQ Configuration data for EISA
slot xxx was not found, please run the ECU and reboot.
このメッセージを無視すると,システムはブートされますが, プラグイン EISA 装置は無視されます。
これまでの説明に従って OpenVMS Galaxy ハードウェアを構成し,設定した後,
次の手順を実行して OpenVMS Galaxy インスタンスをインストールし,ブートします。
6.3 ステップ 3: システム・ディスクの作成
インスタンスごとにシステム・ディスクを使用するのか, または クラスタ全体で共通のディスクで使用するのかを判断します。
OpenVMS バージョン 7.1-2 より以前のバージョンを稼働しているクラスタ・メンバのうち,Galaxy インスタンスと同じ VMS$OBJECTS.DAT ファイルを共用するクラスタ・メンバの場合は,新しい SECURITY.EXE が必要です。
6.4 ステップ 4: OpenVMS Alpha バージョン 7.3 のインストール
OpenVMS Galaxy ソフトウェアを実行するのに, 特別なインストール手順は必要ありません。 Galaxy 機能は基本オペレーティング・システムに組み込まれており, この章で説明するコンソール・コマンドとシステム・パラメータ値を使用して, 有効または無効に設定できます。
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのインストールの詳細については,『OpenVMS Alpha Version 7.3-2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。
OpenVMS Galaxy ライセンス情報は,『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。
6.5 ステップ 5: ファームウェアのアップグレード
AlphaServer 8200 で OpenVMS Galaxy 環境を構築するには, 各プロセッサ・モジュールでファームウェアのアップグレードが必要です。 これらのモジュールを Galaxy 以外の構成で再び使用する場合は, 以前のファームウェアを再インストールする必要があります。 現在のファームウェア CD は必ず保管しておいてください。
使用する予定のすべてのプロセッサ・モジュールを取り付け, 同時に更新しておけば,作業時間を短縮できます。AlphaServer 8200 では, すべてのプロセッサ・ボードで同じファームウェアを使用しなければなりません。 後でボードをアップグレードしなければならない場合は,次の操作が必要です。
ファームウェア・リビジョン・レベルが異なるすべてのボードを取り外します。
以前のボードを更新します。
残りのボードを再び取り付けます。
ファームウェアをアップグレードするには,システムの電源をオンにし,非 Galaxy モードで稼働します (つまり,LP_COUNT コンソール環境変数を設定している場合,0 に設定する必要があります)。
コンソール環境変数を設定するには,次のコマンドを入力します。
P08>>> SET LP_COUNT 0
P08>>> INIT
ファームウェアをアップグレードするには,Alpha Systems Engineering から
提供されている標準コンソール・ファームウェア・アップデートを使用します。
6.6 ステップ 6: 環境変数の設定
すべてのプロセッサ・モジュールでファームウェアをアップグレードした後, 次の例に示すように,Galaxy 固有の環境変数を作成できます。この例では, 2 つのインスタンス,4 つの CPU,1 GB の OpenVMS Galaxy コンピューティング環境を 構成しているものと仮定しています。
P08>>> create -nv lp_count 2
P08>>> create -nv lp_cpu_mask0 100
P08>>> create -nv lp_cpu_mask1 e00
P08>>> create -nv lp_io_mask0 100
P08>>> create -nv lp_io_mask1 80
P08>>> create -nv lp_mem_size0 10000000
P08>>> create -nv lp_mem_size1 10000000
P08>>> create -nv lp_shared_mem_size 20000000
P08>>> init
これらの変数を作成した後,コンソール SET コマンドを使用して, 変数を操作することができます。 これらの変数はプロセッサ 0 でのみ作成する必要があります。
ここでは各環境変数について詳しく説明します。
LP_COUNT number
この変数が 0 に設定されていると,システムは従来の SMP 構成だけをブートします。
Galaxy コンソール・モードは OFF になります。
この変数が 0 以外の値に設定されている場合は,Galaxy 機能が使用され,
Galaxy 変数が解釈されます。LP_COUNT
の正確な値は,
コンソールが認識する Galaxy パーティションの数を表します。
LP_CPU_MASKn mask
このビット・マスクは,指定された Galaxy パーティション番号にどの CPU を最初に割り当てるかを指定します。
AlphaServer 8200 コンソールは,
パーティション内の最初の偶数番号の CPU をイニシャル・インスタンスとして CPU 08 で始まるプライマリ CPU として選択します。
リソースを割り当てる場合は,このことに注意してください (つまり,奇数番号だけの CPU をパーティションに割り当てないでください)。
LP_IO_MASKn mask
これらの変数は,
スロット番号によって IO モジュールを各インスタンスに割り当てます。
100 はスロット 8 の I/O モジュールを表します。
80 はスロット 7 の I/O モジュールを表します。
AlphaServer 8200 の場合,ここに示した割り当てだけが有効です。
LP_MEM_SIZEn size
これらの変数は,
指定されたインスタンスに対して特定の容量のプライベート・メモリを割り当てます。
システム内のメモリ容量と各インスタンスにとって必要な割り当てをもとに,
適切な値を使用してこれらの変数を作成することが必要です。
一般的に使用される値については,付録 B
を参照してください。
また,この後の共用メモリ変数も参照してください。
LP_SHARED_MEM_SIZE size
この変数は,共用メモリとして使用するメモリを割り当てます。
一般的に使われる値については,付録 B
を参照してください。
共用メモリは 8 MB の倍数で割り当てなければならず,
すべての値は16 進バイトで表現されます。
使用する共用メモリの容量だけを定義でき,
他の LP_MEM_SIZE 変数は未定義のままにしておくことができます。
このようにすると,コンソールは上位アドレス空間から共用メモリを割り当て,
LP_COUNT 変数によって指定された数のパーティションに対して,
残りのメモリを等しく分割します。また,
LP_MEM_SIZE 変数を使用して特定のパーティションにメモリを明示的に割り当て,
他のパーティションのメモリ割り当てを未定義のままにした場合も,
コンソールはメモリ・フラグメントを,
明示的にメモリが割り当てられたパーティションおよび共用メモリに対して割り当て,
残りのメモリを分割して,
明示的にメモリが割り当てられていない残りのパーティションに割り当てます。
BOOTDEF_DEV 変数と BOOT_OSFLAGS 変数
初期インストールの後や,システム・クラッシュやオペレータによって要求されたリブートの後,システムをリブートしなければならない場合は,AUTOGEN が正しくリブートされるように,ブートの前に各 Galaxy コンソールでこれらの変数を設定する必要があります。
Galaxy の環境変数の例
KFE72-DA が Windows-NT に構成されていた場合は,
ビデオ・ボードを検出しようとしますが,検出できないときはハングします。
OpenVMS Galaxy を構成する場合,このような状況が一般的に発生します。
操作モードを設定するには,コンソール・コマンドを使用します。
セカンダリ・コンソールを初期化する前に,
プライマリ・コンソールに対してこのコマンドを入力すると,
設定はセカンダリ・コンソール・ハードウェアに伝達されます。
イーサネット・ポートを使用する場合は,
使用するメディアの種類と接続をコンソールに通知しなければなりません。
つまり,AUI,UDP,ツイスト・ペアのいずれを使用するのかを指定する必要があります。
コンソールとオペレーティング・システムはどのメディアを使用するかを判断しますが,
次のコマンドを使用すれば,特定のメディア・タイプを割り当てることができます。
最初のコマンドは,使用可能なネットワーク装置の一覧を表示します。
2 番目のコマンドは,指定された装置 (この例では EWA0) に対してデフォルト・メディア・タイプを設定します。
これはセカンダリ・コンソールを初期化する前に,
すべてのイーサネット装置に対して実行しなければなりません。
コンソール・モードとネットワーク・メディア・タイプ (使用する場合) を設定した後,システムを再初期化して,現在の設定を保存します。
Galaxy パーティションをすでに定義している場合は,
初期化は後で実行しなければなりません。
システムを初期化できる場合は,次のコマンドを入力します。
プライマリ・コンソールからの応答として,通常の電源投入時の自己診断テスト (POST) レポートが出力されます。
これには最大 2 分かかる可能性があります。Galaxy パーティションを適切に定義した場合は,
プライマリ・パーティションに関連する I/O 装置だけが表示されます。
パーティションが定義されていることを確認するには,次のコマンドを入力します。
または
セカンダリ・コンソールを初期化するには,次のコマンドを入力します。
コンソールに次の情報が表示されます。
このコマンドは
プライマリ Galaxy コンソール
から入力しなければなりません。
Galaxy パーティションが正しく定義されており,ハードウェア・リソースが正しく構成されている場合は,プライマリ・コンソールは各セカンダリ・パーティションに割り当てられているプロセッサを起動するはずです。
セカンダリ・コンソールは 2 分以内に初期化されます。
1 つ以上のコンソールの初期化が失敗した場合は,ハードウェアの取り付け,
Galaxy パーティションの定義,
ハードウェアの割り当てを二重にチェックする必要があります。
OpenVMS コンソールの制限事項とヒントの詳細については,
第 12 章
を参照してください。
Galaxy ファームウェアを正しくインストールし,コンソールを構成した後,
次の方法で初期 Galaxy 環境をブートできます。
各 Galaxy インスタンスに対して,次のコマンドを入力します。
構成はこれで終了です。
これで OpenVMS Galaxy が構築されました。
注意
P08>>> SHOW LP*
lp_count 2
lp_shared_mem_size 20000000 (512 MB)
lp_mem_size0 10000000 (256 MB)
lp_mem_size1 10000000 (256 MB)
lp_cpu_mask0 100 (CPU 0)
lp_cpu_mask1 e00 (CPUs 1-3)
lp_io_mask0 100 (I/O module in slot 8)
lp_io_mask1 80 (I/O module in slot 7)
P08>>>
P08>>> SET CONSOLE SERIAL
P08>>> SHOW NETWORK
P08>>> SET EWA0_MODE TWISTED
P08>>> INIT
P08>>> SHOW DEVICE
P08>>> SHOW NETWORK
P08>>> LPINIT
Partition 0: Primary CPU = 0
Partition 1: Primary CPU = 2
Partition 0: Memory Base = 000000000 Size = 010000000
Partition 1: Memory Base = 010000000 Size = 010000000
Shared Memory Base = 020000000 Size = 010000000
LP Configuration Tree = 12c000
starting cpu 1 in Partition 1 at address 01000c001
starting cpu 2 in Partition 1 at address 01000c001
starting cpu 3 in Partition 1 at address 01000c001
P08>>>
6.8 ステップ 8: OpenVMS Galaxy のブート
P08>>> B -FL 0,1 DKA100 // or whatever your boot device is.
SYSBOOT> SET GALAXY 1
SYSBOOT> CONTINUE