日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


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第 2 章
インストール,コンフィギュレーション,スタートアップ,およびシャットダウン

この章では, TCP/IP Services のインストールとコンフィギュレーションをはじめ,スタートアップ・プロシージャやシャットダウン・プロシージャに関する注意事項と変更点について説明します。この章の内容は,『日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド』も手元に置いて参照してください。

注意

TCP/IP Services バージョン 5.5 を使用するには, OpenVMS バージョン 8.2 にアップグレードする必要があります。

2.1 V5.3 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) がインストールされている場合の注意

次の V5.3 EAK を 1 つ以上インストールしている場合は, TCP/IP Services V5.5 をインストールする前に, PCSI REMOVE コマンドを使用して, EAK を削除する必要があります。

注意

failSAFE IP EAK を削除した後,現在のバージョンの TCP/IP Services をインストールする場合は, TCPIP$CONFIG.COM を実行して,ターゲット・インタフェースとホーム・インタフェースを再確立する必要があります。

2.2 TCP/IP Services バージョン 4.x からのアップグレード

ここでは,以前のバージョンの TCP/IP Services (UCX) から現在のバージョンへアップグレードするときに,ソフトウェアの動作を以前と同じになるように保持する方法について説明します。

2.2.1 LPD のアップグレード

2.2.2 SNMP スタートアップおよびシャットダウン時の動作の保持

現在のバージョンの TCP/IP Services にアップグレードした後,次のいずれかの操作を行って, SNMP のスタートアップが正しく行われるようにする必要があります。

UCX$SNMP_STARTUP.COM および UCX$SNMP_SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャをカスタマイズしたバージョン (拡張サブエージェントの起動と停止に使用) を使用している場合は,新バージョンの TCP/IP Services へアップグレードする前に,カスタマイズしたファイルを別のディレクトリに保存してください。この操作を行わないと,カスタマイズした情報が失われます。

次に示す場所で,これらのファイルのバージョンを確認してください。

TCP/IP Services をインストールした後,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS Management 』の説明に従って, TCPIP$SNMP_SYSTARTUP.COM および TCPIP$SNMP_SYSHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャにコマンドを手動で入力します。

2.2.3 SNMP のスタートアップとシャットダウンのカスタマイズ

TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを使用して SNMP を有効にした場合,次のファイルは作成されなくなりました。

これらのコマンド・プロシージャ・ファイルは,カスタム SNMP サブエージェントの起動と停止に使用されます。将来のバージョンの TCP/IP Services をインストールしても,これらのファイルに影響ありません。

2.2.4 TCP/IP Services のインストール時の SNMP メッセージ

同じバージョンの TCP/IP Services を 2 回以上インストールするサイトでは,次のような情報メッセージがインストレーション・ダイアログに表示されることがあります。


 
Do you want to review the options? [NO] 
 
Execution phase starting ... 
 
The following product will be installed to destination: 
    DEC AXPVMS TCPIP T5.3-9I               DISK$AXPVMSSYS:[VMS$COMMON.] 
The following product will be removed from destination: 
    DEC AXPVMS TCPIP T5.3-9H               DISK$AXPVMSSYS:[VMS$COMMON.] 
%PCSI-I-RETAIN, file [SYSEXE]TCPIP$ESNMP_SERVER.EXE was not replaced because 
file from kit does not have higher generation number 
%PCSI-I-RETAIN, file [SYSEXE]TCPIP$HR_MIB.EXE was not replaced because file 
from kit does not have higher generation number 
%PCSI-I-RETAIN, file [SYSEXE]TCPIP$OS_MIBS.EXE was not replaced because file 
from kit does not have higher generation number 
%PCSI-I-RETAIN, file [SYSLIB]TCPIP$ESNMP_SHR.EXE was not replaced because file 
from kit does not have higher generation number 
%PCSI-I-RETAIN, file [SYSLIB]UCX$ESNMP_SHR.EXE was not replaced because file 
from kit does not have higher generation number 

これらのメッセージは無視してかまいません。

2.2.5 SNMP サブエージェントのスタートアップ・メッセージ

SNMP スタートアップ・プロシージャは,次のエラー・メッセージをサブエージェント・ログ・ファイルに出力することがあります。


25-JUL-2001 14:13:32.47 **ERROR ESNMP_INIT.C line 3777: Could not 
connect to master: connection refused 
25-JUL-2001 14:13:32.94 WARNING OS_MIBS.C line 942: Master agent 
cannot be reached.  Waiting to attempt reconnect. 

これらのメッセージが記録されるのは,タイミングに関する問題が発生したためですが,無視してかまいません。

2.3 インストールの変更点

インストールに関する変更点は次のとおりです。

2.4 イメージ識別とリンク日付

TCP/IP Services で提供される実行イメージには通常,V5.5-xxaa という形式のイメージ識別が含まれています。ここで,xx は正の整数であり, aa はリビジョン・レベルを示す 0 文字以上の英字です。さらに,キットに含まれているイメージのリンク日付は通常,相互に数時間以内の範囲です。

しかし,最新の TCP/IP Services キットに含まれる複数のイメージは,このルールに従っていません。製品が正しくインストールされているかどうか確認するのに役立つように,ここではその例外について説明します。

次のイメージは,V5.5-xxaa PF という形式の識別を使用します。 "PF" は,イメージが改善されたリビジョンであることを示します。

これらのイメージのリンク日付は,相互に 1 時間前後の範囲内になっているはずです。

OpenVMS Alpha システムにインストールした場合,次のファイルは,識別およびリンク日付に関する上記のルールに従いません。


TCPIP$CFS_SHR         V5.5-6A        27-MAR-2004  SYS$COMMON:[SYSLIB] 
TCPIP$NTPTRACE.EXE    V5.5           30-MAR-2004  SYS$COMMON:[SYSEXE] 
TCPIP$TELNET_SERVER   V5.4/KRB V2.0   9-JUL-2003  SYS$COMMON:[SYSEXE] 

OpenVMS I64 システムにインストールした場合,次のファイルは,識別およびリンク日付に関する上記のルールに従いません。


SYS$COMMON:[SYSLIB]TCPIP$CFS_SHR.EXE 
"V1.0" 
10-MAY-2003 13:12:22.14 
 
SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$NTPTRACE.EXE 
"V5.5" 
30-MAR-2004 23:22:14.46 
 
SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$TELNET_SERVER.EXE 
"V5.4/KRB V2.0" 
 5-DEC-2003 00:21:54.16 

2.5 OpenVMS Cluster へのシステムの追加

TCP/IP Services バージョン 5.5 の TCPIP$CONFIG.COM コンフィギュレーション・プロシージャは,以前のバージョンより大きいシステム・パラメータ値を使用して,OpenVMS アカウントを作成します。新しいアカウントに対してだけ,これらの大きい値が割り当てられます。これらの値は OpenVMS Alpha システムでは便利ですが, OpenVMS I64 システムでは必須です。

OpenVMS I64 システムを TCP/IP ホストとして OpenVMS Cluster に追加するには, TCP/IP Services をコンフィギュレーションする前に,システムをクラスタに追加することをお勧めします。 第 2.5.1 項 に示したガイドラインでは,この順序でクラスタを追加することを前提にしています。

システムをクラスタに追加する前に, TCP/IP Services をコンフィギュレーションする場合は, 第 2.5.2 項 を参照してください。

2.5.1 新たにコンフィギュレーションされたホストをクラスタで実行する場合

次に示すガイドラインでは,システムを OpenVMS Cluster に追加した後,システムで TCP/IP Services をコンフィギュレーションすることを前提にしています。

TCP/IP Services がすでにクラスタにインストールされていて,システムで TCP/IP コンポーネントを実行するときに問題が発生した場合は,クラスタのシステム登録ファイル (SYSUAF) を変更して,影響を受けるコンポーネントが使用するアカウントのパラメータ値を大きくします。推奨される最小値は 表 2-1 に示すとおりです。

表 2-1 SYSUAF パラメータの最小値
パラメータ 最小値
ASTLM 100
BIOLM 400
BYTLM 108000
DIOLM 50
ENQLM 100
FILLM 100
PGFLQUOTA 1 50000
TQELM 50
WSEXTENT 4000
WSQUOTA 1024


1このパラメータ値の設定は特に重要です。

PGFLQUOTA や,上記の他のパラメータに割り当てた値が小さすぎる場合は,IMAP,DHCP,および XDM コンポーネントでアカウント・パラメータに関する問題が発生する可能性があります。 SYSUAF パラメータを変更するには, OpenVMS AUTHORIZE ユーティリティを使用します。詳細については,『 HP OpenVMS System Management Utilities Reference Manual: A-L 』を参照してください。

2.5.2 システムをクラスタに追加する前に TCP/IP Services をコンフィギュレーションする場合

システムをクラスタに追加する前に TCP/IP Services をコンフィギュレーションする場合は,システムをクラスタに追加するときに,各 TCP/IP サービス SYS$LOGIN ディレクトリ (TCPIP$service-name,ただし, service-name はサービスの名前) の UIC が不正になることがあります。これらの UIC を修正するには, OpenVMS AUTHORIZE ユーティリティを使用します。

2.6 TCPIP$CONFIG.COM の変更点

ここでは,本リリースでの TCPIP$CONFIG.COM コンフィギュレーション・プロシージャの変更点について説明します。

2.6.1 TCPIP$CONFIG.COM の警告メッセージ

IPv6 を有効にするために TCPIP$IP6_SETUP.COM コンフィギュレーション・プロシージャを実行した後,TCPIP$CONFIG.COM コンフィギュレーション・プロシージャを実行すると, Core environmentオプションを選択した際にika の警告メッセージが表示されます。


                           WARNING 
 
This node has been configured for IPv6.  If you make any additional 
changes to the configuration of the interfaces, you must run 
TCPIP$IP6_SETUP again and update your host name information in 
BIND/DNS for the changes to take effect. 

2.6.2 SSH サーバの無効化または有効化

TCPIP$CONFIG.COM コンフィギュレーション・プロシージャを使用して SSH サーバを無効化または有効化すると,次のプロンプトが表示されます。


* Create a new default Server host key? [YES]: 

新しいデフォルト・サーバ・ホスト・キーを作成する特別な理由がない限り,このプロンプトに対しては「N」と入力してください。デフォルトを使用する場合,古いキーのクライアントは新しいキーを取得しなければならなくなります。詳細については, 第 3.11.6 項 を参照してください。

2.7 SSH コンフィギュレーション・ファイルはアップデートが必要

本バージョンの TCP/IP Services の SSH クライアントとサーバは,前のバージョンの SSH のコンフィギュレーション・ファイルを使用できません。

SSH クライアントとサーバが古いバージョンの SSH からシステム単位のコンフィギュレーション・ファイルを検出すると,クライアントおよびサーバは起動できません。クライアントは次の警告メッセージを表示し,サーバは次の警告メッセージを SSH_RUN.LOG ファイルに書き込みます。


You may have an old style configuration file. Please follow the 
instructions in the release notes to use the new configuration 
files. 

SSH クライアントが古いバージョンの SSH からユーザ固有のコンフィギュレーション・ファイルを検出した場合は, SSH クライアントは警告を表示しますが,ユーザは操作を続行することができます。

SSH サーバのコンフィギュレーション・ファイルと SSH クライアントのコンフィギュレーション・ファイルに対して行った変更を保存するには,次に示すように,新バージョンの SSH で提供されるテンプレートを編集する必要があります。

  1. 次のコマンドを使用して,テンプレート・ファイルを抽出します。


    $ LIBRARY/EXTRACT=SSH2_CONFIG SYS$LIBRARY:TCPIP$TEMPLATES.TLB - 
    _$ /OUT=TCPIP$SSH_DEVICE:[TCPIP$SSH.SSH2]SSH2_CONFIG. 
     
    $ LIBRARY/EXTRACT=SSHD2_CONFIG SYS$LIBRARY:TCPIP$TEMPLATES.TLB - 
    _$ /OUT=TCPIP$SSH_DEVICE:[TCPIP$SSH.SSH2]SSHD2_CONFIG. 
    


    これらのコマンドは,新しいテンプレート・ファイルを新しいバージョン番号で SSH2 コンフィギュレーション・ディレクトリにコピーします。

  2. 古いバージョンのコンフィギュレーション・ファイルに対して行った変更を新しいバージョンにコピーします。

  3. 次のコマンドを使用して,SSH を起動します。


    $ @SYS$STARTUP:SSH_STARTUP.COM 
    $ @SYS$STARTUP:SSH_CLIENT_STARTUP.COM 
    

2.8 SMTP と LPD のシャットダウンの問題のトラブルシューティング

SMTP または LPD のシャットダウンで,キュー・マネージャが実行されていないことを示すエラーが発生した場合には,サイト固有のシャットダウン・コマンド・プロシージャ (SYS$MANAGER:SYSHUTDWN.COM) をチェックしてください。このプロシージャがキュー・マネージャを停止するコマンド (STOP/QUEUE/MANAGER) を含んでいる場合には,このコマンドが TCPIP$SHUTDOWN.COM プロシージャの呼び出しの後に置かれていることを確認してください。

注意

キュー・マネージャを明示的に停止する必要はありません。キュー・マネージャは自動的に停止され,システムの再起動の際に自動的に起動されます。


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