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HP OpenVMS Systems
Documentation

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HP OpenVMS

HP OpenVMS

V8.2 新機能説明書

BA322-90009


2005 年 4 月

本書では,OpenVMS Alpha および I64 V8.2 オペレーティング・システムの新機能と,このソフトウェアのドキュメントの概要について説明します。

改訂/更新情報:新規マニュアルです。

ソフトウェア・バージョン:OpenVMS I64 Version 8.2 OpenVMS Alpha Version 8.2




日本ヒューレット・パッカード株式会社


© Copyright 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P.

本書の著作権は日本ヒューレット・パッカード株式会社およびその子会社が保有しており,本書中の解説および図,表は日本ヒューレット・パッカードの文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。

また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,弊社は一切その責任を負いかねます。

本書で解説するソフトウェア(対象ソフトウェア)は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。

日本ヒューレット・パッカードは,弊社または弊社の指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。

Adobe および Acrobat は,米国 Adobe Systems 社の登録商標です。

Intel および Itanium は,米国およびその他の国における, Intel Corporation またはその関連会社の登録商標です。

Java は,米国 Sun Microsystems 社の米国における商標です。

Linux は,Linus Torvalds 氏の米国における登録商標です。

Macintosh は,米国アップルコンピュータ社の商標です。

Microsoft および Windows は,米国 Microsoft 社の米国ならびに他の国における商標です。

UNIX は,The Open Group の登録商標です。

原典:HP OpenVMS Version 8.2 New Features and Documentation Overview
© 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P.

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まえがき

本書の対象読者

本書は,HP OpenVMS オペレーティング・システムを使用する一般ユーザ,システム管理者,プログラマを対象としています。

本書では OpenVMS Version 8.2 の新機能を説明します。新機能が使用中のシステムに与える影響について,Version 8.2 をインストール,アップグレード,使用する前にリリース・ノートをお読みください。

本書の構成

本書の構成は以下のとおりです。

関連資料

HP OpenVMS 製品とサービスに関するその他の情報については,次の Web サイトをご覧ください。


http://www.hp.com/jp/openvms 
http://www.hp.com/go/openvms 

本書で使用する表記法

本書では,次の表記法を使用しています。

表記法 意味
Ctrl/ x Ctrl/ x という表記は, Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
PF1 x PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
[Return] 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。

HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。

... 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。

  • 文中のオプションの引数が省略されている。

  • 前出の 1 つまたは複数の項目を繰り返すことができる。

  • パラメータや値などの情報をさらに入力できる。

.
.
.
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。
( ) コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。
[ ] コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか1つを選択しても,あるいは1つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。
[|] コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。
{ } コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか 1 つのオプションを指定しなければなりません。
太字 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。また,変数を示す場合にも使用されています。
italic text イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ (たとえば内部エラー number),コマンド行 (たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ (たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。
UPPERCASE TEXT 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。
Monospace type モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。

C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。

- コマンド形式の記述の最後,コマンド行,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。
数字 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて10 進数です。 10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。


第 1 部
OpenVMS Version 8.2 の新機能


第 1 章
HP OpenVMS Version 8.2 の新機能の概要

OpenVMS Version 8.2 は,新しいプラットフォームをサポートする OpenVMS オペレーティング・システムのメジャー・リリースであり,新たに HP Integrity サーバをサポートします。 OpenVMS は,1 年 365 日 24 時間体制 (24×365) で休みなく稼働する環境にとって不可欠な,最高レベルの可用性,拡張性,柔軟性,性能,セキュリティを提供します。 OpenVMS には 20 年以上にわたって高い信頼性を提供してきた実績があり,さらに新しいテクノロジをベース・オペレーティング・システムおよび OpenVMS Cluster ソフトウェア環境に組み込むことにより可用性と性能を強化しています。

1.1 新機能のまとめ

OpenVMS Version 8.2 では,OpenVMS Version 7.3--2 のすべての機能に加えて,OpenVMS オペレーティング・システムに新機能が追加されています。 表 1-1 では,OpenVMS Version 8.2 に用意されている各機能の概要を機能要素 (一般ユーザ,システム管理,プログラミング,および関連製品) 別に示します。

表 1-1 OpenVMS Version 8.2 ソフトウェアの機能概要
一般ユーザ機能
ドキュメント ドキュメントの最新版がインターネット上で入手できるようになりました。

このリリースでは,1 冊の新しいマニュアル『HP OpenVMS Alpha から OpenVMS I64 へのアプリケーション・ポーティング・ガイド』が作成されました。

OpenVMS Volume Shadowing がサポートするホスト・ベース・ミニマージ (HBMM) は, 第 6 章 で説明します。 Linker ユーティリティの新機能は, 第 7 章 で説明します。

DCL コマンドとレキシカル関数 Version 8.2 には,新規または変更された DCL コマンド,修飾子,レキシカル関数があります。
EV7 チップの速度向上 AlphaServer ES47,ES80,および GS1280 システムでは,速度が向上した新しい EV7 チップがサポートされます。
LMF の機能拡張 Integrity サーバの OE パッケージと I64 システムでのプロセッサごとのライセンス管理が追加されました。
Monitor ユーティリティの機能拡張 Monitor ユーティリティの移植時に,いくつかの機能が拡張されました。
オペレーティング環境 OpenVMS I64 は,3 種類のオペレーティング環境として提供されます。 Foundation Operating Environment (FOE), Enterprise Operating Environment (EOE), Mission Critical Operating Environment (MCOE) です。
システム管理機能
クラスタ OpenVMS Cluster ソフトウェアでは,現在, OpenVMS Alpha システムと OpenVMS VAX システムで提供されている機能とほぼ同様の機能が OpenVMS I64 システムで提供されます。
Performance Data Collector (TDC) OpenVMS Version 7.3-2 以降が稼働しているシステムの性能データを収集します。
OpenVMS I64 Boot Manager ユーティリティ メニュー方式のユーティリティで,OpenVMS I64 が稼働する Integrity サーバでの EFI ブート・オプションの管理を容易にします。
OpenVMS 用 EFI ユーティリティ I64 システムの EFI コンソールでデバイス管理機能を提供します。
Fibre Channel HBA サポート OpenVMS Version 8.2 では, 2 つの新しい Fibre Channel ホスト・ベース・アダプタ (HBA) をサポートします。 1 つは OpenVMS I64 システム用で,もう 1 つは OpenVMS Alpha 用です。
ホスト・ベース・ミニマージ (HBMM) HBMM では,マージ操作に必要な比較の回数を減らすことにより,マージ操作の性能が向上しました。
System Dump Analyzer 新しいコマンドと修飾子が追加され,変更も行われました。変更のうちの一部は I64 システムに対応するために行われました。
ボリューム・シャドウイングのマージ操作とコピー操作の優先順位付け SET SHADOW コマンドの 2 つの新しい修飾子と新しいシステム・パラメータを使って,システムごとにシャドウ・セットのマージ操作とコピー操作に優先順位を付けることができるようになりました。また,マージ操作とコピー操作を行なう場所も操作できます。
新しいシステム・パラメータ --- ERLBUFFERPAG_S2 : 各 S2 空間エラー・ログ・バッファに割り当てる S2 空間メモリのサイズを指定します。 --- ERRORLOGBUFF_S2 : システム・エラー・ログ・エントリ用に確保する S2 空間エラー・ログ・バッファの数を指定します。 --- SCSI_ERROR_POLL : OpenVMS が各 SCSI ディスクに 1 時間ごとに SCSI Test Unit Ready コマンドを発行するように指示します。 --- SHADOW_ENABLE : 弊社で使用するために予約されている特別なパラメータです。 --- SHADOW_HBMM_RTC : ホスト・ベース・ミニマージ (HBMM) ビットマップを持つシャドウ・セットのリセットしきい値をシステムがチェックする時間間隔を制御します。 --- SHADOW_PSM_DLY : シャドウイングで追加される遅延時間を,システム管理者が調整するために使います。 --- SHADOW_REC_DLY : シャドウ・セットの回復操作の管理を試みるまでにシステムが待つ時間を決定するのを助けます。 --- SHADOW_SITE_ID : Volume Shadowing が読み込み操作を行う最適のデバイスを決定するためのサイトの値を,システム管理者が定義するために使います。 --- SYSSER_LOGGING : プロセスに対するシステム・サービス要求のロギングを有効にします。 --- VHPT_SIZE : システム内の各 CPU の仮想ハッシュ・ページ・テーブル (VHPT) に割り当てるサイズを KB 単位で制御します。
タイムゾーン 追加タイムゾーンをデータベースに追加して,サポートするようになりました。
OpenVMS I64 での Ultra SCSI アダプタのサポート OpenVMS I64 は 2 つの Ultra-SCSI ホスト・ベース・アダプタ (HBA) をサポートします。 Ultra-160 デュアル・チャネルと Ultra-320 デュアル・チャネルです。
プログラミング機能
ANALYZE ユーティリティの機能拡張 (I64 のみ) ELF (Executable and Linkable Format) オブジェクト・ファイルとイメージ・ファイルを解析します。
HP C 実行時ライブラリ (CRTL) の機能拡張 --- ファイル・ロック機能 --- 標準に準拠した stat 構造体 --- ファイル・システムの統計サポート --- fcntl のファイル・ステータス・フラグ --- UNIX スタイルのパイプのサポート --- 新しい論理名 DECC$POPEN_NO_CRLF_REC_ATTR --- glob と globfree の 64 ビット・サポート --- socketpair --- stat 関数の機能拡張
呼び出し規則 OpenVMS I64 システムでの Intel Itanium 呼び出し規則をサポート。ただし,いくつかの例外があります。
Checksum ユーティリティ CHECKSUM/OBJECT コマンドを I64 オブジェクト用に機能強化しました。
DCE RPC OpenVMS Alpha システムと OpenVMS I64 システムの両方で,G_FLOAT と IEEE の浮動小数点型をサポートします。
拡張ロック値ブロック OpenVMS ロック・マネージャに 64 バイトのロック値ブロックのサポートが追加されました。ただし,既存のアプリケーションでは 16 バイトの値ブロックを使います。拡張値ブロックを使うためには,ソースを変更する必要があります。
HP OpenVMS 移行ソフトウェア Alpha の実行イメージまたは共有イメージを,OpenVMS I64 システムで動作可能なトランスレート形式のイメージに変換します。
新しい RTL LIB$ ルーチン ルーチンとその機能についての詳細は, 第 4.12 節 を参照してください。
新しい RTL OTS$ ルーチン ルーチンとその機能についての詳細は, 第 4.13 節 を参照してください。
Patch ユーティリティ Patch ユーティリティが OpenVMS Alpha システムと OpenVMS I64 システムでも使用できるようになりました。
POSIX スレッド機能 -- プロセス共用のミューテクス変数と条件変数 -- SET コマンドと SHOW コマンドの機能拡張 (I64 のみ) -- スレッド独立のサービスに新しいルーチン tis_mutex_init_type を追加
新しいシステム・サービス --- $CLEAR_UNWIND_TABLE --- $GET_UNWIND_ENTRY_INFO --- $GOTO_UNWIND_64 --- $IEEE_SET_ROUNDING_MODE --- $IEEE-SET PRECISION_MODE --- $RPCC_64 --- $SET_RETURN_VALUE --- $SET_UNWIND_TABLE
Traceback Application Programming Interface for OpenVMS I64 ユーザ・アプリケーションからトレースバック情報にアクセスするために使用します。
関連製品の機能
Common Data Security Architecture (CDSA) Version 2.1 新しい暗号タイプをサポートします。
Kerberos for OpenVMS Kerberos Version 2.1 for OpenVMS は,MIT Kerberos V5 Release 1.2.6 with CERT patches up to Release 1.2.8 をベースにしています。 OpenVMS I64,OpenVMS Alpha,および OpenVMS VAX 上で Kerberos のクライアントとサーバをサポートします。 Kerberos for OpenVMS Version 2.1 の新機能として,管理者が Kerberos V5 keytab ファイルや V4 srvtab ファイルのエントリの読み取り,書き込み,編集を行うためのメニューを呼び出す ktutil コマンドが含まれています。
HP OpenVMS Management Station Version 3.2-D OpenVMS Alpha Version 8.2 には,OpenVMS Management Station Version 3.2-D が含まれています。
HP SSL for OpenVMS HP SSL Version 1.2 は OpenSSL 0.9.7d をベースとし,openssl.org によって報告されたセキュリティの脆弱性に関する不具合を修正したものです。 OpenVMS I64,OpenVMS Alpha,および OpenVMS VAX 用に HP SSL のサポートが用意されています。 HP SSL Version 1.2 の新機能には,OCSP (Online Certificate Status Protocol),AES (Advanced Encryption Standard),および楕円曲線暗号化機能が含まれます。
HP TCP/IP Services for OpenVMS OpenVMS Version 8.2 では,この製品の Version 5.5 をサポートします。
UNIX ポータビリティ機能 UNIX アプリケーションの OpenVMS への移植を簡単にするために,UNIX ポータビリティ機能が追加されました。
Open Source Tools for OpenVMS OpenVMS Version 8.2 に添付されている Open Source Tools CD には,UNIX から OpenVMS への移植を効率的に行なうためのユーティリティやソースが含まれています。


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