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HP OpenVMS Systems
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HP OpenVMS

HP OpenVMS
V8.2 リリース・ノート【翻訳版】


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第 4 章
システム管理に関する注意事項

この章では,システムの保守と管理,性能の管理,ネットワーキングに関連する情報をまとめます。

このバージョンで提供される新機能の詳細については,『HP OpenVMS Version 8.2 新機能説明書』を参照してください。

4.1 システムのハングアップまたはクラッシュからの回復 (I64 のみ)

V8.2

システムがハングアップしたため,強制的にクラッシュさせたいときは,コンソールから Ctrl/P を押します。クラッシュ・ダンプの強制方法は, XDELTA がロードされているかどうかによって異なります。

XDELTA がロードされている場合, Ctrl/P を押すと,システムが XDELTA に入ります。システムは命令ポインタと,現在の命令を表示します。次の例のように,;C を入力することで XDELTA からクラッシュを強制できます。


$ 
 
Console Brk at 8068AD40 
 
8068AD40!       add      r16 = r24, r16 ;;  (New IPL = 3) 
 
;C  

XDELTA がロードされていない場合, Ctrl/P を押すと,システムがプロンプト "Crash? (Y/N)" で応答します。 Y を入力すると,システムがクラッシュします。これ以外の文字を入力すると,システムでは何も起こりません。

4.2 AUTHORIZE: DEFAULT と SYSTEM アカウントの新規クォータ

V8.2

DEFAULT と SYSTEM アカウントに関するクォータが更新されました。これらの更新されたクォータは, OpenVMS を新規にインストールした場合,または新しい SYSUAF データファイルを作成した場合に適用されます。既存の SYSUAF データ・ファイルは更新されません。

DEFAULT アカウントは,次のように更新されました。

クォータ 以前の値 新しい値
ASTLM 250 300
BYTLM 64,000 128,000
ENQLM 2,000 4,000
FILLM 100 128
PGFLQUOTA 50,000 256,000
TQELM 10 100
WSDEFAULT 2000 4,096
WSQUOTA 4000 8,192

SYSTEM アカウントの更新は,次の 2 つのクォータを除いて DEFAULT アカウントの場合と同じです。

クォータ 以前の値 新しい値
BYTLM 64,000 256,000
PGFLQUOTA 50,000 700,000

既存の SYSUAF ファイルが存在する前バージョンからアップグレードされたシステムでは,システム管理者が DEFAULT と SYSTEM アカウントのクォータを新しい値に更新しても構いません。

4.3 AUTOGEN: NEWPARAMS.DAT ファイルに関する新しい動作

V7.3-2

AUTOGEN は,レイヤード・プロダクト・キットが,製品名を含まない NEWPARAMS.DAT レコードを渡すことを許さなくなりました。これまでこの規則に従っていなかった,最も一般的に使用されている製品は, DECwindows と DECnet-Plus です。 OpenVMS Alpha Version 7.3-2 またはそれ以降をインストールする際には,両方の製品の新しいバージョンをインストールしなければなりません ( 第 1.9.8 項 を参照)。

AUTOGEN は,SYS$SYSTEM:NEWPARAMS.DAT;* というファイルを探します。このファイルには,レイヤード・プロダクトが消費するシステム・リソースの量を示す, SYSGEN パラメータの変更が入っています。ソフトウェア・インストール・キットは,インストールされるソフトウェアの要件を満たすために,システム・マネージャに MODPARAMS.DAT を変更させる代わりに, NEWPARAMS.DAT ファイルを用意します。詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の AUTOGEN の章を参照してください。

4.4 バックアップ・ユーティリティ : 動作変更

V8.2

物理的バックアップの復元に,同じ構造(トラック,シリンダ)の出力ディスクを必要としなくなりました。復元は,出力ディスクの容量が同じかそれ以上であれば機能します。

I64 システム・ディスクに対する BACKUP/IMAGE がサポートされます。 I64 システム・ディスクのイメージは, Alpha システムと I64 システムのどちらでも保存と復元が可能です。

4.5 Oracle® 8i および 9i での DECdtm/XA (Alpha のみ)

V7.3-2

DECdtm/XA を使用して Oracle® 8i/9i XA 準拠リソース・マネージャ (RM) のトランザクションを調整する場合は, XA switch (xaoswd) の動的登録は使用しないでください。動的登録をサポートしている Version 9.0.1.0.0 の Oracle 共有ライブラリは,動作しません。必ず静的登録 XA switch (xaosw) を使用して, Oracle RM を DECdtm/XA Veneer にバインドしてください。

DECdtm/XA V2.1 Gateway は,クラスタ単位のトランザクション回復をサポートするようになりました。クラスタ単位の DECdtm Gateway Domain Log を使用するアプリケーションのトランザクションは,単一ノード障害から回復できるようになりました。残りのクラスタ・ノードで実行されているゲートウェイ・サーバは,障害の発生したノードの代わりに,トランザクション回復プロセスを起動できます。

4.6 デバイス・ユニットの最大数の増加

V8.2

以前のバージョンの OpenVMS では, 10,000 個を超えるクローン・デバイス・ユニットを作成できませんでした。また,ユニット番号は,9999 の後は 0 に戻っていました。このことは,メールボックスや TCPIP ソケットなどの一部のデバイスにとっては,制限事項となっていました。

OpenVMS Version 7.3-2 からは, UCB$L_DEVCHAR2 の DEV$V_NNM ビットがクリアされており, DEVICE_NAMING システム・パラメータのビット 2 がクリアされている場合, OpenVMS は最大 32,767 個のデバイスを作成します。デバイス・ドライバの変更は必要ありませんが,最大のデバイス番号が 9999 であるという前提でコーディングされているプログラムやコマンド・プロシージャは,変更が必要になる場合があります。

4.7 ECP Data Collector と Performance Analyzer V5.5 (Alpha のみ)

V8.2

OpenVMS Alpha Version 8.2 用の Enterprise Capacity and Performance (ECP) Analyzer の推奨バージョンは, Version 5.5 です。 Version 5.5 は,OpenVMS Version 6.2 以降のバージョンと下位互換性があります。

OpenVMS Version 8.2 では, ECP Collector は Performance Data Collector (TDC) Version 2.1 に置き換えられています。 ECP Analyzer は,TDC Version 2.1 以降で生成された収集ファイルを解析できます。

OpenVMS I64 では,ECP Analyzer を現時点ではサポートしていません。

4.8 EDIT/FDL: 推奨バケット・サイズの変更

V7.3

OpenVMS Version 7.3 より前のバージョンでは,EDIT/FDL の実行時に計算されるバケット・サイズ (最大バケット・サイズは 63) が,常に最も近いディスク・クラスタのバウンダリに切り上げられていました。そのため,ディスク・クラスタ・サイズが大きい場合に,ファイルの元々のバケット・サイズは小さいが,バケット・サイズが必要以上に大きく切り上げられるという問題が発生することがありました。バケット・サイズが大きくなるほど,レコードとバケット・ロックの争奪が増加し,性能に大きく影響します。

OpenVMS Version 7.3 以降では,推奨バケット・サイズを計算するためのアルゴリズムが変更され,ディスク・クラスタが大きい場合に,より妥当なサイズが提案されます。

4.9 EFI$CP ユーティリティ: 使用は推奨できない

V8.2

OpenVMS EFI$CP ユーティリティは,現在ドキュメント化されておらず,サポートしないことになっています。このユーティリティは, OpenVMS Version 8.2 では使用しないでください。このユーティリティ内で行われている一部の特権操作により, OpenVMS I64 がブートできなくなることがあります。

4.10 EFI ツール : VMS_SHOW DUMP_DEV エラー (I64 のみ)

V8.2

DUMP_DEV リストが OpenVMS I64 Boot Manager ユーティリティ (BOOT_OPTIONS.COM) を使用して設定されている場合, EFI ユーティリティを使用してEFI シェルの DUMP_DEV EFI NVRAM 変数を表示すると, VMS_SHOW.EFI は,各 DUMP_DEV エントリに対して "Error: Unknown Device" を表示します。 DUMP_DEV リストの表示には, OpenVMS I64 Boot Manager ユーティリティを使用してください。この問題は,次のリリースで解決する予定です。

4.11 Error Log Viewer (ELV) ユーティリティ: TRANSLATE/PAGE コマンド

V7.3-2

TRANSLATE コマンドで /PAGE 修飾子を使用してレポートを参照している際にメッセージが通知された場合,表示が乱れることがあります。この問題を回避するには,Ctrl/W を使用して,表示をリフレッシュします。

メッセージが通知された直後に Ctrl/Z を押すと,プログラムが突然終了します。この問題を回避するには,通知されたメッセージを越えてスクロールした後に Ctrl/Z を押します。

4.12 外部認証

ここでは,外部認証に関する注意事項について説明します。外部認証は OpenVMS Version 7.1 で導入されたオプションの機能であり,この機能を利用すると,OpenVMS システムは外部のユーザ ID とパスワードを使用して,指定されたユーザを認証できます。外部認証の使用方法についての詳細は,『OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド』を参照してください。また,外部認証に関連するリリース・ノートについては, 第 2.14.1 項 を参照してください。

4.12.1 I64 外部認証サポート

V8.2

Advanced Server for OpenVMS V7.3A ECO4 (およびそれ以降) の製品キットには, OpenVMS Cluster 内の I64 システムに対するスタンドアロン外部認証ソフトウェアが含まれています。

I64 が動作している OpenVMS Cluster メンバのノードで NT LAN Manager の外部認証を可能にする場合は, Advanced Server がインストールされている Alpha システムから I64 メンバ・ノードへ I64 スタンドアロン外部認証イメージをコピーする必要があります。また, Advanced Server キットのリリース・ノートで説明されているように正しくセットアップされている必要があります。

4.12.2 DECterm 端末セッションでの SET PASSWORD の動作

V7.2

DECterm 端末セッションでは,ログインで使用する外部ユーザ名にアクセスすることができないため, SET PASSWORD 操作の際に外部ユーザ名を入力しなければなりません。外部ユーザ名のデフォルトは,プロセスのOpenVMS ユーザ名です。デフォルトが適切でない場合 (つまり,外部ユーザ名と,それに対応する OpenVMS ユーザ名が異なる場合),正しい外部ユーザ名を入力しなければなりません。

次の例に,外部ユーザ名が JOHN_DOE であるユーザが開始したSET PASSWORD 操作を示します。マッピングされた OpenVMS ユーザ名は JOHNDOE であり,これは SET PASSWORD 操作で使用されるデフォルトです。この場合,デフォルトは正しくないので,実際の外部ユーザ名がユーザによって指定されています。


$ set password 
External user name not known; Specify one (Y/N)[Y]? Y 
External user name [JOHNDOE]: JOHN_DOE 
Old password: 
New password: 
Verification: 
%SET-I-SNDEXTAUTH, Sending password request to external authenticator 
%SET-I-TRYPWDSYNCH, Attempting password synchronization 
$ 

4.12.3 ワークステーションではパスワードの有効期限切れは通知されない

V7.1

LAN Manager ドメインでは,パスワードの有効期限が切れると,ログインすることはできません。

PC のユーザには,外部ユーザ・パスワードの有効期限が間もなく切れることが通知されるので,有効期限が切れる前にパスワードを変更できます。ところが,外部認証を使用して OpenVMS ワークステーションからログインする場合,ログイン・プロセスは外部パスワードの有効期限が間もなく切れるかどうか判断できません。したがって,パスワードの有効期限が設定されていて,ユーザの大半が PC を使用していないサイトでは,ワークステーション・ユーザに対して外部認証を使用しない方が賢明です。

4.13 INITIALIZE コマンドの変更

V8.2

INITIALIZE コマンドのデフォルト動作は,次のように変更されました。

INITIALIZE コマンドのその他の変更点については, 第 4.17 節 を参照してください。 INITIALIZE コマンドについての詳細は,オンライン・ヘルプ,または『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

4.14 INSTALL ユーティリティ

V8.2

以前のバージョンで /TRACEBACK を指定してリンクされたプログラムは, /RESIDENT 修飾子を使用してインストールすることはできませんでしたが,この制限はなくなっています。 /TRACEBACK を指定してリンクされたプログラムでも,そのプログラムが特権なしでインストールされる場合は, INSTALL で /RESIDENT 修飾子を使用できます。

4.15 ロック・マネージャ

ここでは, OpenVMS 分散ロック・マネージャに関する注意事項について説明します。

4.15.1 ロック値ブロックの拡張

V8.2

Alpha システムと I64 システムでは,ロック値ブロックが, 16 バイトから 64 バイトに拡張されました。この拡張による利点については,次の資料を参照してください。

アプリケーションでのこの機能を使用するかどうかは任意ですが,この機能を使用していなくても,各ロック・リソースを定義する RSB$ データ構造体のサイズが 48 バイトだけ大きくなります。

4.15.2 高速ロック再マスタリングと PE1

V7.3

ロック・マネージャには,ロック再マスタリングという機能があります。ロック再マスタリングとは,リソース・ツリーのロック・マスタの権利をクラスタ内にある別のノードに移動することです。ロック・ツリーのマスタになるノードは,クラスタ内の別のノードとのやり取りが不要なため,ローカルなロック要求をより高速で処理することができます。ほとんどのロック処理を実行するノードにロック・ツリーがあると,システム全体の性能が向上します。

OpenVMS Version 7.3 より前のバージョンで,ロック再マスタリングを実行すると, 1 つのローカル・ロックにつき 1 つのメッセージがすべてのノードから新しいマスタに送信されていました。このため,非常に大規模なロック・ツリーの場合には,ロック再マスタリング処理を実行するために膨大な時間が必要でした。しかも,この処理中には,ロック・ツリーに対するすべてのアプリケーションのロックが停止されました。

OpenVMS Version 7.3 以降では,ロック・データの新しいマスタへの送信は,非常に大規模な転送で実行されます。これはより効率的な処理であり, 1 つのロック・ツリーを 3〜20 倍速く移動することができるようになります。

ロック再マスタリングの大規模転送を使用することができるのは, OpenVMS Version 7.3 以降のバージョンを実行しているノードだけです。 OpenVMS Version 7.3 以降のノードとそれより前のバージョンを実行しているノードとの間の再マスタリングでは,引き続き 1 つのロックにつき 1 つのメッセージを送信する必要があります。

PE1 システム・パラメータを使用して,再マスタリングの対象となりうるロック・ツリーのサイズを制限している場合には,その値を増やして大規模なロック・ツリーを移動できるようにするか,その値をゼロ (0) に設定してどのようなサイズのロック・ツリーでも移動できるようにします。

4.16 Logical Disk (LD) ユーティリティ: 問題の修正

V7.3-2

以前のバージョンの OpenVMS では,Logical Disk (LD) ユーティリティが,コンテナ・ファイルのキャッシュをバイパスすることがありました。コンテナ・ファイルの読み取りや書き込みに RMS が使用された場合,ファイルへの接続と,その後の書き込み中の論理ディスクへの接続に LD ユーティリティが使用されると, RMS は古いデータを持つことになります。

この問題は,LD ユーティリティを使用して, CD-ROM に書き込むイメージを作成する場合に,主に発生していました。

この問題は解決されたため, LD ユーティリティのコンテナ・ファイルとして使用されるファイルのキャッシュを,次の DCL コマンドを使用してオフにする必要はなくなりました。


$ SET FILE/CACHING_ATTRIBUTE=NO_CACHING CONTAINER_FILE.DSK. 

4.17 On-Disk Structure (ODS) のレイアウトの変更

V8.2

OpenVMS Version 8.2 から,DCL の INITIALIZE コマンドに,新しい /GPT 修飾子が用意されました。この修飾子は I64 システム上でデフォルトで有効になり, GPT.SYS と呼ばれる新しいシステム・ファイルが作成されます。この新しい GPT.SYS ファイルには, OpenVMS のブートブロック情報が収められています (GPT は global unique identifier partition table の略です。)

Alpha システムでは,/NOGPT がデフォルトです。 INITIALIZE コマンドの詳細は,オンライン・ヘルプ,または『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

GPT.SYS が存在する場合,このボリュームのボリューム論理ブロックのレイアウトは, Version 8.2 より前の Alpha システムでのレイアウトと異なります。 GPT.SYS は,ボリューム上の最初と最後の論理ブロック (つまり,LBN 0 と LBN MAXBLOCK-1 [F$GETDVI 関数に項目コード MAXBLOCK を指定して返される値に基づく]) を,最小サイズがそれぞれ 34 ブロックの 2 つのセグメントにマッピングします。たとえば,/CLUSTER_SIZE=8 のボリュームでは,マップ領域は次のように表示されます。


DUMP/HEADER/BLOCK=COUNT=0 [000000]GPT.SYS 
     : 
     . 
     Map area 
            Retrieval pointers 
                     Count:      40    LBN:          0 
                     Count:      40    LBN:   71132920 

[000000]INDEXF.SYS ファイルの最初のブロックが LBN 0 に対応していることを前提としているプログラムを, GPS.SYS ファイルがある OpenVMS I64 システムまたは Alpha システム上で実行する場合,最初のブロック (VBN 1) の対応関係を変更しなければなりません。 GPT.SYS では, VBN 1 はブート・ブロックには対応しなくなりました。 INDEXF.SYS の LBN 0 と VBN 1 の間の対応関係に前提を置かず, INDEXF.SYS の VBN レイアウトを必ず使用するプログラムであれば,変更の必要はありません。ただし,このようになっていることを確認する必要があります。

INDEXF.SYS の VBN レイアウトについては,現在,『Guide to OpenVMS File Applications』の第 1.2.1 項と, Kirby McCoy 著『VMS File System Internals』 (ISBN 1-55558-056-4, 1990) の第 2.5.1 項に記載されています。

注意

/GPT を指定すると,そのディスクは OpenVMS Version 7.2 よりも古いバージョンが動作しているシステムにはマウントできません。

INITIALIZE コマンドのその他の変更点については, 第 4.13 節 を参照してください。 INITIALIZE コマンドについての詳細は,オンライン・ヘルプ,または『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。


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