HP OpenVMS Systems Documentation |
| 前へ | 次へ | 目次 | 索引 |
この章では,システム管理に関連する,新機能,変更点,拡張された機能について説明します。
3.1 OpenVMS I64 Boot Manager (BOOT_OPTIONS.COM) ユーティリティ
OpenVMS I64 Boot Manager (BOOT_OPTIONS.COM) ユーティリティは,メニュー方式のユーティリティで,OpenVMS I64 が稼働する Integrity サーバでの EFI ブート・オプションの管理を容易にします。このユーティリティでは次の作業を行えます。
OpenVMS I64 のインストール後に,このユーティリティを使用してシステム・ディスクを EFI Boot Manager リスト内の最初のブート・エントリとして追加することをお勧めします。 Fibre Channel ストレージ・デバイスからのブートを設定するためには,このユーティリティを必要とします。他のデバイスではすべて,このユーティリティはオプションです。このユーティリティは使いやすいので, EFI Boot Manager ではなくこのユーティリティをできる限り使用することをお勧めします。 Fibre Channel デバイスの設定に関する情報は,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。 OpenVMS Boot Manager ユーティリティについては,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。
3.2 OpenVMS I64 システムのクラスタリング
OpenVMS Cluster ソフトウェアでは,現在,OpenVMS Alpha システムと OpenVMS VAX システムに提供されている機能とほとんど同じ機能が OpenVMS I64 システムに提供されます。
OpenVMS Cluster の主要な機能は,以下のとおりです。
サテライト・ブートは,今回のリリースではサポートしていません。この機能は将来のリリースでサポートする予定です。
3.2.1 OpenVMS I64 Cluster のインタコネクト・サポート
OpenVMS I64 システムでは,クラスタ間通信 (SCS トラフィック) 用に Ethernet,Fast Ethernet, Gigabit Ethernet を使用することができます。ただし,OpenVMS Alpha システムのクラスタ間通信でサポートされている FDDI と ATM は,OpenVMS I64 システムではサポートされません。
FDDI アダプタと ATM アダプタは,OpenVMS I64 システムでクラスタ・インタコネクトとしてサポートされませんが,マルチ・サイト・クラスタ内でのサイト間のインタコネクトとしてはサポートされます。 OpenVMS I64 ノードの FastEthernet/GigabitEthernet NIC と WAN サプライヤが提供する任意のサイト間のインタコネクト (たとえば T3,E3, SONET,ATM,FDDI,DWDM,他) の接続にはブリッジやスイッチを使用できます。
OpenVMS Cluster ソフトウェアは,Alpha システムでは,次の 3 つの独自のクラスタ・インタコネクトをサポートしていますが,OpenVMS I64 システムではサポートされません。 DSSI (DIGITAL Systems Storage Interconnect), CI (Cluster Interconnect) と MEMORY CHANNEL です。
DSSI と CI は OpenVMS I64 システムではサポートされませんが, Alpha システムに接続された DSSI ディスクと CI ディスクに格納されたデータは,同一クラスタ内の OpenVMS I64 システムで使用することができます。
OpenVMS I64 システムでは,Fibre Channel を,共用ストレージ・クラスタ・インタコネクト用にサポートしていますが, SCSI はサポートしていません。 (OpenVMS Alpha システムでも,最新の SCSI アダプタは共用ストレージ・クラスタ・インタコネクト用の SCSI としてはサポートしていません。)
ただし,OpenVMS I64 システム,または OpenVMS Alpha システムに直接接続された SCSI ディスクに格納されたデータは,クラスタ内の任意のメンバから使用することができます。これは,OpenVMS Cluster システム内でローカルに接続されたすべてのディスクについていえます。
3.2.2 複合アーキテクチャ・クラスタ
OpenVMS は,複合アーキテクチャ・クラスタで OpenVMS Alpha システムと OpenVMS I64 システムの両方をサポートします。この構成でサポートする OpenVMS Alpha のバージョンは, OpenVMS Alpha Version 7.3--2 です。これらのバージョンが混在したクラスタをサポートするためには,『HP OpenVMS Version 8.2 リリース・ノート [翻訳版]』で説明されている修正キットをインストールする必要があります。次の Web サイトにある HP OpenVMS Version 8.2 のドキュメント・セットを参照してください。
http://www.hp.com/go/openvms/doc |
図 3-1 に,OpenVMS I64 システムを追加した OpenVMS Cluster システムを示します。
図 3-1 Alpha システムと I64 システムが組み込まれた OpenVMS Cluster システム
クラスタ内のすべてのシステムで LAN インタコネクトをクラスタ間通信用に使用しています。この構成では,OpenVMS Alpha システムと OpenVMS I64 システムの両方から同じ Fibre Channel ストレージに同時にアクセスできます。 Fibre Channel ディスクに直接接続された I64 システムは, CI ディスクのデータを使用できることに注意してください。 OpenVMS の複合アーキテクチャ・クラスタでは,各アーキテクチャに対して少なくとも 1 つのシステム・ディスクが必要です。今回のリリースでは,クラスタで最大 8 台の I64 システムをサポートします。複合アーキテクチャ・クラスタでは,合計が最大 16 システムとなるように,最大 8 台の I64 システムを Alpha システムに混在させることができます。
3.2.2.1 複合アーキテクチャ・クラスタでのストレージ
この項では,OpenVMS I64 システムと OpenVMS Alpha システムで構成した複合アーキテクチャ・クラスタでの,システム・ディスクを含むストレージに関連する規則について説明します。
図 3-2 に,ローカルに接続したストレージと共用 SAN (Storage Area Network) を持つ, OpenVMS I64 システムと OpenVMS Alpha システムの複合アーキテクチャ・クラスタの単純な例を示します。
図 3-2 複合アーキテクチャ OpenVMS Cluster のストレージ
複合アーキテクチャ OpenVMS Cluster システム内の I64 システムの特徴は,次のとおりです。
複合アーキテクチャ OpenVMS Cluster システム内の Alpha システムの特徴は,次のとおりです。
EFI ユーティリティは, OpenVMS I64 が動作する Integrity サーバ・システム向けのデバイス管理機能です。これらのユーティリティは EFI シェルでの対話形式の操作になります。各ユーティリティを起動するコマンドは, OpenVMS オペレーティング・システムをシャットダウンしてから, EFI Shell> プロンプトで \efi\vms から実行する必要があります。以下のコマンドがあります。
詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の EFI ユーティリティの章を参照してください。
3.4 HP Performance Data Collector (TDC)
OpenVMS Version 8.2 では,HP Performance Data Collector for OpenVMS (TDC V2.1) を使用することができます。 Performance Data Collector (TDC) を使用すると,約 1100 システムの性能メトリックを Alpha システムと I64 システムから収集することができます。このメトリックは,他のアプリケーション・ソフトウェアで解析することができます。
収集するメトリックは,以下のとおりです。
OpenVMS Version 8.2 には,Performance Data Collector のランタイム・バージョン (TDC_RT V2.1) がインストールされます。ランタイム・バージョンは,データ収集アプリケーションとサポート・ファイルで構成されます。データ収集アプリケーションは自動的には起動されませんが,適切な特権を持ったユーザであれば手操作で起動や停止を行なうことができます。
ダウンロードできるキットには,サポートするすべてのシステム構成用の実行時環境の他に, SDK (Software Developer Kit) が含まれています。
| プラットフォーム | OpenVMS のバージョン |
|---|---|
| Alpha システム | Version 7.3-2 または Version 8.2 |
| I64 システム | Version 8.2 |
SDK には, TDC アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) と C ヘッダ・ファイル,およびサンプル・コードを説明したプログラマ・マニュアルが用意されています。 API を使うと,各種の方法で TDC が他のアプリケーションと統合された,次のようなソフトウェアを開発できます。
SDK を使って作成したソフトウェアは,OpenVMS とともに配布されインストールされる TDC_RT キット,または完全な TDC キットをインストールした実行時環境で動作します。
ダウンロード可能な完全なキットと追加ドキュメントは,次の Web サイトから入手できます。
http://h71000.www.7hp.com/openvms/products/tdc/
|
3.5 Ethernet LAN ドライバ: 全二重モードと半二重モードの不一致
Ethernet LAN ドライバは,次のいずれかの条件で,全二重モードまたは半二重モードで動作します。
これらの条件のいずれかが満たされている場合に,二重モードを誤って設定すると,二重モードの不一致が発生します。
二重モードの不一致の例は,次のとおりです。
LAN デバイスを,100 Mビット/秒の全二重モードで動作するように設定しています。しかし,スイッチ・ポートにはオート・ネゴシエーションが設定されています。スイッチ・ポートは,速度は正しく判定しますが,半二重モードを選択します。
3.5.1 二重モード不一致の結果
二重モードの不一致が発生すると,全二重モードのリンク終端では,送信データがあれば必ず送信します。受信パケットでリンクが占有されていないか確認することなく送信するので,その結果送信エラーと受信エラーが発生します。
パケットが失われるエラーに対しては,アプリケーションでは次のいずれかの対処が必要になります。
その結果,アプリケーションによっては,性能が著しく低下します。したがって,このような状況を見つけて,修正しておくことが重要です。
3.5.2 二重モードの不一致の検出と修正
すべての全二重モード対応の LAN デバイス用の Ethernet LAN ドライバは,上記の状況を検出して報告するように変更されました。したがって,システム管理者は,この報告に基づいて修正することができます。各ドライバはエラー・カウンタを定期的にチェックします。二重モード不一致の状況が存在していると判断した場合には,ドライバは次のコンソール・メッセージを表示します。
%EWAO, Possible duplex mode mismatch condition detected
|
また,LAN ドライバは,エラー・ログ・エントリを作成します。このエントリのエラー・タイプは OxDD です (エラー・ログ・ビューアがエントリを英語に変換しない場合は,このエラー・タイプで検索できます)。 LAN ドライバはリンクが停止したり,再び稼働したときもエラー・ログ・エントリを作成します。
LAN ドライバのエラー・ログは,次のエラー・タイプで検索して,エラー・ログ・エントリを解読することができます。
| エラー・タイプ | 説明 |
|---|---|
| OxCA | 接続が有効 (リンクは稼働中) |
| OxCD | 接続が停止中 (リンクが停止中) |
| OxDD | 疑わしい二重モード (おそらく二重モードの不一致) |
各エラー・ログ・エントリは同じ形式になっており,エラー・タイプ・コードは同じ位置にあります。
エラー・ログ・エントリとコンソール・メッセージは,状況が改善しない限り, 1 時間ごとに繰り返されます。
LANCP または ANALYZE/SYSTEM を使うと,デバイス・カウンタからさらに詳しい情報を取得できます。
3.6 ホスト・ベース・アダプタ (HBA) のサポート
以降の項では,OpenVMS Version 8.2 での次の HBA のサポートについて説明します。
3.6.1 OpenVMS I64 システムと OpenVMS Alpha システムでの Fibre Channel HBA のサポート
OpenVMS I64 Version 8.2 では,Fibre Channel ストレージの外部接続用に,デュアル・ポート 2GB/1GB Fibre Channel Universal PCI-X HBA (A6826A) だけをサポートします。この HBA は,新しいドライバ PGQDRIVER でサポートされますが,これは既存のドライバ DKDRIVER へのポート・ドライバとして実装されています。 Integrity サーバ用の OpenVMS I64 V8.1 評価用リリースでサポートしていた PCI-X 1 ポート FCA2404 2GB アダプタ (AB232A または KGPSA-EA, AlphaServers では LP9802) は,OpenVMS V8.2 以降ではサポートされません。したがって,ユーザは外部 Fibre Channel ストレージ用には,FC アダプタ AB232A または KGPSA-EA を A6826A アダプタで置き換える必要があります。
OpenVMS Alpha Version 8.2 では,新しい Fibre Channel HBA である LP10000 をサポートしています。 LP10000 は, AlphaServer の DS および ES サーバ・ファミリでサポートされています。 LP10000 には,シングル・チャネル・バージョンとデュアル・チャネル・バージョンがあります。
LP10000 は,パッチ・キットとコンソール・ファームウェア V6.6 によって,旧バージョンの OpenVMS Alpha (Version 7.3-1,および Version 7.3-2) でもサポートされます。
FIBRE_SCSI というルート名を持つ各バージョンのパッチ・キットは,次の Web サイトから入手できます。
http://h71000.www7.hp.com/serv_support.html |
「Service tools」から「Patches for OpenVMS」,または「FTP site for OpenVMS patches」のいずれかを選択してください。
これらの HBA についての詳細は,HP Integrity サーバまたは使用するアダプタのハードウェア・マニュアルを参照してください。
| 前へ | 次へ | 目次 | 索引 |