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HP OpenVMS Systems
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OpenVMS

OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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7.3.1 入力指定子と出力指定子の要素リスト

要素リストとは,コマンドや修飾子で指定する引数のリストのことです。引数すなわち要素は,コンマで区切ります。入力または出力指定子について要素リストを使用できるのは,次の場合に限定されます。

7.3.2 BACKUP の修飾子

BACKUP 処理には,修飾子を指定することもできます。使用できる修飾子は,次の 5 種類です。

注意

イメージ処理では,入力または出力指定子を使用できません。

それぞれの修飾子の使用方法を,充分理解するようにしてください。 BACKUP コマンド行のどこに修飾子を入力するかによって,結果が異なります。コマンド修飾子は,コマンド行のどこにでも入力できますが,入力指定子と出力指定子の修飾子は,位置によって意味が決まります。入力指定子修飾子は入力指定子の直後,出力指定子修飾子は出力指定子の直後に入力してください。

また,BACKUP 修飾子には,入力指定子修飾子としても出力指定子修飾子としても使用できる修飾子がいくつかあります。正常に動作させるため,位置によって意味が決まる修飾子は,必ず正しい位置に入力してください。たとえば /SAVE_SET 修飾子は,BACKUP セーブ処理の出力セーブ・セット修飾子としても,BACKUP 復元処理の入力セーブ・セット修飾子としても使用します。

BACKUP 修飾子の組み合わせ方法の詳細については, 付録 G を参照してください。

7.3.3 BACKUP でのワイルドカード文字の使用方法

BACKUP では,ディレクトリ,ファイル名,ファイル・タイプ,およびバージョン番号を示すファイル指定で,ワイルドカード文字を使用できます。ファイル名,ファイル・タイプ,バージョン番号のいずれかを省略すると,ワイルドカード文字のアスタリスク(*)が使用されます。たとえばバージョン番号を省略すると,すべてのバージョンが処理されます。ワイルドカード文字の概要については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

有効な DCL ワイルドカード文字であれば,Files-11 媒体である入力指定子や /SELECT,/EXCLUDE の修飾子に使用できます。ただし,ファイルの最新バージョンを示す記号 (;) やファイルの相対バージョンを示す記号 (;-n) を /EXCLUDE,/SELECT 修飾子で使用した場合,これらの記号はワイルドカード文字のアスタリスク (;*) として処理されます。

セーブ・セットがテープ上の入力指定子でないかぎり,BACKUP セーブ・セット指定にワイルドカード文字を使用することはできません。

ワイルドカード文字によるディレクトリ表現

次の表は,Files-11 媒体である出力指定子に使用できるディレクトリ・ワイルドカード文字の種類です。

ディレクトリ・ワイルドカード文字 結果
省略 ディレクトリ名を省略した場合,ファイルは現在の省略時のディレクトリ [] に格納される。
[*...] ファイルは,セーブ元のディレクトリに復元される。
[ディレクトリ] ファイルは,指定ディレクトリに復元される。
[ディレクトリ...] 入力ファイルの指定に使用したワイルドカード文字により,ファイルの復元先ディレクトリが決まる。

注意

OpenVMS ディレクトリ木構造は, ODS-2 ファイルでは 8 レベルまでに限定されているため,ディレクトリに多数のサブディレクトリ・レベルがあるときにディレクトリ・ワイルドカード文字の使用方法を誤ると, BACKUP 処理中に下位レベルのサブディレクトリを失う恐れがあります。ただし,ODS-5 ファイルでは,この 8 レベルの制限はありません。

次は,入力指定子と出力指定子におけるディレクトリ・ワイルドカードの形式 [ディレクトリ...] の使用例です。


$ BACKUP [OSCAR...] [JOE.RECEIVED...]

ディレクトリ [JOE.RECEIVED] (まだ存在しない場合) のほか,[OSCAR] のサブディレクトリに対応するサブディレクトリが作成されます。ディレクトリ [OSCAR] とそのサブディレクトリのすべてのファイルが [JOE.RECEIVED] とそのサブディレクトリにコピーされます。ただし, [OSCAR] に 8 レベルのディレクトリがあり,その中のファイルが ODS-2 である場合,第 9 レベルのサブディレクトリは,[JOE.RECEIVED] に作成されません。つまり,[OSCAR] の第 8 レベルのサブディレクトリは,コピーされません (この制限は ODS-5 ファイルには適用されません)。

コピー処理で,ワイルドカード文字のアスタリスク (*) を使用して入力指定子のサブディレクトリを表現すると,入力指定子のサブディレクトリに対応するサブディレクトリが,出力指定子に指定したディレクトリに対して作成されます。次に,入力指定子の最下位レベルのサブディレクトリのすべてのファイルが,出力指定子の最下位レベルのサブディレクトリにコピーされます。次の例では, MONDAY と TUESDAY というサブディレクトリをアスタリスクで表しています。


$ BACKUP [SAM.WORK.*.WEDNESDAY] [JAMES...]

この例では,[JAMES.MONDAY.TUESDAY.WEDNESDAY] というサブディレクトリが作成されます。MONDAY.DIR ファイルが [JAMES] にコピーされ, TUESDAY.DIR ファイルが [JAMES.MONDAY] にコピーされ, WEDNESDAY.DIR ファイルが [JAMES.MONDAY.TUESDAY] にコピーされます。次に,[SAM.WORK.MONDAY.TUESDAY.WEDNESDAY] のすべてのファイルが, [JAMES.MONDAY.TUESDAY.WEDNESDAY] にコピーされます。

復元処理でセーブ・セット修飾子 /SELECT を使用しない場合,入力指定子として [*...] が使用されます。出力指定子に [ディレクトリ...] 形式を使用する場合は,この点に注意する必要があります。ワイルドカード文字 [*...] の機能は,第 1 レベルからのディレクトリ名全体を出力指定子の省略記号の前に置くことです。したがって,たとえば次の例のセーブ・セットに木構造 [SAVE...] があるとすると,復元されるディレクトリ木構造は,[WORK.SAVE...] となります。


$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK [WORK...]

出力指定子が入力指定子のディレクトリと同じ名前である場合も,次のように結果は同じです。


$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK [SAVE...]

木構造 [SAVE...] を [SAVE.SAVE...] という木構造に復元します。

次のコマンドは,木構造 [SAVE...] を [WORK...] という木構造に復元します。


$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK/SELECT=[SAVE...] [WORK...]

ファイルを復元するときに元のディレクトリを保持するためには,出力指定子に [*...] 形式を使用するか,または入力セーブ・セット修飾子 /SELECT を指定します。次の例では,出力指定子に [*...] を使用し,セーブ・セット SAVE.BCK の木構造 [SAVE...] を木構造 [SAVE...] に復元します。


$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK [*...]

入力セーブ・セット修飾子 /SELECT は,ファイル指定の省略記号部分だけを,出力指定子 [ディレクトリ...] のディレクトリ木構造に転送します。次のコマンドは,[SAVE...] を [SAVE...] に復元します。


$ BACKUP MTA0:SAVE.BCK/SELECT=[SAVE...] [SAVE...]

7.4 BACKUP 使用方法の要約

BACKUP ユーティリティは,ファイルやファイル・ボリュームの複製を作成することによって,データの消失や破損を防止します。

BACKUP は,公用媒体の保護を目的としてシステム管理者やオペレータが使用することを主な目的としています。ただし,BACKUP は誰でも利用できるので,VMS システム間でファイルを個人的にコピーしたり転送したりできます。

システム・ディスクは次のいずれかの方法でバックアップをとることができます。


形式

BACKUP 入力指定子 出力指定子


パラメータ

入力指定子

BACKUP 処理の入力を指定します。入力指定子には, OpenVMS 標準ファイル指定,BACKUP セーブ・セット指定,デバイス名のどれでも使用できます。ディスク上のセーブ・セットを入力指定子とする場合,入力セーブ・セット修飾子 /SAVE_SET を使用してください。

DECnet ノード名は,セーブ・セット指定以外には使用できません。

磁気テープが媒体である場合,OpenVMS 標準ファイル指定とセーブ・セット指定にワイルドカード文字を使用できます。

出力指定子

BACKUP 処理の出力を指定します。入力指定子と同様, OpenVMS 標準ファイル指定,BACKUP セーブ・セット指定,デバイス名のどれでも使用できます。ディスク上のセーブ・セットを出力指定子とする場合,出力セーブ・セット修飾子 /SAVE_SET を使用してください。

DECnet ノード名は,セーブ・セット指定以外には使用できません。

Files-11 ボリュームを出力指定子とする場合,ワイルドカード文字を使用できます。BACKUP セーブ・セットを出力指定子とする場合や BACKUP/PHYSICAL や BACKUP/IMAGE で作成したボリュームを出力指定子とする場合は,ワイルドカード文字を使用できません。 BACKUP コマンドでワイルドカード文字を使用する際の制約については, 第 7.3.3 項 を参照してください。


説明

オンライン BACKUP を起動するには,使用したい BACKUP コマンドを DCL プロンプトに入力します。スタンドアロン BACKUP の起動方法については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

BACKUP コマンドを入力すると,入力指定子,出力指定子,および修飾子をもとに,実行する処理のタイプが決定されます。入力指定子は,ユーティリティに入力を取り込むのに使用され,出力指定子は,出力先を決めるのに使用されます。出力指定子は,ファイル,ディスク上のセーブ・セット,磁気テープ上のセーブ・セットのいずれも指定できます。

コマンドの実行が終了すると,DCL コマンド・レベルに戻ります。 BACKUP コマンドの実行を中断するには,Ctrl/Y を押します。作成中のファイルがある場合,Ctrl/Y を押すと同時にそのファイルはクローズされ,クローズされるまでの部分だけが作成されます。

BACKUP をバッチ・モードで使用する場合,オペレータ・ターミナルにメッセージを送るには,ユーザ特権 TMPMBX が必要です。順編成ディスクで構成されるボリューム・セットに対してセーブ処理を行う場合,継続ボリュームに書き込むためには,ユーザ特権 PHY_IO または LOG_IO が必要です。BACKUP 修飾子を複数使用する場合も,特権が必要となります。どのような特権が必要であるかについては,それぞれの修飾子の項で説明します。

7.5 BACKUP の修飾子

この項では,BACKUP の修飾子について,例を挙げて説明します。 BACKUP 修飾子の位置が BACKUP 処理にどのように影響するかを,充分理解するようにしてください。BACKUP コマンド行の形式については, 第 7.2 節 を参照してください。 表 7-2 は,BACKUP 修飾子の一覧です。

表 7-2 BACKUP の修飾子の要約
修飾子 説明
/ALIAS 別名ファイル・エントリと 1 次ファイル・エントリの複数回の処理に関して,前バージョンの動作を使用するかどうかを指定する。
/ASSIST BACKUP 処理時に磁気テープをマウントできなかった場合,オペレータやユーザによる操作を可能とする。
/BACKUP BACKUP/RECORD コマンドでファイル・ヘッダ・レコードに書き込んだ BACKUP 日付をもとにファイルを選択する。
/BEFORE 指定した日時より前の日付のファイルを選択する。
/BLOCK_SIZE BACKUP セーブ・セット内のデータ・レコードの出力ブロック・サイズをバイト数で指定する。
/BRIEF セーブ・セット内の各ファイルについて,ファイル指定,ブロック数によるサイズ,作成日付を /LIST 修飾子に表示させる。
/BUFFER_COUNT 現在使用されておらず,効果はない。
/BY_OWNER 入力ファイル選択修飾子とした場合,指定した UIC が所有するファイルを処理する。

出力ファイル修飾子とした場合,復元するファイルの所有者 UIC (ユーザ識別コード) を再定義する。

出力セーブ・セット修飾子とした場合,セーブ・セットの所有者UIC (ユーザ識別コード) を指定する。

/COMMENT 出力セーブ・セットの BACKUP 要約レコードとする文字列を入力する。
/COMPARE 第 1 パラメータの内容を第 2 パラメータの内容と比較する。
/CONFIRM 各ファイルを処理する前に,確認プロンプトをターミナル上に表示する。
/CONVERT ODS-5 ファイル名を ODS-2 ファイル名に変換する。
/CRC 入力セーブ・セット修飾子とした場合,セーブ・セットのデータ・ブロックにコード化されているソフトウェア巡回冗長チェック (CRC) をチェックする。

出力セーブ・セット修飾子とした場合,CRC を実行し,出力セーブ・セットのデータ・ブロックに結果を格納することを指定する。

/CREATED 各ファイル・ヘッダ・レコードの作成日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。
/CREATED 各ファイル・ヘッダ・レコードの作成日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。
/DELETE BACKUP のセーブ処理やコピー処理において,すべてのファイルの処理が正常終了したとき,選択した入力ファイルを入力ボリュームから削除することを指定する。
/DENSITY 出力磁気テープの記録密度を指定する。
/EXACT_ORDER BACKUP操作で使用するテープ・ボリューム・ラベルの正確な順序を指定する。
/EXCLUDE セーブ処理やコピー処理の選択基準を満たすファイルを処理対象から除外する。
/EXPIRED 各ファイル・ヘッダ・レコードの満了日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。
/FAST 高速ファイル検索で入力指定子を処理し,処理時間を短縮する。
/FILES_SELECTED セーブ・セットの復元時に選択される予定のファイルのリストを含むファイルを指定する。
/FULL /LIST コマンド修飾子が出力する情報を, DCL の DIRECTORY/FULL コマンドの表示形式で表示する。
/GROUP_SIZE 各冗長グループのブロック数を定義する。
/HEADER_ONLY BACKUP が shelved ファイルおよび preshelved ファイルのファイル・ヘッダのみを保存するかどうかを制御する。
/IGNORE BACKUP のセーブ処理やコピー処理において,ファイルに対する制約を変更すること,またはラベル処理チェックを行わないことを指定する。
/IMAGE ボリューム全体またはボリューム・セット全体を処理する。
/INCREMENTAL 一連の追加型セーブ・セットから 1 つのディスク・ボリュームを復元する。
/INITIALIZE 出力ディスク・ボリュームを初期化し,以前のすべての内容を使用不能とする。
/INPUT_FILES ファイルのリストのファイル名として入力指定子を扱うように BACKUP に指示する。このファイルは BACKUP 操作の入力ファイルを指定する。
/INTERCHANGE BACKUP セーブ・セットの読み込みを他のユーティリティやシステムに禁止する情報を除外することにより,データ交換 (ソフトウェア配布) に適した方式でファイルを処理する。
/JOURNAL BACKUP セーブ処理で BACKUP ジャーナル・ファイルを作成すること,または BACKUP ジャーナル・ファイルに情報を付加することを指定する。
/LABEL セーブ・セットの書き込み先である磁気テープまたはディスクに対し,それぞれ 6 文字または 12 文字以内のボリューム・ラベルを指定する。
/LIST BACKUP セーブ・セットとセーブ・セット内ファイルに関する情報をリストする。
/LOG 処理するファイルのファイル指定をSYS$OUTPUT に表示する。
/MEDIA_FORMAT データ・レコードを自動的に圧縮しブロッキングするかどうかを制御する。
/MODIFIED 各ファイル・ヘッダ・レコードの変更日付フィールド値 (ファイルを最後に変更した日付) をもとに,ファイルを選択する。
/NEW_VERSION ファイルの復元先やコピー先に,同じファイル指定のファイルがすでに存在している場合,新しいバージョンのファイルを作成する。
/NOINCREMENTAL セーブ操作で保存されるデータの量を制御する。
/OVERLAY 復元処理において,同名のファイルが存在する場合,既存ファイルを上書きする。
/OWNER_UIC /OWNER_UIC修飾子は/BY_OWNER修飾子に変更された。コマンド・プロシージャとオペレータ命令で使用しているOWNER_UICは/BY_OWNERに変更することが望ましい。詳しくは/BY_OWNER修飾子の説明を参照。
/PHYSICAL 入力ボリュームのファイル構造を無視し,論理ブロック単位で入力ボリュームを処理することを指定する。
/PROTECTION ディスク上にセーブ・セットを作成する場合,出力セーブ・セットに適用する保護を定義する。磁気テープ上にセーブ・セットを作成する場合,磁気テープ・ボリュームに適用する保護を定義する。
/RECORD ファイルのセーブ処理やコピー処理が正常終了したとき,各ファイル・ヘッダの BACKUP 日付フィールドに現在の日時を記録する。
/RELEASE_TAPE BACKUPセーブ操作でセーブ・セットを書き込み,チェックした後,またはテープの最後に到達した後,テープをディスマウントし,アンロードする。
/REPLACE 出力指定子のファイルを,入力指定子の同名ファイルと置換する。
/REWIND 入力セーブ・セット修飾子とした場合,入力ボリュームを読み込む前に,入力テープ・リールをテープの先頭マーカまで巻き戻す。出力セーブ・セット修飾子とした場合,出力テープをテープの先頭マーカまで巻き戻し,出力テープを初期化する。
/SAVE_SET 入力セーブ・セット修飾子とした場合,入力ファイルを BACKUP セーブ・セットとして扱う。

出力セーブ・セット修飾子とした場合,出力ファイルを BACKUP セーブ・セットとして扱う。

/SELECT 指定したファイルを処理対象として選択する。
/SINCE 指定した日時以降の日付のファイルを選択する。
/TAPE_EXPIRATION 現在の日付以外の日付を,セーブ・セットのファイル・ヘッダ・ラベルに満了日付として書き込む。
/TRUNCATE コピー処理や復元処理において,順編成出力ファイル作成時に,ファイルの終端 (EOF) でファイルを切り捨てるかどうかを制御する。
/VERIFY セーブ処理,復元処理,またはコピー処理が終了した後,出力指定子の内容を入力指定子の内容と比較することを指定する。
/VOLUME ディスク・ボリューム内の特定のディスク・ボリュームを処理対象とすることを指定する。


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