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HP OpenVMS Systems
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OpenVMS

OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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第 10 章
Error Log Report Formatter (ERF) ユーティリティ

10.1 ERF について

Error Log Report Formatter (ERF) ユーティリティは,1 つ以上のエラー・ログ・ファイルの内容を選択的にレポートするシステム管理ツールです。次のイベントが発生すると,エラー・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS の最新バージョンに,オペレーティング・システムが自動的にメッセージを書き込みます。

イベント 説明
エラー デバイス・エラー,デバイス・タイムアウト,マシン・チェック,バス・エラー,メモリ・エラー (ハードまたはソフト・エラー訂正コード (ECC) エラー),非同期書き込みエラー,未定義割り込み,バグチェック
ボリューム変更 ボリュームのマウントとディスマウント
システム・イベント コールド・スタートアップ,ホット・スタートアップ,システム障害 (クラッシュ) スタートアップ, Send Message to Error Logger ($SNDERR) システムからのメッセージ

Error Log Report Formatter (ERF) は,アダプタ,ディスク,テープ,CPU,メモリなど, VMS サポート・ハードウェアではほとんど使用できますが, DEQNA など,通信デバイスの中には使用できないものもあります。同期通信デバイスでは,一部サポートされています。

OpenVMS バージョン 7.2 からは,ERF を使用する前に, Binary Error Log Translation ユーティリティでエラー・ログ・ファイルを変換する必要があります。 Binary Error Log Translation ユーティリティは DECevent の一部です。詳細については,DECevent キットに含まれている DECevent のマニュアルを参照してください。

10.2 ERF 使用法の要約

Error Log Report Formatter (ERF) を使用すれば,1 つ以上のエラー・ログ・エントリを処理して 1 つのレポートに出力できます。 ERF の出力形式には,詳細 (省略時),簡略,要約,デバイス・エントリのレジスタ・ダンプ,選択したエントリのバイナリ・コピー,拒否したエントリのバイナリ・コピーの 6 種類があります。

Error Log Report Formatter (ERF) ユーティリティは,選択したエラー・ログ・ファイルの内容をレポートします。

形式

ANALYZE/ERROR_LOG [/修飾子] [ファイル指定[,...]]


パラメータ

/修飾子

ANALYZE/ERROR_LOG コマンドが実行する機能

ファイル指定[,...]

エラー・ログ・レポートの作成に使用するバイナリ・エラー情報を格納している 1 つ以上のファイルを指定します。ファイル指定には,ワイルドカード文字を使用できます。省略時のファイルは, SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS です。このファイルの保守については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

ファイル指定の詳細については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。


説明

ERF は,次の DCL コマンドで起動します。


ANALYZE/ERROR_LOG [/修飾子] [ファイル指定][,...] 

ERF では,プロンプトが表示されません。 ERF を終了するには,Ctrl/C を押します。ファイルの終端 (EOF) が検出されたときにも,終了します。出力先を指定するには,/OUTPUT,/BINARY,/REJECTED の修飾子を ANALYZE/ERROR_LOG コマンドと併用します。

ERF を実行するには SYSPRV 特権が必要です。しかし,ERRORLOG.SYS ファイルにアクセスする場合は読み込みアクセス権だけで充分です (ERF を使用する前に ERRORLOG.SYS を ERRORLOG.OLD という名前に変更する必要はありません) 。 /FULL,/BRIEF,/OUTPUT,/REGISTER_DUMP の各修飾子は, /BINARY 修飾子と併用しないようにしてください。

10.3 ERF の修飾子

Error Log Report Formatter (ERF) ユーティリティの修飾子について説明します。次の表は,ANALYZE/ERROR_LOG コマンドの修飾子の一覧です。

修飾子 説明
/BEFORE 指定した日時より前の日付のエントリだけをエラー・レポート対象として選択することを指定する。
/BINARY バイナリ・エラー・ログ・レコードを ASCII テキストに変換するか,または指定した出力ファイルにコピーするかを制御する。
/BRIEF 簡略レポートを作成する。
/ENTRY 指定した範囲のエントリを対象とするエラー・ログ・レポート,または指定したエントリ番号で始まるエラー・ログ・レポートを作成する。
/EXCLUDE 指定したデバイス・クラス,デバイス名,エラー・ログ・エントリ・タイプのいずれかが起因するエラーをエラー・ログ・レポートから除外する。
/FULL エラー・ログ・エントリに関するすべての情報を示す詳細レポートを作成する (省略時値)。
/INCLUDE 指定したデバイス・クラス,デバイス名,エラー・ログ・エントリ・タイプのいずれかが起因するエラーをエラー・ログ・レポートに含める。
/LOG 各入力ファイルについて選択および拒否するエントリ数を指定する情報メッセージを SYS$OUTPUT に送るかどうかを制御する。
/MODEL 指定した CPU のイベント・ログ・エントリで構成されるレポートを作成する (Alpha のみ)。
/NODE OpenVMS Cluster システムの特定のノードに関するエラー・ログ・エントリで構成されるレポートを作成する。
/OUTPUT エラー・ログ・レポートの出力ファイルを指定する。
/REGISTER_DUMP /INCLUDE 修飾子と併用した場合,デバイス・レジスタ情報で構成されるレポートを 16 進ロングワード形式で作成する。
/REJECTED 拒否するエントリのバイナリ・レコードを格納するファイルの名前を指定できる。
/SID_REGISTER 指定した CPU で発生したエラー・ログ・エントリで構成されるレポートを作成する (VAX のみ)。
/SINCE 指定した日時以降の日付のエントリだけをレポート対象として選択することを指定する。
/STATISTICS 実行時の統計情報を作成する。

/BEFORE

指定した日時より前の日付のエントリだけをエラー・レポートに含めることを指定します。

形式

/BEFORE [=日時]


パラメータ

日時

エラー・レポートの対象を,指定された日時より前の日付のエントリに制限します。日時を指定しない場合は,すべてのエントリが処理されます。

説明

絶対時刻とデルタ時間のどちらで指定してもよく,また,両者を組み合わせて指定することもできます。時刻の指定方法については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

/BEFORE 修飾子を省略した場合,すべてのエントリが処理されます。



$ ANALYZE/ERROR_LOG/BEFORE=19-APR-2002:10:00 ERRLOG.OLD;5

2002 年 4 月 19 日午前 10 時より前に記録されたエントリを, ERRLOG.OLD;5 のエラー・ログ・レポートに含めています。

/BINARY

バイナリ・エラー・ログ・レコードを ASCII テキストに変換するか,または指定した出力ファイルにコピーするかを制御します。

形式

/BINARY [=ファイル指定]

/NOBINARY


パラメータ

ファイル指定

入力レコードのイメージ・コピーを格納させる出力ファイルを指定します。

説明

時間間隔を指定する修飾子 (/SINCE,/BEFORE,/ENTRY),またはフィルタを指定する修飾子 (/INCLUDE,/EXCLUDE) を /BINARY 修飾子と併用した場合,オリジナルのバイナリ・エラー・ログ・エントリのコピーを格納するバイナリ・ファイルを作成します。時間間隔やフィルタを指定しない場合,すべてのエラー・ログ・エントリがコピーされます。

/BINARY 修飾子にファイル指定を指定すると,選択した出力ファイルには,バイナリ入力レコードのコピーが格納されます。レコードは,ASCII に変換されません。デバイスやディレクトリを指定しない場合,現在のデバイスと省略時のディレクトリが使用されます。ファイル名を省略すると,入力ファイルの名前が使用されます。ファイル・タイプを省略すると,省略時のファイル・タイプ .DAT が使用されます。

/BINARY は,/FULL,/BRIEF,/OUTPUT,/REGISTER_DUMP の各修飾子と併用しないようにしてください。これらの修飾子は ASCII レポートを作成しますが,/BINARY はバイナリ・ファイルを作成するからです。



$ ANALYZE/ERROR_LOG/INCLUDE=DBA1 -
_$ /BINARY=DBA1_ERR.DAT ERRLOG.OLD;5

DBA1 に適用するエントリのイメージ・コピーが,出力ファイル DBA1_ERR.DAT に格納されます。

/BRIEF

簡略レポートを作成します。

形式

/BRIEF


説明

/BINARY 修飾子は,/BRIEF と併用しないようにしてください。

ERROR LOG ユーティリティの出力例の項に,簡略エラー・ログ・レポートの例を記載してあります。



$ ANALYZE/ERROR_LOG/BRIEF ERRLOG.OLD;97

ERRLOG.OLD;97 をもとに,最小限の情報を格納するエラー・ログ・レポートが作成されます。

/ENTRY

指定した範囲のエントリを対象とするエラー・ログ・レポート,または指定したエントリ番号で始まるエラー・ログ・レポートを作成します。

形式

/ENTRY [=(START:10 進値[,END:10 進値])]


パラメータ

(START:10 進値[,END:10 進値])

エラー・ログ・レポートの対象とするエントリ範囲

説明

エントリ範囲を指定せずに /ENTRY を指定した場合や,/ENTRY 修飾子を省略した場合,省略時のエントリ (範囲 START:1,END:ファイルの終端) が使用されます。


$ ANALYZE/ERROR_LOG/ENTRY=(START:1,END:18) ERRLOG.SYS

ERRLOG.SYS ファイルをもとに作成したエラー・ログ・レポートのエントリ範囲を,エントリ番号 1 〜 18 に制限しています。

/EXCLUDE

指定したデバイス・クラス,デバイス名,エラー・ログ・エントリ・タイプのいずれかが起因するエラーを,エラー・ログ・レポートから除外します。

形式

/EXCLUDE= (デバイス・クラス|デバイス名|エントリ・タイプ [,...])


パラメータ

デバイス・クラス

デバイス名

エントリ・タイプ

デバイス・クラス,デバイス名,エラー・ログ・エントリ・タイプのいずれかを示すキーワードを 1 つ以上指定します。複数のキーワードを指定する場合は,キーワードをコンマで区切り,リスト全体を括弧で囲んでください。

デバイス・クラス・キーワード

ADAPTER
BUSES
CACHE
DISKS
INFORMATIONAL
LINE_PRINTER
REALTIME
SYNC_COMMUNICATIONS
TAPES
VECTOR
WORKSTATION

デバイス名の構成例

DB デバイス・グループ
DBA1 特定のデバイスまたはユニット番号
(DBA1,HSC1$DUA1,DYA0) デバイス・リスト
(DB,DR,XF) デバイス・グループ・リスト

エントリ・タイプ・キーワード

ATTENTIONS デバイス・アテンション・エントリをレポートから除外する。
BUGCHECKS すべてのタイプのバグチェック・エントリをレポートから除外する。
CONFIGURATION システム構成エントリをレポートから除外する。
CONTROL_ENTRIES 制御エントリをレポートから除外する。制御エントリには,次の種類がある。

  • 電源障害後のシステムの再始動

  • タイムスタンプ

  • システム・スタートアップ

  • $SNDERR メッセージ (エラー・ログにメッセージを送るシステム・サービス)

  • オペレータ・メッセージ

  • ネットワーク・メッセージ

  • ERRLOG.SYS 作成

CPU_ENTRIES CPU 関連エントリをレポートから除外する。 CPU エントリには,次の種類がある。

  • SBI アラートまたはフォルト

  • 未定義割り込み

  • MBA/UBA アダプタ・エラー

  • 非同期書き込みエラー

  • UBA エラー

DEVICE_ERRORS デバイス・エラー・エントリをレポートから除外する。
ENVIRONMENTAL_ENTRIES 環境エントリをレポートから除外する。
MACHINE_CHECKS マシン・チェック・エントリをレポートから除外する。
MEMORY メモリ・エラーをレポートから除外する。
SNAPSHOT_ENTRIES スナップショット・エントリをレポートから除外する。
SYNDROME 弊社サポート要員が問題を調べる際に使用する症状を記述するファームウェア出力エントリを除外する。
TIMEOUTS デバイス・タイムアウト・エントリをレポートから除外する。
UNKNOWN_ENTRIES エントリ・タイプが未知であるか,またはデバイス・タイプやデバイス・クラスが未知であるエントリを除外する。
UNSOLICITED_MSCP 非要求 MSCP エントリをレポートから除外する。
VOLUME_CHANGES ボリューム・マウント・エントリとボリューム・ディスマウント・エントリをレポートから除外する。


説明

デバイス・クラス,デバイス名,エントリ・タイプを示す 1 つ以上のキーワードのいずれかにより,1 つ以上のデバイスを指定できます。

UNKNOWN_ENTRIES キーワードを指定することによって,サポートしていない (未知の) デバイスからのエントリをレポートから除外しないかぎり,未知のデバイスはレポート対象となります。

エントリに関する既知の情報は変換され,その他の情報は 16 進ロングワードで出力されます。

/INCLUDE と /EXCLUDE の両方でデバイス・クラス・キーワードまたはデバイス名の構成を指定した場合,/INCLUDE 修飾子が優先されます。

BUSES キーワードは,BI バスのエラー・ログ・エントリを除外します。 DEVICE_ERRORS キーワードは,BI アダプタのエントリを除外します。


#1

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE=MTA0

デバイス MTA0 のエラー・ログ・エントリを,ERRLOG.SYS ファイルのエラー・ログ・レポートから除外しています。

#2

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE=(MTA0,DRA5) ERRLOG.OLD

デバイス MTA0 と DRA5 を,ERRLOG.OLD のエラー・ログ・レポートから除外しています。

#3

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE=(DISKS,BUGCHECKS)

すべてのディスク・デバイスとすべてのバグチェック・エントリを, ERRLOG.SYS ファイルのエラー・ログ・レポートから除外しています。

#4

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE=TAPES/INCLUDE=MTA0

デバイス MTA0 を,ERRLOG.SYS ファイルのエラー・ログ・レポートに含めています。他の磁気テープ・デバイスはすべて,レポートから除外されます。

#5

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE=(DISK,VOLUME_CHANGES)

ディスク・ボリューム情報のエントリを,ERRLOG.SYS ファイルのエラー・ログ・レポートから除外しています。

#6

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE=(DISK,VOLUME_CHANGES,DEVICE_ERROR)

ディスクに関するボリュームとデバイスのエラー情報のエントリを, ERRLOG.SYS ファイルのエラー・ログ・レポートから除外しています。

#7

$ ANALYZE/ERROR_LOG/EXCLUDE= - 
_$ (DISK,VOLUME_CHANGES,DEVICE_ERROR,BUGCHECK)

ディスクに関するボリュームとデバイスのエラー情報のエントリとバグチェック・エラーを,ERRLOG.SYS ファイルのエラー・ログ・レポートから除外しています。


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