HP OpenVMS Systems Documentation |
本書は,日本語 OpenVMS オペレーティング・システムの日本語ユーティリティの機能および使用方法について説明します。
| 改訂/更新情報: | 日本語 OpenVMS V7.3『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』の改訂版です。 |
| ソフトウェア・バージョン: | 日本語 OpenVMS I64 V8.2
日本語 OpenVMS Alpha V8.2 日本語 OpenVMS VAX V7.3 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社
© 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P.
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その他のすべての商標および登録商標は,それぞれの所有者が保有しています。
| 次へ | 目次 | 索引 |
本書では,日本語 OpenVMS オペレーティング・システムの日本語ユーティリティの機能および使用方法について説明します。
なお,DEC XTPU については『 DEC XTPU リファレンス・マニュアル』を参照してください。
本書はすべての日本語 OpenVMS ユーザを対象としています。
本書の構成は以下のとおりです。
各章で,日本語OpenVMS で提供するそれぞれの日本語ユーティリティの機能と使用方法を説明しています。なお,一部のユーティリティについては,標準版 OpenVMS のマニュアルを補足する形で日本語固有の機能に限定して説明しています。
| 第 1 章 | 日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL) について説明します。 |
| 第 2 章 | 日本語メール・ユーティリティ (JMAIL) について説明します。 |
| 第 3 章 | 日本語ソート/マージ (SORT/MERGE) について説明します。 |
| 第 4 章 | ローマ字・かな漢字変換型 INQURE について説明します。 |
| 第 5 章 | 個人辞書編纂ユーティリティ (JDICEDIT) について説明します。 |
| 第 6 章 | 漢字コード変換ユーティリティ (KCODE) について説明します。 |
| 第 7 章 | DEC 漢字コード変換ユーティリティ (KCONVERT) について説明します。 |
| 第 8 章 | OpenVMS デバッガの日本語機能拡張機能について説明します。 |
| 第 9 章 | 日本語 DECnet/SNA リモート・ジョブ・エントリ/OpenVMS (RJE) について説明します。 |
| 第 10 章 | 日本語DECnet/FNA リモート・ジョブ・エントリ for OpenVMS (F-RJE) について説明します。 |
| 第 11 章 | 日本語エラー・メッセージについて説明します。 |
製品名について
本書では,「日本語 OpenVMS I64」は「日本語 OpenVMS I64 オペレーティング・システム」を,「日本語 OpenVMS Alpha 」は「日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」を,「日本語 OpenVMS VAX 」は「日本語 OpenVMS VAX オペレーティング・システム」を指します。また特に明記しない限り,「日本語 OpenVMS 」は,すべてのプラットフォームの日本語 OpenVMS を指します。
日本語 DECwindows および日本語 DECwindows Motif はすべて日本語 DECwindows Motif for OpenVMS ソフトウェアを意味します。
本書では,次の表記法を使用しています。
| 表記法 | 意味 |
|---|---|
| Ctrl/ x | Ctrl/ x という表記は,Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
| PF1 x | PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
| [Return] | 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。
HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。 |
| ... | 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。
|
| .
. . |
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。 |
| ( ) | コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。 |
| [ ] | コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか 1 つを選択しても,あるいは 1 つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。 |
| [|] | コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。 |
| { } | コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか1のオプションを指定しなければなりません。 |
| 太字 | 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。 |
| italic text | イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ ( たとえば内部エラー number),コマンド・ライン ( たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ ( たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。 |
| UPPERCASE TEXT | 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。 |
| Monospace type | モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。
C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。 |
| -- | コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。 |
| 数字 | 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて10 進数です。10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数 ) は,その旨を明記してあります。 |
この章では,日本語環境設定ユーティリティ JSY$CONTROL について説明します。
JSY$CONTROL ユーティリティは,日本語 OpenVMS バージョン7.2 で追加され,バージョン 7.3 で機能が大幅に拡張された日本語環境設定のためのユーティリティです。
この機能は,日本語 OpenVMS I64 および日本語 OpenVMS Alpha でサポートされます。
1.1 機能概要
日本語環境設定ユーティリティ(JSY$CONTROL)は,日本語 OpenVMS の持つ,各種の日本語機能の設定を一括して制御します。以下の機能を制御できます。
日本語ファイル名の制御 (JSY$CONTROL)
日本語端末ドライバの制御 (KANJIGEN)
日本語テキスト表示ユーティリティの制御 (TYPE /PAGE=SAVE)
日本語 EVE エディタの制御 (JEVE/XTPU)
個人辞書の制御 (JSYKOJIN.JISHO, JSY$LEARN.DAT)
ロケールの制御 (LANG)
日本語ヘルプの制御 (JSY$SWITCH.COM)
IMLIB の制御 (IM$PROFILE)
日本語画面管理ライブラリの制御 (JSMG)
JSY$CONTROL ユーティリティでは,上記の機能を以下のカテゴリーに分けて,それぞれを一括して設定,変更,表示する機能を提供します。
日本語ファイル名の制御
ロケールの制御
かな漢字変換の制御
この節では,JSY$CONTROL ユーティリティの起動方法およびサブコマンドの入力方法について説明します。
JSY$CONTROL ユーティリティを起動するためには,DCL プロンプト上で以下のように入力して,フォーリン・コマンドを定義します。
$ JSYCP :== $ JSY$CONTROL.EXE
|
この例では JSYCP というフォーリン・コマンドが定義されます。コマンド名には任意の名前を使うことができますが,通常は他の DCL コマンド等と混同しない名前を使います。
上記のように定義した場合は,以下のように入力すると JSY$CONTROL ユーティリティを起動できます。
$ JSYCP [サブコマンド]
|
サブコマンドを指定した場合は JSY$CONTROL ユーティリティが起動され,指定されたサブコマンドを実行します。サブコマンドの実行が終了すると, DCL プロンプトに戻ります。
サブコマンドを指定しなかった場合は JSY$CONTROL ユーティリティが起動され,以下のようにプロンプトを表示してサブコマンドの入力を待ちます。この場合は EXIT サブコマンドが入力されるまで DCL プロンプトには戻りません。
$ JSYCP
JSYCP>
|
1.3 サブコマンドの概要
表 1-1 に JSY$CONTROL ユーティリティの持つサブコマンドを示します。
| サブコマンド | サブパラメータ | 説明 |
|---|---|---|
| SET | INPUT | かな漢字変換の設定をする |
| LOCALE | コードセットの設定をする | |
| RMS | 日本語ファイル名の設定をする | |
| SHOW | ALL | 全ての設定を表示する |
| INPUT | かな漢字変換の設定を表示する | |
| LOCALE | コードセットの設定を表示する | |
| RMS | 日本語ファイル名の設定を表示する | |
| HELP | ヘルプを表示する | |
| EXIT | JSY$CONTROL ユーティリティを終了する |
日本語ファイル名の制御は,JSY$CONTROL ユーティリティの主要な機能の一つです。日本語ファイル名についての詳細は『日本語 OpenVMS 概説書』を参照してください。
1.4.1 日本語ファイル名を有効または無効にする
日本語ファイル名を有効または無効にするためには,以下のコマンドを入力して, RMS の拡張機能であるファイル名コンバータを設定します。
〈形式〉
JSYCP> SET RMS /FILENAME_CODESET=コードセット名 |
コードセット名には以下の文字列を指定できます。大文字/小文字の違いは無視されます。
| キーワード | 説明 |
|---|---|
| sdeckanji | Super DEC 漢字コードセット |
| DEFAULT | システムの標準のコードセット |
sdeckanji を指定するとファイル名コンバータが有効となり, RMS を経由するファイル名は全て Super DEC 漢字コードセットで入出力されます。また DCL のファイル名解析スタイルも Extended に切り替わります。
DEFAULT を指定するとファイル名コンバータが無効となります。また DCL のファイル名解析スタイルも Traditional に切り替わります。
日本語ファイル名の設定は SET LOCALE コマンドでも変更できます。 |
現在の日本語ファイル名の設定を知るためには,以下のコマンドを入力して,ファイル名コンバータを状態を表示させます。
〈形式〉
JSYCP> SHOW RMS |
ファイル名コンバータが有効の場合は,その入出力コードセットを以下のように表示します。
ファイル名コードセットは sdeckanji に設定されています。
|
ファイル名コンバータが無効の場合は,以下のような表示がされます。
ファイル名コードセットは DISABLE に設定されています。
|
JSY$CONTROL は,ロケールと,それに伴うコードセット等の設定を一括して制御します。
プロセスに設定したいロケールを指定すると,以下の設定を自動的に行います。
プロセスのロケール
日本語テキスト表示ユーティリティのコードセット
日本語ヘルプの表示/非表示
日本語メッセージの表示/非表示
日本語画面管理ライブラリのコードセット
日本語ファイル名のコードセット
日本語端末ドライバの日本語行編集機能
現在のプロセスのコードセットを設定するためには,以下のコマンドを入力します。
〈形式〉
JSYCP> SET LOCALE ロケール指定 |
設定できるロケールは,システムにインストールされている XPG4 ロケール・データ・ファイルに依存します。通常は以下のロケールが使用できます。大文字/小文字の違いは無視されます。
| キーワード | 説明 |
|---|---|
| ja_JP.deckanji2000 | DEC 漢字 2000 ロケール |
| ja_JP.deckanji | DEC 漢字ロケール |
| ja_JP.sdeckanji | Super DEC 漢字ロケール |
| ja_JP.SJIS | Shift JIS ロケール |
| ja_JP.eucJP | 日本語 EUC ロケール |
以下の機能が一括して設定されます。
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