HP OpenVMS Systems Documentation |
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出力セーブ・セット修飾子コマンド行に指定された他の修飾子により, /EXACT_ORDER 修飾子で以下のことが可能になります。
- BACKUP操作で使用するテープ・ボリューム・ラベルの正確な順序を指定できます。
- テープの既存のボリューム・ラベルを保存できます。
- マルチボリューム・セーブ操作の前のボリュームが上書きされるのを防止できます。
入力指定子出力セーブ・セット指定/EXACT_ORDER
/EXACT_ORDER修飾子を使用すれば,次の操作が可能です。
- BACKUP操作で使用するテープ・ボリューム・ラベルの正確な順序を指定できます。ラベルの順序を指定するには,/LABEL=(ラベル1,ラベル2,...)修飾子を使用しなければなりません。ドライブ内のテープのラベルがコマンド行の対応するラベルと一致する間は,BACKUPは操作を継続します。操作を終了するのに必要な数のラベルをコマンド行に指定しなかった場合には,ドライブ内のテープのラベルを入力するように要求するプロンプトが表示されます。
- 既存のボリューム・ラベルをテープに保存できます。コマンド行に/LABEL修飾子を指定しなかったとき,テープにANSIラベルが登録されている場合には,BACKUPは既存のラベルを使用します。
- マルチボリューム・セーブ操作で前のボリュームが上書きされるのを防止します。 BACKUPは操作ですでに使用したボリューム・ラベルを管理します。前のボリュームを誤ってマウントした場合には,次のエラー・メッセージが表示されます。
%BACKUP-W-MOUNTERR, volume 1 on MKB100: was not mounted because its label does not match the one requested Volume with label TAPE1 was already used in this save operation. Specify option (QUIT or NEW tape) BACKUP>
/EXACT_ORDER出力修飾子を使用する場合には,次の制約があります。
- /EXACT_ORDER修飾子を使用する場合には,6文字より長いラベルをコマンド行に指定できません。6文字より長いラベルを指定した場合には,次のエラー・メッセージが表示されます。
%BACKUP-F-INVQUAVAL, value 'label_name' invalid for /LABEL qualifier
- /IGNORE=LABEL_PROCESSING修飾子と/EXACT_ORDER修飾子を組み合わせて使用することはできません。
- /LABEL修飾子と/EXACT_ORDER修飾子を組み合わせて使用する場合,重複するラベルを指定できません。
省略時の設定は,/NOEXACT_ORDERです。
| #1 |
|---|
$ BACKUP/IMAGE/RECORD/VERIFY/NOASSIST _From: DKA100: _To: MKB100:MAR11.SAV/LABEL=(TAPE1,TAPE2,TAPE3)/EXACT_ORDER |
この例では,BACKUP操作の正確なレベルの順序を指定するために,/EXACT_ORDER修飾子を使用しています。/ASSIST修飾子を指定した場合には,BACKUPはオペレータ・ターミナルにメッセージを表示し,次の操作を実行します。
- MKB100:のテープのボリューム・ラベルと,コマンド行に指定した最初のラベル(TAPE1)とを比較します。ラベルが正確に一致する場合には,セーブ操作を開始します。ラベルが一致しない場合や,テープにANSIラベルが記録されていない場合には,次のメッセージが表示されます。
%BACKUP-W-MOUNTERR, volume 1 on MKB100: was not mounted because its label does not match the one requested %BACKUP-W-EXLABEER, volume label processing failed because volume TAPE4 is out of order, Volume label TAPE1 was expected. Specify option (QUIT, NEW tape, OVERWRITE tape, USE loaded tape) BACKUP> OVERWRITE
指定したオプションに応じて,バックアップ操作を終了するか(QUIT),古いテープをディスマウントして新しいテープをマウントするか(NEW),テープのラベルとデータを上書きするか(OVERWRITE),ロードされているテープのラベルを使用してテープにデータを書き込むか(USE)が可能です。- 最初のテープが満杯になると,次のメッセージが表示されます。
%BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 2 %BACKUP-I-READYWRITE, mount volume TAPE2 on MKB100: for writing. Respond with YES when ready:
- 2番目のテープをロードし,YESと入力すると,2番目のテープのラベルがコマンド行に指定した2番目のラベル(TAPE2)と比較されます。これはステップ1aで実行した処理と同じです。
- ボリューム・ラベルが一致する場合には,操作が終了するか,またはすべてのボリューム・ラベルが使用されてしまうまで,処理は継続されます。操作を終了するのに必要な数のラベルをコマンド行に指定しなかった場合には,次に示すように,ドライブ内のテープのラベルを入力するように要求するプロンプトが表示されます。
%BACKUP-W-MOUNTERR, volume 4 on MKB100: was not mounted because the label was not specified Specify EXACT_ORDER label (up to 6 characters) BACKUP>
この後,前に説明したように,テープに記録されているラベルと指定したラベルが比較されます。
| #2 |
|---|
$ BACKUP/IMAGE/RECORD/VERIFY/NOASSIST _From: DKA100:[TEST] _To: MKB100:MAR11.SAV/EXACT_ORDER |
この例では,/LABEL修飾子を使用していないため,テープの既存のラベルが使用されます。テープにANSIラベルが記録されておらず,このテープが操作で使用する最初のテープである場合には,次のエラー・メッセージが表示されます。
%BACKUP-F-NOTANSI, tape is not valid ANSI format
テープにANSIラベルが記録されておらず,このテープが最初のテープでない場合には,次のエラー・メッセージが表示され,ラベルを指定するように要求するプロンプトが表示されます。
%BACKUP-W-MOUNTERR, volume 2 on MKB100: was not mounted because the label was not specified Specify EXACT_ORDER label (up to 6 characters) BACKUP>
注意
BACKUPは正しいラベルが指定されたかどうか確認します。ラベルが正しくない場合には (たとえば6文字より長い場合),エラー・メッセージが表示されます。 OpenVMSオペレーティング・システムの前のバージョンでは,BACKUPは長いボリューム・ラベルを6文字に切り捨てていました。
入力ファイル選択修飾子
入力指定子/EXCLUDE= (ファイル指定[,...])出力指定子
複数のファイルを指定する場合,ファイル指定をコンマで区切り,リスト全体を括弧で囲みます。除外するファイルを指定する場合,デバイス指定は使用しないでください。一般的なワイルドカード文字は使用できますが,ファイルの最新バージョンを示すワイルドカード文字 (;) とファイルの相対バージョンを示すワイルドカード文字 (;-n) は使用できません。一時的ファイル指定の省略時の値は,リスト内で適用されません。ファイル指定 [000000...]*.*;* から,各ファイル指定が独立して省略時の値を取り出します。
ディレクトリ・ファイルを指定した場合,つまり,ファイル・タイプが DIR のファイルを指定した場合,コマンドは処理されますが,ディレクトリ・ファイルは除外されず,処理されます。ディレクトリ・ファイルは,追加型復元処理で利用されます。
/EXCLUDE 修飾子をイメージ復元処理で使用することはできません。
$ BACKUP _From: DRA2:[CONTRACTS]/BEFORE=TODAY/EXCLUDE=(*.OBJ,*.MAI) _To: MFA0:CONTRACT.BCK/LABEL=DLY102 |
ディレクトリ [CONTRACTS] に存在し,変更日付が今日 (00:00:00.0 時における現在の日,月,年) より前であり,ファイル・タイプが .OBJ や .MAI 以外のすべてのファイルを, MFA0 ドライブ上のセーブ・セット CONTRACT.BCK にセーブしています。
入力ファイル選択修飾子各ファイル・ヘッダ・レコードの満了日フィールドの値に従ってファイルを選択します。
入力指定子/BEFORE= 日時 /EXPIRED 出力指定子入力指定子/SINCE= 日時 /EXPIRED 出力指定子
/EXPIRED は,入力ファイル選択修飾子 /BEFORE または /SINCE と併用します。/BEFORE または /SINCE で指定した日時により,処理するファイルが決まります。/EXPIRED は,/BACKUP,/MODIFIED,/CREATED のいずれかの入力ファイル選択修飾子と併用することはできません。
$ BACKUP [CONTRACTS]/BEFORE=TOMORROW/EXPIRED MTA1:30DEC.BCK/LABEL=WK04 |
ディレクトリ [CONTRACTS] に存在し,満了日付が明日 (昨夜午前 0 時より後の 24 時間) より前のすべてのファイルを,セーブ・セット 30DEC.BCK にセーブしています。
コマンド修飾子高速ファイル検索によって入力指定子を処理し,処理時間を短縮します。入力指定子は,Files-11 ディスクでなければなりません。
/FAST 入力指定子 出力指定子
高速ファイル検索は,入力指定子で指定した Files-11 ディスク上の索引ファイルを読み込み,指定した修飾子に一致するファイルのテーブルを作成します。ディスクのセーブの際に /FAST 修飾子を使用すると, ALIAS ディレクトリ木構造は処理されません。ALIAS が指している 1 次ファイルだけがセーブされます。この場合,ディスク上にある ALIAS ディレクトリ指定の数によっては,BACKUP が検査するファイルの数が減って,処理時間が短縮されることがあります。処理されない ALIAS ディレクトリまたはファイルが発見されると,そのたびにメッセージが表示されます。
高速ファイル検索を行うには,入力媒体上の INDEXF.SYS ファイルに対する書き込みアクセス権が必要です。書き込みアクセス権がない場合,入力媒体をライト・ロックしてください。この条件が必要であるのは,更新するかどうかに関わりなく,BACKUP は索引ファイルをオープンしてファイル・システムと同期化するからです。
高速ファイル検索は,ボリューム上のほとんどのファイルを入力指定子が含んでいて,日付や所有者を基準とするファイル選択修飾子が指定するファイルが比較的少ない場合に非常に便利です。イメージ処理では高速ファイル検索を暗黙に使用するので,コマンド修飾子 /IMAGE と併用した場合,/FAST 修飾子は無視されます。
/FAST は,復元処理では使用できません。
$ BACKUP/FAST _From: DBA1:[*...]/MODIFIED/SINCE=TODAY _To: MTA0:13NOVBAK.BCK,MTA1:/LABEL=WK201 |
今日変更したディスク DBA1 上のすべてのファイルを,マルチリール・セーブ・セット 13NOVBAK.BCK にセーブしています。 /FAST 修飾子が,処理時間を短縮します。
入力ファイル選択修飾子セーブ・セットが復元されるときに,選択されるファイルのリストを含むファイルを指定します。
入力指定子 /FILES_SELECTED=ファイル指定 出力指定子
/FILES_SELECTED 修飾子では,セーブ・セットの復元時に選択される予定のファイルのリストを含むファイルを指定できます。この修飾子を /SELECT 修飾子の代わりに使用して,セーブ・セットから復元するファイルを選択することができます。選択するファイルをリストするときには,デバイス指定は使用しないでください。ファイルのリストには,1 行に 1 つの OpenVMS ファイル指定を入力します。標準的なワイルドカード文字のほとんどを使用できますが,ファイルの最新バージョン (;) とファイルの相対バージョン (;-n) を示すワイルドカード文字は使用できません。
$ BACKUP INFO.BCK/SAVE_SET/FILES_SELECTED=RFILE.DAT [] |
この例のコマンドでは,RFILE.DAT 内のファイルを選択し,それらのファイルを現在の省略時のディレクトリに復元します。 RFILE.DAT ファイルには次のエントリが含まれています。
[INFO]RESTORE.COM [PAYROLL]BADGE.DAT EMPLOYEE.DAT
コマンド修飾子コマンド修飾子 /LIST が出力するファイル情報を,DCL の DIRECTORY/FULL コマンドによる形式でリストします。
/LIST/FULL 入力指定子 [出力指定子]
/FULL 修飾子を指定できるのは,コマンド修飾子 /LIST を併用した場合に限定されます。/FULL を /LIST と併用しない場合,/LIST は省略時のコマンド修飾子 /BRIEF を使用し,各ファイルのファイル指定,サイズ,作成日付だけをリストします。/FULL を指定した場合,BACKUP 日付,最終変更日付,ファイルに割り当てられているブロック数,ファイルの保護と構成,レコード属性などの情報もファイル・ヘッダ・レコードから取り出してリストします。
$ BACKUP/LIST/FULL MTA1:ROCK.BCK
Listing of save set(s)
Save set: ROCK.BCK
Written by: RINGO
UIC: [000200,000300]
Date: 20-AUG-2002 15:39:38.89
Command: BACKUP [.STONES] MTA0:ROCK.BCK/LABEL=BACKUP
Operating system: OpenVMS Alpha Version V7.3-1
BACKUP version: V7.3-1
CPU ID register: 08000000
Node name: _SUZI::
Written on: _MTA0:
Block size: 8192
Group size: 10
Buffer count: 30
[RINGO.STONES]GRAPHITE.DAT;1
Size: 1/1 Created: 18-AUG-2002 14:10
Owner: [000200,000200] Revised: 18-AUG-2002 14:10 (2)
File ID: (91,7,1) Expires: [None specified]
Backup: [No backup done]
File protection: System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World:
File organization: Sequential
File attributes: Allocation = 1, Extend = 0
Global Buffer Count = 0
Record format: Variable length, maximum 255 bytes
Record attributes: Carriage return
[RINGO.STONES]GRANITE.DAT;1
Size: 1/1 Created: 18-AUG-2002 14:11
Owner: [000200,000200] Revised: 18-AUG-2002 14:11 (2)
File ID: (92,9,1) Expires: [None specified]
Backup: [No backup done]
File protection: System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World:
File organization: Sequential
File attributes: Allocation = 1, Extend = 0
Global Buffer Count = 0
Record format: Variable length, maximum 255 bytes
Record attributes: Carriage return
.
.
.
Total of 4 files, 16 blocks
End of save set
|
セーブ・セット MTA1:ROCK.BCK 内のファイルを詳細形式でリストしています。
出力セーブ・セット修飾子BACKUP が各冗長グループに配置するブロック数を定義します。
入力指定子 出力セーブ・セット指定 /GROUP_SIZE=n
冗長情報を出力セーブ・セットに書き込むことにより,データの消失を防止します。冗長情報をもとに,各冗長グループにおける 修正不能の読み込みエラーを 1 つ修正できます。 /GROUP_SIZE 修飾子は,各冗長グループに書き込む出力ブロック数を指定します。n の値は,0 〜 100 です。省略時の値は, 10 です。/GROUP_SIZE に 0 を定義すると,セーブ・セットに対する冗長グループは作成されません。
$ BACKUP/RECORD DBA1:[*...]/SINCE=BACKUP TAPE:SAVEWORK.BCK/GROUP_SIZE=5 |
現在の省略時のディレクトリに存在し,最後の BACKUP/RECORD 処理以降に変更されたすべてのファイルを,セーブしています。/GROUP_SIZE は,冗長グループ・サイズを 5 ブロックと指定しています。
入力ファイル指定修飾子BACKUP 操作で,ファイルのファイル・ヘッダのみ保存するように指定します。
入力指定子 /HEADER_ONLY=オプション 出力指定子
/HEADER_ONLY 修飾子は,BACKUP ユーティリティに対して BACKUP 操作の shelved ファイルまたは preshelved ファイルのファイル・ヘッダのみを保存するように指定します。ファイルが shelved である場合,ファイル内のデータも shelved になりますが,ファイル・ヘッダは残されます。ユーザはディスク領域を節約するためにファイルを shelve します (さらに,ユーザがあらかじめ shelve 操作を実行することで,ファイルを preshelve して時間を節約することもあります)。
BACKUP 保存操作の省略時の動作は,ファイルをバックアップする前にファイルを unshelve することです。これにより,ファイル・データをオンラインに戻し,それによって, BACKUP 操作の実行時に (ファイル・ヘッダのみではなく) ファイル全体がバックアップされます。 BACKUP の省略時の動作に対する唯一の例外は, /PHYSICAL または /IMAGE 修飾子を使用する操作の場合です。これらの操作の場合,ファイルは shelved 状態のままになります。
ファイルの shelve と preshelve の詳細については, Hierarchical Storage Management (HSM) のマニュアルを参照してください。
/HEADER_ONLY 修飾子とともに次のオプションを使用できます。
オプション 説明 SHELVED shelved ファイルのファイル・ヘッダのみを保存する。 NOSHELVED shelved ファイルのファイル・ヘッダとファイル・データの両方を保存する (これにより,ファイルは unshelved になる)。 PRESHELVED preshelved ファイルのファイル・ヘッダのみを保存する。 NOPRESHELVE preshelved ファイルのファイル・ヘッダとファイル・データの両方を保存する。
| #1 |
|---|
$ BACKUP [INFO]/HEADER_ONLY=(SHELVED) MKA600:INFO.BCK/SAVE_SET |
この例のコマンドは,ディレクトリ [INFO] 内のすべてのファイルを INFO.BCK という名前のテープ・ドライブ・セーブ・セットに保存します。 [INFO] 内の shelved ファイルは unshelved にはなりません。 /HEADER_ONLY=(SHELVED) 修飾子が指定されているので,セーブ・セット INFO.BCK にはファイル・ヘッダのみが保存されます。
| #2 |
|---|
$ BACKUP [INFO]/HEADER_ONLY=(SHELVED,PRESHELVED) MKA600:INFO.BCK/SAVE_SET |
このコマンドは,ディレクトリ [INFO] 内のすべてのファイルを INFO.BCK という名前のテープ・ドライブ・セーブ・セットに保存します。 HEADER_ONLY=(SHELVED,PRESHELVED) 修飾子が指定されているので, [INFO] から保存されたファイルは unshelved にはなりません。セーブ・セット INFO.BCK は, shelved または preshelved されたファイルのファイル・ヘッダのみを含みます。
| #3 |
|---|
$ BACKUP/IMAGE DUA0: MKA600:INFO.BCK/SAVE_SET |
この例のコマンドは,ディスク DKA0: のすべてのファイルを保存します。 /IMAGE 修飾子が指定されているので, shelved または preshelved されたファイルのファイル・ヘッダのみが INFO.BCK に保存されます。
| #4 |
|---|
$ BACKUP [INFO] MKA600:INFO.BCK/SAVE_SET |
この例のコマンドは,ディレクトリ [INFO] 内のすべてのファイルを INFO.BCK というテープ・ドライブ・セーブ・セットに保存します。 [INFO] から保存されたファイルは unshelved (省略時の設定) になります。セーブ・セット INFO.BCK は,shelved または preshelved ファイルのファイル・ヘッダおよびファイル・データの両方を含んでいます。
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