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HP OpenVMS Systems
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HP OpenVMS

HP OpenVMS
V8.2 リリース・ノート【翻訳版】


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第 1 章
OpenVMS ソフトウェアのインストールおよびアップグレードに関する注意事項

この章では,OpenVMS I64 Version 8.2 のインストール,および OpenVMS Alpha Version 8.2 のインストールやアップグレードに必要な情報について説明します。 Alpha および I64 システムのユーザに共通のトピックを最初に説明し,その後の節で,特定のプラットフォームのユーザ向けに説明します。

OpenVMS Version 8.2 のインストールまたはアップグレードの際には次のマニュアルをすべてお読みください。

ハードウェアに関する注意事項については 第 6 章 ,関連製品については 第 2 章 を参照してください。

1.1 弊社ソフトウェアのテクニカル・サポート方針

弊社では,OpenVMS オペレーティング・システム・ソフトウェアの最新版 (現在出荷されているバージョン) と,直前のバージョンの製品について,ソフトウェアのテクニカル・サポートを行います。各バージョンは,リリース日より 24 カ月間,または次の次のバージョンがリリースされるまでの期間 (いずれか長い方),サポートされます。「バージョン」は,新しい機能と拡張を含むリリースと定義されます。サポート方針としては,パッチ・キットやメンテナンス専用のリリースは,この「バージョン」の定義に当てはまりません。

これらのガイドラインに基づいて,OpenVMS のバージョンごとに, OpenVMS オペレーティング・システム・ソフトウェアの,現行バージョン・レベルのサポート (標準サポート (SS)) と旧バージョンのサポート (PVS) が行われます。 OpenVMS Alpha と OpenVMS VAX の最近のバージョンに対する現在のサポート・レベルは,次の Web ページから入手してください。

http://h71000.www7.hp.com/openvms/openvms_supportchart.html

オペレーティング・システムのサポート方針は,すべての OpenVMS メジャー・リリース,新機能リリース,および拡張リリースに適用されます。各リリースの定義は,次のとおりです。

OpenVMS の次の主な製品は,同時に出荷されたオペレーティング・システムのバージョンと同じ期間だけ同じレベル (標準サポートまたは旧バージョンのサポート) でサポートされます。

これらの製品のサポート・サービスを依頼するには,個別のサポート契約が必要です。オペレーティング・システムのサポート契約には含まれていません。

1.2 アプリケーションの互換性

OpenVMS では,公開された API は,どのリリースでも一貫してサポートされます。通常,公開された API を使用するアプリケーションであれば, OpenVMS の新しいリリースをサポートするために変更が必要になることはありません。廃止された API は,マニュアルから削除されますが,OpenVMS では引き続きAPIとして使用できます。

1.3 修正キットの入手方法

弊社製品の修正キットは, HP IT リソース・センタ (ITRC) からオンラインで入手できます。 ITRC パッチ・ダウンロード・サイトを使用するには,ユーザ登録とログインが必要です。すぺてのユーザが登録可能で,サービス契約は不要です。次の URL で,登録とログインができます。

http://www2.itrc.hp.com/service/patch/mainPage.do

また,FTP を使用して,次の場所からパッチを入手することもできます。

ftp://ftp.itrc.hp.com/openvms_patches

1.4 ネットワーク・オプション

V8.2

OpenVMS では,使用するネットワーク・プロトコルを柔軟に選択できます。 DECnet が必要な場合も,TCP/IP が必要な場合も, OpenVMS ではネットワークにとって最適なプロトコルあるいは複数のプロトコルの組み合わせを選択できます。 OpenVMS では,弊社のネットワーク製品と他社製ネットワーク製品のどちらも使用できます。

OpenVMS Version 8.2 のインストール時に,サポートされている次の HP ネットワーク・ソフトウェアをインストールすることができます。

または,OpenVMS をインストールした後で, OpenVMS Version 8.2 で動作する他社製ネットワーク製品をインストールすることもできます。

インストールの後で HP ネットワーキング・ソフトウェアを構成したり管理したりする方法については,TCP/IP,DECnet-Plus,または DECnet の各マニュアルを参照してください。

1.5 古いバージョンの OpenVMS と互換性のないディスク

V8.2

OpenVMS Version 8.2 のインストール手順では,ターゲット・ディスクをボリューム拡張付き (INITIALIZE/LIMIT) で初期化します。これにより, Version 7.2 よりも前の OpenVMS とはディスクの互換性がなくなります。多くの場合,特に問題は発生しません。ただし,この新しいディスクを Version 7.2 よりも前の OpenVMS にマウントする場合は,そのバージョンのオペレーティング・システムと互換性を持つように設定しなければなりません。設定手順の詳細は,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

これらの手順を実行すると,新しいシステム・ディスクの最小割り当てサイズ (/CLUSTER_SIZE で定義) は,以前より大きくなることがあります。その結果,小さなファイルが必要以上のスペースを専有するようになります。そのため,この手順は, Version 7.2 より前の OpenVMS にマウントしなければならないシステム・ディスクに対してのみ実行してください。

注意

ODS-5 ディスクも,Version 7.2 より前の OpenVMS とは互換性がありません。

1.6 HP DECwindows Motif for OpenVMS

V8.2

次の表に,HP OpenVMS 8.2 オペレーティング・システムでサポートされている DECwindows Motif のバージョンを示します。

表 1-1 サポートされている DECwindows Motif のバージョン
OpenVMS のバージョン DECwindows Motif のバージョン
OpenVMS I64 8.2 DECwindows Motif for OpenVMS I64 V1.5
OpenVMS Alpha 8.2 DECwindows Motif for OpenVMS Alpha V1.5

DECwindows Motif ソフトウェアは,特定のバージョンの OpenVMS サーバおよびデバイス・ドライバのイメージを必要とします。 表 1-1 に示すように,オペレーティング・システム環境に適したバージョンの DECwindows Motif をインストールまたはアップグレードするようにしてください。

以前のバージョンの DECwindows Motif のサポート情報については,『日本語 HP DECwindows Motif for OpenVMS リリース・ノート』を参照してください。

DECwindows Motif ソフトウェアのインストールについての詳細は,『日本語 HP DECwindows Motif for OpenVMS インストレーション・ガイド』を参照してください。

1.7 HP SSL: HP SSL V1.2 のインストール

V8.2

Alpha システムまたは I64 システムに HP SSL V1.2 をインストールすると, openssl.org からの最新のセキュリティ修正のほか,新しい暗号方式やアルゴリズムが利用できます。 HP SSL V1.2 キットは,レイヤード・プロダクト・ディストリビューションに含まれています。オペレーティング・システムと TCP/IP Serices for OpenVMS をインストールまたはアップグレードした後に, HP SSL V1.2 をインストールすることをお勧めします。

SSL V1.2 をインストールする前に, SSL のそれ以前のバージョンは削除しておく必要があります。 SSL の削除とインストールには,以下のコマンドを使用してください。


$ PRODUCT REMOVE SSL 
$ PRODUCT INSTALL SSL /SOURCE=ddcu:[directory] 

SSL のインストールと使用法の詳細については,『HP Open Source Security for OpenVMS, Volume 2: HP SSL for OpenVMS』を参照してください。

1.8 OpenVMS I64 ユーザ向けの注意事項

以降の説明は,主に OpenVMS I64 システムのユーザ向けです。

1.8.1 HP Integrity サーバの構成

V8.2

OpenVMS I64 Version 8.2 リリースは, rx1600-2, rx1620-2, rx2600-2, rx2620-2, および rx4640-8 Integrity サーバのすべての標準システム機能とコア I/O をサポートしています。

OpenVMS I64 Version 8.2 には,2 つの主要なストレージ・インターコネクトがあります。

以前の評価版キットや,フィールド・テスト版キットをご使用のユーザは,下記の重要な考慮事項にご注意ください。

1.8.2 Integrity Server での System Event Log (SEL) のクリア

V8.2

HP Integrity サーバは,システム・コンソールのストレージ内に System Event Log (SEL) を保存しており, OpenVMS I64 システムは自動的に SEL の内容を OpenVMS エラー・ログに転送します。コンソールから操作しているとき,正常なブート処理中に BMC (Baseboard Management Controller) SEL が満杯である旨のメッセージが表示されることがあります。 BMC SEL が満杯の場合でも,プロンプトに従って操作すれば, OpenVMS は SEL の内容を処理し,運用を継続できます。手動で SEL をクリアしたい場合は,EFI シェルのプロンプトで,次のコマンドを入力してください。


Shell> clearlogs SEL 

このコマンドにより,SEL の内容がクリアされます。このコマンドは,最新のシステム・ファームウェア・バージョンで使用できます。

ご使用の Integrity サーバに MP (Management Processor) が構成されていて, MP コンソールと接続しているときに BMC イベント・ログの警告メッセージが表示された場合は, MP を使用して BMC イベント・ログをクリアすることができます。 Ctrl/B を押して,MP> プロンプトを表示させます。 MP> プロンプトで (メイン・メニューから) SL を入力し, C オプションでログをクリアします。

最新のシステム・ファームウェアをロードして使用することをお勧めします。システム・ファームウェアのアップデートの詳細については『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

1.8.3 Integrity サーバ用のファームウェア

V8.2

OpenVMS I64 Version 8.2 は,サポートされている各 Integrity サーバ用の最新リリースのファームウェアでテストされています。次の表に,推奨するファームウェア・バージョンの一覧を示します。

システム システム・
ファームウェア
BMC
ファームウェア
MP
ファームウェア
DHCP
ファームウェア
rx1600-2 1.10 2.33 E.02.29 適用外
rx1620-2 2.11 3.48 E.03.13 適用外
rx2600-2 2.31 1.52 E.02.29 適用外
rx2620-2 3.10 3.47 E.03.13 適用外
rx4640-8 2.13
3.11
2.35
3.47
E.02.29
E.03.13
1.10
1.10

新しい rx4640 サーバのうちのあるものは,表に示すバージョンのうち,大きいバージョン番号のファームウェアで出荷されます。このマニュアルが出版される時点では,既存のサーバをアップグレードするユーザ向けの最新のファームウェアは,小さいファームウェア番号のものです。 OpenVMS は,両方のファームウェアでテストしています。 rx4640 サーバの新しいファームウェアがリリースされたら,番号の大きいファームウェアにアップデートすることをお勧めします。

サーバのファームウェア・バージョンを確認するには,次の例のように, EFI (Extensible Firmware Interface) のコマンド INFO FW を使用します。 (EFI のアクセス方法および使用方法については,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください)。


Shell> INFO FW 
 
FIRMWARE INFORMATION 
 
   Firmware Revision: 2.13 [4412]          (1)
 
   PAL_A Revision: 7.31/5.37 
   PAL_B Revision: 5.65 
   HI Revision: 1.02 
 
   SAL Spec Revision: 3.01 
   SAL_A Revision: 2.00 
   SAL_B Revision: 2.13 
 
   EFI Spec Revision: 1.10 
   EFI Intel Drop Revision: 14.61 
   EFI Build Revision: 2.10 
 
   POSSE Revision: 0.10 
 
   ACPI Revision: 7.00 
 
   BMC Revision: 2.35                       (2)
   IPMI Revision: 1.00 
   SMBIOS Revision: 2.3.2a 
   Management Processor Revision: E.02.29   (3)
 

  1. システムのファームウェア・リビジョンは,2.13 です。

  2. BMC のファームウェア・リビジョンは,2.35 です。

  3. MP のファームウェア・リビジョンは,E.02.29 です。

HP Integrity rx4640 サーバには,アップグレード可能ファームウェアを備えた, Dual Hot Plug Controller (DHPC) ハードウェアが含まれています。 DHPC ファームウェアの現在のバージョンを確認するには,次の例のように,EFI の INFO CHIPREV コマンドを使用します。ホット・プラグ・コントローラのバージョンが表示されます。 0100 という表示は,Version 1.0 を意味します。 0110 という表示は,Version 1.1 を意味します。


Shell> INFO CHIPREV 
 
CHIP REVISION INFORMATION 
 
   Chip                  Logical     Device       Chip 
   Type                     ID         ID       Revision 
   -------------------   -------     ------     -------- 
   Memory Controller         0       122b         0023 
   Root Bridge               0       1229         0023 
     Host Bridge          0000       122e         0032 
     Host Bridge          0001       122e         0032 
     Host Bridge          0002       122e         0032 
     Host Bridge          0004       122e         0032 
      HotPlug Controller     0          0         0110  
     Host Bridge          0005       122e         0032 
      HotPlug Controller     0          0         0110 
     Host Bridge          0006       122e         0032 
     Other Bridge            0          0         0002 
       Other Bridge          0          0         0008 
         Baseboard MC        0          0         0235 

ファームウェアのアップグレード手順については,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

1.8.4 Fibre Channel ストレージ・デバイスからのブート

V8.2

多くのユーザは,速度の点と, SAN 内で共通クラスタ・システム・ディスクとしてサービスできるという点から, Fibre Channel (FC) ストレージ・デバイスからのブートを選びます。 OpenVMS I64 システムでの FC ストレージ・デバイスからのブート方法は, OpenVMS Alpha システムでの FC ストレージ・デバイスからのブート方法と大きな違いがあります。

OpenVMS I64 システムでの FC デバイスの構成方法および FC デバイスからのブートについては,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』の Fibre Channel の章を参照してください。

1.8.5 インストール DVD からのブート

V8.2

サポートする最小メモリ構成 (512MB) の I64 システムで,インストール DVD からブートすると次のようなメッセージが表示されます。


********* XFC-W-MemmgtInit Misconfigure Detected ******** 
XFC-E-MemMisconfigure MPW_HILIM + FREEGOAL > Physical Memory and no reserved memory for XFC 
XFC-I-RECONFIG Setting MPW$GL_HILIM to no more than 25% of physical memory 
XFC-I-RECONFIG Setting FREEGOAL to no more than 10% of physical memory 
********* XFC-W-MemMisconfigure AUTOGEN should be run to correct configuration ******** 

このメッセージは,システム・キャッシュ (XFC) の初期設定で,インストール中のキャッシュ処理を有効にするために, SYSGEN パラメータの MPW_HILIM と FREEGOAL を正常に調整したことを意味しています。インストールは続行できます。

1.8.6 I64 システムのリブート設定

V8.2

I64 システムは,リブートするようにコンソールから設定されていない限り,自動リブートは行なわれません。クラスタ環境では,Alpha システムはリブートされますが, I64 システムはシャットダウン後,コンソール・プロンプトの状態になります。

I64 システムがリブートするように設定する方法については,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

1.8.7 HP DECwindows Motif に関する注意事項

HP DECwindows Motif に関する以降の注意事項は, OpenVMS I64 ユーザを対象としています。

1.8.7.1 キーボードのサポート

V8.2

HP DECwindows Motif for OpenVMS I64 システムでサポートされているキーボード・モデルは,LK463 キーボードだけです。他のタイプのキーボードも OpenVMS I64 環境で動作する可能性がありますが,弊社では現在それらはサポートしていません。

1.8.7.2 サーバ起動前の周辺デバイスの接続

V8.2

システムを DECwindows X ディスプレイ・サーバとして適切に構成するには,起動前に,次のすべての周辺コンポーネントが接続されていなければなりません。

接続されていない場合,サーバ・システムは初期化処理を正しく完了できないことがあります。たとえば,入力デバイス (マウスおよびキーボード) なしでサーバ・システムがスタートアップすると,ブランク・スクリーンになることがあります。

この問題を解決するには,すべての周辺コンポーネントを切り離してから再接続してください。

1.8.7.3 スタートアップ中に表示されるカウントダウン・メッセージ

V8.2

クライアント・オンリー・モード (サーバ無しの構成) で DECwindows Motif を実行すると,起動中に次のようなメッセージが表示されることがあります。


Waiting for mouse... 
Waiting for keyboard... 

これらのメッセージは,デバイス・ポーリングの実行中だという情報を示しているにすぎません。 15 秒経過すると,これらのメッセージは消えます。

このメッセージが表示されないようにするには,システムを起動する前に,入力デバイス (USB マウスおよび USB キーボード) を接続してください。

1.9 OpenVMS Alpha 向けの注意事項

以降のリリース・ノートは,OpenVMS Alpha ユーザ用です。

1.9.1 OpenVMS Alpha Version 8.2 のファームウェア

V8.2

OpenVMS Alpha Version 8.2 は, Alpha Systems Firmware CD-ROM Version 6.8 に収められているプラットフォーム固有ファームウェアでテストされています。ファームウェア CD-ROM に含まれなくなった古いプラットフォームについては,最新のファームウェア・バージョンで OpenVMS Alpha Version 8.2 がテストされています。 OpenVMS をアップグレードする前に,最新のファームウェアにアップグレードすることをお勧めします。

OpenVMS Alpha Version 8.2 キットには, Alpha Systems Firmware CD-ROM とリリース・ノートが同梱されています。ファームウェアをインストールする前にリリース・ノートに目を通してください。

Version 6.8. と,最新のファームウェアの情報については,次の Web サイトを参照してください (URL の大文字と小文字は区別されます)。

ftp://ftp.digital.com/pub/Digital/Alpha/firmware/

1.9.2 アップグレード・パス

V8.2

OpenVMS Alpha Version 8.2 では,下記のバージョンからのアップグレード・インストレーションをサポートしています。 OpenVMS I64 Version 8.2 へのアップグレードはサポートしていません。

Version 7.3-2
Version 7.3-1

現在,OpenVMS Alpha Version 6.2x 〜 7.3 を実行している場合は,まず Version 7.3-1 または 7.3-2 にアップグレードした後, Version 8.2 にアップグレードする必要があります。なお,OpenVMS Alpha Version 7.3-1 システムの標準サポートは, 2005 年 3 月 31 日で終了します。これ以降,OpenVMS Alpha V7.3-1 システムは, PVS (Prior Version Support) の対象とはなりません。 OpenVMS オペレーティング・システムのサポートの詳細については,次の Web サイトの表を参照してください。

http://h71000.www7.hp.com/openvms/openvms_supportchart.html

これ以外のサポートされていないバージョンの OpenVMS を実行している場合は,以前のバージョンのドキュメントに記載されているアップグレード・パスに沿って,複数回のアップグレード作業を行わなければなりません。

クラスタの同時アップグレード

クラスタを一度にアップグレードする場合には,クラスタ全体をシャットダウンして,各システム・ディスクをアップグレードします。各コンピュータでアップグレードおよびリブートが完了するまでクラスタを使用することはできません。各コンピュータがリブートされると,それぞれのコンピュータではアップグレード後のオペレーティング・システムが実行されます。

クラスタのローリング・アップグレード

クラスタのローリング・アップグレードを実行する場合は,各システム・ディスクを個別にアップグレードします。この場合,新旧バージョンのオペレーティング・システムを同じクラスタ内で同時に実行できます (複合バージョン・クラスタ)。ただし,この場合システム・ディスクが複数必要です。アップグレード中でないメンバ・システムは使用可能です。

OpenVMS Alpha Version 8.2 を含む混合バージョン・クラスタでサポートされる OpenVMS Alpha と OpenVMS VAX のバージョンは,次のとおりです。

Version 7.3-2 (Alpha)
Version 7.3 (VAX)

クラスタ環境でアップグレードを行う場合,ローリング・アップグレードは OpenVMS Alpha オペレーティング・システム Version 7.3-2 および 7.3-1 からのアップグレードをサポートします。クラスタ内にこの他のバージョンが存在する場合は,それらのバージョンをサポートされているバージョンにアップグレードするまで,ローリング・アップグレードは実行できません。

どのバージョンのオペレーティング・システムも, V8.2 システムとの混合クラスタをサポートするには,修正キットをインストールする必要があります。詳細は, 第 4.18.4 項 を参照してください。

注意

現在 1 つのクラスタでは,アーキテクチャにかかわらず,一度に 2 つのバージョンの OpenVMS の実行のみがサポートされています。 1 つの OpenVMS Cluster 内でサポートされるアーキテクチャは, 2 つだけです。 warranted サポートが提供されているのは, OpenVMS I64 Version 8.2 との組み合わせです。詳細は,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

OpenVMS オペレーティング・システムで warranted サポートが提供される組み合わせ, migration サポートが提供される組み合わせ,あるいは OpenVMS Alpha Version 8.2 のインストール/アップグレード手順, OpenVMS I64 Version 8.2 のインストール手順などの詳細は,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

1.9.3 Version 7.3-1 からのアップグレードでのエラー

V8.2

OpenVMS Alpha Version 7.3-1 のシステム・ディスクを Alpha Version 8.2 へアップグレードする際に,実行フェーズで次のメッセージが出力されることがあります。


%PCSI-E-PARUDF, file [SYSLIB]SYS$STARLET_C.TLB was not previously installed 
or is present but out of scope; module update skipped 
Terminating is strongly recommended.  Do you want to terminate? [YES] 

このエラー・メッセージは,状況を適切に説明していません。このメッセージでは, SYS$STARLET_C.TLB ライブラリをアップデートできないとしていますがこれは正しくありません。このメッセージは, Alpha Version 7.3-1 システム・ディスクに適用したパッチ・キットが,ライブラリ内のモジュールを不適切にアップデートしために発生します。

アップデートを中止するようにとの推奨は無視してください。プロンプト Do you want to terminate? [YES]に対しては, NO を入力してください。アップデートは正常に続行されます。

1.9.4 Encryption for OpenVMS Alpha: 古いキットを削除する

V8.2

OpenVMS Alpha および Itanium システムの Encription キットの製造社名が CPQ から HP に変更になりました。この名前は,PCSI ファイル名と PCSI データベースで見ることができます。たとえば,次のペアで旧名称と新名称とが解ります。

CPQ-AXPVMS-ENCRYPT-V0106--1.PCSI
HP-AXPVMS-ENCRYPT-V0106--1.PCSI

CPQ AXPVMS ENCRYPT V1.6
HP AXPVMS ENCRYPT V1.6

Alpha システムでは,ENCRYPT 製品が古いキット (つまり, Encription 製品の製造社名として HP がリストされていなかったキット) からインストールされていると,アップデートの前に,まず ENCRYPT を削除する必要があります。次のコマンドを使用してください。


$ PRODUCT REMOVE ENCRYPT 
$ PRODUCT INSTALL ENCRYPT 

HP Encryption 製品を使用するのに,ライセンスは不要です。

1.9.5 HP DECram V3.n: アップグレード前に削除する

V8.2

OpenVMS Alpha Version 8.2 および OpenVMS I64 Version 8.2 以降, DECram は System Integrated Product (SIP) として, OpenVMS オペレーティング・システムとともに提供されます。 OpenVMS Alpha システムを Version 8.2 へアップグレードする場合は,古いバージョンの DECram を削除しなければなりません。詳細は,『HP OpenVMS Version 8.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

DECram の注意事項については, 第 2.13 節 も参照してください。

1.9.6 アップグレード前の Kerberos V1.0 の削除

V7.3-2

POLYCENTER ソフトウェア・インストール・キットを使用して Kerberos Version 1.0 for OpenVMS をインストールした場合は,オペレーティング・システムをアップグレードする前に, POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティを使用して, Kerberos Version 1.0 を削除しなければなりません。 (Version 2.0 を実行しているか, OpenVMS Version 7.3-1 オペレーティング・システムの一部として Version 1.0 がインストールされている場合は, Kerberos を削除する必要はありません。)

Kerberos を削除するには,インストール CD のメイン・メニューから,オプション 6 "Remove installed products" を選択します。削除する際に,データとディレクトリを削除したいか尋ねられます。 (データとは,構成データ・ファイルと,(作成されている場合) 主データベースを指します。) 後で使用するためにこの情報を保存したい場合は,質問に対して "No" と応答します。メイン・メニューに戻り,OpenVMS のアップグレードを実行します。

アップグレード後,新しい Kerberos ディレクトリは, KRB$ROOT:[*...] に配置されます。 (KRB$ROOT は,Kerberos が起動されるときに,システム・ワイドな論理名として定義されます。) Kerberos データは,構成時に作成されるか,古い Kerberos ディレクトリから移動されて,名前が変更されます。以前にインストールされていた Kerberos キットを削除し,データとディレクトリを保存した場合は,アップグレード後初めて Kerberos スタートアップ・プロシージャが実行されたときに,そのデータが自動的に新しいディレクトリに移動され,名前が変更されます。

次のコマンドを入力して,Kerberos サーバを起動します。


$ @sys$startup:krb$startup.com 

Kerberos スタートアップ・プロシージャは,認識している Kerberos ファイルだけを移動し,名前を変更します。古い Kerberos ディレクトリ内にファイルを作成していた場合は,それらのファイルを手作業で移動しなければなりません。

Kerberos のインストールおよび構成の詳細は,『HP Open Source Security for OpenVMS, Volume 3: Kerberos』を参照してください。

1.9.7 アップグレード後に LANCP デバイス・データベースを変換する

V8.2

OpenVMS Alpha Version 8.2 へアップグレードするとき,アップグレード後の最初の LANACP の実行で LAN デバイス・データベースが自動的に Version 8.2 形式に変換されない場合は,この変換を実行する必要があります。

データベースを変換するには,次の LANACP コマンドを入力してデバイス・データベースを変換後 LANACP を停止させ,新しいデータベースで再起動できるようにします。


$ LANCP 
LANCP> CONVERT DEVICE_DATABASE 
LANCP> SET ACP/STOP 
LANCP> EXIT 
$ @SYS$STARTUP:LAN$STARTUP 

1.9.8 DECnet-Plus の新しいバージョンが必要

V7.3-2

インストールまたはアップグレードを行って OpenVMS Alpha Version 7.3-2 以降のバージョンにするときには, DECnet-Plus の新しいバージョンもインストールしなければなりません。このインストールが必要な理由の 1 つに,AUTOGEN の動作の変更があります ( 第 4.3 節 を参照)。

以前のバージョンの動作と異なり, DECnet-Plus for OpenVMS Version 7.3-2 以降では, AUTOGEN が必要としているように,製品情報を NEWPARAMS.DAT レコードに格納するようになりました。 AUTOGEN は, DECnet-Plus にこの変更が行われていることを前提としているため, CLU$PARAMS.DAT から「不正」レコードを削除する際に,警告を出力しません。 AUTOGEN は,これらのレコードは古い DECnet-Plus キットが作成したものなので,新しい DECnet-Plus キットが置き換えるものと見なします。このため通常の状態では, OpenVMS Version 7.3-2 以降のインストールまたはアップグレードの際に,動作に大きな違いは見られません。

ただし,他の製品が NEWPARAMS.DAT レコードに製品情報を格納しない場合, AUTOGEN は,レポートと,ユーザの SYS$OUTPUT デバイスの両方に警告メッセージを出力します。これは,AUTOGEN がこの製品情報を必要とするようになったためです。この警告は,(製品名が付加されていないため) NEWPARAMS.DAT にあるパラメータ割り当てを AUTOGEN が受け入れられないことと,レコードが CLU$PARAMS.DAT に追加されないことを示します。レコードが追加されないため,期待されている追加や変更が SYSGEN パラメータに行われず,リソースが足りなくなる可能性があります。ソフトウェア製品の開発者とテスト者は,この要件を意識しなければなりません。また,システム管理者にも関係する場合があります。

この新しい動作は,レイヤード・プロダクトのユーザと提供者の両方を守ることを目的としています。適切にアップデートされるようにこの情報を適切な順序にすると,不正なアップデートによって起こる問題を最小限にできます。

NEWPARAMS.DAT と CLU$PARAMS.DAT の説明は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の AUTOGEN の章を参照してください。

1.9.9 SHADOW_MAX_UNIT のデフォルト設定とメモリ使用量

V7.3-2

この注意事項は,以前の注意事項を更新するものです。以前の注意事項は,このシステム・パラメータのデフォルト設定について説明していましたが,デフォルト設定で消費されるメイン・メモリの量については説明していませんでした。

OpenVMS Alpha Version 7.3 で, HP Volume Shadowing for OpenVMS でのミニコピーがサポートされました。ミニコピー機能の一環として,新しいボリューム・シャドウイング・システム・パラメータ, SHADOW_MAX_UNIT が導入されました。 OpenVMS Alpha システムでは,このシステム・パラメータのデフォルト値は 500 で,メイン・メモリを 24 KB 消費します。 OpenVMS VAX システムでは,デフォルト値は 100 で,メイン・メモリを 5 KB 消費します。

Volume Shadowing for OpenVMS を使用する予定がない場合は,この設定を最小値の 10 に変更することができます (この場合,消費するメイン・メモリは 480 バイトです)。デフォルト値から最小値に変更すると, OpenVMS Alpha システムでは 23.5 KB のメイン・メモリ, VAX システムでは 4.5 KB のメイン・メモリを解放することができます。

注意

SHAD_MAX_UNIT は,静的なシステム・パラメータです。新しい設定値を有効にするには,システムをリブートしなければなりません。

ボリューム・シャドウイングの SHADOW_MAX_UNIT 設定の推奨値については,『Volume Shadowing for OpenVMS 説明書』を参照してください。


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