HP OpenVMS Systems Documentation |
本書は,OpenVMS システム用の HP C ランタイム・ライブラリの機能とマクロについて説明します。
| 改訂/更新情報: | 本書は『 HP C Run-Time Library Reference Manual for OpenVMS Systems』の改訂版です。 |
| ソフトウェア・バージョン: | HP OpenVMS I64 V8.3
HP OpenVMS Alpha V8.3 OpenVMS VAX V7.3 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社
© Copyright 2006 Hewlett-Packard Development Company, L.P.
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また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,弊社は一切その責任を負いかねます。
本書で解説するソフトウェア ( 対象ソフトウェア ) は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。
弊社は,弊社または弊社の指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。
UNIX® は, The Open Group の登録商標です。
X/Open® は,英国およびその他の国における X/Open Company Ltd. の登録商標です。
Intel® および Itanium® は,米国およびその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標または登録商標です。
原典:HP C Run-Time Library Reference Manual for OpenVMS Systems
© 2006 Hewlett-Packard Development Company, L.P. <copyright_page_continued>
HP C ランタイム・ライブラリの一部は,カリフォルニア大学バークレイ校およびその協力者 (contributors) が著作権を保有するソースを使用して実装されています。
Copyright (c) 1981 Regents of the University of California.
All rights reserved.
次の条件が満たされる場合,変更されているかかどうかにかかわらず,ソースおよびバイナリ形式の再配布と使用が認められます。
本ソフトウェアは,開発者および協力者が提供するものを「そのまま」提供するものであり,商品性や特定の目的への適合性の暗黙の保証も含めて ( これらに限定されません ),いかなる表明や暗黙の保証も適用されません。いかなる場合も,開発者および協力者は,直接的または間接的損害,事故による損害,特別損害など ( たとえば,代替商品やサービスの調達の必要性,製品が使用できなくなる障害,データや収益の消失,ビジネスの中断など ) の発生の責任を負いません。さらに,本ソフトウェアの使用によって発生する契約上の責任,無過失責任,不法行為 ( 過失によるもの他 ) に関しても,そのような損害の可能性があらかじめ助言されていた場合でも,開発者および協力者は一切の責任を負いません。 <endcopyright_page_continued>
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本書では,VAX,Alpha,および Intel Itanium プロセッサ上の OpenVMS オペレーティング・システムの HP C Run-Time Library (RTL) について説明します。 HP OpenVMS Industry Standard 64 for Integrity Servers は, Intel Itanium プロセッサ対応 OpenVMS オペレーティング・システムの正式な製品名です。本書では,短縮形の OpenVMS I64 および I64 も使用します。
本書は,入出力 (I/O) 操作,文字および文字列操作,算術演算,エラー検出,サブプロセスの生成,システム・アクセス,画面管理,UNIX の一部の機能のエミュレーションを行う C RTL 関数およびマクロに関する参照情報を示します。また,オペレーティング・システム間の移植性に関する問題点も示します。
HP C RTL には,XPG4 準拠の国際化サポートが含まれており,異なる言語やカルチャで動作可能なソフトウェアを開発するのに役立つ関数が提供されます。
HP C コンパイラおよび C++ コンパイラとともに使用する必要がある完全な HP C ランタイム・ライブラリ (C RTL) は, OpenVMS Alpha オペレーティング・システムおよび I64 オペレーティング・システムで,共用イメージおよびオブジェクト・モジュール・ライブラリの両方の形式で提供されます。
本書では,TCP/IP サービス・プロトコルを使用したインターネット・アプリケーションを作成するためのソケット・ルーチンについては説明していません。ソケット・ルーチンのヘルプについては,次のコマンドを実行してください。
$ HELP TCPIP_Services Programming_Interfaces Sockets_API |
また,製品マニュアル『HP TCP/IP Services for OpenVMS』も参照してくだだい。
本書は, HP C RTL で提供される関数とマクロに関する参照情報が必要な,経験の豊富なプログラマおよび初心者のプログラマを対象にしています。
本書は次の章と付録で構成されています。
『HP C ランタイム・ライブラリ・リファレンス・マニュアル (下巻)』はリファレンス・セクションで HP C RTL のすべての関数について説明しています。 |
OpenVMS システム向けのプログラムを HP C で作成する場合,次のドキュメントが役立ちます。
HP OpenVMS 製品およびサービスについての詳細は,弊社の Web サイトを参照してください。アドレスは次のとおりです。
| 表記法 | 意味 |
|---|---|
| HP OpenVMS Industry Standard 64 for Integrity Servers, OpenVMS I64,I64 | Intel Itanium アーキテクチャで動作する OpenVMS オペレーティング・システムです。 |
| OpenVMS システム | 特に明記しない限り,サポートする全プラットフォームの OpenVMS オペレーティング・システムを指します。 |
| [Return] | [Return] は端末上の Return キーを 1 回押すことを示します。 |
| Ctrl/X | Ctrl/X (英字の X は端末の制御文字を表す) は, Ctrl キーを押したまま指定の端末文字キー (X) を押すことを示します。 |
|
switch
文
int データ型 fprintf 関数 <stdio.h> ヘッダ・ファイル |
モノスペース文字は言語キーワードおよび HP C 関数とヘッダ・ファイルの名前を示します。また,例で使用している特定の変数名を参照するときも使用します。 |
| arg1 | 斜体は引数やパラメータ名を示すプレースホルダとして使用し,新出用語を強調するときも使用します。 |
| $ RUN CPROG [Return] | ユーザと対話する例では,ユーザ入力は太字で示します。 |
| float x;
.
. . x = 5; |
垂直方向の省略記号は,プログラムやプログラムからの出力の一部が省略されていることを示します。例では関連する部分だけが示されています。 |
| option,... | 水平方向の省略記号は,パラメータ,オプション,値を追加入力できることを示します。省略記号の前のコンマは,後続の項目の区切り文字を表します。 |
| [output-source,...] | 関数構文やその他の場所で使用している角括弧は,その構文要素が省略可能であることを示します。しかし,OpenVMS ファイル指定でディレクトリ名を区切るために使用する角括弧や, HP C ソース・コードで多次元配列の次元を区切るために使用する角括弧は省略できません。 |
| sc-specifier::=
auto static extern register |
構文定義で,別々の行に示されている項目は組み合わせて指定できないことを示します。 |
| [a|b] | 2 つ以上の項目が縦線 (|) で区切られ,角括弧で囲まれている場合は, 2 つの構文要素のいずれかを選択しなければならないことを示します。 |
| <ucDelta symbol> | デルタ記号は,1 文字の ASCII スペース文字を表します。 |
プラットフォームは,異なる環境を提供するオペレーティング・システムとハードウェアの組み合わせです。本書では,VAX,Alpha,Itanium プロセッサで動作する OpenVMS オペレーティング・システムに適用される情報を示します。
次のように特に指定した場合を除き,本書の情報はすべてのプロセッサに適用されます。
| ラベル | 説明 |
|---|---|
| (Alpha only) | Alpha プロセッサ固有。 |
| (I64 only) | OpenVMS オペレーティング・システムが動作している Intel Itanium プロセッサ固有。このプラットフォームでは,オペレーティング・システムの製品名は OpenVMS Industry Standard 64 (またはその短縮形 OpenVMS I64 あるいは I64) です。 |
| (VAX only) | VAX プロセッサ固有。 |
| (Alpha, I64) | I64 プロセッサおよび Alpha プロセッサ固有。 |
ここでは,OpenVMS Version 8.3 で行われた C ランタイム・ライブラリ (RTL) の拡張について説明します。これらの拡張によって,UNIX との間の移植性,標準への準拠性,およびユーザ制御機能を選択する際の柔軟性が改善されています。また,新しい C RTL 関数も含まれています。
V8.3 以降の OpenVMS では, Open Group 準拠のシンボリック・リンクと, POSIX 準拠のパス名がサポートされています。このサポートは, UNIX/LINUX のアプリケーションを OpenVMS へ移植する場合や, UNIX スタイルの開発環境を使用してアプリケーションを開発する場合に,その移植に伴っていた複雑さや開発コストの負担を軽減するために拡張されたものです。
ただし,このサポートがあるからといって, OpenVMS システムで UNIX ファイルの互換性が 100% 保証されるわけではありません。場合によっては,OpenVMS へ UNIX/LINUX のアプリケーションを移植する際に,それらのアプリケーションを変更しなければならないこともあります。
OpenVMS では,シンボリック・リンクと POSIX パス名の処理をサポートするために,以下の機能を提供しています。
symlink readlink unlink realpath lchown lstat |
シンボリック・リンクと POSIX パス名に関する処理の詳細については, 第 12 章 を参照してください。
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