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HP OpenVMS Systems
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HP OpenVMS

HP OpenVMS

デバッガ・コマンド・ディクショナリ

AA--QUTWD--TE


2005 年 4 月

本書は,高級言語とアセンブリ言語のプログラマのための OpenVMS デバッガ機能のコマンドについて説明します。

改訂/更新情報: OpenVMS V7.3 『デバッガ・コマンド・ディクショナリ』の改訂版です。
ソフトウェア・バージョン: OpenVMS I64 Version 8.2

OpenVMS Alpha Version 8.2

OpenVMS VAX Version 7.3



日本ヒューレット・パッカード株式会社


© Copyright 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P.

本書の著作権は日本ヒューレット・パッカード株式会社が保有しており,本書中の解説および図,表はヒューレット・パッカードの文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。

また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,ヒューレット・パッカードは一切その責任を負いかねます。

本書で解説するソフトウェア ( 対象ソフトウェア ) は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。

ヒューレット・パッカードは,ヒューレット・パッカードまたはヒューレット・パッカードの指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。

Intel および Itanium は,米国およびその他の国における, Intel Corporation またはその関連会社の商標または登録商標です。

原典:HP OpenVMS Debugger Manual
© Copyright 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P.

次へ 目次 索引


まえがき

対象読者

本書は,デバッガを使用するすべてのプログラマを対象とします。本書には,デバッガの次の2つのユーザ・インタフェースについての内容が含まれています。

OpenVMS I64 あるいは OpenVMS Alpha システムの OpenVMS デバッガを使用すると, OpenVMS オペレーティング・システムの 64 ビット処理により使用可能になる,すべての拡張メモリにアクセスできるようになります。このため,完全な 64 ビット・アドレス空間でデータのテストと処理が行えるようになります。

OpenVMS デバッガはあらゆる地域で使用できるよう設計されています。アジア地域のユーザであれば,デバッガの HP DECwindows Motif for OpenVMS,コマンド行,画面モード・ユーザ・インタフェースをマルチバイト文字で使用することもできます。

デバッガを使用してコードをデバッグすることができるのは,ユーザ・モードの場合だけです。スーパバイザ・モード,エグゼクティブ・モード,カーネル・モードではコードをデバッグすることはできません。

本書の構成

本書は2 つの章で構成されています。

第 1 章:デバッガ・コマンドの概要が記述されています。
第 2 章:デバッガ・コマンドが辞書形式で記述されています。

デバッグの際は『OpenVMS デバッガ説明書』をご覧ください。

関連資料

デバッガを使用する際には,次の資料も参考になります。

プログラミング言語

本書では,デバッガでサポートしている言語の大部分に共通する使用法について記述しています。特定の言語に固有の情報についての詳しい説明は,次の資料を参照してください。

◆リンカ・ユーティリティ

プログラムや共用可能イメージのリンクについての詳しい説明は,『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照してください。

◆Delta/XDelta デバッガ

スーパバイザ・モード,エグゼクティブ・モード,カーネル・モード ( つまり,ユーザ・モード以外のモード ) でのコードのデバッグについての詳しい説明は,ドキュメント・セットの 『OpenVMS Delta/XDelta Debugger Manual』 を参照してください。このマニュアルには,特権プロセッサ・モードで実行するプログラムや,高い割り込み優先順位で実行するプログラムのデバッグについての情報が記載されています。

◆OpenVMS System-Code デバッガ

オペレーティング・システム・コードのデバッグについては,『OpenVMS System Analysis Tools Manual』を参照してください。このマニュアルには, OpenVMS デバッガから OpenVMS System-Code デバッガを起動する方法, OpenVMS System-Code デバッガ環境でのデバッグ方法についての情報が記載されています。

OpenVMS System-Code デバッガ固有のコマンドについての詳しい説明は,『デバッガ・コマンド・ディクショナリ』の CONNECT コマンドと REBOOT コマンドの項を参照してください。

◆ HP DECwindows Motif for OpenVMS

HP DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースの一般的な情報については,『VMS DECwindows User's Guide』を参照してください。

この他の HP OpenVMS 製品やサービスについての詳細は,次の Web サイトを参照してください。


http://www.hp.com/go/openvms 

本書で使用する表記法

製品名について

VMScluster システムは,OpenVMS クラスタ・システムを指します。

また,日本語 DECwindows および日本語 DECwindows Motif はすべて日本語 DECwindows Motif for OpenVMS ソフトウェアを意味します。

例について

本書には,デバッガの DECwindows Motif ユーザ・インタフェースを示す図が多数収録されています。このインタフェースの画面構成はそれぞれのユーザごとにカスタマイズできるため,ユーザのシステム上のデバッガ表示と一致しないことがあります。

OpenVMS I64 あるいは OpenVMS Alpha システムの OpenVMS デバッガは, OpenVMS オペレーティング・システムの 64 ビット処理により使用可能になるすべての拡張メモリに対してアクセスできるようになっていますが,本書のサンプルは,その事実を反映するよう更新されてはいません。そのため,16 進アドレスは,Alpha では 16 桁の数で VAX では 8 桁の数になります。つまり次の例のようになります。


DBG> EVALUATE/ADDRESS/HEX %hex 000004A0
00000000000004A0 
DBG> 

また,本書では,次の表記法を使用しています。

表記法 意味
Ctrl/ x Ctrl/ x という表記は,Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
PF1 x PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
[Return] 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。

HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。

... 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。

  • 文中のオプションの引数が省略されている。

  • 前出の 1 つまたは複数の項目を繰り返すことができる。

  • パラメータや値などの情報をさらに入力できる。

.
.
.
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。
( ) コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。
[ ] コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか 1 つを選択しても,あるいは 1 つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。
[|] コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。
{ } コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか 1 つのオプションを指定しなければなりません。
太字 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。
italic text イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ ( たとえば内部エラー number),コマンド行 ( たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ ( たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。
UPPERCASE TEXT 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。
Monospace type モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。

C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。

- コマンド形式の記述の最後,コマンド行,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。
数字 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて 10 進数です。 10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数 ) は,その旨を明記してあります。


第 1 章
デバッガ・コマンド・ディクショナリ概要

1.1 はじめに

デバッガ・コマンド・ディクショナリには,すべてのデバッガ・コマンドに関する詳細情報があります。その構成は次のとおりです。

1.2 デバッガ・コマンド形式

デバッガ・コマンドはキーボードで会話形式で入力するか,または実行プロシージャ (@) コマンドにより,あとで実行されるコマンド・プロシージャの中に保存することができます。

この節では次の情報について記述します。

1.2.1 一般形式

コマンド文字列 はデバッガ・コマンドの完全な指定です。 1 つのコマンドを 2 行以上に続けることもできますが,コマンド文字列という用語はデバッガに渡されるコマンド全体を定義する際に使用されます。

デバッガ・コマンド文字列は動詞で構成され,パラメータと修飾子が付くこともあります。

動詞は実行の対象となるコマンドを指定します。デバッガ・コマンド文字列の中には,次の例のように 1 つの動詞だけか,1 対の動詞だけで構成されるものもあります。


DBG> GO
DBG> SHOW IMAGE

パラメータは指定された動詞が作用する対象 ( たとえばファイル指定 ) を指定します。修飾子は動詞による処理を記述または変更するものです。コマンド文字列によっては,パラメータまたは修飾子を 1 つまたは複数入れられるものがあります。次の例では,COUNT,I,J,K,OUT2,PROG4.COM はパラメータで (@ は実行プロシージャ・コマンド ),/SCROLL と /OUTPUT が修飾子です。


DBG> SET WATCH COUNT
DBG> EXAMINE I,J,K
DBG> SELECT/SCROLL/OUTPUT OUT2
DBG> @PROG4.COM

コマンドの中には,省略可能な WHEN 句または DO 句を受け付けるものもあります。DO 句はある種の画面表示定義の中でも使用されます。

WHEN 句の構成はキーワードの WHEN を記述し,続いて現在の言語で評価結果が真か偽かになる条件式を ( 括弧で囲んで ) 指定します。 DO 句の構成はキーワードの DO を記述し,続いて 1 つまたは複数の ( 括弧で囲まれた ) コマンド文字列を指定します。これらのコマンドは指定した順に実行されます。複数のコマンド文字列があるときは,それぞれをセミコロン (;) で区切らなければなりません。これらの点について次の例で説明します。

次のコマンド文字列は SWAP というルーチンにブレークポイントを設定します。実行時に J の値が 4 になるといつでもブレークポイントが検出されます。ブレークポイントが検出されると,デバッガは指示された順番で 2 つのコマンド,SHOW CALLS と EXAMINE I,K を実行します。


DBG> SET BREAK SWAP WHEN (J = 4) DO (SHOW CALLS; EXAMINE I,K)

デバッガは DO 句の実行時に DO 句の中のコマンドの構文を調べます。 DO 句の中でコマンドをネストできます。

1.2.2 会話形式入力の規則

キーボードで会話形式でコマンドを入力するとき,すべてのデバッガ・キーワード群にわたって固有であるために最低必要な文字数までキーワード ( 動詞,修飾子,パラメータ ) を短縮できます。ただし,よく使用されるコマンドのいくつか ( たとえば EXAMINE,DEPOSIT,GO,STEP) は最初の文字だけに短縮できます。また,固有でない短縮形でもデバッガが状況に基づいて正しく解釈できる場合もあります。

Return キーを押すと,現在の行が終了し,デバッガはその行を処理します。長いコマンド文字列を次の行に続けるには,Return キーを押す前にハイフン (-) を入力します。こうすると,デバッガ・プロンプトにはアンダスコア文字 (_DBG>) が接頭辞として付き,まだコマンド文字列の入力中であることを示します。

各コマンド文字列をセミコロン (;) で区切ることにより, 1 行に複数のコマンド文字列を入力できます。

コメント ( デバッガ・ログ・ファイルには記録されているが,その他の点ではデバッガから無視される説明文 ) を入力するには,入力するコメント・テキストの前に感嘆符 (!)を入れます。コメントが次の行に続く場合には,新しい行を感嘆符で始めてください。

DCL プロンプト ($) が表示された状態で使用できるコマンド行編集機能は,上向き矢印キーと下向き矢印キーによるコマンドの再呼び出しも含めて,デバッガ・プロンプト (DBG>) が表示された状態でも使用できます。たとえば,左向き矢印キーを押すとカーソルが左に 1 文字移動し,右向き矢印キーを押すと右に 1 文字移動します。 Ctrl/H を押すとカーソルは行頭に移動し,Ctrl/E を押すと行末に移動します。 Ctrl/U を押すと,カーソルの左側にある文字がすべて削除されます。

デバッガで処理中のコマンドに割り込みをかけるには,Ctrl/C を押します。 Ctrl/C コマンドを参照してください。


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