日本語 OpenVMS
日本語 OpenVMS
日本語EVE ユーザーズ・ガイド
AA-PU8XF-TE
2001 年 7 月
本書は,日本語 OpenVMS オペレーティング・システム上で動く対話型テキスト・エディタである日本語 EVE の概要および,起動から終了までの操作方法について説明します。
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改訂/更新情報:
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本書は,日本語 OpenVMS V6.2『日本語EVE ユーザーズ・ガイド』の改訂版です。
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オペレーティング・システム:
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日本語 OpenVMS Alpha V 7.3
日本語 OpenVMS VAX V 7.3
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ソフトウェア・バージョン:
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日本語 EVE V3.7
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日本ヒューレット・パッカード株式会社
© 2001 Hewlett-Packard Development Company, L.P.
本書の著作権は Hewlett-Packard Development Company, L.P. が保有しており,本書中の解説および図,表は Hewlett-Packard Development Company, L.P. の文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。
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その他のすべての商標および登録商標は,それぞれの所有者が保有しています。
まえがき
本書の目的
本書は,日本語 OpenVMS オペレーティング・システム上で動く対話型テキスト・エディタである日本語 EVE (Extensible Versatile Editor) について説明した解説書です。日本語 EVE を使った基本的な編集操作を修得することを目的としています。
対象読者
本書は,日本語EVE を使用されるすべての方を対象としたマニュアルです。
関連資料
本書に関連した資料には以下のものがあります。
- 『日本語EVE かな漢字変換入門』
日本語 EVE を使用して簡単な文書編集ができるようになることを目的としたマニュアルです。日本語 EVE を初めて使用するユーザのための入門書です。
- 『日本語EVE リファレンス・マニュアル』
日本語 EVE のさらに詳しい機能,その機能の使用方法,および日本語 EVE の各コマンドについて説明しています。
- 『DEC XTPU リファレンス・マニュアル』
日本語 EVE は,DEC XTPU を用いて作成されています。 DEC XTPU (DEC eXtendec Text Processing Utility) とは,標準版 DECTPU (DEC Text Processing Utility) を拡張したプログラミング可能なテキスト処理ユーティリティです。『DEC XTPU リファレンス・マニュアル』は DEC XTPU についての解説書であり,システム・プログラマを対象読者としています。
本書の構成
本書は,7 つの章と 4 つの付録で構成されています。
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第 1 章
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日本語 EVE の概要および日本語独特の機能について説明します。
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第 2 章
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日本語 EVE の起動から終了までの基本的な操作方法について説明します。
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第 3 章
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EVEJキーパッドの使い方を説明します。
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第 4 章
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TAROキーパッドの使い方を説明します。
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第 5 章
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JVMSキーパッドの使い方を説明します。
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第 6 章
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半角カナの入力について説明します。
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第 7 章
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日本語EVEの編集機能について説明します。
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付録 A
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日本語EVEのコマンド・リストです。
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付録 B
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ローマ字かな記号変換対応表です。
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付録 C
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ローマ字かな変換における特殊文字変換対応表です。
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付録 D
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記号変換対応表です。
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本書で使用する表記法
本書では,以下の表記法を使用しています。
| 表記法 |
意味 |
| $
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システム・プロンプト。ドル記号($)は,システムのコマンド・レベルのプロンプトを示します。実際のプロンプトは,画面の左に表示されます。
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[KP0] 〜
[KP9]
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補助キーパッドの数字キーを指します。
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[Enter]
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補助キーパッドの右下にある
[Enter] キーを指します。
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[PF1] 〜
[PF4]
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補助キーパッドの1番上に並んでいるキーを指します。
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[F6] 〜
[F20]
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キーボードの上部にあるファンクション・キーを指します。
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[Ctrl/A]
[Ctrl-A]
[ctrl]_A
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[Ctrl] キーと文字キーの
[ A ]を同時に押します。大文字と小文字の区別はなく,また,
[カナ]キーが押されていても関係ありません。
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[GOLD/A]
[GOLD-A]
[GOLD]_A
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[GOLD] キーとして定義されたキーに続けて,文字キーの
[ A ]を押します。大文字と小文字の区別はありませんが,
[カナ]キーが押されていると異なるキーとして扱われます。
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太字
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入力画面の太字は,ユーザの入力文字列を示します。文中の太字のコマンド名は,日本語EVEコマンドを示します。
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キーボードの使い方
キーボードには,4つのキー・グループがあります。キー・グループは機能によって,次のように分かれています。
- メイン・キーパッド
キーボードの左側の部分。英数字と記号,カタカナと句読点が含まれています。
- エディタ・キーパッド
メイン・キーパッドのとなりにあるキーパッド。矢印キー([↑],[↓], [→],[←])と
[Find],[Select] キーなどのエディタ・キーが含まれています。
- 補助キーパッド
キーボードの右側にある数値キーパッド。
- ファンクション・キー
キーボードの上部に並んでいるキー。
図 1 キーパッドの配列図
メイン・キーパッドの主なキーについて説明します。
- [Return] キー
改行するときに押します。また,ある特定の動作が終了したことをシステムに知らせる役割もあります。
- [Shift] キー
キーの上段にかかれた文字(アルファベットの大文字,特殊記号など)を入力するときは,[Shift] キーを押しながら,該当するキーを押します。
- [Lock] キー
このキーを押すと,キーボードの上部にある Lock 表示ランプが点灯します。この状態でアルファベット・キーを押すと,その大文字が表示されます。もう 1 度
[Lock] キーを押すと,Lock 表示ランプが消え,アルファベット・キーを押すと小文字が表示されます。
- [カナ]キー
かな入力するときに使います。このキーを押すと,かな入力モードとなり,キーボードの上部にあるカナ表示ランプが点灯します。もう 1 度 [カナ] キーを押すと,カナ表示ランプが消え,ローマ字入力モードに戻ります。
- [Ctrl] キー
かな漢字変換など,特定のキーに割り当てられた機能を実行させるときに使用します。
- <X|キー
カーソルの左側の文字を1文字消去します。
- [Tab] キー
カーソルを次の(指定された)タブ位置まで移動します。
第 1 章
日本語EVE 概要
この章では日本語 EVE とそれを構成する DEC XTPU の概要について説明します。
1.1 日本語 EVE とは
日本語 EVE (Japanese Extensible Versatile Editor) は,日本語 OpenVMS オペレーティング・システム上で動く対話型のテキスト・エディタです。日本語 EVE は,手紙やレポートなど,いろいろな種類のファイルを編集できるだけでなく,プログラミング言語の編集などにも使えます。
日本語 EVE を使えば,新しいテキスト・ファイルの作成や,すでに存在するテキスト・ファイルの編集などを簡単に行うことができます。また,日本語 EVE は対話型エディタですから,テキスト・ファイルの内容を画面で見ながら編集できます。
1.2 DEC XTPU とは
DEC XTPU (DEC eXtended Text Processing Utility) は,高性能のプログラム可能なテキスト処理ユーティリティである標準版 DECTPU (DEC Text Processing Utility) に複数のコードセットを扱う機能を拡張した,テキスト処理ユーティリティです。日本語 EVE は,DEC XTPU を用いて作成されています。
DEC XTPU のセクション・ファイルの形式は DECTPU (VAXTPU) や日本語 VAXTPU と異なっています。このため,DECTPU (VAXTPU) または日本語 VAXTPU で作られたセクション・ファイルを, DEC XTPU で使うことはできません。
DEC XTPU のコマンド・ファイルの仕様は DECTPU の上位互換となっていますが, DEC XTPU の拡張のため,期待と異なる動作をすることがあります。また,日本語 VAXTPU 用のコマンド・ファイルは使用できません。
DEC XTPU についての詳細は,『DEC XTPU リファレンス・マニュアル』をご覧ください。
1.3 日本語 EVE の特徴
日本語 EVE は,ユーザが容易に効率よくテキストの編集できるように,以下のようなさまざまな機能を備えています。
- 挿入モードと重ね書きモード
テキスト入力モードには,挿入モードと重ね書きモードの 2 種類があります。入力モードは編集セッション中に自由に切り替えることができます ( 第 2.3 節 を参照)。
- オンライン・ヘルプ
オンライン・ヘルプ機能が提供されていますので,作業を中断せずに,編集コマンドに関する情報を表示できます (
第 7.3 節 を参照)。
- 複数ファイルの編集
必要に応じて,複数のファイルを同時に編集できます ( 第 7.6.3 項 , 第 7.7.2 項 を参照)。
- 複数ウィンドウの表示
画面を分割することにより,2 つ以上のウィンドウを 1 画面に表示できるので,同一ファイルの異なる場所や,複数のファイルを同時に表示し,編集することができます (
第 7.7 節 を参照)。
- DCLコマンドの実行
DCL バッファを使用して,サブプロセスで日本語 OpenVMS の DCL コマンドを実行し,その結果をバッファに得ることができます (
第 7.9 節 を参照)。
- キー定義
キーを定義することにより,日本語 EVE コマンドのタイプ入力を省略したり,学習シーケンスと呼ばれる一連のキーストロークを入力できます。 LEARN コマンドを使用すれば,1 つのキーを押すだけで,同じ一連のキーストローク(学習シーケンス)をバッファに何回でも入力できます ( 第 7.8 節 を参照)。
- 拡張した編集インタフェースの保存
独自に拡張したインターフェイスを,セクション・ファイルとして保存することで再利用できます。
- DECwindows 版日本語EVE
DECwindows の環境で日本語 EVE を使用できます (『日本語EVE リファレンス・マニュアル』第 3 章を参照)。
- SET KEYPADコマンド (変換キーパッドの選択)
日本語 EVE は,漢字を入力するための変換キーパッドとして,EVEJ,JVMS,JEDI, LEIA,TARO の5種類を提供しています。これらは,日本語 EVE の SET KEYPAD コマンドで切り替えることができます。
日本語EVE の各コマンドについては,日本語EVE リファレンス・マニュアル第 4 章 "コマンド・ディクショナリ" を参照してください。
- TAROキーパッド
TAROキーパッドは,"一太郎 Ver.3 " (一太郎は,株式会社ジャストシステムの商標です) の漢字変換キーパッドのエミュレーション・モードです。このキーパッドを選択すると,[ Ctrl ] キーを使わずに,スペース・バーで漢字変換を行うことができます ( 第 4 章 を参照)。
- 変換候補の表示
変換キーを 2 度以上続けて押すと,自動的に複数の変換候補が画面の下に表示され,数字キーによって選択することができます(
第 3 章 , 第 4 章 ,または 第 5 章 を参照)。
- 個人辞書へ単語を登録する
ENTER TANGO コマンドを使って,個人辞書に単語とその読みを登録できます。個人名や地名などを変換したいときに便利です。登録した単語を辞書から削除するには,DELETE TANGO コマンドを使います。
- 記号を入力する
記号の入力には,KIGOU コマンドを使います。 TARO キーパッドの場合は,[ F10 ] キーで記号モードにはいれます。
- 罫線を引く
DRAW KEISEN コマンドを実行すると,罫線モードにはいります。
- 変換キーの定義の変更
SET CONVERSON DYNAMICコマンドを実行すると,変換キーの定義が動的になり,変換キーは変換対象領域があるときだけ有効になります。
たとえば,EVEJ キーパッドの場合,[ Ctrl/H ] キーは,変換対象領域があるときはひらがな変換,ないときは START OF LINE コマンドになります。SET CONVERSON DYNAMIC コマンドを解除するには, SET CONVERSION NODYNAMIC コマンドを使用します。
詳しくは『日本語EVE リファレンス・マニュアル』をご覧ください。
- 変換モードの切り替え
HENKAN MODE [ON|OFF|TOGGLE|ROTATE] コマンドによって,変換モードを切り替えることができます。TARO キーパッドの [ F10 ] キーには,HENKAN MODE ROTATE コマンドが定義してあります。
- 変換対象文字列の編集
入力中の変換対象文字列を,矢印キー([→],[←]),<X|キーで編集することができます。また,エコー・モードと同じ変換操作をしたあと(たとえば,ASCII エコーのときに半角変換を行った後)でも編集できます。ただし,この機能は SET CONVERSION DYNAMIC コマンドを実行したときのみ有効です。
- フリー・カーソルでの上下移動
日本語と ASCII 文字が混在しているときに,フリー・カーソル・モードで上下移動しても,カラム位置をできるだけ保持するように動きます ( 第 7.2.1 項 を参照)。
- 複数のコードセットのサポート
日本語EVEでは,以下のコードセットをサポートしています ( 第 7.14 節 を参照)。
- DEC 漢字コードセット (DECKANJI)
- Super DEC漢字コードセット (SDECKANJI)
- DEC 漢字 2000 コードセット (DECKANJI2000)
- ISO Latin1 コードセット (ISO_LATIN1)
- DEC MCS コードセット (DEC_MCS)
- シフト JIS コードセット (SJIS)
- ISO-2022-JP コードセット (ISO2022JP)
- UCS-2 コードセット (UCS2)
- UTF-8 コードセット (UTF8)