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HP OpenVMS Systems
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HP OpenVMS

HP OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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25.2.3 デバイスの検出

USB デバイスの OpenVMS デバイス名は次のとおりです。

デバイス名 説明
AGA n 1 ジョイスティック
DNA n 1 ディスクまたはその他のマス・ストレージ・デバイス (ペン・デバイスなど)
KBD n 1 キーボード
MOU n 1 マウス
TXA n 1 モデム
TXB n 1 Prolific ドライバ
TXC n 1 シリアル・ポート (FTDI)
TXD n 1 シリアル・ポート (Edgeport/DIGI)
LPA n 1 プリンタ・ドライバ
HID0 ユーザがアクセスできない特別なドライバ
UCE0 Edgeport/DIGI で動作する特別なドライバ
UCM0 ハブ・ドライバ (システムあたり 1 つ)
UGA n 1 USB 汎用ドライバ。カスタム・デバイスのサポートで使用


1n の値は 0 〜 9999 です。

ほとんどのバックプレーン・バスと異なり, USB バスでのデバイスの検出は非同期処理であるため,完了までに要する時間は決まっていません。デバイスを検出するためには, SYSMAN において OpenVMS の自動構成で提供されるレイヤ以外の,追加の検出レイヤが必要です。 UCM は,デバイスを検出してデバイス・ドライバをロードするための,この第 2 のレイヤを提供します。そのため,システムに接続されている USB デバイスはブート時に検出されますが,実際の検出タイミングは,デバイスの数や構成,タイミングに影響を与えるその他のシステム・イベントに依存します。

USB デバイスを検出したり,USB デバイスを使用するコードや DCL プロシージャを作成する場合は,デバイスが検出されていなかったり構成されていない状況に対処し,デバイスが外された (オフラインになる) 場合にも対処する必要があります。そのため,コードや DCL プロシージャは,デバイスが見つかるまでリトライしたり待つ必要があります。また,デバイスが接続されている (オンラインである) ことを確認する必要もあります。

また,ハブ・ドライバは,ブート後の実行時にシステムに挿入されたデバイスを検出し,UCM がこれらのデバイスを構成します。構成後に外されたデバイスはオフラインになり,デバイスをシステムに再度接続するまでは使用できなくなります。

UCM クライアントは,UCM サーバと会話し,デバイスや発生している USB イベントについての情報を表示するためのコマンド行インタフェースを提供します。

UCMリスト

UCM サーバは, USB デバイスを構成するために使用するいくつかのリストをメモリ上で管理しています。

次の表で,UCM リストについて詳しく説明します。

リスト 説明
ジェネリック・リスト このリストには,UCM がサポートするデバイスの説明が登録されています。ジェネリック・リストは,システムで管理されているファイル・ベースのデバイス構成情報の一部です ( 『OpenVMS システム管理者マニュアル』の第 8 章を参照)。

インストールの段階でこのリストが作成されます。ジェネリック・リスト内に対応するエントリのないデバイスは不明デバイス・タイプであり,構成することができません。

テンタティブ・リスト これは,UCM がまだ構成していないデバイスのリストです。 UCM はデバイスを自動的に構成して永続化するため,通常このリストは空です。ただし,自動的なロードや自動的な永続化が無効になっている場合や, SET AUTO コマンドでデバイスがロードから除外されている場合は,デバイスはこのリストに登録されます。システム管理者はデバイスに関する情報を表示し,パーマネント・デバイスとして手動で追加することができます。テンタティブ・リストはメモリ上のリストであり,サーバの再起動時 (RELOAD コマンドの実行時) やシステムのリブート時に消去されます。
パーマネント・リスト このリストには,デバイスがバスに接続されたときに UCM が常に構成するデバイスが登録されています。パーマネント・リストには,USB デバイスの永続的な名前,つまり,リブートやサーバの再起動でも維持される名前が登録されています。

永続的な名前は,シリアル番号のあるデバイスとシリアル番号のないデバイスでは,少し異なる動作をします。

  • シリアル番号のあるデバイスでは,永続的な名前が常に機能します。

  • シリアル番号のないデバイスでは,デバイスをハブの同じ場所に接続した場合だけ,名前は維持されます。

動作しているシステムには,パーマネント・リストは 1 つしかなく,UCM はこのリストを SYS$SYSTEM:USB$UCM_DEVICES.DAT から読み込みます。ほとんどのお客様の場合,このファイルは,OpenVMS が SYS$COMMON:[SYSEXE] に提供する小さなファイルです。

注意

USB$UCM_DEVICES.DAT は決して削除しないでください。このファイルを削除すると, USB で接続されるデバイスを使用できなくなる可能性があります。

25.3 デバイスの自動的な構成

UCM による構成には自動と手動があります。ここでは,デバイスを自動的に構成する方法について説明します。デバイスを手動で構成する方法については, 第 25.4 節 を参照してください。

デバイスを自動的に構成するのは簡単です。デバイスを挿入するだけでデバイスが構成されます。 UCM は,ジェネリック・リストに登録されている新しい (永続化されていない) デバイスを自動的に構成し,そのデバイス用の OpenVMS デバイス・ドライバをロードし,デバイスを永続化します。

次のリストでは,システムの起動時から始まり自動的に実行される実際の手順を説明します。

  1. OpenVMS は UCM サーバを起動します。 UCM サーバは次の操作を実行します。

    1. 自動ロードと永続化の設定内容,除外リストと対象リストを読み込みます。

    2. サポートされているデバイスが登録されているジェネリック・リストを読み込みます。

    3. パーマネント・リストからすでに構成済みのデバイスの記述を読み込みます。

  2. UCM は空白のテンタティブ・リストを初期化します。

  3. UCM は USB バスを起動し,バス上のデバイスは自己の存在を示します。

  4. UCM はパーマネント・リストでデバイス・データを確認します。デバイス・データがパーマネント・リストに登録されている場合は,そのデータをロードし,使用できるようにします。
    デバイス・データがリストにない場合は,UCM は次のステップを実行します。

  5. UCM はジェネリック・リストでデータを確認します。デバイス・データがこのリストに登録されている場合は,そのデータを使用して,テンタティブ・リストにエントリを作成します。

  6. 自動的なロードが有効になっている場合 (デフォルト), UCM はそのデバイス用の OpenVMS デバイス・ドライバをロードして接続し, OpenVMS デバイス・インスタンスを作成しようとします。

  7. 自動的な永続化が有効になっている場合 (デフォルト), UCM はデバイスをテンタティブ・リストからパーマネント・リストに移動し,ディスク上の構成済みデバイスのデータベースを更新します。

  8. SET AUTO コマンドで自動的なロードが無効になっている場合は,ユーザがデバイスをパーマネント・リストに追加するか,またはこのリストからデバイスを削除するまで,データはテンタティブ・リストに残されます。

    注意

    • デバイスを切断しても,テンタティブ・リストのエントリは削除されません。

    • 自動的なロードと永続化が無効になっているときには, UCM の起動後,パーマネント・リストに追加されたデバイスは,その後,デバイスが切断されて再接続されるまで構成されません (つまり,使用可能な状態になりません)。

    • パーマネント・リストを変更すると,ファイルの新バージョンが作成されます。

  9. すべてのバスのすべてのデバイスが処理されるまで,ステップ 3〜8 を繰り返します。

  10. 次に UCM は,ユーザから要求があるか,またはデバイスが接続されるか切断されるまで待機します。

ログ・ファイル

UCM は以下のファイルを使用して,切断,接続,エラーを記録します。


SYS$MANAGER:USB$UCM_EVENTS.LOG 

イベント・ログにアクセスするために,特殊なアクセス権は必要ありません。しかし,UCM コマンド SET LOG/NEW を使用して新しいログ・ファイルを作成するには,OPER 特権が必要です (UCM コマンドの一覧,および各コマンドを実行するのに必要な特権を記載した表が 第 25.7 節 に示されていますので参照してください)。

25.4 手動でのデバイスの構成

新しいデバイスの自動的な認識と構成を無効にしたい場合や,特定のデバイスだけを自動的に構成したい場合があります。

25.4.1 自動的な構成を無効にする

自動的な構成をすべて無効にする場合は, UCM SET AUTO/DISABLE コマンドを使用します。


    UCM> SET AUTO/DISABLE=(LOAD) 

このコマンドを実行すると,パーマネント・データベースに登録されていない すべてのデバイスの自動的なロードが すべて無効になります。

つまり,いったんデバイスが構成されパーマネント・データベースに追加されると,システムにデバイスを接続するたびに, UCM はそのデバイス用のドライバをロードし,デバイスを作成します。パーマネント・データベースに登録されていないデバイスは,通常は自動的にロードされ,デバイスが作成されて,パーマネント・データベースに登録されます。

SET AUTO/DISABLE=LOAD コマンドで自動的なロードを無効にすると,デバイス・ドライバはロードされず,デバイスが作成されず,パーマネント・データベースに登録されません。代わりに,ユーザが手動で操作できるように,テンタティブ・リストに登録されます。

あるタイプのデバイスをロードから除外する

デバイスをロードから除外する 1 つの方法は, SET AUTO コマンドで /EXCLUDE スイッチを使用することです。これにより,特定のデバイスがロードされなくなります。

特定のタイプのデバイスのロードを無効にするには,たとえば次のコマンドを実行します。


   UCM> SET AUTO/DISABLE=DNA 

このコマンドを実行すると,DNA ディスクが自動的にロードされなくなります。

SET AUTO コマンドの修飾子についての詳細は,このコマンドの説明を参照してください。

25.4.2 パーマネント・リストにエントリを作成する

ここでは,デバイスが自動的なロードから除外されている場合や,すべてのデバイスの自動的なロードが無効になっているために, UCM が自動的に構成しなかったデバイスを構成するための手順を説明します。

UCM が USB デバイスを構成するためには,あらかじめパーマネント・リストにデバイスのエントリが登録されている必要があります。

パーマネント・リストにエントリがない既知のタイプの USB デバイスを接続する場合,UCM は読み取り専用ジェネリック・リストの情報を使用して,テンタティブ・リストにエントリを作成します。 UCM がパーマネント・リストにエントリを作成する前に,ユーザがエントリを承認する必要があります。

キーボードとマウス

ただし,キーボードとマウスについては,特別なパーマネント・エントリが事前に有効になっているため,パーマネント・リストにエントリを作成する必要はありません。これらのパーマネント・エントリがあることで,システム・キーボード (KBD) とマウス (MOU) は,自動ロードの設定にかかわらず,常に接続と構成が行われます。

また,これらのエントリによって,キーボードとマウスを USB バスのどこに接続しても KBD および MOU になります。これにより,グラフィックス・カード,キーボード,マウスがあるシステムでは, DECwindows が常に正常に起動されることが保証されます。

構成するデバイスを設定するには,パーマネント・リストにデバイスのエントリを作成します。その後,デバイスを接続するたびに,UCM はそのデバイスを認識します。

次の例では,プリンタを USB に接続します。プリンタは既知のデバイス・タイプです。つまり,ジェネリック・リストにプリンタのエントリが登録されています。しかし,パーマネント・リストにはまだエントリが作成されていません。

デバイスを構成するには,次の操作を実行します。

  1. プリンタを物理的に接続します。

  2. UCM コマンドを入力して UCM 環境に入り,システムで構成済みのデバイスと未構成のデバイスに関するメッセージを表示します。


    $ UCM 
    UCM> 
    

  3. 未構成のデバイスに関する追加情報を表示するには,次のコマンドを入力します。


     
    $ UCM 
    Universal Serial Bus Configuration Manager, Version V1.0 
     
    UCM> SHOW DEVICE /UNCONFIGURED 
    DEVICE 
    DEVICE_TYPE                     TENTATIVE 
    DEVICE_NAME_ROOT                LPA 
    UNIT_NUMBER                     0 
    BUS                             1 
    PATH                            1.0.0.0.0.0 
    END_DEVICE 
     
    UCM> 
    


    実際の画面表示は,ここに示した表示と少し異なる可能性があります。

  4. 次に,ADD コマンドを入力してエントリを承認します。次の例を参照してください。


    UCM> ADD DEVICE LPA0 
     
    UCM> EXIT 
    


    このコマンドはデバイス情報をパーマネント・リストに登録します。

  5. プリンタを使用する前の最後の操作として,プリンタをいったん切断して再接続します。この操作を実行することで,プリンタを使用できるようになります (デバイスにシリアル番号がない場合は,同じポートにプリンタを接続するか,または MODIFY コマンドを使用して,新しい位置を示す必要があります)。
    プリンタを再接続すると,シリアル番号およびベンダ ID はプリンタを LPA0 として識別します。UCM はデバイスを構成して,使用できる状態にします (UCM サーバを再起動する場合や,システムをリブートする場合は,このステップは必要ありません)。

25.5 構成イベントの表示

UCM イベント・ロガーは,デバイスの接続や切断,特定のエラーなどのイベントを記録します。この情報を表示するには, UCM ユーティリティの SHOW EVENTS コマンドを使用します。修飾子を使用して,さまざまなタイプのイベントの表示を制限することもできます。

イベント・ログには,次のようなイベントが記録されます。

ここでは,不明のデバイスおよび構成障害に関する情報を表示する方法について説明します。

25.5.1 不明なデバイスに関する情報の取得

UCM は不明デバイスの接続をイベント・ログに記録します。この情報を表示するには,SHOW EVENT コマンドに /TYPE=UNKNOWN 修飾子を追加します。

次の例の情報には,ベンダ ID,製品 ID,その他のデバイスで提供されるオプション情報が示されています。不明デバイスが USB に接続されている場合に,たとえば次のように,不明デバイスの今日の動作に関するイベントだけを表示することができます。


 
UCM> SHOW EVENTS /TYPE=UNKNOWN /SINCE=TODAY 
 
Date        Time        Type         Priority Component 
-------------------------------------------------------------------------------- 
22-AUG-2005 13:04:23.26 UNKNOWN      NORMAL   UCM UNKNOWN DEVICE 
     Message: VENDOR_ID = 1118 
              PRODUCT_ID = 8 
              RELEASE_NUMBER = 256 
              BUS_NUMBER = 1 
              PATH = 1.0.0.0.0.0 
              DEVICE_CLASS = 0 
              DEVICE_SUB_CLASS = 0 
              DEVICE_PROTOCOL = 0 
              NUMBER_OF_INTERFACES = 1 
              NUMBER_OF_CONFIGURATIONS = 1 
              MANUFACTURER_STRING = Microsoft 
              PRODUCT_STRING = Microsoft SideWinder Precision Pro (USB) 
              CONFIGURATION_NUMBER = 0. 
 
UCM> 

実際の画面表示は,ここに示した表示と少し異なる可能性があります。


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