HP OpenVMS Systems Documentation |
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VAXシステムでは,Crash Log Utility Extractor (CLUE)を使用することにより, クラッシュ履歴ファイルの内容を表示することができます。クラッシュ履歴ファイルは, CLUEによって作成および更新されるファイルであり,クラッシュ・ダンプ・ファイルから抽出した重要なパラメータが格納されます。クラッシュ・ダンプはシステム障害(クラッシュ)が発生するたびに上書きされるため,通常は最後に発生した障害に対してのみ有効ですが,クラッシュ履歴ファイルはシステム障害を永続的に記録したファイルです。CLUE/DISPLAYコマンドを使用してクラッシュ履歴ファイルの内容を確認すれば,クラッシュの原因を突き止め,解決するのに役立ち,また,その他にも役立つデータを入手できます。
Alphaシステムと I64 システムでは,CLUE と同様の機能を System Dump Analyzer (SDA) ユーティリティのコマンドによって行うことができます。詳細については,『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。
8.2 CLUEの使用法の要約 (VAX のみ)
システム障害が発生すると,物理メモリの内容はクラッシュ・ダンプ・ファイルにコピーされ,CLUEは関連パラメータをCLUE$OUTPUT:CLUE$HISTORY.DATAという名前のファイルに自動的に追加します。 CLUEを使用すれば,このファイルに記録されたデータを表示し,確認できます。
CLUE /DISPLAY
なし。
CLUEを実行する前に,次のようにCLUEコマンドを定義します(会話で定義するか,またはログイン・コマンド・プロシージャなどのプロシージャで定義します)。
$ CLUE :== $CLUE
CLUEを起動するには,CLUE/DISPLAYコマンドを使用します。CLUEを終了するには, CLUE_DISPLAY>プロンプトに対してEXITコマンドを入力するか,またはCtrl/Zを押します。
次の例に示すように,CLUE/DISPLAYコマンドはDCLレベルから直接入力することもできます。
$ CLUE/DISPLAY = DIR/TYPE=INVEXCEPTN/SINCE=21-NOV-2002/OUT=CLUE.LIS
この節では,CLUE /DISPLAYコマンドについて説明し,使用例を示します。あいまいにならない範囲内であれば,コマンド,キーワード,修飾子は短縮できます。ユーザ名,ノード名,UICを指定する場合,アスタリスクとパーセント記号をワイルドカード文字として使用できます。
次の表は,この節で説明するコマンドを示しています。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| DELETE | クラッシュ履歴ファイルからエントリを削除する。 |
| DIRECTORY | クラッシュ履歴ファイルからエントリのリストを表示する。 |
| EXIT | CLUEを終了する。 |
| EXTRACT | クラッシュ履歴ファイル内のエントリからデータをファイルに書き込む。 |
| HELP | CLUE/DISPLAYコマンドに関するオンライン・ヘルプを表示する。 |
| SHOW | クラッシュ履歴ファイル内のエントリの特定の情報を表示する。 |
リストからエントリを削除し,残りのエントリをバイナリ・ファイルに書き込みます。
DELETE n
n
クラッシュ履歴ファイルから削除するエントリの番号。エントリ番号は, DIRECTORYコマンドで表示されるエントリ番号に対応します。
CLUE.BINファイル内のエントリは,DELETEコマンドを使用して永久的に削除できます。このコマンドは,指定されたエントリを削除し,残りのエントリを出力ファイルに書き込みます。エントリをクラッシュ履歴ファイルから削除すると,新しい履歴ファイル(既存のファイルよりバージョン番号の大きいファイル)が作成されます。
CLUE_DISPLAY> DELETE 4 |
4番目のエントリを削除します。
クラッシュ履歴ファイル内の各エントリを簡略形式で表示します。
DIRECTORY
/MODULE=
指定したモジュールに対応するすべての障害(つまり,指定した文字列から始まる障害)を表示します。/OFFSET=
指定したオフセットに対応するすべての障害(つまり,指定した文字列から始まる障害)を表示します。/SINCE=
指定した日付以降に発生したすべての障害を表示します。/SINCE修飾子を使用し,日付を指定しなかった場合には,現在の日付に発生したすべての障害が表示されます。/TYPE=
指定したタイプに対応するすべての障害(つまり,指定した文字列から始まる障害)を表示します。
DIRECTORYコマンドは,最新のエントリから順に,クラッシュ履歴ファイル内のレコード・エントリを表示します。各エントリに対して,次の6つの見出しが表示されます。
- エントリ番号
- クラッシュの日時
- タイプ
- プロセス
- モジュール
- オフセット
DIRECTORYコマンドに1つ以上の修飾子を指定すれば,表示するクラッシュ・エントリを制限できます。また,同じコマンド行に複数の修飾子を指定できます。たとえば, DIRECTORY/SINCE=18-APR-2002/MODULE=NETACP コマンドを使用した場合には, 2002年4月18日以降に発生し,モジュールがNETACPであるクラッシュ・エントリだけが表示されます。
| #1 | |
|---|---|
CLUE_DISPLAY> DIRECTORY
|
この例では,クラッシュ履歴ファイル内のすべてのエントリが表示されます。
| #2 | |
|---|---|
CLUE_DISPLAY> DIRECTORY /MODULE=SYSLOA
|
この例では,モジュールがSYSLOAであるエントリが表示されます。
CLUEを終了します。
EXIT
このコマンドはCLUEを終了し,DCLレベルに戻ります。
CLUE_DISPLAY> EXIT $ |
この例はCLUEを終了します。
クラッシュ履歴ファイル内のエントリから,すべてのデータをASCIIファイルまたはバイナリ・ファイルに書き込みます。
EXTRACT n
n
ファイルに抽出するエントリ番号。エントリ番号は,DIRECTORYコマンドで表示されるエントリ番号に対応します。
/BINARY=ファイル名.bin
出力をバイナリ・ファイルに書き込みます。/OUTPUT=ファイル名.txt
出力をASCIIファイルに書き込みます。省略時の設定は/OUTPUT修飾子です。
EXTRACTコマンドは,クラッシュ履歴ファイル内のレコード・エントリをASCIIファイルまたはバイナリ・ファイルに保存します。修飾子を指定しなかった場合には,エントリは CLUE$HISTORY.TXTという名前のテキスト・ファイルに書き込まれます。
CLUE_DISPLAY> EXTRACT 3 /OUTPUT=15MAYCRASH.TXT |
このコマンドでは,クラッシュ履歴ファイル内のエントリ番号3のデータが 15MAYCRASH.TXTという名前のASCIIファイルに書き込まれます。
CLUEコマンドに関するオンライン・ヘルプを表示します。
HELP [コマンド]
コマンド
ヘルプが必要なコマンド。
CLUE_DISPLAY> HELP DIRECTORY |
このコマンドでは,CLUEのDIRECTORYコマンドのオンライン・ヘルプが表示されます。
クラッシュ履歴ファイル内のエントリの情報を表示します。
SHOW 情報タイプ n
情報タイプ
次のいずれかの情報タイプを選択しなければなりません。
- CRASH---System Dump Analyzer (SDA)ユーティリティのSHOW CRASHコマンドに類似した情報を表示します。
- STACK---SDAのSHOW STACKコマンドに類似した情報を表示します。
- EXEC---SDAのSHOW EXECコマンドとSHOW DEVICEコマンドに類似した情報を表示します。
- ISTREAM---障害が発生したPCの前後の命令ストリームを表示します。
- SUMMARY---システムのアクティブ・プロセスを表示します。これはSDAの SHOW SUMMARY/IMAGEコマンドに類似しています。
- ALL---上記のすべての情報を表示します。
SDAコマンドについて詳しい説明は,『OpenVMS VAX System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。
n
情報を表示するエントリの番号。エントリ番号は,DIRECTORYコマンドで表示されるエントリ番号に対応します。
このコマンドを使用すれば,特定の障害に関するすべてのデータを表示できます。情報は複数の項目に分割されます。個々の項目を表示でき,また,すべての情報を表示することもできます。クラッシュ番号を指定しなかった場合には,クラッシュ履歴ファイル内で最新のエントリの情報が表示されます。しかし,情報タイプ に対してキーワードを 1つ,必ず指定しなければなりません。
クラッシュ履歴リストから特定のエントリを要求した場合には(SHOW nコマンドを使用して),弊社のサポート要員だけが解釈できる一部のパラメータも表示されます。
| #1 | |
|---|---|
CLUE_DISPLAY> SHOW ISTREAM 4
|
この例では,クラッシュ履歴ファイルのエントリ番号4に関して,障害が発生したPCの前後の命令ストリーム情報が表示されます。
| #2 | |
|---|---|
CLUE_DISPLAY> SHOW CRASH 4
|
この例では,障害が発生した時刻のシステムの状態情報が表示されます。このコマンドからの実際の出力には,この例に示した情報より重要な情報が表示されることもあります。
CDDVD ユーティリティ(COPY/RECORDABLE_MEDIA)を使用すると,オプションの光ディスク・レコーダを使用して, CD (Compact Disk) 媒体や DVD (Digital Versatile Disk) 媒体を OpenVMS 上で直接作成することができます。
CDDVD は ISO/IEC 10149 Mode 1 (2048 バイト・ブロックのデータ) のシングル・セッションの光媒体記録を行います。
CDDVD は,CD-R (CD Recordable),CD-RW (CD Rewritable), DVD+R (DVD Recordable),DVD+RW (DVD Rewritable) など,さまざまな光媒体形式の記録をサポートしています。正常に書き込み処理を行うためには,ターゲットの光ディスク記録デバイスでこれらの形式の 1 つ以上が利用できる必要があります。また,互換性のある記録媒体を記録デバイスにロードする必要があります。
9.1.1 媒体の制限
書き込み処理の一環として,書き込み処理のマスタを作成するか,ターゲット・ディスク全体で必要とするすべてのデータを用意する必要があります。このマスタはターゲット媒体にきっちり収まる必要があり,入力データはターゲット・ディスクのセクタに均一に収まる必要があります。入力ディスク・イメージまたは入力マスタ・デバイスは,どちらもターゲット記録媒体にきっちり収まる必要があり,書き込み処理でターゲット媒体の最後のセクタを部分的に書き込んだ状態にすることはできません。
従来の読み書きランダム・アクセス・ストレージ・デバイスと異なり,一度の連続した書き込み処理で記録媒体に完全にデータを書き込む必要があります。個別のコピー処理を何度も行って光媒体を段階的に更新することや,開始した書き込み処理を中断することはできません。記録済みの光媒体の内容を変更したり一部を消去することはできず, INITIALIZE/ERASE などの DCL コマンドや,媒体上のファイルを読み書きアクセスでオープンするような処理を使用して媒体に書き込みアクセスを行うこともできません。
書き換え可能な媒体を使用すれば,媒体を再フォーマットして再度書き込むことができます。
9.1.2 マスタリング
記録マスタは,通常,OpenVMS Logical Disk (LD) ユーティリティと対応する LD 疑似ディスク・デバイスを使用して作成します。光媒体に収める構造やファイルは, DCL ツールや INITIALIZE/ERASE,CREATE/DIRECTORY,COPY などの DCL コマンドを使用して,最終的に LD デバイス内に作成します。
指定された入力ディスク・イメージ・ファイルまたは入力マスタ・デバイスをオープンし,全内容を,指定された CD-R,CD-RW,DVD+R,および DVD+RW 媒体形式で記録します。
COPY/RECORDABLE_MEDIA ソース・パス名 ターゲット・パス名
ソース・パス名
書き込み処理のデータ・ソースです。ターゲット記録媒体にコピーするディスク・イメージが格納されたディスク・ファイルの名前,または記録用のディスク・ボリューム・マスタが格納された入力デバイスのデバイス名を指定します。
OpenVMS システムでは,これは通常は Logical Disk (LD) ユーティリティの LDAu: デバイスです。
ターゲット・デバイス名
ターゲットとなる記録可能媒体デバイスのデバイス名です。通常これは,ATAPI (DQcu:),SCSI (DKcu:), USB (DNcu:) の CD-R/RW または DVD+R/RW 記録デバイスです。
COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドは,指定された入力ディスク・イメージ・ファイルまたは入力デバイスの全内容を,指定された出力 CD または DVD 記録デバイスにロードされた媒体に記録します。出力媒体の形式は自動的に検出され,使用しているターゲット・デバイスとロードされている出力媒体用に記録形式が適切に設定されます。
ターゲット・デバイスの容量を超えるデータを記録することはできません。そのため,ターゲット媒体の容量を超えない入力ディスク・イメージ・サイズやマスタを選択する必要があります。入力データ・ソースは,光媒体のセクタ・サイズの偶数倍になっている必要もあります。入力のサイズは,4 ブロックの倍数でなければなりません。
書き込み処理は,入力ボリュームの構造やマスタとして使用する入力ファイル・データとは独立しており,指定された入力マスタのブロック・レベルの内容だけに依存します。
/BELL
要求された書き込み処理が正常に完了したら,音で知らせます。/FORMAT[=キーワード]
/NOFORMAT (省略時の設定)
書き換え可能 (RW) 媒体を,使用前にフォーマットまたは再フォーマットします。何も書かれていない書き換え可能媒体に書き込む場合や,書き換え可能媒体に再度書き込む場合には,この修飾子が必要です。ターゲット媒体がフォーマットできない場合は,この修飾子は無視されます。
この修飾子を指定しないと,ターゲット記録媒体で使用できるもっとも高速なフォーマット速度となるように,適切なキーワードが自動的に選択されます。
表 9-1 に,使用可能なキーワードの一覧を示します。
表 9-1 /FORMAT 修飾子のキーワード キーワード 機能,備考 WAIT DVD+RW で有効です。 /FORMAT 修飾子のデフォルトでは,フォーマットが完了するのを待ちません。通常,完了を待つ必要はなく,待つと動作が非常に遅くなるためです。 WAIT を選択すると,フォーマット全体が同期的に実行され,フォーマットが完了してから書き込み処理が開始されます。
デフォルトは以下のようになります。
- 非同期的に処理する。
- バックグラウンドでフォーマットを実行する。
- 媒体のフォーマット処理と書き込み処理を平行して実行する。
ERASE CD-RW で有効です。 /FORMAT 修飾子のデフォルトでは,高速消去が行われます。完全消去は通常は不要であり,動作が非常に遅くなるためです。
ERASE を選択すると,フォーマット処理の中で書き換え可能 CD-RW ディスクが完全に消去されます。この消去は,書き込み処理が開始される前に完了します。
デフォルトでは高速消去が行われます。
/LOG (省略時の設定)
/NOLOG
基本的なデバイス情報と,書き込み処理の進行状況を表示します。ユーティリティからの通常の出力を無効にするには, /NOLOG を使用します。/SPEED
低速または品質の悪い CD 記録媒体を使用しなくてはならない場合,正常に書き込み処理を完了させるためには /SPEED 修飾子が必要になる場合があります。 CD ドライブ自身の定格速度よりも低速な記録速度を選択しなくてはならない場合があります。具体的には,CD ドライブとドライブにロードされている CD 記録媒体の両方と互換性がある記録速度を選択しなくてはならないことがあります。/SPEED 修飾子では,デバイス速度を示すキーワードを 1 つ指定できます。
1X
2X
4X
8X
16X
32X
MAXIMUMCDDVD ユーティリティは,要求された速度と,デバイスがサポートしている速度を一致させようとします。最も低速な 1X や最高速度を含め,すべてのデバイスがすべての速度をサポートしているわけではありません。デフォルトの速度は,ターゲット・デバイスがサポートしている最高速度です。 DVD+R/RW ドライブは,媒体に記録されている情報に基づいて最大記録速度を選択します。
この修飾子を指定する必要があるのは,以下のいずれかの場合だけです。
- 書き込み処理に失敗し,非互換性や記録エラーが報告された場合。
- 使用している CD 媒体の定格記録速度が,ドライブのデフォルトの記録設定よりも低速な場合。
- CDDVDアプリケーション,プロセッサ,システムの I/O 性能の面で制約がある場合。
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