HP OpenVMS Systems Documentation |
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入力ファイル選択修飾子
入力ファイル選択修飾子として使用する場合には,指定した UIC が所有しているファイルが処理されます。 UIC は 8 進数として指定するか,または[g,m] という形式の英数字形式で指定しなければなりません。 "[ ]"(かぎかっこ)は必ず指定しなければなりません。 UIC 形式についての説明は,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。この修飾子だけを指定し,UICを指定しなかった場合には,省略時の UIC は現在のプロセス UICです。この修飾子を指定しなかった場合には,ボリュームのすべてのファイルが処理されます。
出力ファイル修飾子
出力ファイル修飾子として使用した場合には,操作でリストアされた各ファイルの所有者 UIC が再定義されます。次のいずれかのオプションを選択できます。
| DEFAULT | 所有者 UIC を,利用者の現在の省略時の UIC に設定します。 /BY_OWNER 修飾子を指定しなかった場合には,このオプションが省略時の設定になります。ただし,イメージ・リストアおよび追加型リストアの場合は, ORIGINAL が省略時の設定です。 |
| ORIGINAL | リストアするファイルの所有者 UIC をそのままセーブします。 /BY_OWNER 修飾子だけを指定し,オプションを選択しなかった場合には,このオプションが省略時の設定です。また,追加型リストアの場合も,ORIGINAL が省略時の設定です。このオプションを使用するには,UIC は利用者自身のものでなければなりません。あるいは利用者が SYSPRV 利用者特権を持つか,出力ボリュームの所有者でなければなりません。 |
| PARENT | 所有者 UIC を,ファイルのリストア先のディレクトリの所有者 UIC に設定します。このオプションを使用するには,親 UIC が利用者自身のものでなければなりません。または利用者が SYSPRV 利用者特権を持つか,出力ボリュームの所有者でなければなりません。 |
| [uic] | 所有者 UIC を,指定された UIC に設定します。このオプションを使用するには,UIC が利用者自身のものでなければなりません。または,利用者が SYSPRV 利用者特権を持つか,出力ボリュームの所有者でなければなりません。 |
出力セーブ・セット修飾子
出力セーブ・セット修飾子として使用する場合には,セーブ・セットの所有者 UIC を指定します。 /BY_OWNER 修飾子を省略した場合には,現在のプロセスの UIC が使用されます。 /BY_OWNER を出力セーブ・セット修飾子として使用するには, SYSPRV 利用者特権を持つか,UIC が利用者自身の UIC でなければなりません。
入力ファイル選択修飾子/BY_OWNER を出力ファイル修飾子として使用する場合と,出力セーブ・セット修飾子として使用する場合については,別の説明を参照してください。
UIC (ユーザ識別コード) をもとに,処理対象ファイルを選択します。
入力指定子/BY_OWNER [=[ユーザ識別コード]] 出力指定子
UIC なしで /BY_OWNER を指定すると,現在のプロセスと同じ UIC を持つすべてのファイルが選択されます。8 進数による数値 UIC または英数 UIC を,[g,m] の形式で指定します。ワイルドカード文字を使用できます。必ず,大括弧で囲むようにしてください。
g グループ番号を示す 0 〜 37776 の 8 進数または英数字によるグループ名 m メンバ番号を示す 0 〜 177776 の 8 進数または英数字によるメンバ名
/BY_OWNER を指定しない場合,入力指定子に指定したすべてのファイルが処理されます。
$ BACKUP [SNOW...]/BY_OWNER MT$DRIVE:SNOW.BCK/LABEL=TAPE01 |
テープ TAPE01 をドライブ MT$DRIVE にマウントし,[SNOW] のディレクトリとサブディレクトリに存在し,現在の省略時のプロセス UIC を持つすべてのファイルを,セーブ・セット SNOW.BCK にセーブしています。
$ BACKUP [SUNDANCE]/BY_OWNER=[727,46] DBA1:STABLE.BCK/SAVE_SET |
ディレクトリ [SUNDANCE] に存在し [727,46] の所有者 UIC を持つすべてのファイルを,DBA1 上の順編成ディスク・セーブ・セット STABLE.BCK にセーブ・セットしています。
出力ファイル修飾子/BY_OWNER を入力ファイル選択修飾子として使用する場合と,出力セーブ・セット修飾子として使用する場合については,別の説明を参照してください。
リストアするファイルの所有者 UIC (ユーザ識別コード) を再定義します。
入力指定子 出力指定子 /BY_OWNER[=オプション]
使用できるオプションは,次の表のとおりです。
DEFAULT ユーザの現在の省略時の UIC を所有者 UIC に設定する。 /BY_OWNER 修飾子を指定しない場合の省略時のオプションである。ただし,イメージ・リストア処理と追加型リストア処理の省略時のオプションは,ORIGINAL である。 ORIGINAL リストアするファイルの所有者 UIC を保持する。オプションなしで /BY_OWNER 修飾子を指定した場合の省略時のオプションである。追加型リストア処理の省略時のオプションでもある。このオプションを使用するには,指定の UIC が自分の UIC であるか,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または出力ボリュームの所有者でなければならない。 PARENT ファイルのリストア先やコピー先であるディレクトリの所有者 UIC を所有者 UIC に設定する。このオプションを使用するには,指定の UIC が自分の親 UIC であるか,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または出力ボリュームの所有者でなければならない。 [ユーザ識別子] 指定した UIC を所有者 UIC に設定する。入力ファイル選択修飾子 /BY_OWNER で説明した [g,m] 形式を使用する。このオプションを使用するには,自分の UIC であるか,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または出力ボリュームの所有者でなければならない。
コマンド修飾子 /IMAGE または /INCREMENTAL をリストア処理で指定する場合,省略時の値は /BY_OWNER=ORIGINAL です。
$ BACKUP DBA2:ACCOUNTS.BCK/SAVE_SET [CLEAVER...]/BY_OWNER=PARENT |
順編成ディスク・セーブ・セット ACCOUNTS.BCK をディレクトリ木構造 [CLEAVER...] にリストアし,各リストア対象ファイルに [CLEAVER] ディレクトリの所有者 UIC を割り当てています。
出力セーブ・セット修飾子/BY_OWNER を入力ファイル選択修飾子として使用する場合と,出力ファイル修飾子として使用する場合については,別の説明を参照してください。
セーブ・セットの所有者 UIC (ユーザ識別コード) を指定します。
入力指定子 出力セーブ・セット指定 /BY_OWNER=ユーザ識別子
/BY_OWNER 修飾子の省略時の値は,現在のプロセスの UIC です。この修飾子を Files-11 セーブ・セットで使用するには,ユーザ特権 SYSPRV を持っているか,または指定する UIC が自分の UIC である必要があります。8 進数による数値 UIC または英数 UIC を,[g,m] の形式で指定します。ワイルドカード文字を使用できます。必ず,大括弧で囲むようにしてください。
[g,m]
g グループ番号を示す 0 〜 37776 の 8 進数または英数字によるグループ名 m メンバ番号を示す 0 〜 177776 の 8 進数または英数字によるメンバ名
$BACKUP [CLEAVER...] MFA2:ACCOUNTS.BCK/BY_OWNER=[301,310]/LABEL=TAPE01 |
TAPE01 のテープをドライブ MFA2 にマウントしています。次に,ディレクトリ木構造 [CLEAVER...] をセーブ・セット ACCOUNTS.BCK にセーブします。出力セーブ・セット修飾子 /BY_OWNER が,[301,310] の所有者 UIC をセーブ・セットに割り当てます。
出力セーブ・セットにコメントを挿入します。コメント文字列が 2 語以上である場合,または英数以外の文字を含んでいる場合,二重引用符 (" ") で囲みます。コメントの文字数は,1,024 文字までです。
入力指定子 出力セーブ・セット指定 /COMMENT=文字列
$ BACKUP [REMARKS] DMA1:20JULREM.BCK/SAVE_SET - _$ /COMMENT="Remote operations for July 20, 2002" $ BACKUP/LIST DMA1:20JULREM.BCK/SAVE_SET Listing of save set Save set: 20JULREM.BCK Written by: WALRUS UIC: [360,054] Date: 20-JUL-2002 15:22:06.62 Command: BACKUP [REMARKS] DMA1:20JULREM.BCK/SAVE_SET/COMMENT=Remote operations for July 20, 2002 Operating system: OpenVMS Alpha Version V7.3-1 BACKUP version: V7.3-1 CPU ID register: 0138084C Node name: _ABBEY:: Written on: _ABBEY$DMA1: Block size: 32256 Group size: 10 Buffer count: 3 [REMARKS]BAC.RES;1 2 20-JUL-2002 14:13 [REMARKS]COM.LIS;1 1 20-JUL-2002 14:04 [REMARKS]DTOP.DIR;1 1 20-JUL-2002 14:18 . . . Total of 40 files, 535 blocks End of save set |
最初の BACKUP コマンドは,ディレクトリ [REMARKS] を順編成ディスク・セーブ・セットにセーブし,コメントを記録します。 BACKUP/LIST コマンドは,新しく作成したセーブ・セットの内容を表示します。ディスク上にセーブ・セットを作成する場合は, /SAVE_SET 修飾子が必要です。
コマンド修飾子第 1 パラメータで指定したセーブ・セット,デバイス,ファイルを,第 2 パラメータで指定した Files-11 デバイス,ファイルの内容と比較し,両者に違いがあれば,エラー・メッセージを表示します。
/COMPARE ファイル指定 ファイル指定/COMPARE セーブ・セット指定 ファイル指定
/IMAGE/COMPARE デバイス指定 デバイス指定
/IMAGE/COMPARE セーブ・セット指定 デバイス指定
/PHYSICAL/COMPARE デバイス指定 デバイス指定
/PHYSICAL/COMPARE セーブ・セット指定 デバイス指定
BACKUP 比較処理の第 1 パラメータには,Files-11 ファイル 1 つ,複数のファイルを表すワイルドカード文字,ディスク上または磁気テープ上の BACKUP セーブ・セット,テープ装置,ディスク装置のいずれかを指定します。コマンド修飾子 /PHYSICAL を指定しないかぎり,第 2 パラメータは,Files-11 ディスク・ファイル,複数のファイルを示すワイルドカード文字, Files-11 ディスク装置のいずれかを指定します。/PHYSICAL を指定し,かつ第 1 パラメータでディスク装置を指定する場合,比較対象ディスクは,両方とも /FOREIGN 修飾子でマウントされていなければなりません。比較対象ファイルに違いがある場合,次のエラー・メッセージが表示されます。
%BACKUP-E-VERIFYERR, verification error for ...
/COMPARE 修飾子は,セーブ・セットを元のファイルと比較する場合や,BACKUP でコピーしたファイルやボリュームを元のファイルと比較する場合に使用します。BACKUP ではファイルをブロック単位で処理するので,BACKUP で出力したもの以外のファイルを格納すると,同一のファイル間でも不一致エラーが生じる恐れがあります。
ファイル指定でバージョン番号の省略時の値は,ファイルのすべてのバージョンを処理するワイルドカード文字のアスタリスク ;* です。
比較処理のパラメータは,ともに入力指定子です。
2 つの Files-11 ボリューム全体を比較する場合は,次のようにイメージ比較処理を行います。
$ BACKUP/IMAGE/COMPARE DBA1: DBA2:
コマンド修飾子 /DELETE,/RECORD は,比較処理では使用できません。
出力ファイル修飾子 /NEW_VERSION はバージョン番号を変更するので, /NEW_VERSION 修飾子を使ってリストアまたはコピーしたファイルには,比較処理を行わないようにしてください。
| #1 |
|---|
$ BACKUP/COMPARE JAZZ.DAT BLUES.DAT |
Files-11 ファイル 2 つを比較しています。バージョン番号は指定されていないので,各ファイルのすべてのバージョンを比較します。
| #2 |
|---|
$ BACKUP/COMPARE/IMAGE MTA0:SWING.BCK DBA2: |
磁気テープ上のイメージ・セーブ・セットを Files-11 ボリュームと比較しています。
入力ファイル選択修飾子各ファイルを処理する前に,ターミナルに確認のためのプロンプトを表示します。ファイルを処理するには, Y または YES と入力し RETURN キーを押して応答しなければなりません。
入力指定子/CONFIRM 出力指定子
$ BACKUP *.LIS/CONFIRM/LOG DLA2:LIST.BCK/SAVE_SET DISK$DEFAULT:[WONDER]CRE.LIS;1, copy? (Y or N): Y %BACKUP-S-COPIED, copied DISK$DEFAULT:[WONDER]CRE.LIS;1 DISK$DEFAULT:[WONDER]CRETIME.LIS;1, copy? (Y or N): Y %BACKUP-S-COPIED, copied DISK$DEFAULT:[WONDER]CRETIME.LIS;1 DISK$DEFAULT:[WONDER]EXC.LIS;1, copy? (Y or N): Y %BACKUP-S-COPIED, copied DISK$DEFAULT:[WONDER]EXC.LIS;1 DISK$DEFAULT:[WONDER]REB.LIS;1, copy? (Y or N): N DISK$DEFAULT:[WONDER]SETREB.LIS;1, copy? (Y or N): Y %BACKUP-S-COPIED, copied DISK$DEFAULT:[WONDER]SETREB.LIS;1 DISK$DEFAULT:[WONDER]VERS.LIS;1, copy? (Y or N): N . . . $ |
ファイル・タイプが .LIS のすべてのファイルを取り出し,確認プロンプトを表示してから,DLA2 上の LIST.BCK に各ファイルをセーブしています。コマンド修飾子 /LOG は,処理する各ファイルに関する情報を表示します。ディスク上にセーブ・セットを作成するときは,出力セーブ・セット修飾子 /SAVE_SET が必要です。
入力ファイル選択修飾子ODS-5ファイル名をODS-2ファイル名に変換します。出力ボリュームをODS-2として保持する場合は, /NOINIT修飾子を併用しなければなりません。
ODS-5ファイル名をODS-2ファイル名に変換すると, ODS-5ファイル属性のすべてが失われる点に注意してください。
/NOCONVERT 修飾子を使用することもできます。
入力指定子 /CONVERT 出力指定子
$ BACKUP/LOG/CONVERT/IMAGE DKA500: DKA200:[000000]IMAGE.BCK/SAVE |
ODS-5 ディスクから,ODS-2 イメージ・セーブ・セットを作成しています。セーブ・セットは,OpenVMS Version 7.2 より前のバージョンを実行しているシステムで読み込むことができます。
入力または出力セーブ・セット修飾子
入力セーブ・セット修飾子として使用した場合には,セーブ・セットのデータ・ブロックにエンコードされているソフトウェア巡回冗長検査(CRC)をチェックするか(/CRC 指定時)または無視します(/NOCRC 指定時)。 CRC を無視する場合には,処理時間を短縮できますが,データ・エラーが増加する危険性があります。
出力セーブ・セット修飾子として使用した場合には,ソフトウェア CRC チェック・コードが計算され,それが出力セーブ・セットのデータ・ブロックに格納されます。 CRC チェックを禁止する場合には,/NOCRC 修飾子を使用します。
入力セーブ・セット修飾子/CRC を出力セーブ・セット修飾子として使用する場合は,別の説明を参照してください。
ソフトウェア巡回冗長チェック (CRC) を行うことを指定します。
入力セーブ・セット指定 /[NO]CRC 出力指定子
省略時の値は,/CRC です。CRC チェックを禁止するには,/NOCRC を指定します。/NOCRC は処理時間を短縮しますが,データを消失する恐れが高くなります。
$ BACKUP MTA2:988SAVE.BCK/NOCRC [] |
([]) が示す現在の省略時のディレクトリに,セーブ・セット 988SAVE.BCK をリストアしています。入力セーブ・セット修飾子 /NOCRC は,CRC を禁止します。
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