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問題点:
インタフェースで障害が発生した後や,エイリアス・アドレスを回復した後, TCP/IP 管理コマンド SHOW INTERFACE は擬似インタフェース・アドレスを表示しません。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.4 本リリースで修正された FTP サーバの問題点
ここでは,本リリースで修正された FTP サーバの問題点について説明します。
4.4.1 FTP では IP アドレス指定ができない
問題点:
FTP サーバでは,接続先のクライアント以外の IP アドレス,つまり特権付きポートの指定を,PORT コマンド, LPRT コマンド,EPRT コマンドに指定できません。このようなコマンドは拒否され,次のエラーが発生します。
500 Illegal {PORT|LPRT|EPRT} command.
|
FTP サーバとクライアントは,サード・パーティによるデータ接続の「盗用」を防止します。 FTP サーバの場合は,クライアント以外の IP アドレス,つまり特権付きポートからのパッシブ・モード接続に適用されます。 FTP クライアントの場合は,サーバ以外の IP アドレス,つまりポート 20 以外のポートからのアクティブ・モード接続を拒否します。
修正結果:
このようなソフトウェアの変更が不都合な場合は,次の論理名を定義することで,元の動作に戻すことができます。
| サーバ | クライアント |
|---|---|
| TCPIP$FTPD_ALLOW_ADDR_REDIRECT | TCPIP$FTP_ALLOW_ADDR_REDIRECT |
| TCPIP$FTPD_ALLOW_PORT_REDIRECT | TCPIP$FTP_ALLOW_PORT_REDIRECT |
これらの論理名を定義すると,FTP サーバと FTP クライアントで行われる IP アドレスとポートのチェックを緩和することができます。
4.4.2 DCL DIRECTORY または UNIX ls コマンドは "Illegal Port Command" エラーを返す
問題点:
FTP クライアントで,スペースを含むパスワードを使用して OpenVMS FTP サーバにログインすると, DCL コマンド DIRECTORY または UNIX コマンド lsに対する応答として,次のエラー・メッセージが返されます。
500 Illegal PORT command. |
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.5 本リリースで修正された FTP クライアントの問題点
ここでは,本リリースで修正された FTP クライアントの問題点について説明します。
4.5.1 GET/MGET コマンドの後,FTP クライアントは中間ファイルを削除しない
問題点:
ワイルドカード文字を含めて入力した FTP GET または MGET コマンドが終了すると,FTP が作成した一時的な TCPIP$FTP_TEMPnnnnnnnn.TMD ファイルは SYS$SCRATCH 領域から削除されるはずです。しかし,ワイルドカードに一致するものがファイルから検索されないと,FTP は一時ファイルを削除しません。少なくとも 1 つのファイルがワイルドカードの条件に一致する場合は, FTP は SYS$SCRATCH に作成された TCPIP$FTP_TEMPnnnnnnnn.TMD ファイルを正しく削除します。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.6 本リリースで修正された IMAP の問題点
ここでは,本リリースで修正された IMAP の問題点について説明します。
4.6.1 IMAP での移動とパージの後,メール・メッセージが消失する
問題点:
手動でメッセージをフォルダから移動した後, IMAP を使用してソース・フォルダをパージすると,メールが消失します。
この問題は,次の場合に発生します。
メッセージは移動先フォルダから消去されます。メッセージを新しいフォルダにコピーした場合には,フォルダ自体がなくなります。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.6.2 IMAP CLOSE コマンドは正常に機能しない
問題点:
クライアントが IMAP CLOSE コマンドを実行してログアウトするときに,IMAP サーバは削除の対象としてマークされているすべてのメッセージを削除しません。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。 CLOSE コマンドを入力すると,IMAP サーバは削除の対象としてマークされているすべてのメッセージを削除します。
4.7 本リリースで修正された IPv6 の問題点
ここでは,本リリースで修正された IPv6 の問題点について説明します。
4.7.1 TCPIP$IP6_SETUP.COM の問題点
ここでは,本リリースで修正された TCPIP$IP6_SETUP.COM の問題点について説明します。
修正結果:
コンフィギュレーション・コマンド・プロシージャは, 6to4 トンネル,6to4 リレー・ルータで必要とされるすべてのルート,自動トンネル,IPv6 over IPv6 手動トンネル,および手動ルートを正しくコンフィギュレーションできるようになりました。詳細は,『日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド』を参照してください。
4.7.2 iptunnel create コマンドを実行すると, BIND は IPv4 アドレスを検索する
問題点:
トンネルのソース・ポイントまたはエンド・ポイントとして IPv4 アドレスを指定した iptunnel createコマンドを起動すると,名前の解決が必要ないにもかかわらず,膨大な DNS 名前解決クエリがネーム・サーバに送信されます。これらのクエリによって送信遅延が発生することがあります。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.8 本リリースで修正された NFS サーバの問題点
ここでは,本リリースで修正された NFS サーバの問題点について説明します。
4.8.1 NFS サーバは大文字と小文字を区別する検索でファイルに上書きする
OpenVMS バージョン 7.3-1 以上で, SET PROCESS コマンドに /CASE_LOOKUP=BLIND 修飾子を指定すると,検索でファイル名の大文字と小文字の区別は無視されますが,/CASE_LOOKUP=SENSITIVE を指定すると,ファイル名の大文字と小文字が区別されます。しかし,NFS サーバで大文字と小文字を区別しないように設定しているときに,NFS クライアントが大文字と小文字の区別を除いて同じ名前のファイルを作成しようとすると,予測しない結果が発生することがあります。たとえば,2 番目に作成したファイルが最初のファイルに上書きされる可能性があります。
本リリースの TCP/IP Services では, TCP/IP 管理コマンド ADD EXPORT に CASE_BLIND と CASE_SENSITIVE という 2 つの新しいオプションが追加されました。これらのオプションは,NFS サーバのファイル検索で, UNIX と同様に大文字と小文字の区別を制御します。たとえば,大文字と小文字を区別するように設定すると, NFS はファイル名 AaBBc.TXT と AABBC.TXT で大文字と小文字の区別を保持するので,これらのファイルは 2 つの異なるファイルとして取り扱われます。
一般に,検索で大文字と小文字を区別するかどうかは, TCP/IP Services クライアント (サーバではない) が判断します。これは,クライアントがファイルの検索をサーバで行うのではなく,ローカル・ディレクトリ・キャッシュで行うからです。しかし,ファイルの作成時には,サーバが,大文字と小文字の区別が有効かどうかを制御します。サーバとクライアントで大文字と小文字の区別に関するオプションの設定が一致しているかどうか確認してください。一致していないと,予測しない結果が発生することがあります。
CASE_BLIND オプションと CASE_SENSITIVE オプションについての詳細は,次のコマンドを入力して確認してください。
$ TCPIP HELP ADD EXPORT |
4.8.2 VMS クライアント以外で作成されるディレクトリはバージョン・リミットを継承しない
問題点:
新たに作成されるディレクトリは,バージョン・リミット属性を親ディレクトリから継承します。 OpenVMS NFS クライアントの要求でディレクトリが作成される場合は,この属性は正しく継承されます。しかし,OpenVMS NFS クライアント以外の要求で作成されるディレクトリは,この属性を継承しません。 UNIX ファイルにはバージョンが 1 つしかありませんが,新しいディレクトリのバージョン・リミットは 0 (リミットなし) に設定されるので,UNIX クライアントの場合は特に問題です。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。 OpenVMS NFS クライアント以外の要求で作成されるディレクトリも,親ディレクトリのバージョン・リミット属性を継承するようになりました。
4.8.3 NFS サーバと netstat は,EV56 以上のテクノロジを実行していない Alpha システムで正常に動作しない
問題点:
EV56 プロセッサ搭載のシステムより古い Alpha システムでは, NFS サーバと netstatユーティリティは,インストラクション実行時間が非常に長くなるか,またはまったく動作しません。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.8.4 本リリースで修正された MOUNT サーバの問題点
ここでは,本リリースで修正された MOUNT サーバの問題点について説明します。
4.8.4.1 マウント・ポイントのチェックは正しくない
問題点:
MOUNT サービスは,エクスポートされたファイル・システムのマウント・ポイントに関して,誤ったチェック結果を示します。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.8.4.2 ODS-5 ファイル・システムをマウントできない
問題点:
ADD EXPORT コマンドに TYPELESS_DIRECTORIES オプションを指定すると,末尾が .dir でないディレクトリ指定がエクスポート・エントリに指定されている場合でも,ODS-5 ファイル・システムをマウントできません。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.8.4.3 ホスト名のチェックがマウント操作中に実行され,エラーになる
問題点:
クライアントがファイル・システムをマウントしようとすると, mountd_option_* nfsサブシステム属性が設定されていない場合でも,ホスト名のチェックが実行されます。クライアントに出力されるエラー・メッセージまたはイベント・メッセージには,拒否されたアクセス権が示されることがあります。 MOUNT サーバは,クライアントのホスト名と IP アドレスがホスト・データベース (TCPIP$HOST) または DNS/BIND 情報と矛盾することを示す OPCOM メッセージを生成することがあります。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.8.4.4 誤解を招く MOUNT サーバ・エラー
問題点:
マウント・ポイントがすでに使用中の場合, MOUNT サーバは誤解を招く可能性のあるエラー・メッセージを報告します。
マウント・ポート (ポート 10) がすでに使用されている場合,MOUNT サーバは次のエラーを報告します。
ERROR: bind: address already in use |
このメッセージは,BIND/DNS の問題であると誤解される可能性がありますが,実際に問題を起こしているのは, C RTL 呼び出し bind()です。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。メッセージは次のように変更されました。
ERROR: bind: mount server port(10) already in use |
ここでは,本リリースで修正された NTP の問題点について説明します。
4.9.1 ハイ・パフォーマンス Alpha システムでは NTP がシステム・クロックを調整できない
問題点:
特定のハイ・パフォーマンス Alpha システムでは, NTP がシステム・クロックを調整できないことがあります。したがって,NTP は正確に時刻を管理できません。この場合,次のエラー・メッセージが NTP ログ・ファイルに記録されます。
%SYSTEM-F-BADLOGIC, internal logic error detected VMS timekeeping is not working as expected - can't proceed |
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。
4.9.2 NTP は ODS-5 ディスクに小文字のファイル名を作成する
問題点:
以前のリリースの TCP/IP Services では,NTP サーバが ODS-5 ディスクにファイルを作成する場合,小文字のファイル名を付けていました。その結果,大文字のファイル名を使用する ODS-5 以外のディスクとの間に,ファイル名の付け方に関する矛盾が発生していました。
修正結果:
この問題は本リリースで修正されました。ファイルはすべて,大文字のファイル名を使用して作成されます。
4.10 本リリースで修正された RCP の問題点
ここでは,本リリースで修正された RCP の問題点について説明します。
4.10.1 複数のファイルまたはディレクトリに関係する RCP ファイル・コピー操作はエラーになる
問題点:
%CONV-F-OPENOUT, error opening !AS as output |
/RECURSIVE 修飾子またはワイルドカードを使用して, 8 レベルより深い階層のディレクトリにあるファイルをコピーしようとすると,この問題が発生します。
修正結果:
これらの問題は本リリースで修正されました。 RCP は,8 レベルより深い階層のディレクトリ構造に対するコピー操作をサポートするようになりました。最大 255 レベルまでのディレクトリ指定がサポートされるようになりました。
4.10.2 OpenVMS 相互間のコピー操作でファイル属性が保持されない
問題点:
OpenVMS システム間の RCP コピー操作では,ファイル属性 (ファイル編成と構造) が保持されません。ファイルは自動的に STREAM_LF 形式に変換されます。
修正結果:
本リリースでは,RCP で /VMS 修飾子を指定することで,ファイル属性を保持できるようになりました。 UNIX 形式の場合は, -vオプションを使用します。
この修飾子は,2 台の OpenVMS システム間のファイル・コピー操作に対してだけ指定してください。それ以外の場合に使用すると,操作はエラーになります。 |
問題点:
2 ギガバイトより大きいサイズのファイルをコピーしようとすると,エラーになります。
修正結果:
本リリースでは,RCP で 2GB より大きいファイルをコピーできるようになりました。最大 4GB のサイズまでコピーできます。
4.11 本リリースで修正された SMTP の問題点
ここでは,本リリースで修正された SMTP の問題点について説明します。
4.11.1 SMTP レシーバは受信者が配布可能なアドレスかどうかチェックしない
問題点:
SMTP レシーバは,RCPT TO SMTP プロトコル・コマンドに指定された受信者の電子メール・アドレスが配布可能なアドレスかどうかのチェックを行いません (たとえば,ユーザ・アカウントがシステムに存在するかどうかのチェックなど)。このチェックは,SMTP シンビオント・プロセスが SMTP キュー内のメール・メッセージを処理するまで行われません。その時点まで,メッセージに関する責任はホストが負い,メッセージの配布に問題がある場合は,メッセージを宛先不明で返す必要があります。
SPAM の受信時には,この動作がさらに問題になります。 SPAM がホストに到着したときに,宛先のユーザが存在しないと,ホストのシンビオント・プロセスは SPAM の Return-Path: ヘッダに指定された電子メール・アドレスに SPAM を宛先不明で返します。しかし,SPAM の Return-Path: ヘッダに指定されている電子メール・アドレスは無効であるため,宛先不明で返した SPAM はホストの POSTMASTER アカウントに返されます。 POSTMASTER アカウントのメールは SYSTEM アカウントに転送されるので, SYSTEM ユーザはこれらの二重に返送された SPAM と,有効な電子メールとをより分けるる処理を絶えず行わなければなりません。
修正結果:
SMTP レシーバが変更され, RCPT TO SMTP プロトコル・コマンドに指定されている受信者の電子メール・アドレスが配布可能なアドレスかどうかをチェックするようになりました。この問題は,不明ユーザに宛てた SPAM をホストに返さないようにすることで解決されました。
Symbiont-Checks-Deliverabilityコンフィギュレーション・オプションを使用すると,この機能をオンまたはオフに設定することができます。このコンフィギュレーション・オプションは, SMTP コンフィギュレーション・ファイル (SMTP.CONFIG) に指定します。
このオプションを TRUE に設定すると,シンビオントは RCPT TO 受信者が配布可能な宛先かどうかを確認します。 Symbiont-Checks-Deliverabilityを FALSE (デフォルト) に設定すると,配布可能かどうかのチェックを受信者が行うことになります。
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