日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


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第 3 章
制限事項と問題点

この章では,本バージョンの TCP/IP Services の問題点と制限事項について説明し,コマンド構文やメッセージの変更など,特定のコマンドやサービスに関する情報も示します。

3.1 OpenVMS I64 プラットフォームの制限事項

次の制限事項は,OpenVMS I64 プラットフォームにだけ適用されます。

3.2 NFS サーバは I64 プラットフォームで動作しない

本リリースでは,NFS サーバは Alpha プラットフォームでは完全に機能しますが,I64 プラットフォームでは動作しません。この問題は, TCP/IP Services の今後のアップデートで修正される予定です。

I64 システムでは,将来のリリースで NFS サーバを提供できるようにするために,NFS 関連のコンポーネントがインストールされます。しかし,これらのコンポーネントは動作しません。これらのコンポーネントを起動しようとしても,起動できず,エラーになります。

NFS サーバを I64 システムでコンフィギュレーションすることはできますが,サーバを起動することはできません。サーバはただちに終了してしまいます。関連する TCP/IP 管理コマンドはエラーを返します。次の例を参照してください。


TCPIP> SHOW MAP 
%LIB-E-KEYNOTFOU, key not found in tree 
%TCPIP-E-CFSERROR, error processing TCPIP file system request 
-TCPIP-E-NOCFS, error resolving TCPIP$CFS_SHR entry point 
-LIB-F-KEYNOTFOU, key not found in tree 
 
TCPIP> MAP "/x" DKA100: 
%LIB-E-KEYNOTFOU, key not found in tree 
%TCPIP-E-MAPERROR, error processing MAP or UNMAP request 
-TCPIP-E-NOCFS, error resolving TCPIP$CFS_SHR entry point 
-LIB-F-KEYNOTFOU, key not found in tree 

NFS サーバに関連する他のエラーも発生することがあります。

Alpha プラットフォームでの NFS に関連する制限事項については, 第 3.8 節 を参照してください。

3.3 PPP の制限事項

本リリースの TCP/IP Services では, Alpha プラットフォームでも I64 プラットフォームでも, PPP (point-to-point protocol) は動作しません。この問題は, TCP/IP Services の今後のアップデートで修正される予定です。

PPP を使用しようとすると,次のエラーが発生することがあります。


$ PPPD CONN TTA08 
%PPPD-I-CONNECTTERM, converting connection on device _TTA0: to a Point-to-Point connection 
 
%LIB-E-ACTIMAGE, error activating image 
DKA0:[SYS0.SYSCOMMON.][SYSLIB]TCPIP$PPPD_CALLOUT.EXE;1 
-SYSTEM-F-PRIVINSTALL, shareable images must be installed to run privileged image 
 
%PPPD-E-PROTOERR, error initiating network protocol callback routine 
 
%SYSTEM-F-PRIVINSTALL, shareable images must be installed to run privileged image 
%PPPD-F-ABORT, fatal error encountered; operation terminated. 

イメージ TCPIP$PPPD_CALLOUT.EXE を手動でインストールした場合,この例に示したコマンドを実行すると,システムはエラーになります。イメージを手動でインストールするには特権が必要なため,これはセキュリティ上の問題ではありません。

3.4 SLIP の制限事項

本リリースの TCP/IP Services では, Alpha プラットフォームでも I64 プラットフォームでも, SLIP (serial line IP protocol) は動作しません。この問題は,Alpha プラットフォームでは TCP/IP Services の今後のアップデートで修正される予定です。

3.5 アドバンスト・プログラミング環境の制限事項とガイドライン

TCPIP$EXAMPLES 内に提供されているヘッダ・ファイルはアドバンスト TCP/IP プログラミング環境の一部として提供されています。以下に,これらを使用する場合の制限事項とガイドラインを示します。

3.6 BIND/DNS の制限事項

DNSSEC を使用する場合,BIND バージョン 9 には次の制限事項があります。

3.7 IPv6 の制限事項

ここでは,IPv6 を使用する際の制限事項について説明します。

3.7.1 モバイル IPv6 の制限事項

本バージョンの TCP/IP Services でインプリメントされているモバイル IPv6 では, draft-ietf-mobileip-ipv6-15.TXTのセクション 4.4 に指定されているバインディング・アップデート認証はサポートされません (セクション 5.6 に定義されている認証データ・サブオプションもサポートされません)。未認証のバインディングを受け付けると,システムの整合性が損なわれる可能性があるため,本バージョンは,攻撃される可能性のないテスト環境でのみ使用するように制限してください。

3.7.2 6to4 のコンフィギュレーションはサポートされない

TCP/IP Services には,ノードで IPv6 のコンフィギュレーションを行うために, TCPIP$IP6_SETUP.COM コマンド・プロシージャが付属しています。本リリースでは,このプロシージャを使用して 6to4 トンネルをコンフィギュレーションする機能はサポートされません。このプロシージャを使用して 6to4 トンネルをコンフィギュレーションしようとしても,その操作は失敗します。

3.7.3 IPv6 では BIND リゾルバが必要

IPv6 を使用している場合には,BIND リゾルバを有効にする必要があります。 BIND リゾルバを有効にするには, TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを使用します。「Core」メニューから「BIND Resolver」を選択してください。

BIND リゾルバを有効にするには, BIND サーバを指定する必要があります。 BIND サーバにアクセスできない場合は, BIND サーバとしてノード・アドレス 127.0.0.0 を指定します。

3.8 Alpha プラットフォームでの NFS の問題点と制限事項

ここでは,NFS の問題点と制限事項について説明します。

3.8.1 NFS サーバの問題点と制限事項

3.8.2 NFS クライアントの問題点と制限事項

3.9 NTP の問題と制限事項

NTP サーバの階層の上限は 15 です。サーバは,15 以上の階層を報告するタイム・サーバとは同期をとりません。このため,( local-masterコマンドで)「自由実行」として指定されている UCX NTP サーバを実行しているサーバとの同期を試みると,問題が生じることがあります。正常に実行させるためには, local-master指定を 14 以下の階層で指定する必要があります。

3.10 SNMP の問題点

本節では,本リリースの SNMP 構成要素の制限事項を説明します。 SNMP の使用についての詳細は,『 HP TCP/IP Services for OpenVMS SNMP Programming and Reference 』を参照してください。

3.10.1 不完全な再起動

SNMP マスタおよびサブエージェントに障害が発生したか停止した場合,日本語 TCP/IP Services は一般にすべてのプロセスを自動的に再起動することができます。しかし,特定の条件下では,サブエージェント・プロセスが再起動しないことがあります。つまり,DCL コマンド SHOW SYSTEM 表示に, TCPIP$OS_MIBS および TCPIP$HR_MIB が含まれなくなります。これが起こった場合は,以下のコマンドを発行して SNMP を再起動します。


$ @SYS$STARTUP:TCPIP$SNMP_SHUTDOWN.COM 
 
$ @SYS$STARTUP:TCPIP$SNMP_STARTUP.COM 

3.10.2 SNMP IVP エラー

低速システムでは, SNMP のインストレーション検証プロシージャ (IVP) は,サブエージェントがテスト問い合わせに応答しなかったために失敗することがあります。次のようなエラー・メッセージが表示されます。


   .
   .
   .
Shutting down the SNMP service... done. 
 
 
Creating temporary read/write community SNMPIVP_153. 
 
Enabling SET operations. 
 
Starting the SNMP service... done. 
 
SNMPIVP: unexpected text in response to SNMP request: 
"- no such name - returned for variable 1" 
See file SYS$SYSDEVICE:[TCPIP$SNMP]TCPIP$SNMP_REQUEST.DAT for more 
details. 
sysContact could not be retrieved.  Status = 0 
The SNMP IVP has NOT completed successfully. 
SNMP IVP request completed. 
Press Return to continue ... 

IVP のこれらのタイプのメッセージは無視してもかまいません。


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