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HP OpenVMS Systems
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HP OpenVMS

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OpenVMS Cluster 構成ガイド


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第 9 章
可用性とパフォーマンスを目的とした CI OpenVMS Cluster の構成

CI (クラスタ・インターコネクト) OpenVMS Cluster システムの構成方法はさまざまです。この章では,可用性とパフォーマンスの両方を最大限に活用できる CI OpenVMS Cluster の構成方法について説明します。説明で紹介する構成例は,段階的に複雑になっていきます。それぞれの説明の後では各構成を比較して解析します。これらの構成では,クラスタ規模が非常に大きくなっても,その可用性,I/O パフォーマンス,ストレージの接続性のニーズに応じてスケールを拡張できる基本的な手法を説明します。

9.1 CI 構成要素

CI は,OpenVMS Cluster システム同士や OpenVMS Cluster システムとストレージ間の通信が行われるラジアル・バスです。CI は,以下の構成要素からなります。

可用性とパフォーマンスは,どちらも構成要素の追加で強化できます。可用性を目的として追加する構成要素は,障害が発生した構成要素が実行すべき作業を引き受けることのできる冗長構成要素として構成します。パフォーマンスを目的として追加する構成要素は,他の構成要素と並列動作できるように構成します。

可用性とパフォーマンスのどちらも軽視できない状況はめずらしくありません。この節では,この両方の目的を達成するための手法を説明します。

9.2 構成の前提

以下に示す構成の前提は,次のとおりです。

  1. MSCP サービス対応が有効である。

  2. Volume Shadowing for OpenVMS がインストールされている。

  3. パフォーマンスについては,次のとおりである。

    1. CI ホスト・アダプタは CIPCA か CIXCD である。
      従来の CI アダプタ・モデルは非常に低速である。

    2. CI ストレージ・コントローラは HSJ50 である。
      HSJ50 と比べて HSJ40 は幾分低速であり,HSC モデルは,さらに低速である。

9.3 構成 1

図 9-1 に示す構成 1 に,単一点障害の要因はありません。 I/O パフォーマンスは,スター・カプラの帯域幅で制限されます。

図 9-1 同じ CI に接続された冗長 HSJ とホスト CI アダプタ (構成 1)


9.3.1 構成要素

図 9-1 に示す CI 構成の構成要素は次のとおりです。

構成要素 説明
ホスト 1,ホスト 2 デュアル CI 対応の OpenVMS Alpha ホストまたは VAX ホスト。

解説: どちらかのホストに障害が発生しても引き続きシステムを運用できます。平常時は,両方のホストのフル・パフォーマンスを活用できます。

CI 1-1, CI 1-2,CI 2-1, CI 2-2 ホスト別のデュアル CI アダプタ。

解説: CI アダプタのどちらかのホストに障害が発生しても,残ったホストと HSJ ストレージ・コントローラまでの CI 接続を維持できます。

スター・カプラ 2 個のパス・ハブを持つ 1 つのスター・カプラ・キャビネット。スター・カプラは,パス当たり 1 本の送受信ケーブル・ペアで CI ホスト・アダプタと HSJ ストレージ・コントローラに冗長接続されています。

解説: パス・ハブと接続ケーブルのどちらに障害が発生しても,残った CI パスでフル CI 接続を続行します。両方のパスが使用できる場合は,その両方を組み合わせた帯域幅がホスト間とホストストレージ・コントローラ間のデータ通信に利用できます。

HSJ 1, HSJ 2 シングル StorageWorks キャビネットにデュアル HSJ ストレージ・コントローラ。

解説: ストレージ・コントローラのどちらかに障害が発生しても残ったコントローラが 2 つの HSJ が共用する SCSI バスにより,すべてのディスクの制御を引き受けます。両方のコントローラを使用できる場合,それぞれがディスクの一部のサービスをするように割り当てることができます。こうして,両方のコントローラの I/O 速度/秒と帯域幅のキャパシティをクラスタに活かすことができます。

SCSI 1, SCSI 2 HSJ ペア間に接続された共用 SCSI バス。

解説: どちらの HSJ ストレージ・コントローラからも,共用 SCSI 上の各ディスクまでのアクセスを提供します。これにより当該バス上のディスクのデュアル・ポート化を実装します。

ディスク 1, ディスク 2, ... ディスク n-1,ディスク n 重要なディスクは,共用 SCSI バスにより,HSJ ペア間でデュアル・ポート化されている。

解説: どちらかの HSJ に障害が発生しても,障害の発生した HSJ が制御していたディスクの制御を残った HSJ が引き受けます。

シャドウ・セット n によるシャドウ・セット 1 重要なディスクは,別の共用 SCSI に接続されているもう 1 つのディスクによりシャドウ化されている。

解説: 接続先のディスクと SCSI バスのどちらか,または両方に障害が発生しても,残ったシャドウ・セット・メンバを利用できます。両方のディスクが利用できる場合,それらを組み合わせた READ I/O キャパシティと READ データ帯域幅キャパシティをクラスタで利用できます。

9.3.2 長所

この構成の長所は次のとおりです。

9.3.3 短所

この構成の短所は次のとおりです。

9.3.4 可用性とパフォーマンスの主な強化手法

この構成には次のような強化手法が組み込まれています。

9.4 構成 2

冗長 HSJ,ホスト CI アダプタ,CI を備えた 図 9-2 の構成には電気的な単一点障害の要因がありません。2 つのスター・カプラにより,I/O パフォーマンスと可用性は構成 1 を上回っています。

図 9-2 冗長 CI に接続された冗長 HSJ とホスト CI アダプタ (構成 2)


9.4.1 構成要素

構成 2 の構成要素は次のとおりです。

パート 説明
ホスト 1, ホスト 2 デュアル CI 対応の OpenVMS Alpha ホストまたは VAX ホスト。

解説: どちらかのホストに障害が発生しても,システムは処理を続行できます。正常時には,両方のホストのフル・パフォーマンスをアプリケーションに使用できます。

CI 1-1, CI 1-2,CI 2-1,CI 2-2 各ホストにデュアル CI アダプタ。アダプタ CI 1- n は,CI n に接続されたホスト 1 の CI アダプタ。以下同様。

解説: どちらかのホストの CI アダプタに障害が発生しても,そのホストと他のホストや HSJ ストレージ・コントローラとの CI 接続が維持されます。ホスト上の各 CI アダプタは,別々のスター・カプラに接続されています。障害がなければ,両方の CI アダプタのフル・データ帯域幅と I/O 通信速度/秒のキャパシティをホストで利用できます。

スター・カプラ 1, スター・カプラ 2 2 つのスター・カプラ。それぞれ独立したパス・ハブ・セクションを 2 つ持つ。各スター・カプラは,パス別の送受信ケーブルのペアで CI ホスト・アダプタと HSJ ストレージ・コントローラに冗長接続されている。

解説: パス・ハブや接続ケーブルに障害が発生しても,残った CI パスにより,その CI のフル接続が維持されます。パスが切断されても障害が発生したパスに接続されているストレージ・コントローラとホスト・アダプタで利用できる帯域幅だけの影響に留まります。すべてのパスが使用できる場合は, 両方の CI を組み合わせた帯域幅を使用できます

HSJ 1, HSJ 2 シングル StorageWorks キャビネットにデュアル HSJ ストレージ・コントローラを格納。

解説: どちらかのストレージ・コントローラに障害が発生しても, 2 つの HSJ 間で共用されている SCSI バスにより,障害が発生したコントローラが制御していたディスクの制御を残ったコントローラが引き受けます。両方のコントローラを使用できる場合,それぞれにディスクのサブセットのサービス担当を割り当てることができます。これにより,両方のコントローラの I/O 通信速度/秒と帯域幅とのキャパシティをクラスタで利用できます。

SCSI 1, SCSI 2 HSJ ペア間に接続されている共用 SCSI バス。

解説: どちらかの共用 SCSI バスに障害が発生しても,HSJ ストレージ・コントローラから各ディスクへのアクセスは,残った共用 SCSI バスにより確保されます。これで,当該バスのディスクのデュアル・ポート化を実装しています。

ディスク 1, ディスク 2,... ディスク n-1,ディスク n 重要なディスクは,共用 SCSI バスにより, HSJ ペア間でデュアル・ポート化されている。

解説: どちらかの HSJ に障害が発生しても,障害の発生した HSJ が制御していたディスクの制御を残った HSJ が引き受けます。

シャドウ・セット n によるシャドウ・セット 1 重要なディスクは,別の共用 SCSI に接続されているもう 1 つのディスクによりシャドウ化される。

解説: 接続先のディスクと SCSI バスのどちらか,または両方に障害が発生しても,残ったシャドウ・セット・メンバを利用できます。両方のディスクが利用できる場合,それらを組み合わせた READ I/O キャパシティと READ データ帯域幅キャパシティをクラスタで利用できます。

9.4.2 長所

構成 2 には,構成 1 の長所の他,以下の長所があります。

9.4.3 欠点

構成 2 には,以下のような短所があります。

9.4.4 可用性とパフォーマンスの主な強化手法

構成 2 には,構成 1 の手法の他に,以下の手法が加えられています。

9.5 構成 3

CI 構成では,パス A とパス B の両 CI ケーブル,およびそれぞれの接続パス・ハブを物理的に分離して可用性を高めています。これにより,機械的な事故やローカルな損傷など,両パスを損なうような事故の可能性が大幅に減りました。この構成を 図 9-3 に示します。

図 9-3 冗長コンポーネントとパス分離スター・カプラ(構成 3)


構成 3 は,電気的には構成 2 と変わりありません。ただし,パス A ケーブルとパス B ケーブルが両方の CI で分かれています。CI 1 と CI 2 に接続されている 2 本のパス A ケーブルは,どちらもスター・カプラ・キャビネットに接続されていますが,そのキャビネット内では別々の CI パス・ハブに接続されています。

同じく,両方の CI に至るパス B ケーブルは,スター・カプラ・キャビネット B の異なる CI パス・ハブに接続されています。パス固有のスター・カプラ・キャビネットと接続パス・ケーブルは,できるだけ離すようにします。たとえば,スター・カプラ・キャビネット同士をコンピュータ室の端と端に配置すれば,パス A ケーブルとパス B ケーブルが別々の経路をたどるように CI ケーブルを配線できます。

注意

構成 3 のパスの分離方法 ( 図 9-3 ) は,構成 1 ( 図 9-1 ) にも適用できます。この場合,各スター・カプラ・キャビネットには,パス・ハブが 1 個しかありません。CI のパス A ケーブルは,スター・カプラ A のパス・ハブに接続します。同じくパス B ケーブルは,スター・カプラ B に接続します。


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