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HP OpenVMS Systems
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日本語 HP DECwindows Motif for OpenVMS

日本語 HP DECwindows Motif
for OpenVMS
リリース・ノート


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6.4.3 日本語入力プロトコル

日本語アプリケーションは X ライブラリの国際化機能を使用して日本語入力サーバとの通信を行います。本バージョンの X ライブラリはテキスト入力 (IM) プロトコルとして X11R6 標準の R6 XIM プロトコルをサポートします。また,日本語 DECwindows Motif for OpenVMS Alpha では, Ximp IM プロトコルもサポートします。

これに対し本バージョンの DEC 日本語入力サーバは R6 XIM プロトコルと R5 DECXim プロトコルをサポートします。

なお,日本語アプリケーションが日本語入力サーバとの接続を試みる場合,最初に R6 XIM プロトコルをサポートする日本語入力サーバとの接続を試み,続いて Ximp IM プロトコルをサポートする日本語入力サーバとの接続を試みます。従来のバージョンでは Ximp IM プロトコルを使用するには論理名 DECW$XVENDORLAYER の設定が必要でしたが, V1.3 以降は必要ありません。

6.4.4 ja_JP.deckanji2000 ロケールのサポート

本バージョンから ja_JP.deckanji2000 日本語ロケールが新たにサポートされました。本バージョンでサポートする日本語ロケールは次のとおりです。

ja_JP
ja_JP.deckanji
ja_JP.deckanji2000
ja_JP.eucJP
ja_JP.sdeckanji

6.4.5 多国語対応

本バージョンの DECwindows Motifはひとつの DECwindows Motif 環境で日本語と中国語といった複数の言語を同時にサポートする多国語サポートに対応しています。

6.4.5.1 キットの構成

多国語対応のため,本バージョンから日本語 DECwindows Motifは国際化キットと日本語キットという 2 つのキットで構成されます。国際化キットには各国語共通部分が,日本語キットには日本語固有部分が含まれています。

他の言語の DECwindows Motif も同様の構成となります。たとえば,中国語 DECwindows Motifは国際化キットと中国語キットで構成されます。

ひとつの国際化キット上に複数の言語キットをインストールすることができます。これによって多国語環境を実現することができます。

本バージョンの日本語 DECwindows Motifは次の手順でインストールします。

  1. 標準版のインストール

  2. 国際化キットのインストール

  3. 日本語キットのインストール

詳しくは『インストレーション・ガイド』を参照してください。

6.4.5.2 システムのデフォルト言語

多国語環境では最後にインストールされた言語がシステムのデフォルト言語になります。以下の例では,最後にインストールされた中国語がデフォルト言語です。

  1. 標準版のインストール

  2. 国際化キットのインストール

  3. 日本語キットのインストール

  4. 中国語キットのインストール

インストール後にシステムのデフォルト言語を変更するには,コマンド・プロシージャ SYS$MANAGER:DECW$SET_LANG.COM を特権アカウントで実行します。


  $ @SYS$MANAGER:DECW$SET_LANG.COM <言語>

<言語> には次のいずれかを指定します。

言語
JDECW 日本語
KDECW 韓国語
CDECW 中国語(簡体字)
TDECW 中国語(繁体字)

6.5 日本語 DECwindows Motif V1.2--6 の新機能

6.5.1 日本語DECwindows Motifキットの PCSI化

V1.2--6

日本語DECwindows Motif V1.2-6 のキットは,従来のセーブセット形式から,標準版Compaq OpenVMS Alpha の POLYCENTER ソフトウェア・インストレーション・ユーティリティ(PCSI)形式のキットへ移行しました。これにより,より迅速かつ分かりやすいインストール環境を提供します。

6.5.2 既知の問題点の解決

V1.2--6

日本語DECwindows Motif V1.2-6 では,次の問題点が解決されています。

  1. 日本語入力サーバ(DECW$JIM)の問題

  2. 日本語キーマップの問題
    LK411-AJ 日本語キーボードおよびキーマップ使用時に "カタカナ/ひらがな" キーが機能しない問題。

  3. 漢字端末エミュレータの問題
    マウスで漢字端末エミュレータ・ウィンドウをクリックまたはドラッグするとウィンドウが縮む問題。
    この問題を解決するため,以下のファイルを変更しました。従来通りの漢字端末エミュレータの環境を使用されたい方はこのファイルの autoResizeTerminalの前のコメントを削除してください。


    DECW$SYSTEM_DEFAULTS_JA_JP:DECW$TERMINAL.DAT 
    

6.6 日本語 DECwindows Motif V1.2--5A の新機能

6.6.1 日本語ファイル名サポート

V1.2--5A

日本語 DECwindows Motif V1.2--5A では,日本語 OpenVMS V7.2 から提供されている日本語ファイル名サポート機能を使用することによって日本語ファイル名を使用することができます。

以下のアプリケーションで日本語ファイル名を使用することができます。

日本語 Motif V1.2--5A では,ODS--5 ディスク上で最長 40 文字の日本語ファイル名を使用することができます。日本語ファイル名の使用できる長さは,ファイルが存在するディレクトリの長さにも依存します。制限を超えた場合,ファイル名はファイル ID,ディレクトリ ID 形式に変換されます。

注意

日本語ファイル名として使用できる文字は, ASCII 文字,JIS X0208--1983 漢字です。半角カナは使用することができません。半角カナを使用した場合,予期せぬ結果が生じる場合があります。

日本語 Motif V1.2--5A の日本語ファイル名サポート機能は,日本語 OpenVMS V7.2 以降で提供されている機能を使用しています。したがって,日本語 OpenVMS V7.2 より前の OS 上にインストールされた場合,日本語 Motif 1.2--5A のアプリケーションで日本語ファイル名を使用することはできません。

アプリケーションから RMS を使用してファイルの読み込みあるいは書き込みを行う場合, SDECKANJI コードでファイル名の指定あるいは取得を行うことができます。ウィンドウ・アプリケーションのファイル・セレクション等で,日本語ファイル名を使用することができます。

使用する場合は以下の論理名定義を行います.


$ DEFINE /SYSTEM JDECW$RMS_ENCODING SDECKANJI

また,使用を中止する場合は以下の論理名定義を行います。


$ DEFINE /SYSTEM JDECW$RMS_ENCODING DEFAULT
 
  あるいは 
 
$ DEASSIGN /SYSTEM JDECW$RMS_ENCODING

6.7 制限事項

この節では,日本語機能の制限事項について説明します。

6.7.1 ja_JP.UTF-8ロケール

V1.6

ja_JP.UTF-8ロケール使用時には,以下の制限事項があります。

6.7.2 DEC入力サーバ

V1.6

DEC入力サーバには以下の制限事項があります。

6.7.3 USBキーボードの使用 (I64 のみ)

V1.5

OpenVMS I64 システムの標準版 DECwindows Motif でサポートされる LK463 (英語) キーボードを日本語環境で使用する場合は,スタイル・マネージャの「キーボード」アイコン(New Desktop の場合) あるいはセッション・マネージャの「オプション」メニューから「キーボード」オプション (従来型のデスクトップ環境の場合) を選択して,キーボードタイプとして "JAPANESE_LK411AJ" または "JAPANESE_LK41WAJ" を指定してください。 LK463 キーボードには日本語入力機能に関するキーおよびカナ LEDが存在しないためそれらの機能は使用できませんが,それ以外のキー入力は可能です。

LK463 キーボードでカナモードに切り替えるには,左側のComposeキーを押してください。

6.7.4 ノートパッド

V1.2-6

ノートパッドには以下の制限事項があります。

6.7.5 スタイル・マネージャ

V1.3

低解像度のディスプレイを使用している場合,大きいフォントを設定するとセキュリティのアイコンが消えてしまうことがあります。

セキュリティの設定を行う場合は,一旦小さいフォントを設定しアイコンを表示させてください。

6.7.6 SWB (Secure Web Browser)の日本語入力サポート

V1.3

SWB の日本語入力には以下の制限事項があります。

6.7.7 日本語ファイル名使用時の制限

V1.2--5A


付録 A
OSF/Motif リリース 1.2 リリース・ノート

本リリース・ノートは, OSF/Motif Release Note for Release 1.2 の第3章を基にしており, OSF/Motif アプリケーションを開発するプログラマ向けのその他いくつかの注意事項も記載しています。注意事項の大部分はOSF/Motif リリース 1.2への変更についての説明です。最初の2つの注意事項では,性能向上と上位の互換性について説明します。

本リリース・ノートは,日本語 HP DECwindows Motif for OpenVMS 製品で現在提供されている OSF/Motif ソフトウェアに対応しています。

A.1 性能の向上

Open Software Foundation社の目標は, OSF/Motif リリース 1.2の性能を可能な限り向上させ,性能を最低でもOSF/Motif リリース 1.1以下にはさせないことです。

性能テストが以下の3つの分野で行われました。

ダイアログ・ボックスやポップアップ・メニューの表示や消去のような,ユーザがすぐ気付くイベントの性能は, OSF/Motif リリース 1.1.4の性能と匹敵するかあるいはそれ以上になっています。大量のテストを行った結果,スクロール・テキスト領域内のスクロールが大幅に改善されています。

データ・スペースの使用量については, OSF/Motif ツールキット全体を通じて,特にテキスト・ウィジェットで改善されています。一部のケースでは,データ・スペース使用量は40%も節減されています。またテキスト・ウィジェットでテキストに使われるメモリは,テキストがより少量のテキストに置き換えられたときは,正しく減らされるようになりました。

メモリ・リークは,ツールキット全部のウィジェットで生成と破壊を複数回行っても,最低限に抑えられるようになりました。 Motifテストでは,わずかなメモリ・リークがありましたが, OSFでは,この程度の量のメモリは起動オーバヘッドの一部として必要なもので,本当のメモリ・リークではないと考えています。

しかしOSFでは実際に若干のメモリ・リークを発見しており,将来のリリースでは修正する予定です。たとえば,File Selection Box,Command, Drawn Buttonの3つのウィジェットに,約500 バイトのメモリ・リークがあります。

A.2 下位の互換性

OSFでは,OSF/Motif リリース 1.2のリンク時間の互換性,表示と動作の面での互換性についてテストしました。

A.2.1 表示と動作の面での互換性

OSFでは,自動化されたテストを行って,現在の表示とOSF/Motif リリース 1.1.4 ライブラリを使用して記録されたものとを比較しました。リリース 1.2とリリース 1.1.4 バージョンとの間の違いが解明されてから,表示はリリース 1.2 表示を使用して記録され, この新しく記録された表示がその後のテストで使用されました。

OSF の見解では Motif リリース 1.2 は,表示的にも動作的にもリリース 1.1.4 との互換性があります。ただし OSF は,Traversal and Geometry Management (移動・外形管理) アルゴリズムに大幅な改善を加えたため,両バージョンに違いがでてきています。こうした違いには,以前のリリースでの欠陥を正そうとする努力が反映されています。

このような新しい改善方針のひとつの例として,アプリケーションのマネージャ・ウィジェットの初期サイズ設定が,ツールキットで完全なものになっていることがあげられます。 OSF/Motif リリース 1.1 では,アプリケーションがマネージャ・ウィジェットのために初期サイズを設定しましたが,実際にはこのサイズを使いませんでした。現在のリリース 1.2では,Motifはこのサイズ設定を使い,これに対応して初期レイアウトが変更されるようになっています。

A.3 OSF/Motif リリース 1.2の変更と新機能

この節では, OSFがOSF/Motif リリース 1.2に加えた変更と新機能について要約します。変更についてさらに詳しくは,Motifのリファレンス・ページと,下記の Motif リリース 1.2 改訂版を参照してください。

以降の各項では,OSF/Motif リリース 1.2で改善された点について説明します。

A.3.1 ツールキットの全般的変更

この項では,OSF/Motif リリース 1.2 ツールキット全体に加えられた変更について説明します。

A.3.1.1 組み込みファイルの変更

OSF/Motif リリース 1.1にあった下記の各ヘッダ・ファイルは,リリース 1.2では廃止されています。

ExtObject.h
Traversal.h
VaSimple.h
VendorE.h
VendorEP.h

新しい共用ヘッダ・ファイル XmAll.hが OSF/Motif リリース 1.2に加えられています。このヘッダ・ファイルは,すべてのドキュメント化ヘッダ・ファイルを含みます。

A.3.2 XT 変換における変更

XT 変換コードの問題を解決した結果 (Patch 25 for X11 R5), Xt における変換は,現在では厳密に処理されて,もう以前のように見込みによる一致を受け付けません。この変更により,QATS および Motif VTS テスト・スーツの動作が変更されて,キーパッドで定義されている矢印キーがあるような特定のキーボードに対して,誤った仮定をするようになりました。他の Motif アプリケーションも同じような影響を受けることがあります。

問題となるキーについてバインディングを再定義するファイルを作成し,そのファイルをxmodmapユーティリティに渡すことにより,この問題を回避することができます。

次の例は,矢印キーに一致するキーパッド・キー用のバインディングを変更して,キーパッドの数字ではなく,矢印キーだけを生成するようにします。この新しい定義を使用すると,アプリケーションは矢印キーとともに修飾子を使用できるようになります。


! 
! Always force: 
!   KP_2 = Down 
!   KP_8 = Up 
!   KP_4 = Left 
!   KP_6 = Right 
keycode 120 = Down 
keycode 76  = Up 
keycode 98  = Left 
keycode 100 = Right 

A.3.3 ANSI C 準拠

caddr_tへの参照がすべて XtPointerに変更されました。この変更は, caddr_tを参照するすべてのコールバック・ルーチンやその他のルーチンに影響します。 OSFがこの変更をしたのは,OSF/Motif リリース 1.2が, ANSI C 仕様に準拠するようにするためです。


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