HP OpenVMS Systems Documentation |
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MONITOR ユーティリティの PROCESSES クラスでは,プロセスごとのモードの使用状況を監視するために,4 つの新しいクラス名修飾子を使用することができます。これは,さまざまな CPU モードを最も多く消費しているプロセスを見つけるのに役立ちます。たとえば,大量のスーパバイザ・モードが使用されていることが MONITOR MODES コマンドで表示された場合は,新しい MONITOR PROCESSES/TOPSUPERVISOR の表示によって,どのプロセス (したがってどのユーザ) が消費しているかが分かります。
新しい修飾子を次の表に示します。
| コマンドと修飾子 | 説明 |
|---|---|
| MONITOR PROCESSES /TOPKERNEL | カーネル・モードの使用量が上位のプロセス |
| MONITOR PROCESSES /TOPEXECUTIVE | エグゼクティブ・モードの使用量が上位のプロセス |
| MONITOR PROCESSES /TOPSUPERVISOR | スーパバイザ・モードの使用量が上位のプロセス |
| MONITOR PROCESSES /TOPUSER | ユーザ・モードの使用量が上位のプロセス |
詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の「Monitor ユーティリティ (MONITOR)」の章を参照してください。
3.6.3 MONITOR PROCESSES/TOPSUPERVISOR の例
新しい MONITOR PROCESSES/TOPSUPERVISOR 修飾子を使用すると,どのプロセスがスーパバイザ・モードで CPU を最も消費しているかが分かります。この修飾子についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
次の例は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』の次の版の「システムに関する情報の入手」の章の「リアルタイム表示監視の使用法」の項に記載されます。
例
$ MONITOR PROCESSES/TOPSUPERVISOR |
このコマンドを実行すると,スーパバイザ・モードの CPU 時間を最も消費している 16 個のプロセスを示した棒グラフが表示されます。値は,1 秒あたりの時間が 10ms クロック単位の数で表現されます。
コマンドを実行すると,次のように表示されます。
OpenVMS Monitor Utility
TOP SUPERVISOR MODE PROCESSES
on node QUEBIT
7-DEC-2005 14:04:24.19
0 25 50 75 100
+ - - - - + - - - - + - - - - + - - - - +
74E000AD BATCH_3 5 **
74E000AC BATCH_2 4 *
74E000AA BATCH_1 3 *
74E000AB _RTA3: 3 *
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3.7 EVA コントローラと MSA コントローラのアクティブ-アクティブ機能向けのマルチパスの機能強化
Enterprise Virtual Array (EVA) 4000/6000/8000 ストレージ・システムと MSA1500 ストレージ・システムのコントローラは, AO (active optimized) パスと ANO (active non-optimized) パスを備えています。この機能は,EVA 3000/5000 ストレージ・システムでも提供されています。 ANO パスを使用した場合,読み込み入出力性能のペナルティがあります。
OpenVMS のマルチパス機能は,入出力性能を向上させるために, AO パスと ANO パスを区別するように拡張されました。性能向上の度合いは,入出力サイズやキューの長さによって変わります。キューが長いほどユーザが体感する性能向上も大きくなります。
OpenVMS のマルチパス機能についての詳細は,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。これらのストレージ・システムのコントローラについての詳細は,次の URL を参照してください。
http://www.hp.com/country/us/en/prodserv/storage.html |
EVA 4000/6000/8000 コントローラについての詳細は, [Browse by capacity] の [Enterprise] を選択し,目的のストレージ・システムを選択してください。
同様に,EVA 3000 および 4000 コントローラについての詳細は, [Browse by capacity] の [Mid-range] を選択し,目的のストレージ・システムを選択してください。 MSA 1500 コントローラについての詳細は,[Browse by capacity] の [Entry-level] を選択し,[MSA 1500] を選択してください。
3.8 OpenVMS クラスタ・インターコネクト
OpenVMS Version 8.3 の LAN ベースのクラスタ通信ドライバ (PEdriver) では,以下の機能が追加されています。
データの圧縮は,ノード間の LAN の速度によってデータ転送速度が制限されており,かつ CPU 能力に余裕がある場合に,2 台の OpenVMS ノード間でのデータ転送に要する時間を短縮するために使用します。たとえば,シャドウ・コピー時間を短縮したり,E3 や DS3,FDDI, 100Mb Ethernet などの比較的低速な回線で接続されているディザスタ・トレラント・クラスタ・サイト間での MSCP サービス性能を向上させるために使用します。 PEdriver のデータ圧縮機能は,SCACP,Availability Manager, SYSGEN パラメータ NISCS_PORT_SERV のいずれかを使用して有効にすることができます。
ノード間で転送中となりえるパケットの数は,LAN リンクの速度とノード間の距離に応じて増やす必要があります。これまで,PEdriver の送受信ウィンドウ (バッファリング容量) は固定で,31 個の処理待ちのパケットを格納することができました。 OpenVMS Version 8.3 からは,PEdriver は,ノード間のクラスタ通信で現在使用されているローカルおよびリモートの LAN アダプタの速度に基づいて,自動的に送受信ウィンドウ・サイズ (他のネットワーク・プロトコルではパイプ・クォータと呼ばれることもあります) を選択します。さらに,SCACP および Availability Manager では,自動的に選択されるウィンドウ・サイズを管理者が指定変更することができます。
詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』および『HP OpenVMS Availability Manager User's Guide』の SCACP ユーティリティの章と NISCS_PORT_SERV を参照してください。
3.9 OpenVMS オペレーティング・システム媒体のパッチ関連のメニュー・オプション
OpenVMS オペレーティング・システムの配布媒体のメイン・メニューに,パッチ関連の操作を行うための新しいオプション (7) が追加されました。オプション 7 を選択すると,サブメニューが表示され,パッチ・キットの検索,パッチのインストール,回復データが存在する最近のパッチの削除,回復データの表示と削除を行うことができます。これにより,オペレーティング・システムがブートできない場合 (PCSI PRODUCT コマンドが実行できない場合) でもこれらの操作を実行することができます。メニュー・オプションの例を示します。
Please choose one of the following: 1) Upgrade, install or reconfigure OpenVMS I64 Version X8.3-BBV 2) Display layered products that this procedure can install 3) Install or upgrade layered products 4) Show installed products 5) Reconfigure installed products 6) Remove installed products 7) Find, Install, or Undo patches; Show or Delete Recovery Data 8) Execute DCL commands and procedures 9) Shut down this system Enter CHOICE or ? for help: (1/2/3/4/5/6/7/8/9/?) |
メイン・メニューのオプション 2 とオプション 3 も引き続きパッチ操作を実行するために使用できますが,新しいオプション 7 のサブメニュー操作を使用することをお勧めします。これらの操作で提供される機能はより広範囲で信頼性が高くなっています。たとえば,新しいサブメニュー・オプションを使用してパッチをインストールする場合は,回復データが自動的に保存されます。また,新しいオプションでは,デフォルトのターゲット・デバイスに加え,操作を行う対象を指定できます。対象の指定では,ワイルドカードを使用できます。
3.10 PCSI ユーティリティの機能拡張
OpenVMS Version 8.3 では,PCSI ユーティリティが以下のように拡張されています。
新しい PRODUCT ANALYZE PDB コマンドは,製品データベースの構造的な一貫性を検証し,状況によっては,軽微な修復を行います。コマンドの動作を以下に示します。
コマンドで指定可能な修飾子については,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ (PCSI)」の章を参照してください。
3.10.2 製品データベースの自動的な検証
PRODUCT INSTALL コマンドは,操作開始時と,製品データベースを更新する際に,製品データベースを自動的に検証するように拡張されました。検証動作と修復動作は,PRODUCT ANALYZE PDB コマンドとほぼ同じです。データベースを変更する他の PRODUCT コマンド (PRODUCT RECONFIGURE や PRODUCT REMOVE など) も,検証パスを実行します。
3.10.3 ODS-5 ボリュームのサポート
PCSI ユーティリティは,拡張された ODS-5 ディレクトリとファイル指定構文を完全にサポートするようになりました。 OpenVMS Version 8.3 の前では,製品キットを ODS-5 ディスクにインストールすることはできましたが,すべてのファイルは ODS-2 の構文規則を使用したインストール先ボリュームに配置されていました (たとえば,ファイル名は大文字だけでした)。 ODS-5 のサポートにより,キットの開発者は,以下の拡張された構文を使用したファイルをインストールするキットを作成することができます。
拡張された構文を使用するには,製品記述ファイル (PDF) 中の DIRECTORY 文または FILE 文の名前指定パラメータを引用符で囲みます。たとえば,次の 2 つの行を含む PDF ファイルがあるとします。
file [test]file_one.txt ; file "[test]File_Two.txt" ; |
インストール先ディスクが ODS-5 ボリュームの場合,OpenVMS Version 8.3 用の PCSI ユーティリティは,最初のファイルを FILE_ONE.TXT としてインストールし,2 番目のファイルを File_Two.txt としてインストールします。旧バージョンの PCSI ユーティリティとの互換性を保つため,引用符で囲まれていない指定は大文字のみの名前に変換されます。
また,製品の開発者は,次の形式の新しい PDF ステートメントを使用することで,ボリュームが ODS-2 と ODS-5 のどちらなのかをテストすることができます。
IF ( < FILESYSTEM { ODS-2 | ODS-5 } [ VOLUME { DESTINATION | SYSTEM } ] > ) ;
|
たとえば,インストール先ボリュームが ODS-5 の場合にだけ条件的にステートメントを処理するには,次の行を使用します。
IF ( < FILESYSTEM ods-5 VOLUME destination > ) ; ... END IF ; |
3.10.4 製品キットの Secure Delivery のサポート
いくつかの PRODUCT コマンドが拡張され,製品キットの Secure Delivery がサポートされました。 Secure Delivery については, 第 5.2 節 を参照してください。 PCSI ユーティリティに,以下の機能が追加されました。
Secure Delivery をサポートする PRODUCT コマンドと修飾子についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ (PCSI)」の章を参照してください。
3.10.5 2 つの修飾子におけるデフォルトの変更
OpenVMS Version 8.3 では,以下のコマンドで修飾子のデフォルト値が変更されました。
SANCP ユーティリティを使用すると,特定の Fibre Channel ストレージ・ポート上の論理ユニット番号 (LUN) へのパス全体でのアクティブな入出力の数を制限することができます。ストレージ・ポートは,個別またはワイルドカードによる WWID (World Wide ID) または製品 ID 部分文字列で選択することができます。
SANCP ユーティリティは,コマンド行で渡されたコマンドと修飾子を処理するため, DCL スクリプトから実行できます。コマンドを指定せずに起動すると,プロンプトが表示されます。 SANCP ユーティリティについての詳細は, SANCP のヘルプ・ファシリティを参照してください。
3.12 SAS ユーティリティ (I64 のみ)
SAS ユーティリティ (SAS$UTIL) は, OpenVMS システムの管理と診断を行うツールです。このユーティリティを使用して, HP 8 Internal Port Serial Attached SCSI Host Bus Adapter (SAS コントローラ) の IR (Integrated RAID) 機能を構成することが可能です。
IR (Integrated RAID) は,高い性能,ストレージ容量, RAID 構成による冗長性のいずれかまたはすべてが必要な場合に使用されます。 OpenVMS Version 8.3 は,Integrated RAID 1 または IM (Integrated Mirroring) とそれに関連するグローバル・ホット・スペア機能だけをサポートします。
詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
3.13 SCACP ユーティリティ
OpenVMS Version 8.3 では, SCACP に以下の新機能が追加されています。
以降の項では,これらの新機能について説明します。
3.13.1 データ圧縮の管理
SCACP SET VC コマンドに /COMPRESSION (または /NOCOMPRESSION) 修飾子が追加されました。これらの修飾子を使用すると,指定した PEdriver VC による圧縮されたデータの送信が有効または無効になります。省略時の指定は /NOCOMPRESSION です。
また,システム・パラメータ NISCS_PORT_SERV のビット 3 を設定することで, VC での圧縮の使用を有効にすることができます。 /NOCOMPRESSION 修飾子では,NISCS_PORT_SERV のビット 2 を設定することで有効にした圧縮は無効になりません。
3.13.2 数ギガビットのスケーリング
SET VC COMMAND /WINDOW=RECEIVE_SIZE=value 修飾子および /WINDOW=TRANSMIT_SIZE=value 修飾子を使用して, PEdriver VC に対して自動的に計算された送受信ウィンドウ・サイズを指定変更することができます。 /WINDOW=NORECEIVE_SIZE 修飾子と /WINDOW=NOTRANSMIT_SIZE 修飾子は,ウィンドウ・サイズの管理者による指定変更を取り消すために使用できます。 /WINDOW=(NORECEIVE_SIZE,NOTRANSMIT_SIZE) を使用すると,送信ウィンドウ・サイズと受信ウィンドウ・サイズの両方の指定変更を, 1 つのコマンドで取り消すことができます。
これらの新しいコマンド修飾子を使用すると,VC で十分な受信バッファが確保され,肯定応答を待たずに十分なパケットを送信でき,ノード間の帯域幅を最大限に利用することができます。 VC の無駄な閉鎖を避けるために,これらのコマンドには実行順序に制限があります。これらの制限については,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』および SCACP のヘルプ・ファシリティを参照してください。
新しい SCACP コマンド CALCULATE WINDOW_SIZE を使用すると, VC が使用する最大ウィンドウ・サイズを調べることができます。このコマンドには 2 つの必須の修飾子 /DISTANCE=KILOMETERS (または MILES)=n と /SPEED=s があります。ここで,n は,2 つのノード間のケーブル長で, s は,ノード間のクラスタ通信で使用しているすべてのリンクの帯域幅の合計です。
SCACP SHOW VC コマンドでは,VC 上で圧縮が有効になっているかどうかが表示されるようになり,送受信ウィンドウ・サイズの管理設定の欄が追加されています。
詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』および『HP OpenVMS Availability Manager User's Guide』の SCACP ユーティリティの章と NISCS_PORT_SERV を参照してください。
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