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HP OpenVMS Systems
Documentation

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日本語 HP OpenVMS

日本語 HP OpenVMS

V8.3 リリース・ノート

BA322-90061


2006 年 10 月

本書では,日本語 OpenVMS V8.3 の新しい機能,制限事項などについて説明します。

改訂/更新情報: 新規マニュアルです。
ソフトウェア・バージョン: 日本語 OpenVMS I64 V8.3
日本語 OpenVMS Alpha V8.3



日本ヒューレット・パッカード株式会社


© 2006 Hewlett-Packard Development Company, L.P.

本書の著作権は Hewlett-Packard Development Company, L.P. が保有しており,本書中の解説および図,表は Hewlett-Packard Development Company, L.P. の文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。

また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,日本ヒューレット・パッカードは一切その責任を負いかねます。

本書で解説するソフトウェア ( 対象ソフトウェア ) は,所定のライセンス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許可されます。

日本ヒューレット・パッカードは,弊社または弊社の指定する会社から納入された機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あるいは信頼性について一切責任を負いかねます。

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まえがき

本書の目的

本書は,日本語 OpenVMS V8.3 の新機能および制限事項などについて解説します。

対象読者

本書は,システム管理者およびプログラマを含む日本語 OpenVMS のすべてのユーザを対象としています。システム管理者の方は,日本語 OpenVMS V8.3 をインストールする前に,必ず本書をお読みください。

本書の構成

本書の構成は次のとおりです。

第 1 章 日本語 OpenVMS V8.3 で新規にサポートされた機能,およびアップデートされた機能について説明します。
第 2 章 日本語 OpenVMS V8.3 の制限事項について説明します。
付録 A 日本語 OpenVMS V8.3 の日本語マニュアルについて説明します。
付録 B 日本語 OpenVMS Alpha と日本語 OpenVMS I64 の機能の違いについて説明します。
付録 C 日本語 OpenVMS の過去のバージョンにおける新機能/変更機能について説明します。
付録 D 日本語 OpenVMS V6.1,6.2 でリタイアした機能を示します。

関連資料

本書で使用する表記法

本書では,「日本語 OpenVMS I64」は「日本語 OpenVMS I64 オペレーティング・システム」を,「日本語 OpenVMS Alpha」は「日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」を指します。また特に明記しない限り,「日本語 OpenVMS」は,「日本語 OpenVMS I64 オペレーティング・システム」および「日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」の両方を指します。

また,日本語 DECwindows および日本語 DECwindows Motif はすべて日本語 DECwindows Motif for OpenVMS ソフトウェアを意味します。

また,本書では次の表記法も使用しています。

表記法 意味
Ctrl/ x Ctrl/ x という表記は,Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
PF1 x PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。
[Return] 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。

HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。

... 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。

  • 文中のオプションの引数が省略されている。

  • 前出の 1 つまたは複数の項目を繰り返すことができる。

  • パラメータや値などの情報をさらに入力できる。

.
.
.
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。
( ) コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。
[ ] コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか 1 つを選択しても,あるいは 1 つも選択しなくても構いません。ただし, OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。
[|] コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。
{ } コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか1のオプションを指定しなければなりません。
太字 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。
italic text イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ ( たとえば内部エラー number),コマンド・ライン ( たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ ( たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。
UPPERCASE TEXT 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。
Monospace type モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。

C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。

-- コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。
数字 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて 10 進数です。10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。


第 1 章
新機能概要

この章では,日本語 OpenVMS V8.3 の新機能およびアップデートされた機能について説明します。標準版で提供される新機能については『OpenVMS V8.3 新機能説明書』を参照してください。

1.1 日本語 OpenVMS V8.3 の新機能およびアップデートされた機能

日本語 OpenVMS V8.3 では以下の新機能の提供および品質の改善が行なわれています。

1.1.1 日本語キットの Secure Delivery 対応

OpenVMS V8.3 で Secure Delivery 機能が導入されたのを受けて,日本語 OpenVMS のキットが正しいものであるかどうかインストール時に検証されるようになりました。

1.1.2 XTPU の文字エンコード自動認識機能

XTPU/JEVE で起動時に指定したテキスト・ファイルの文字コード (UTF-8,sjis,sdeckanji あるいは iso-2022-jp) を自動的に認識し,適切なエンコードでファイルをオープンできるようになりました。

この機能を使用する場合は,次のコマンドで XTPU を起動します。


$ EDIT/XTPU/CODE=AUTO ファイル名 

1.1.3 既知の問題点の修正

本リリースでは,以前のバージョンで発見された以下の問題点の修正が含まれています。

1.1.4 レイヤード・ソフトウェアのアップデート

本リリースでは,以下のレイヤード・プロダクトをバンドルします。

注意

日本語 TCP/IP Services は提供されません。標準版 TCP/IP Services をご使用ください。


第 2 章
制限事項

この章では日本語 OpenVMS V 8.3 の制限事項を説明します。

2.1 BACKUP ユーティリティに関する注意事項

V8.2

V8.2 以降は,これまで JSY$BACKUP.EXE で提供した日本語ユーザ・インタフェース部分が BACKUP.EXE で提供されています。このため JSY$BACKUP.EXE はシステムにはインストールされません。

なお,BACKUP ユーティリティの中核コンポーネントである BACKUPSHR.EXE を呼び出すアプリケーションは,日本語ファイル名を VTF-7 形式で表現する必要があります。

2.2 日本語ファイル名の制限事項

V7.3

DCL を含む大部分のアプリケーションは,ファイル名に日本語が使用されることを予期して設計されていません。特に Super DEC 漢字コードセットによって日本語ファイル名にアクセスする場合,ユーザの期待とは異なる結果が発生する場合があるだけでなく,アプリケーションがエラーを起こしたり,異常終了する場合があります。

ユーザはこれらの制限事項を理解した上で,必要に応じて日本語ファイル名を使うようにしてください。

2.2.1 日本語ファイル名をサポートするボリューム構造

日本語 OpenVMS V7.2 からサポートされている日本語ファイル名は,標準版 OpenVMS V7.2 以降で提供する Extended File Specification の機能である,Unicode ファイル名を利用しています。Unicode ファイル名は,新しいボリューム構造である ODS-5 でのみサポートされているため,日本語ファイル名もまた ODS-5 ボリュームでのみサポートされます。

2.2.2 DCL コマンド

日本語 OpenVMS では,標準版 OpenVMS の DCL コマンドで日本語ファイル名が完全に正常に動作することは保証していません。一部の DCL コマンドでは日本語ファイル名が正しく表示されないなどの問題が発生する場合があります。

2.2.3 ファイル名コンバータの非同期切り換えの禁止

ファイル名コンバータの有効/無効は,プロセス単位に設定されます。したがって,マルチスレッド環境で不用意にコンバータを切り換えると他のスレッドの動作に影響を与えます。特に RMS によるファイル・アクセスの実行中に切り換えを行うと,予期せぬ障害が発生する場合があります。

ファイル名コンバータの切り換えは,必ずスレッド間の同期をとってから行ってください。

2.2.4 ファイル名に半角カナを使用した場合の制限

標準版 OpenVMS と日本語 OpenVMS が提供する各種ユーティリティのうち,日本語ファイル名をサポートすると明記されているものでも,半角カナの含まれているファイル名を表示すると,半角カナ以降のカラムがずれる等の現象が発生します。

2.2.5 RMS 以外の API での日本語ファイル名の使用

$QIO などの RMS 以外の API では,ファイル名として Super DEC 漢字コードセットを使用することはできません。これらの API で使用できるファイル名については『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』を参照してください。

2.2.6 RMS で日本語ファイル名に使用できない文字

V7.3-1

日本語 OpenVMS では,以下の文字はファイル名として使用できません。

アスタリスク (*)
疑問符 (?)
ユーザ定義文字 (0xA121〜0xFE7E)
Super DEC 漢字でない文字 ( JIS X 0213 や ISO Latin-1 文字など)

2.2.7 RMS で ISO Latin-1 に変換される文字

以下の文字は ISO Latin-1 文字とみなされるため,ファイル名にこれらの文字だけから成る場合は,Unicode ではなく ISO Latin-1 に変換されます。これは Windows NT の仕様です。

文字 SDK Unicode
´ A1AD 00B4
¨ A1AF 00A8
± A1DE 00B1
× A1DF 00D7
÷ A1E0 00F7
° A1EB 00B0
§ A1F8 00A7
A2F9 00B6

2.2.8 日本語ユーティリティ

日本語 OpenVMS で提供する日本語ユーティリティでは,一部を除いて長いファイル名は使用できません。 Super DEC 漢字コードセットを用いて日本語のファイル名を使用する場合は,ファイル指定に漢字を含めることができます。

JMAIL ユーティリティと JEVE/XTPU エディタは,ファイル名に漢字を含めることができます。

以下の日本語ユーティリティでは,日本語ファイル名が使用できることを保証しません。

2.2.9 ファイル名にアルファベットを使用する場合の注意点

ODS-5 ディスク上で,ファイル名にアルファベット ( 半角と全角のラテン文字,ギリシア文字,キリール文字 ) を使用した場合,デフォルトの設定ではアルファベットの大文字と小文字を区別しません。このため,大文字と小文字を使い分けて同じ名前のファイル名を作成した場合,先に作成されたファイル名に統一されます。

たとえば,全角アルファベットの小文字のabc.txt という名前のファイルを作成したとします。


    $ create abc.txt    
    ^Z 

その後に,全角アルファベットの大文字のABC.TXT という名前のファイルを作成したとします。


    $ create ABC.TXT    
    ^Z 

この場合,abc.txt とABC.TXT は同じファイル名として解釈され,後から作成したABC.TXT はabc.txt として作成されます。ディレクトリには次のように表示されます。


    $ dir 
 
    Directory DISK$ODS5:[TEST] 
 
    abc.txt;2            abc.txt;1    
 
    Total of 2 files. 

また,このような状況は DIR コマンド等でファイル名を検索する場合にも発生します。


    $ dir ABC.TXT 
 
    Directory DISK$ODS5:[TEST]    
 
    abc.txt;2            abc.txt;1    
 
    Total of 2 files. 
    $ 

なお,次のコマンドを実行すると大文字と子文字を区別するように設定されます。


$ SET PROCESS/CASE=SENSITIVE 
 

ただしこの設定を行うと,システム・デフォルトのファイル名や拡張子,あるいはファイル・タイプと一致しなくなりオペレーティング・システムが期待どおり動作しなくなる場合がありますので,この設定を行う場合はその点にご注意ください。


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