この章では,UNIX 間コピー・プログラム (UUCP) について説明します。 UUCP を使用すると,次の処理を行うことができます。
リモート・ホスト上でタスクを実行する (14.3.2.3 項)。
ローカル・ホストとリモート・ホスト間でファイルの転送を行う (14.5 節)。
バックグランド・モードで作業を行う。
ローカル・ホストとリモート・ホストの切り換えを行いながら,同時に,どちらか一方または両方のホストでタスクを実行する。
UUCP
についての補足情報は,
uucp_intro(7)
UUCP を使用すれば,非同期式ハード配線回線,ネットワーク,または電話回線 (両端でモデムを使用) を,次のものに接続することができます。
別のワークステーション
UNIX ベースのオペレーティング・システムを実行する別のコンピュータ
UNIX ベース以外のオペレーティング・システムを実行するコンピュータ (この場合には特別なハードウェアおよびソフトウェアが必要)。
UUCP パス名は,次に示す例外を除いて,使用するオペレーティング・システムの規約に準拠します。
相対パス名は,すべての UUCP コマンドで使用できるわけではありません。 使用できない場合には,コマンドを再入力して,完全パス名を使用してください。
UUCP をサポートするホスト上では,他のホストとの間でのデータ転送用に
/usr/spool/uucppublic
ディレクトリがセットアップされます。
このディレクトリの簡潔な指定形式は
~uucp
です。
リモート・ホスト上のファイルのパス名には,ホスト名の後ろに感嘆符 (!) を付けなければなりません。
たとえば,sea!/research/new
は,ホスト
sea
上のディレクトリ
/research
にあるファイル
new
を指定します。
ファイルを指定するときに,ネットワーク・パスの他にリモート・ホスト名が必要な場合があります。
Bourne,Korn,または POSIX シェルでファイルを指定する場合には,各ホスト名の後に感嘆符 (!) を付けてください。
たとえば,gem!car!sea!/research/cells
は,ホスト
sea
上のディレクトリ
/research
にあるファイル
cells
を指定します。
これは,ホスト
car
を介して到達可能であり,car
は,ホスト
gem
を介して到達可能です。
C シェルでは,感嘆符 (!) の前にバックスラッシュ (\) を付けなければ,誤って解釈されることがあります。
次のように記述してください。
gem\!car\!sea\!/research/cells
ローカル・ホストから UUCP コマンドを使用してリモート・ホストと通信するには,UUCP プロトコルをサポートしているホストを確認しなければなりません。
ローカル・ホストから UUCP コマンドを使用して通信できるすべてのホストのリストを表示するには,UUCP
uuname
ユーティリティを使用します。
次に,uuname
コマンドを使用した場合の出力例を示します。
% uuname elvis fab4 Y107
この例では,3 つのリモート・ホストが,UUCP を使用してローカル・ホストにアクセス可能であることを示しています。
ローカル・ホストを識別するには,-l
オプションを指定して
uuname
コマンドを使用します。
たとえば,次のように入力します。
% uuname -l music
互換性にあるホスト間で UUCP コマンドを使用することにより,ホスト
music
上のユーザは,ホスト
elvis,fab4
または
Y107
との間でファイルの送受信を行うことができます。
詳細は
uuname(1)14.3 リモート・ホストへの接続
UUCP コマンドを実行する前に,ローカル・ホストをリモート・ホストに接続しなければなりません。 リモート・ホストに接続するには,次の 3 のコマンドを使用することができます。
cu
コマンドおよび
tip
コマンド
これらのコマンドは全二重接続を確立するため,リモート・ホストに直接ログインしているような感触を得ることができます。 この接続によって,ホスト間でのデータの同時転送が可能になります。
ct
コマンド
接続されている端末にダイアルし,モデムおよび電話回線を介してログインすることにより,リモート接続を確立することでができます。
注意
リモート接続は,ローカル・ホストおよびリモート・ホスト上のセキュリティ機能の影響を受けます。 詳細についてはシステム管理者に問い合わせてださい。
cu
コマンドとそのオプションを使用すると,リモート・ホストに接続して,ログインした後,ローカル・ホストからリモート・ホスト上でタスクを実行することができます。
2 つのホスト間で切り換えを行うことによって,両方のホスト上でタスクを実行することができます。
ローカル・ホストとリモート・ホストが同じオペレーティング・システムを使用している場合には,ローカル・ホストからリモート・ホストにコマンドを入力することもできます。
14.3.1.1 cu を使用した名前によるリモート・ホストへの接続
次の手順は,cu
コマンドを使用して,ローカル・ホスト
earth
からリモート・ホスト
moon
に接続し,moon
にログインして,そこからコマンドを入力する方法を示しています。
ローカルのシステム・プロンプトで,次の
cu
コマンドを入力する。
メッセージが表示されて接続が確認されます。
earth% cu moon Connected
リモート・ホストのログイン・プロンプトが表示されます。
リモート・ホストによっては,ログイン・プロンプトが表示されるまでに,Return キーを何回か押さなければならない場合があります。
ログイン・プロンプトからホスト
moon
にログインする。
ホスト
moon
のシステム・プロンプトが表示されます。
ホスト
moon
がサポートするコマンドを入力する。
たとえば,/usr/geog/crater/earthside
ディレクトリの内容を表示するには,システム・プロンプトで次のコマンドを入力します。
moon% ls /usr/geog/crater/earthside copernicus.dat tycho.dat moon%
注意
この例は,すべての
cu接続で使用できるわけではありません。 簡単な一般例として示しています。 詳細については,システム管理者に問い合わせてください。
リモート・ホストにログインした後は,リモート・ホストとローカル・ホストは同時に実行しているため,両ホストの間で切り換えを行うことができます。
ローカル・ホストに戻ってコマンドを入力するには,コマンドの前にチルダと感嘆符 (~!) を付けて入力するか,あるいはローカル・ホストのプロンプトが表示されるのを待ってから,コマンドを入力してください。
リモート・ホストに戻るには,Ctrl/D を押します。
14.3.1.2 cu を使用した直接接続のリモート・ホストの指定
直接接続のリモート・ホストに接続するには,cu
コマンドで
-l
オプションを使用して,2 台のコンピュータを接続しているハード配線回線名を指定してください。
このような回線名のほとんどは,標準デバイス名
tty
のバリエーションです。
-l
オプションを指定して
cu
コマンドを実行し,名前のわからない (ただしハード配線デバイス
ttyd0
を使用する) リモート・ホストに接続するには,次のように入力します。
earth% cu -lttyd0 Connected
接続が確立されると,リモート・ホスト
moon
にログインして,コマンドを実行することができます。
14.3.1.1 項の手順を参照してください。
ローカル・ホストに戻るには,コマンドの前にチルダと感嘆符 (~!) 付けてを入力するか,あるいはローカルのシステム・プロンプトが表示されるのを待ってから,コマンドを入力してください。
リモート・ホストに戻るには,Ctrl/D を押します。
注意
-lオプションを使用し,さらにリモート・ホスト名を入力しても,エラー・メッセージは表示されません。 この場合cuは,-lオプションで指定された回線を無視して,要求されたホスト名で最初に接続可能な回線に接続しようとします。 接続できても,希望するホストではないことがあります。
14.3.1.3 cu を使用した電話回線によるリモート・ホストへの接続
リモート・ホストが UUCP を介してローカル・ホストと通信できるようにセットアップされていない場合には,cu
を使用すると,電話回線を介してリモート・ホストに接続できます。
この接続のためには,次の条件が満たされていなればなりません。
ローカル・ホストおよびリモート・ホストの両方がモデムに接続されている。
リモート・モデムの電話番号を知っていて,そのホストに有効なログイン権限がある。
次の例は,cu
コマンドを使用して,外線の電話番号が 1-612-555-6789 であるリモート・ホストに接続する方法を示しています。
-s
オプションで,伝送速度 300 ボーを指定します。
外線番号の 9 をダイアルする必要がある場合には,ローカルのシステム・プロンプトから,次のように
cu
コマンドを入力します。
earth% cu -s300 9=16125556789 Connected
接続が確立されたら,リモート・ホストにログインして,コマンドを実行することができます。 14.3.1.1 項で説明している手順を参照してください。
ローカル・ホストに戻るには,コマンドの前にチルダと感嘆符 (~!) を付けて入力するか,あるいはローカルのシステム・プロンプトが表示されるのを待ってから,コマンドを入力してください。
リモート・ホストに戻るには,Ctrl/D を押してください。
-s
オプションを使用して伝送速度を指定しない場合は,省略時の設定により,/usr/lib/uucp/Devices
のデータから適切な速度が選択されます。
セキュリティ機能を追加する場合には,-n
オプションを使用して,電話番号の入力を求めるプロンプトを表示させます。
このオプションは,ps
コマンドによる電話番号の表示を抑制します。
-n
オプションを指定しない場合には,入力した番号を
cu
コマンドで表示します。
表 14-1
に,cu
コマンドのオプションとその説明をまとめます。
詳細は,
cu(1)表 14-1: cu コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
-sspeed |
リモート・ホストへのデータ伝送速度を指定する。
ほとんどの作業では,UUCP のインストレーション時に設定され,/usr/lib/uucp/Devices
のデータに基づく省略時の速度で十分である。 |
-e
| -o |
リモート・ホストに送信するデータのパリティに対し,偶数の場合には
-e,奇数の場合には
-o
を指定する。 |
-h |
-h
を指定すると,ローカル・エコーをエミュレートして,端末が半二重モードに設定されている他のホストへの呼び出しをサポートする。 |
-d |
-d
を指定すると,診断トレースを出力する。 |
-n |
-n
を指定すると,cu
により電話番号の入力を求めるプロンプトを表示する (セキュリティ機能の追加)。 |
-lline |
2 台のコンピュータ間での通信用のデバイス (回線) 名を指定する。
省略時の設定は,非同期のハード配線回線,またはモデムなどの自動ダイアラが接続されている電話回線である。
サイトに複数の通信回線がある場合には, 通常は,回線またはデバイスを指定する必要はない。
UUCP インストレーション時に設定された省略時の設定で十分である。
リモートのコンピュータに接続したいが,
その名前がわからない場合には, |
-t |
「自動応答」を設定している端末にダイアルして,carriage return
を
carriage return/linefeed
にマップする。 |
| host_name | 接続を確立するリモート・ホスト名を指定する。 |
| telno | モデムを使用してリモート接続する際の電話番号を指定する。 |
cu
コマンドでリモート・ホストに接続すると,ローカルの
cu
コマンドを使用して,次のタスクを実行できます。
ローカル・ホストおよびリモート・ホスト間で切り換えを行う。
ローカル・ホスト上のディレクトリを変更する。
ローカル・ホストおよびリモート・ホスト間でファイルをコピーする。
リモート接続を終了する。
一時的にローカル・ホストに戻って作業を行うには,リモートのシステム・プロンプトに対してチルダと感嘆符 (~!) を入力し,次の形式のローカルのシステム・プロンプトが表示されるのを待ちます。
この場合,local
はローカル・ホストの名前です。
~
[ local
]
!
ローカルのシステム・プロンプトが表示されるまで待たなくても,ローカル・ホストにアクセスする
~!
を入力した直後に,コマンドを入力することもできます。
たとえば,cu
でリモート・ホスト
moon
に接続しているときに,
次のコマンドを入力すると,ローカル・ホスト
earth
に戻り,cat
コマンドを使用して,/usr/crew/r2/asimov/AI
ファイルを読むことができます。
moon% ~!cat /usr/crew/r2/asimov/AI
頻繁に実行するタスクで使用する,次の 3 つの
cu
ローカル・コマンドがあります。
リモート・ホストで作業を続けながら,これらのコマンドをリモート・ホストから入力すると,ローカル・ホスト上でタスクを実行できます。
これらのコマンドの前には,チルダとパーセント記号を付けます。
~%cd
directory_name |
ローカル・ホスト上のディレクトリを変更する。 |
~%take
from
[to] |
リモート・ホストからローカル・ホストへファイルをコピーする。 |
~%put
to
[from] |
ローカル・ホストからリモート・ホストへファイルをコピーする。 |
たとえば,cu
を使用してリモート・ホスト
moon
に接続しているとき,次のコマンドを入力することにより,ローカル・ホスト
earth
の現在のディレクトリを,/usr/geog/ocean
から
/usr/geog/ocean/pacific
に変更できます。
moon% ~%cd pacific
cu
でリモート・ホスト
moon
に接続しているとき,
リモートのシステム・プロンプトから,次の
~%take
ローカル・コマンドを入力することにより,ファイル
/usr/ETI/clavius
を,ローカル・ホスト
earth
上の
/usr/NASA/decode
へコピーできます。
moon% ~%take /usr/ETI/clavius /usr/NASA/decode
cu
でリモート・ホスト
moon
に接続しているとき,
リモートのシステム・プロンプトから,次の
~%put
ローカル・コマンドを入力することにより,ローカル・ファイル
/usr/NASA/jupiter
を,リモート・ホスト上の
/usr/ETI/clavius/hal9
へコピーできます。
moon% ~%put /usr/NASA/jupiter /usr/ETI/clavius/hal9
注意
~%takeおよび~%putコマンドを使用する前には,コピー先ディレクトリが存在することを確認してください。uucpコマンドとは異なり,これらのcuローカル・コマンドは,ファイル転送の間に中間ディレクトリを作成しません。
~%take
および
~%put
を使用して転送できるのは ASCII ファイルだけです。
たとえば,PostScript ファイルは ASCII ファイルですが,実行可能ファイルは ASCII ファイルではありません。
14.3.1.5 cu を使用したローカル・コンピュータの複数のリモート・コンピュータへの接続
cu
コマンドを入力して,ホスト
X
をホスト
Y
に接続し,ホスト
Y
にログインしてから,そこで再び
cu
コマンドを入力して,ホスト
Z
に接続できます。
これによって,1 つのローカル・ホスト・コンピュータ
X
と,2 つのリモート・ホスト・コンピュータ
Y
および
Z
を使用できるようになります。
ホスト
Z
にログインすると,そのホスト上でオペレーティング・システムのコマンドを実行できます。
次のようにすると,Z
から他のホスト上でコマンドを実行できるようになります。
ホスト
X
でコマンドを実行するには,コマンドの前にチルダ (~) を 1 つ付ける。
ホスト
Y
でコマンドを実行するには,コマンドの前に 2 つのチルダ (~~) を付ける。
表 14-2
に,最も一般的に使用される
cu
ローカル・コマンドを示します。
他の
cu
ローカル・コマンドについての詳細は,
cu(1)表 14-2: ローカルの cu コマンド
| コマンド | 説明 |
~. |
リモート・コンピュータからログアウトして,リモート接続を終了する。 モデムを使用し,電話回線を介してリモート・ホストと接続する場合には,このコマンドは常に動作するとは限らない。
動作しない場合には,Ctrl/D を押してログアウトする。
その後,プロンプトからチルダとピリオド ( |
~! |
セッションをリモート・ホストからローカル・ホストへ戻す。
プロンプトに対してチルダと感嘆符 (
|
~%cd directory_name |
ローカル・ホストの現在のディレクトリを,directory_name 変数で指定したディレクトリに変更する。 ディレクトリ名を指定しなければ,ホーム・ディレクトリに戻る。 |
~%take
source
[dest] |
リモートからローカル・ホストにファイルをコピーする。
ローカル・ホスト上の
dest
コピー先ファイルを指定しなければ,~%take
コマンドは,リモート・ファイルをローカル・ホストにコピーして,同じファイル名を割り当てる。 |
~%put
source
[dest] |
ローカルからリモート・ホストにファイルをコピーする。
リモート・ホスト上の
dest
コピー先ファイルを指定しなければ,~%put
コマンドは,ローカル・ファイルをリモート・ホストにコピーして,同じファイル名を割り当てる。 |
~$cmd |
ローカル・ホスト上で cmd コマンドを実行し,リモート・シェルで実行するために,出力をリモート・ホストに送信する。 |
tip
コマンドとそのオプションを使用すると,リモート・ホストに接続して,ログインし,ローカル・ホストからリモート・ホスト上でタスクを実行できます。
2 つのホスト間で切り換えを行うことによって,各ホスト上でタスクを実行することができます。
ローカル・ホストとリモート・ホストが同じのオペレーティング・システムを使用している場合には,ローカル・ホストからリモート・ホストにコマンドを入力することができます。
14.3.2.1 tip を使用した名前によるリモート・ホストへの接続
次の手順は,tip
コマンドを使用して,ローカル・ホスト
earth
から,リモート・ホスト
moon
に接続し,moon
にログインして,そこからコマンドを入力する方法を示しています。
ローカルのシステム・プロンプトで,次の
tip
コマンドを入力する。
メッセージが表示されて接続が確認されます。
earth% tip moon Connected
リモート・ホストのログイン・プロンプトが表示されます。
リモート・ホストによっては,ログイン・プロンプトが表示されるまでに,Return キーを何回か押さなければならない場合があります。
ログイン・プロンプトからホスト
moon
にログインする。
ホスト
moon
のシステム・プロンプトが表示されます。
システム・プロンプトが表示されるのを待って,ホスト
moon
がサポートするコマンドを入力する。
たとえば,/usr/geog/crater/darkside
ディレクトリの内容を表示するには,システム・プロンプトから次のコマンドを入力します。
moon% ls /usr/geog/crater/darkside copernicus.dat tycho.dat moon%
注意
この例は,すべての
tip接続で使用できるわけではありません。 簡単な一般例として示しています。 詳細については,システム管理者に問い合わせてください。
リモート・ホストにログインした後は,リモート・ホストとローカル・ホストは同時に実行しているため,両ホストの間で切り換えを行うことができます。
ローカル・ホストに戻ってコマンドを入力するには,コマンドの前にチルダと感嘆符 (~!) を付けて入力するか,あるいはローカル・ホストのプロンプトが表示されるのを待ってから,コマンドを入力してください。
リモート・ホストに戻るには,Ctrl/D を押します。
14.3.2.2 tip を使用した電話回線によるリモート・ホストへの接続
次の条件を満たしている場合には,tip
コマンドを使用し,電話回線を介してリモート・ホストに接続できます。
ローカル・ホストおよびリモート・ホストの両方がモデムに接続されている。
リモート・モデムの電話番号がわかっているか,あるいはリモート・ホストのエントリが
/etc/remote
に存在する。
次の手順では,tip
コマンドを使用して,内線の電話番号が 555-1234 のリモート・ホストに伝送速度 300 のボー・レートで接続しています。
ローカル・プロンプト
jupiter
から,次の
tip
コマンドを入力する。
メッセージが表示されて接続が確認されます。
jupiter% tip -300 5551234 Connected
Return キーを押す。
リモート・ホストによっては,リモート・ホストのログイン・プロンプトが表示されるまでに,Return キーを数回押さなければならない場合があります。
リモート・ホストのログイン・プロンプトからログインする。
ローカル・ホストとの接続は引き続きオープンされているので,ローカル・ホストまたはリモート・ホストの両方で作業ができます。
注意
伝送速度を指定しなければ,省略時の設定により,
tipコマンドは 1200 ボー・レートを使用します。
次の手順では,tip
コマンドを使用して,外線の電話番号が 1-612-555-9876 のリモート・ホストに伝送速度 300 のボー・レートで接続しています。
外線番号の 9 をダイアルする必要がある場合には,ローカル・ホスト
earth
のプロンプトから,次の
tip
コマンドを入力する。
メッセージが表示されて接続が確認されます。
earth% tip -300 9,16125559876 Connected
Return キーを押す。
リモート・ホストによっては,リモート・ホストのログイン・プロンプトが表示されるまでに,Return キーを数回押さなければならない場合があります。
リモート・ホストのログイン・プロンプトからログインする。
ローカル・ホストとの接続は引き続きオープンされているので,ローカル・ホストまたはリモート・ホストの両方で作業ができます。
/etc/remote
ファイルおよび
/etc/phones
ファイルのカスタマイズについての詳細は,
『ネットワーク管理ガイド』,および
remote(4)phones(4)
表 14-3
に,tip
コマンド・オプションとその説明を示します。
詳細は,
tip(1)表 14-3: tip コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
-baud_rate |
リモート・ホストへのデータ伝送速度を指定する。 省略時の値は 1200 ボー。 UUCP のインストール時に設定され,サイト用にカスタマイズされたボー・レートは,接続に使用するハードウェアに従って構成される。 |
-v |
.tiprc
ファイルから読み取った (詳細モード) 任意の変数を表示する。 |
| host_name | 接続する
リモート・ホストを指定する。
ローカル・ホストとリモート・ホスト間でのシステム通信のセットアップ方法に従って,tip
コマンドは,ハード配線回線,またはモデムと電話回線を使用して接続する。 |
| telno | モデムを使用してリモート接続する際の電話番号を指定する。
リモート・ホスト名が
tip
で認識されない (つまり,/etc/remote
ファイルにエントリがない) 場合には,この方法を使用する。 |
tip
コマンドでリモート・ホストに接続しているときに,ローカル・コマンドを使用して,次のタスクを実行できます。
ローカル・ホストとリモート・ホスト間で切り換えを行う。
リモート・ホストからローカル・ホスト上のディレクトリを変更する。
ローカル・ホストとリモート・ホスト間でファイルをコピーする。
リモート接続を終了する。
一時的にローカル・ホストに戻ってコマンドを入力するには,リモートのシステム・プロンプトからチルダと感嘆符 (~!) を入力します。
ローカルのシステム・プロンプトが次の形式で表示されます。
ここで,shell
はローカルのシェル名であり,pmt
はローカルのシェル・プロンプトです。
シェル・プロンプトは,C シェルに対しては
%,Bourne,Korn,または POSIX シェルに対しては
$
が表示されます。
~
[ shell
]
pmt!
リモート・ホストに戻るには,ローカルのシステム・プロンプトで Ctrl/D を押します。
tip
プロセスを終了するには,チルダをタイプして
Ctrl/D ( ~^D) を押します。
リモート・ホストで作業を続けながら,リモート・ホストから次の
tip
コマンドを使用すると,ローカル・ホストでタスクを実行できます。
これらコマンドは前にチルダを付けて使用します。
~c
directory_name |
ローカルのディレクトリを変更する。 |
~t
from
[to] |
リモート・ホストからローカル・ホストにファイルをコピーする。 |
~< |
リモート・ホストからローカル・ホストにファイルをコピーする。 |
~p
from
[to] |
ローカル・ホストからリモート・ホストにファイルをコピーする。 |
~> |
ローカル・ホストからリモート・ホストにファイルをコピーする。 |
たとえば,tip
でリモート・ホスト
moon
に接続しているとき,次のコマンドを入力して,ローカル・ホスト
earth
上の現在のディレクトリを,
/usr/geog/polar
から
/usr/geog/polar/arctic
に変更できます。
moon% ~c arctic
tip
でリモート・ホスト
moon
に接続しているとき,次のコマンドを入力して,/usr/darkside/temp/dat
ファイルを,
ローカル・ホスト
earth
上の
/usr/NASA/bios/temp
ファイルにコピーできます。
moon% ~t /usr/darkside/temp/dat /usr/NASA/bios/temp
tip
でリモート・ホスト
moon
に接続しているとき,次のコマンドを入力して,ローカルの
/usr/NASA/bios/warn
ファイルを,
リモート・ホスト上の
/usr/darkside/temp/change
ファイルにコピーできます。
moon% ~p /usr/NASA/bios/warn /usr/darkside/temp/change
注意
~tおよび~pコマンドで転送できるのは ASCII ファイルだけです。 たとえば,PostScript ファイルは ASCII ファイルですが,オブジェクト (コード) ファイルは ASCII ファイルではありません。
~tも~pも,ファイル転送エラーをチェックしませんが,uucpコマンドには,この確認の機能があります。
14.3.2.4 tip コマンドを使用したローカル・ホストから複数のリモート・ホストへの接続
tip
コマンドを入力して,ホスト
X
をホスト
Y
に接続し,ホスト
Y
にログインしてから,
そこで
tip
コマンドを入力し (Y
が
tip
コマンドをサポートする場合),ホスト
Z
に接続することができます。
これによって,1 つのローカル・ホスト・コンピュータ
X
と,2 つのリモート・ホスト・コンピュータ
Y
および
Z
を使用できるようになります。
ホスト
Z
がホストである場合には,ログインすると,ホスト
Z
上でオペレーティング・システムのコマンドを実行できます。
次のようにすると,Z
から他のホスト上でコマンドを実行できるようになります。
ホスト
X
上でコマンドを実行するには,コマンドの前にチルダ (~) を 1 つ付ける。
ホスト
Y
上でコマンドを実行するには,コマンドの前に 2 つのチルダ (~~) を付ける。
注意
チルダ (
~) で始まるコマンド・シーケンスは,チルダがコマンド行の先頭にある場合にのみ,tipによって解釈されます。
表 14-4
に,最も一般的に使用される
tip
ローカル・コマンドを示します。
他の
tip
ローカル・コマンドについての詳細は,
tip(1)表 14-4: ローカル tip コマンド
| コマンド | 説明 |
|
リモート・コンピュータからログアウトして,リモート接続を終了する。 モデムを使用し,電話回線を介してリモート・ホストと接続する場合には,このコマンドは常に動作するとは限らない。
動作しない場合には,Ctrl/D を押してログアウトする。
その後,プロンプトから
|
~! |
セッションをリモート・ホストからローカル・ホスト上のシェルへ戻す。
プロンプトに対してチルダと感嘆符 (
|
~c directory_name |
ローカル・ホスト上の現在のディレクトリを,directory_name 変数で指定したディレクトリに変更する。 ディレクトリ名を指定しなければ,ホーム・ディレクトリに戻る。 |
~t source
[dest] |
リモートからローカル・ホストにファイルをコピーする。
ローカル・ホスト上の
dest
コピー先ファイルを指定しなければ,~t
コマンドは,リモート・ファイルをローカル・ホストにコピーして,同じファイル名を割り当てる。 |
~p source
[dest] |
ローカルからリモート・ホストにファイルをコピーする。
リモート・ホスト上の
dest
コピー先ファイルを指定しなければ,~p
コマンドは,ローカル・ファイルをリモート・ホストにコピーして,同じファイル名を割り当てる。 |
~< |
リモートからローカル・ホストにファイルをコピーする。
tip
コマンドは,リモート・ホスト上で
リモート・ファイルやローカル・ファイル名の表示に使用するコマンド文字列 (たとえば,
cat
filename) の入力を求めるプロンプトを表示する。 |
~> |
ローカルからリモート・ホストにファイルをコピーする。
tipコマンドはローカル・ファイル名の入力を求めるプロンプトを表示し,そのファイルを標準入力と同様にリモート・ホストへ送信する。
~>
コマンドを実行する前に,この入力を認識するよう,リモート・ホストのコマンドをセットアップしなければならない。
たとえば,remote%
cat >
destination-file
のように行う。 |
注意
tipプログラムは,システム・プロンプトとシステムの割り込み文字列に対応する文字列を使用をして,~<または~>コマンドによるファイル転送の終了をシグナル通知します。 これらの値は,/etc/remoteファイルに定義されます。 詳細は,リファレンス・ページを参照してください。 remote(4)
14.3.3 ct を使用したモデムによるリモート端末への接続
モデムを備えたリモート ASCII 端末のユーザは,ct
コマンドを使用すると,モデムと電話回線を介して,ローカル・ホストと通信できます。
リモート端末のユーザは,接続後,ローカル・ホストにログインして,作業を行うことができます。
使用できる電話回線がない場合には,ct
コマンドはメッセージを表示して,回線が使用できるまで待つかどうかを尋ねます。
ct
コマンドは,次のような場合に有効です。
機密性の高い通信が必要な場合
ローカル・ホストはリモート端末と接続しているため,リモート・ユーザは,ローカル・ホストの電話番号を知る必要がありません。
ローカル・ユーザは,ct
を入力することによって,リモート・ユーザの作業をモニタすることができます。
電話接続の費用が,ローカル・サイトまたはリモート端末の特定のアカウントに (コレクト・コールのように) チャージされる場合
-h
オプションを省略すれば,コレクト・コールをエミュレートすることができます。
リモート端末のユーザは,-h
オプションを指定しないで
ct
コマンドを入力できます。
次の
ct
の機能は,特定の環境で有効です。
接続が確立されるか,あるいは設定された時間が経過するまで,番号をダイアルし続けるように,ct
に指示することができる。
2 つ以上の電話番号を指定して,接続が確立されるまで,ct
が各モデムにダイアルするように設定できる。
注意
通常,リモート端末のユーザは,ローカル・ホストのユーザを呼び出して,
ctセッションを要求します。 このような接続が頻繁に発生する場合には,システム管理者は UUCP を設定して,指定された時間に,1 つまたは複数の指定端末に対し,ローカル・ホストが自動的にctを実行するようにします。 UUCP のカスタマイズについての詳細は,システム管理者に問い合わせてください。
たとえば,同じサイトにあるリモート端末のモデムに接続するには,次のコマンドを入力してください。 リモート・モデムの電話番号は 7-6092 とします。
earth% ct 76092 Allocated dialer at 1200 baud Confirm hang_up? (y to hang_up)
コマンドを入力すると,接続を確認するメッセージが表示され,現在使用中の他の電話回線を中断するか,あるいはコマンドを取り消すかを入力するプロンプトが表示されます。
次の例は,ct
コマンドを使用して,市内電話番号が 555-0043 であるリモート端末モデムに接続する方法を示しています。
この例では,外線番号として 9 を指定し,モデム回線を 2 分間待つように指示する
-w
オプションを指定しています。
earth% ct -w2 9=5550043 Allocated dialer at 1200 baud Confirm hang_up? (y to hang_up)
前述の例と同様に,現在使用中の他の電話回線を中断するか,あるいはコマンドを取り消すかを入力するプロンプトが表示されます。
次の例は,ct
コマンドを使用して,ローカル・ホスト
earth
から,市外電話番号が 1-201-555-7824 であるリモート端末のモデムに接続する方法を示しています。
この例では,外線番号として 9 を指定し,モデム回線を 5 分間待つように指示する
-w
オプションを指定しています。
earth% ct -w5 9=12015557824 Allocated dialer at 1200 baud Confirm hang_up? (y to hang_up)
現在使用中の他の電話回線を中断するか,あるいはコマンドを取り消すかを入力するプロンプトが表示されます。
詳細は,
ct(1)
表 14-5
に,ct
コマンドのオプションと必要なエントリを示します。
表 14-5: ct コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
-wminutes |
|
-xnumber |
ローカル・ホスト上でのコマンド実行時の標準エラー出力についての詳細情報を作成する。 これは,デバッグの際に参照する。 デバッグ・レベル number は,0 〜 9 の数字。 推奨する省略時の値は 9。 |
-v |
ct
コマンドで,実行中のナレーティブを標準エラー出力に送信できるようにする。 |
-h |
ct
によって,現在の接続が切断されないようにする。 |
-sspeed |
ct
のデータ伝送速度を指定する。
省略時の値は 1200 ボー。
ボー・レートは,接続する端末のボー・レートに設定する。 |
| telno | リモート・モデムの電話番号を指定する。
市内電話番号または市外電話番号を入力し,外線用の
9
や,その他のアクセス・コードを表す 2 次ダイアル・トーンを指定する。 |
2 次ダイアル・トーンの後ろには等号 (
|
14.4 uux を使用したリモート・ホスト上でのコマンドの実行
uux
コマンドを使用すると,ローカル・ホスト上で作業しながら,リモート・ホスト上でコマンドを実行することができます。
リモート・ホストにコマンドが存在しない場合には,uux
は実行されず,リモート・ホストがそのことをメールで通知します。
コマンドが実行されて出力を生成する場合 (たとえば
cat
や
diff) には,uux
に,指定のホスト上のファイルに出力を書き込むようにさせることができます。
注意
機密保護のため,
uuxを介したコマンドの使用を制限しているサイトがあります。 また,ローカル・ホストにエンハンスト・セキュリティ機能が設定されている場合には,uuxを介したリモート・ホスト上での特定のコマンドの実行に影響があります。 詳細については,システム管理者に問い合わせてください。
uux
コマンドの構文は,使用するシェルのコマンド・インタプリタが特殊文字を処理する方法によって決まります。
この構文は,Bourne,Korn,および POSIX シェルでは同じですが,C シェルでは異なります。
どのシェルから
uux
を使用するかに関係なく,
デスティネーションの指定には次の 2 つの方法があります。
uux
[ option...
]
"commandstring
>
destination"
uux
[ option...
]
commandstring
\{
destination
\}
最初の構文では,右山カッコ (リダイレクション記号) (>) は,リモート・コマンドの出力を,デスティネーションのディレクトリまたはファイルに向けます。
二重引用符 (" ") は,リダイレクション記号の右山カッコ (>) が特殊文字であるため,コマンド全体を囲みます。
コマンド行で次のいずれかの文字を使用する場合には,必ずその文字またはコマンド全体を二重引用符 (" ") で囲んでください。
左山カッコ (<)
右山カッコ (>)
セミコロン (;)
垂直バーつまりパイプ (|)
プラス記号 (+)
左大カッコ ([)
右大カッコ (])
疑問符 (?)
2 番目の構文では,デスティネーション名を中カッコ ({ }) で囲みます。
中カッコは,シェル・コマンド・インタプリタでの特殊文字であるため,各中カッコの前にはバックスラッシュ (\) をタイプしなければなりません。
バックスラッシュがなければ,中カッコが誤って解釈される恐れがあります。
デスティネーション・ファイルのパス名を指定する場合には,完全パス名または
~user
に続くパス名を使用できます。
この場合,user
はユーザのログイン・ディレクトリ名です。
出力ファイルには「書き込み」許可のステータスが必要です。
あるターゲット出力ファイルの許可がどのように設定されているか不明な場合には,コマンドの結果を
/usr/spool/uucppublic
ディレクトリへ出力してください。
シェルからは簡単に,このディレクトリを
~uucp
と指定することができます。
14.4.1 Bourne シェル,Korn シェル,または POSIX シェルからの uux の使用
次の例は,uux
コマンドが,オペレーティング・システムのコマンド
cat
を使用して,ホスト
gem
にある
/u/doc/F1
ファイルを,
ホスト
sky
にある
/usr/doc/F2
ファイルと連結する方法を示したものです。
結果はホスト
gem
上の
/u/doc/F3
ファイルに入ります。
uux "gem!cat gem!/u/doc/F1 sky!/usr/doc/F2 > gem!/u/doc/F3"
次の例では,タスクは前のコマンドと同じですが,リダイレクション記号ではなく,中カッコ ({ }) を使用して,uux
コマンド行にデスティネーションを指定しています。
タスクは前のコマンドと同じですが,出力先は暗黙指定です。
uux gem!cat gem!/u/doc/F1 sky!/usr/doc/F2 \{gem!/u/doc/F3\}
前の項と同じ操作を C シェルで行うには,次の
uux
コマンドのいずれか 1 つを入力してください。
uux "gem\!cat gem\!/u/doc/F1 sky\!/usr/doc/F2 > gem\!/u/doc/F3"
次の例では,暗黙のデスティネーション出力ファイルを使用しています。
uux gem\!cat gem\!/u/doc/F1 sky\!/usr/doc/F2 \{gem\!/u/doc/F3\}
次の 2 つの例では,uux
コマンドは
cat
コマンドを使用して,acct6
ファイルをリモート・ホスト
boston
から,
ローカル・ホスト上のパブリック・ディレクトリにある
acct6
ファイルへの出力として送信します。
uux "cat boston\!/reports/acct6 > ~uucp/acct6"
次の例では,暗黙のデスティネーション出力ファイルを使用します。
uux cat boston\!/reports/acct6 \{~uucp/acct6\}
uux
コマンドでは,ローカル・ホストを省略時のホストとするため,コマンド行にローカル・ホストを指定する必要はありません。
たとえば,diff
コマンドを実行して,ホスト
car
上の
/u/F1
ファイルを,
ホスト
sea
上の
/u/F2
ファイルと比較し,その結果をローカル・ホストの
/u/F3
ファイルに入れるには,次のコマンドを使用します。
uux "diff car!/u/F1 sea!/u/F2 > /u/F3"
また,次の例のように,感嘆符だけを使用して,ローカル・ホストを表すことができます。
uux "!diff car!/u/F1 sea!/u/F2 > !/u/F3"
diff
または
cat
などのコマンドでパス名ソース・ファイルを指定する場合には,リモート・ホストが解釈するシェルのパターン照合文字を含めることができます。
?)
*)
[)
])
これらの文字は,2つの
バックスラッシュ (\ ...
\) または二重引用符 (" ...
") で囲み,uux
がコマンドをリモート・ホストに送信する前に,ローカルのシェルがその文字を解釈しないようにします。
デスティネーション名には,パターン照合文字を使用しないでください。
左山カッコ (<),右山カッコ (>),セミコロン (;) およびパイプ (|) のシェル文字を使用する場合には,
それらの文字をバックスラッシュ (\ ...
\) または二重引用符 (" ...
") で囲むか,コマンド行全体をバックスラッシュまたは二重引用符で囲んでください。
注意
シェルのリダイレクション文字,2 つの左山カッコ (
<<) および 2 つの右山カッコ (>>) は,UUCP では使用できません。
表 14-6
に,uux
コマンドのオプションおよび必要なエントリをまとめます。
詳細は,
uux(1)表 14-6: uux コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
-n |
コマンドがデスティネーション・ホスト上で実行できなかった場合に,通常
|
-z |
デスティネーション・ホスト上でコマンドが実行できなかった場合に,
|
-j |
リモートのコマンドを実行する
uux
が要求するジョブ識別番号を表示する。
この番号は
uustat
コマンドで使用する。
詳細は14.8.1 項を参照。 |
| cmd_string | 指定したホストが受けつけるコマンドを指定する。 コマンド・フォーマットについての詳細は,14.4 節を参照。 |
| dest_name | リモート・ホストで実行するコマンドの出力を格納するためのホストおよびファイルを指定する。
たとえば,リモート・ホスト上のディレクトリにあるすべてのファイルの一覧を表示する場合は,uux
コマンドを使用して適切なデスティネーション名を入力すれば,ローカル・ホスト上のファイルに結果を入れることができる。
デスティネーション・フォーマットの詳細は,14.4 節を参照。 |
UUCP プロトコルをサポートする UNIX ベースのコンピュータでは,uucp
コマンドを使用して,あるコンピュータから別のコンピュータに,1 つまたは複数のファイルをコピーできます。
uucp
を使用すると,次のようにファイルをコピーできます。
ローカル・ホストとリモート・ホスト間
2 つのリモート・ホスト間
中間ホストを介した 2 つのホスト間
ローカル・ホスト内
多くのサイトでは,ファイル転送を円滑に行うために,パブリックの UUCP ディレクトリ
usr/spool/uucppublic
を作成して,利用できるようにしています。
このディレクトリは,すべてのユーザによる読み取りおよび書き込みアクセスが可能で,セキュリティ制限を回避します。
このディレクトリは,
uucp
コマンドでは,~uucp
または
~/
で簡単に指定できます。
注意
uucpを介したファイル転送は,転送を行うホスト上のセキュリティ機能の影響を受けます。uucpユーティリティは,ファイル転送が失敗した場合に,エラー・メッセージを表示しません。 詳細は,システム管理者に問い合わせてください。システム管理者は,リモート・ユーザによる不正な使用を防止するために,セキュリティ制限を定義しているので,ファイル転送でアクセスできるのは,一部のディレクトリおよびファイルのみです。
14.5.1 Bourne シェル,Korn シェル,および POSIX シェルでの UUCP を使用したファイルのコピー
Bourne,Korn,または POSIX シェルからは,コピー先ファイルのホスト名の前に指定する感嘆符 (!) の前にバックスラッシュ (\) を付けなくても,uucp
ファイル名を指定できます。
たとえば,ローカル・ホスト
earth
の
star
ファイルを,リモート・ホスト
sky
上のパブリック・ディレクトリにある
/sun/stats
ファイルにコピーするには,次のコマンドを入力してください。
earth% uucp star sky!~/sun/stats
同じファイルをコピーするときに,明示的に
/usr/spool/uucppublic
ディレクトリを識別するには,次のコマンドを入力します。
earth% uucp star sky!/usr/spool/uucppublic/sun/stats
ローカル・ホストからはアドレスがわからないリモート・ホストに,ファイルをコピーする場合は,そのリモート・ホストのアドレスがわかっている別のホストを介して行います。
この方法でローカル・ファイルをリモート・ホストにコピーするには,まず,1 つまたは複数の中間ホストにファイルを送信します。
このとき,各ホスト名は感嘆符 (!) で区切ります。
たとえば,ローカル・ファイル
star
を,リモート・ホスト
sky
上の
/sun/stats
ファイルへコピーする場合に,
まず,中間ホスト
mlkway
を介して送信するには,次のコマンドを入力してください。
earth% uucp star mlkway!sky!~uucp/sun/stats
ローカル・ホストから
uucp
を使用して,リモート・ホストからローカル・ホストにファイルをコピーできます。
たとえば,リモート・ホスト
biochem
から
/cells/type1
ファイルを,ローカル・ファイル
/dna/sequence
にコピーするには,ローカル・ホスト
earth
から次のコマンドを入力してください。
earth% uucp biochem!/cells/type1 /dna/sequence
複数のファイルをリモート・ホストからローカル・ホストにコピーする場合には,パターン照合文字を使用してファイルを指定することができます。
たとえば,リモート・ホスト
moon
上の
/geog/survey
ディレクトリから,名前が
report
で始まるすべてのファイルを,
ローカル・ホスト
earth
上のパブリック・ディレクトリ
~uucp
へコピーするには,次のコマンドを入力します。
earth% uucp moon\!/geog/survey/report* ~uucp
14.5.2 C シェルでの UUCP を使用したファイルのコピー
C シェルでは,感嘆符 (!) は特別な意味を持っています。
コマンド・インタプリタが誤って解釈しないように,パス名で使用する場合には,感嘆符の前にバックスラッシュ (\) を付けてください。
たとえば,ローカル・ホスト
earth
の
/usr/NASA/ctrl-specs
ファイルを,リモート・ホスト
luna7
上のパブリック・ディレクトリ
~uucp
にコピーするには,ローカル・ホストから次のコマンドを入力します。
earth% uucp /usr/NASA/ctrl-specs luna7\!~uucp
リモート・ホスト
luna7
上の
/usr/reports/exobio
ディレクトリにある
plan9
ファイルを,
ローカル・ホスト
earth
のパブリック・ディレクトリ
~uucp
にコピーするには,次のコマンドを入力します。
earth% uucp luna7\!/usr/reports/exobio/plan9 ~uucp
リモート・ホスト
luna7
上の
/sensory/visual/earthrise
ディレクトリにある名前が
msg
で始まるすべてのファイルを,ローカル・ホスト
earth
のパブリック・ディレクトリ
~uucp
にコピーするには,次のコマンドを入力します。
earth% uucp luna7\!/sensory/visual/earthrise/msg'*' ~uucp
ここで,ソース・ファイル名で使用しているパターン照合文字のアスタリスク (*) は,誤って解釈されないように一重引用符で囲みます。
次の例では,同じファイルが
~uucp
にコピーされますが,誤って解釈されないように,ソース・ファイルのパス名全体を二重引用符で囲みます。
earth% uucp "luna7\!/sensory/visual/earthrise/msg*" ~uucp
表 14-7
に,uucp
コマンドのオプションおよび必要なエントリをまとめます。
詳細は,
uucp(1)表 14-7: UUCP コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
-d |
ソース・ファイルを,リモート・ホスト上のファイルにコピーする際に必要な,中間ディレクトリを作成する。
デスティネーション・パス名を指定して
uucp
を入力すれば,必要なディレクトリが作成される。
-d
オプションは省略時の設定。 |
-f |
ファイル転送中に,中間ディレクトリを作成しない。 |
-j |
転送処理のジョブ識別番号を表示する。
ジョブ識別番号は,uustat
コマンドで使用して転送のステータスを確認したり,転送を終了するために
uustat -k
で使用する。
詳細は14.8.1 項を参照。 |
-m |
リモート・ホスト上にファイルがコピーされたことを確認するために,uucp
が要求者へメールを送信することを指定する。
ローカル転送の場合には,メールは送信されない。 |
-nusername |
リモート・ホスト上の受信者 username に,ファイルが送信されたことを通知する。 ローカル転送の場合には,メールは送信されない。 |
| source_file | 送信または受信するファイルのパス名を指定する。 UUCP パス名についての詳細は,14.1 節を参照。 |
| destination_name | コピーを受信するファイル (またはディレクトリ) のパス名を指定する。 デスティネーション・ファイルのパス名についての詳細は,14.5.1 項および14.5.2 項を参照。 |
14.6 uuto と uupick を使用したファイルのコピー
uuto
コマンドでは,指定したファイルをコピー先ホスト上のパブリック・ディレクトリにコピーし,受信者は
uupick
を介してそのファイルを入手できます。
rmail
プログラムが,受信者にファイルの到着を通知します。
注意
すべてのファイル転送は,ローカル・ホストおよびリモート・ホスト上のセキュリティ機能の影響を受けます。 詳細は,システム管理者に問い合わせてください。
たとえば,ローカル・ホスト
moe
から
/usr/bin/data/junk
ファイルを,
リモート・ホスト
stooge
のユーザ
curly
に送信するには,次のコマンドを入力します。
moe% uuto /usr/bin/data/junk stooge!curly
uuto
コマンドが,ファイルをホスト
stooge
上の
/usr/spool/uucppublic/receive/curly/moe
ファイルにコピーします。
次に,rmail
ユーティリティにより,ファイルが到着したことを通知するメール・メッセージが,ユーザ
curly
に送信されます。
メッセージを受信すると,ユーザ
curly
は,uupick
コマンドを入力してファイルにアクセスし,保存,移動,または削除が行えるようになります。
次の例では,ユーザ
curly
は,ホスト
stooge
で
uupick
コマンドを入力します。
uupick
からは,次のような応答が返ってきます。
stooge% uupick from system moe: file junk ?
ユーザ
curly
は,uupick
の疑問符 (?) プロンプトから
d
および
q
オプションを入力して,ファイルを削除し
uupick
を終了します。
? d ? q
表 14-8
は,uupick
の
?
プロンプトから入力する
uupick
ファイル処理オプションの一覧です。
表 14-8: uupick コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
* |
使用可能な
uupick
ファイル処理オプションを表示する。 |
| [Return] | uupick
が次のファイルに進むようにする。 |
a
[dir] |
パブリック・ディレクトリにあるすべての
uuto
ファイルを,ローカル・ホスト上の指定したディレクトリへ移動する。
ディレクトリは完全パス名または相対パス名を使用して指定する。
省略時の値は,uupick
を入力したディレクトリ。 |
d |
d
オプションは,uupick
で取得した現在のファイルを削除する。 |
m
[dir] |
完全パス名または相対パス名で指定したディレクトリにファイルを移動する。 省略時の値は現在のディレクトリ。 |
p |
ファイルを表示する。 |
|
パブリック・ディレクトリにあるファイルの表示,移動または削除を行うことなしに,uupick
を終了できる。
Ctrl/D を押しても終了できる。 |
!command |
オペレーティング・システムのプロンプトに戻りコマンドを実行できる。
コマンドを実行すると,制御は
uupick
に戻る。 |
詳細は,
uupick(1)14.7 uuto を使用したファイルのローカル送信
uuto
を使用して,同じローカル・ホスト上の別のユーザに,ファイルを送信することもできます。
ただし,受信者には,ファイルの転送を知らせるメール・メッセージは送信されません。
たとえば,ユーザ
shemp
は,同じローカル・ホスト
stooge
上のユーザ
larry
に,次のように,ファイル
/usr/bin/data/status
を送信できます。
stooge% uuto /usr/bin/data/status larry
表 14-9
は,uuto
コマンドのオプションおよび必要なエントリの一覧です。
詳細は,
uuto(1)
| オプション | 説明 |
-m |
uuto
が,指定したユーザ名およびホストにソース・ファイルをコピーしたことを,送信者に通知する。 |
-p |
通常,uuto
は,ソース・ファイルを
/usr/spool/uucppublic/receive
/username/host/file
にコピーする。
-p
オプションは,指定したホスト上のパブリック・ディレクトリにソース・ファイルのコピーを転送する前に,ローカル・ホスト上のスプール・ディレクトリにソース・ファイルを送信する。 |
| file_name | ソース・ファイルのパス名。 |
| destination_name | ソース・ファイルをコピーする先のパス名。 destination_name には,ファイルを受信するユーザ名を必ず含み,その形式は host!username である。 ここで,host はリモート・コンピュータ名であり,username は受信側のユーザ名である。 ローカル・ホスト上にファイルをコピーする場合には,destination_name は,ファイルを送信するユーザ名だけでもよい。 |
UUCP ユーティリティには,uustat,uulog
および
uumonitor
という 3 つのコマンドがあります。
これらのコマンドは UUCP ジョブの状態情報を表示します。
詳細は以降の項で説明します。
14.8.1 uustat コマンド
uustat
コマンドは,次のような情報や機能を提供することによって,UUCP ジョブをサポートします。
uucp
および
uuto
によって要求されたファイル転送の状態情報
uux
によって要求されたコマンド実行の状態情報
リモート・コンピュータ上で実行するためにキューに登録されているジョブの制限付き制御
uucp
からのコピー要求の取り消し
uustat
による状態レポートは,この形式を基本として,ワークステーションの画面に表示されます。
uustat
オプションを使用すると,表示形式を変更することができます。
jobid date/time status system_name username size file
注意
すべての状態表示は,ローカル・ホストおよびリモート・ホスト上のセキュリティ機能の影響を受けます。 詳細はシステム管理者に問い合わせてください。
オプションを指定しないで
uustat
を入力すると,保留状態のキューが最後にクリーンアップされてから入力された,すべての UUCP コマンドに関する状態情報が表示されます。
特定のユーザが要求したジョブの状態をレポートするには,次に示すように,-u
オプションを使用します。
ここでは,ユーザ
hugh
が要求したジョブ状態を表示します。
% uustat -u hugh
uustat
のオプションを使用すると,現在のキューおよび保留状態のキューに関する 2 種類の情報を作成することができます。
uustat -q
コマンドでは,現在のキューに関する情報を出力し,1 つまたは複数のリモート・ホスト上で,実行するためにキューに入っている UUCP ジョブや,現在実行中の UUCP ジョブを表示します。
uustat -a
コマンドでは,保留状態のキューに関する情報を出力し,設定した時間内に実行されなかったすべてのジョブを表示します。
注意
設定時間が経過したら,保留状態のキューのエントリを,
uucleanupコマンドを使用して手動で削除するか,またはuudemon.cleanuスクリプトによって自動的に削除してください。uudemon.cleanuスクリプトには,/etc/cronデーモンで起動する/usr/spool/cron/crontabs/uucpにエントリがあります。 UUCP キューのクリーンアップについての詳細は,リファレンス・ページを参照するか,システム管理者に問い合わせてください。 uucleanup(8)
14.8.1.1 uustat のオプションを使用した保留状態のキュー出力の表示
保留状態のキューに入っているすべてのUUCPジョブの状態を確認するには,
次のように
uustat -a
を実行してください。
% uustat -a sunC3113 Thu Jun 04 17:47:25 1999 S sun doc 289 D.car471afd8 gemN3130 Thu Jun 04 09:14:30 1999 R gem geo 338 D.car471bc0a seaC3120 Wed Jun 03 16:02:33 1999 S sea doc 828 /u/doc/tt seaC3119 Wed Jun 03 12:32:01 1999 S sea msg rmail doc
この出力例には,次の 7 つのフィールドがあります。
フィールド 1 -- 操作のジョブ ID。
ローカルのコンピュータ上のプロセスを取り消す必要がある場合には,次の例のように,-k
オプションを指定して,uustat
コマンドを入力します。
% uustat -k seaC3119
フィールド 2 -- UUCP コマンドを入力した日時。
フィールド 3 -- ジョブがファイルを送信する場合は S,受信する場合は R。
フィールド 4 -- コマンドが入力されたホスト名。
フィールド 5 -- コマンドを実行したユーザ名。
フィールド 6 -- ファイルのサイズ。
リモート実行の場合 (最後の出力行) は,リモート・コマンド名 (rmail)。
フィールド 7 -- フィールド 6 にサイズが表示された場合 (最初の 3 行の出力行) は,このフィールドにはファイル名が表示される。
ファイル名は,/u/doc/tt
などのユーザが指定した名前,または,D.car471afd8
のように,リモート実行に関連して UUCP が内部的にデータ・ファイルに割り当てた名前です。
特定のホストによって要求された保留状態のキューにあるすべての UUCP ジョブの状態をレポートするには,次のように
uustat -s
を実行してください。
ここで示されている出力例は,ホスト
sky
に関するものです。
% uustat -s sky skyNlbd7 Wed Jun 03 12:09:30 1999 S sky doc 522 /user/doc/A skyClbd8 Wed Jun 03 12:10:15 1999 S sky doc 59 D.3b2a12ce4924 skyC3119 Wed Jun 03 12:11:18 1999 S sky doc rmail msg
この出力は,コマンド
uustat -a -s sky
で生成される出力と同じです。
14.8.1.2 uustat オプションを使用した現在のキュー出力の表示
各ホスト上にある現在実行中,あるいは実行するためにキューに入っているすべての UUCP ジョブの状態を確認するには,次のように,uustat -q
コマンドを実行します。
% uustat -q sea 3C Mon Jul 13 09:14:35 1999 NO DEVICES AVAILABLE sun 2C Mon Jul 13 10:02:22 1999 SUCCESSFUL gem 1C (2) Mon Jul 13 10:12:48 1999 CAN'T ACCESS DEVICE
この出力例には,次の 5 つのフィールドがあります。
フィールド 1 -- ホスト名。
フィールド 2 -- ホストの保留状態のキューに入っているコマンド・ファイル (C) または実行ファイル (X) の数。
フィールド 3 -- ファイルが保留状態のキューに入っている日数 (1 日以上の場合)。
フィールド 4 -- UUCP がフィールド 1 のホストと通信を試みた最後の日時。
フィールド 5 -- 対話の状態メッセージ。
詳細は,
uustat(1)
表 14-10
は,uustat
コマンドのオプションおよび必要なエントリの一覧です。
表 14-10: uustat コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
|
元の UUCP コマンドを入力したユーザに関係なく,保留状態のキューに入っているすべてのジョブについて情報を表示する。 |
|
jobid で指定した UUCP プロセスを取り消す。 jobid で指定した UUCP コマンドを入力した場合にのみ,ジョブを取り消すことができる。 また,スーパユーザ特権を持っていれば,UUCP 要求も取り消すことができる。 |
|
UUCP を使用して別のコンピュータと最後に通信しようとしたときの状態をレポートする。
たとえば,UUCP による要求が実行された場合,状態は成功としてレポートされ,ジョブが完了しなかった場合には, |
|
ロック・ファイルのすべての PID 番号に対して,
|
|
各ホストについて,現在キューに入っているジョブを一覧表示する。 これらのジョブは,実行を待っているか,または実行中のいずれかである。 ホストに状態ファイルがある場合には,UUCP は,その日付,時刻,および状態情報をレポートする。 プロセスが完了すると,UUCP は現在のキューからジョブ・リストを削除する。 |
|
ジョブ識別番号で指定した UUCP プロセスを復活させる。 このオプションを使用すると,保留状態のキューにあるファイルに現在の日時のマークを付けて,割り当てたジョブの変更時間が経過するまで,クリーンアップ処理によってこれらのファイルが削除されないようにすることができる。 |
|
指定したホスト上で実行するためにユーザが入力した,すべての UUCP 要求の状態をレポートする。 |
|
usernameのユーザによって,実行するために入力されたすべての UUCP 要求の状態をレポートする。 |
|
14.8.2 uulog コマンドを使用した UUCP ログ・ファイルの表示
ローカル・ホストによって
uucp,uuto
または
uux
コマンドが使用される場合には,
UUCP ログ・ファイルが作成されます。
ログ・ファイルは,各リモート・ホストおよび各デーモンに対して作成されます。
uulog
コマンドを使用すると,これらのログ・ファイルを表示できます。
uulog
は,ホストによる
uucp,uuto
および
uux
コマンド要求の要約を表示します。
uulog
コマンドは,次に示すデーモンのいずれかのアクティビティに関するログ・ファイルの内容を表示します。
uucp
および
uuto
によって呼び出される
uucico
デーモン
このデーモンのアクティビティは,/usr/spool/uucp/.Log/uucico/host
にログが取られます。
uux
によって呼び出される
uuxqt
デーモン
このデーモンのアクティビティは,/usr/spool/uucp/.Log/uuxqt/host
にログが取られます。
uuxqt
ログ・ファイルだけを表示するには,次のように
uulog
の
-x
オプションを使用します。
% /usr/lib/uucp/uulog -x
uulog
コマンドを使用すれば,uucico
ログ・ファイル,または任意のホストに対するファイル転送のログ,あるいはどちらかのログ・ファイルの最後の指定された数行のみを表示することもできます。
たとえば,ホスト
sky
に対する
uucico
ログ・ファイルを表示するには,次のように,-s
オプションを使用します。
% /usr/lib/uucp/uulog -s sky
ホスト
sky
に対するファイル転送ログの最後の40行を表示するには,次に示すように,-f
オプションと行数を指定します。
% /usr/lib/uucp/uulog -f sky -40
表 14-11
は,uulog
コマンドのオプションおよび必要なエントリの一覧です。
表 14-11: uulog コマンドのオプション
| オプション | 説明 |
-f
host |
指定された
host
のファイル転送ログに対して
tail -f
を実行し,ログ・ファイルの最後を表示する。
Interrupt
キー・シーケンスを使用すると,ファイルを終了してプロンプトに戻る。 |
-s[host] |
指定されたホストに関係するコピー要求についての情報を出力する。 ホストが指定されない場合には,すべてのホストについての情報が表示される。 |
-x[host] |
指定されたホストに関する
uuxqt
ログ・ファイルを表示する。
ホストが指定されない場合には,すべてのホストについての情報が表示される。 |
-number |
ログ・ファイルの最終
number
行を表示する。
行数は
number
によって決まる。
このパラメータの適用についての詳細は,
tail(1) |
uumonitor
コマンドは,ジョブのバックログ,一時的なシャットダウン,あるいは電話番号またはログイン・パスワードのいずれかの変更によって状態が変更したホストを検出する際に有効です。
uumonitor
出力は,次の 6 つのフィールドから構成されます。
フィールド 1 -- ホスト名。
フィールド 2 -- リモート・ホストで実行するためにキューに入っているコマンド・ファイルの数。
多過ぎる場合 (ホストにもよるが,たとえば 100〜1000 個) には,バックログの原因を判断しなければなりません。
フィールド 3 -- リモート・ホストからのリモート実行要求の数。
フィールド 4 -- 最後に実行したリモート・ホストへの接続試行の結果。
フィールド 5 -- リモート・ホストへのログインの失敗数 (ダイヤルの失敗を除く)。
20 より大きい場合には,これ以上実行されません。
フィールド 6 -- 最後の状態エントリの時刻。
詳細は,
uumonitor(8)